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密林を彷徨ってもうどれくらい経っただろうか。人の痕跡らしき跡を追うものの、一向に里やら人工物は見つからない。ギラつく太陽と熱帯雨林特有の湿気で、一分が一時間にも感じてくる。
こんな中を装備そのままで歩く訳にもいかず、上を脱いで半裸になったは良いものの滝のような汗は未だ止まない。獣やら何やらがいつ襲ってくるか分からないし、盾の接続を外して臨戦態勢でぬかるんだ土に步を進めていく。
この分だと、本格的にウタゲ嬢が心配になって来た。機内でバカンス云々とか言ってたし、この落差で発狂とかしてないと良いんだが。…あの娘のポテンシャルも中々計り知れないものがあるから、戦闘とかは心配ないだろうけど。
ともあれ、まずは自分の事だ。第一に、食に逸れないのはまだ幸いと見るべきか。キノコやら果物はどんな毒があるか分からんから食わないとしても、そこそこの頻度で鳥やら獣には出会う。いざとなれば、そこそこの期間生き残れるだろう。
気を紛らわそうとタバコをポケットから出して火をつける。紫煙が肺を埋め尽くす感覚に、ごちゃごちゃしていた頭が一気に明瞭になった。
…まさか、フィールドサインの選び方を間違えたか?いや、大丈夫な筈だ。現に人の声らしき音が聞こえてくるじゃないか。このままサインを追い続けてれば…。
………ん?人の声?
気がついた時には身体がその方向へ走っていた。木を避け、草をかき分けた先に、二人の人影が目に映る。
良かった…!
心細くはなかったと言えば、嘘になる。ロドスの連中かはまだ分からないが、とにかく人は人だ。やっと会話が出来る期待とタバコの煙で胸を膨らませて茂みから顔を出す。
しかし、期待も虚しくそこにいたのは暗い緑の鱗と太く立派な尻尾をしたアダリスク人だった。
「「…!?!?」」
「…あー…。コンニチハ…?」
「「ーーーー!!(テ、テメェ、何者だ!!)」」
こんな出現の仕方をした此方に非があるが、二人のアダリスク人は驚いた後、持っていた簡素な作りの石槍を突き付けて来た。
オーウウソダーロマジカーァ。コトバツウジナーイ。サルゴンゴワカンナーイ。
取り敢えず此方に敵意がない事をわかってもらう為に、茂みから体全体を出して盾を地面に置く。しかし二人は槍を構えたまま、警戒しながらゆっくりと俺を左右で挟んだ。
「ーーーー!ーー!(何処の部族の者だ!言え!)」
「ーーー!?(祭典の邪魔でもしようってのか!?)」
サルゴン語でギャーギャー言われたところで何一つ分からないんだが。頼むから龍門か極東の言葉で喋ってくんねぇかな。おっちゃん殆ど外国行かない人間なんだよ。
どうせ龍門語で話しても通じはしないので、諦めてボディランゲージに徹する事にした。
お前らと俺じゃ言葉が違うこと。俺に敵意は無いこと。俺のように言葉が通じない人間が居ないかを聞いてみる。
「…………。」
「………………。」
「「「……………………。」」」
さぁ、どうだ…?
「「*サルゴンスラング*!!ーーー!!!!(ブッ殺す!!!!)」」
でぇーーー?!
マジかよ何が悪かったんだよアレか敵意ないってサムズアップかそれとも指差しか口パクからのバッテンか。
「おい待て話だ当たる当たる!話をしようわ危ね!」
「ーーーーー!ーーー!(ちょこまか動くな!一思いに死ね!)」
両隣のアダリスク人が、サルゴン語で何かを言いながら槍を執拗に突いてくる。行動から察するに…と言うか察するまでもないが、取り敢えず暴力的な言葉なのは分かった。飛んでくる槍の餅つきじみた応酬を避けつつ、更に話し合いに持ち込もうとするが、アダリスク人の二人は一向に聞く耳を持たない。
「いい…加減に…しろ!」
あまりに鬱陶しくなってきたので、槍先の下から振り上げ気味に裏拳を叩き込む。
その時、足元に違和感を感じた。いつの間にか、すっかり忘れていた。今いる場所が密林のど真ん中で。今立つ場所がドロッドロの畦道だって事に。
目的通り、両腕はその側に立っていた其々のアダリスク人の石槍を弾き飛ばす。しかし、そのままの勢いを殺し切る事は出来ず、生暖かくて硬い感触が、拳を形作っている手の甲に広がった。
「あ。」
「ーーーー!?(ぐわぁっ!?)」
「ー、ーーーーー!!?(な、何だ!!?)」
は い 国 際 問 題
いや違うんだ俺は殴るつもりなくて石槍吹っ飛ばそうとしただけなんだ信じてくれ。何かお向かいの方から多人数の声が聞こえて来てるけど今度こそロドスメンバーだよないやそうであって下さい。
「ー、ーーーー!…ーー、ーーーーーー!?ーーーー!!(な、何だ今の音は!…これは、貴様がやったのか!?よくも同胞を!!)」
嘘だろ*極東スラング*が。
はい、つー訳で本編よりもギャグマシマシでお送りします。あー^^気持ちが楽なんだじゃあー^^