おっさんin幼女はロックベアを守った   作:親友気取り。

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#7 一段落

 わたしの名前はログベル。

 ちょっと背が高いのが自慢なうら若きウルサス人で、最近ロドスに加入した。

 

 

 今の名前、コードネームは──エルダー。

 

 

 巨躯と書いて、エルダー。理由は身体がおっきいから。

 まぁ確かに同じウルサスの中でも背の高いナター……じゃないや、今はロサだっけ? ロサよりも少し背は高いし、自分で言うのもなんだけど体格が良いからよりでっかく見えるけさ。

 いやでもエルダーって大きいって意味じゃないよね? リコはぴったりって言ってたけどさ……。

 

 

 ともかく。今は石熊のロックベアじゃない。

 ある時を境に、全員がわたしをエルダーと呼び始めた。

 

 何が起きたのか、という説明は正直どこからすればいいのか分からないしごちゃごちゃしてるし分かりにくい所しかないと思うけど、そこは許して欲しい。

 この記録は正直、わたしの頭の整理でもあるから。

 

 

 

 ロドスに拾われ加入したわたしことログベルは、そこでバンガーを失ったショックとリコを探すという執念から暴れまくってすぐ謹慎となってしまった。

 しばらくしてリコを保護するための待ったであると教えてもらい、対リコ用の部隊の編成を任されたりしてと優遇されたと思う。

 

 それだけ異界からやってくるリコの存在は珍しく、是非とも引き入れたかったんだろう。

 一応は製薬会社なんだから研究もしたいだろうし。

 決して、手のかかるわたしへの嫌がらせではない。

 たぶん。

 きっと。

 

 そして対リコ用部隊(逃がさないようにする為の足止め数名と、横槍から守る面々)を引き連れリコと接触するまでは良かったんだけど……。

 

 ごめんなさい。あの時、何が起きたのかはやっぱりさっぱりわからない。リコに聞いてもうやむやにするし。

 オカルトが過ぎて憶測にはなるけど、一番納得するのは“過去に戻った”だ。

 リコが突然わけの分からない独り言を始めたと思ったら光って、別の場所に飛ばされたと思いきや未来が云々って言ったり、わたしとバンガーが居るのをわたしが見たり……。

 

 まるで記憶の中にある光景を、端から俯瞰的に見ているようだった。

 でもそこの世界にリコは飛び込んで、バンガーの死因である地雷を文字通り体当たりで壊した。バンガーが引っ掛かる筈だった物を、無くした。

 

 わたしがいつも思っていた、もしそこでの過去へ変えた。

 

 

 で、また光ったら元の場所に戻ってたんだけどさ。

 色々おかしいのなんの。

 まず、わたしの部隊は対リコ用の部隊、ではなくて探索部隊に変わっていた。

 ついでにわたしが隊長を勤めた理由はリコの事をよく知っているから、ではなく新しく立ち上げる行動班の隊長適正があるかどうかのテストという事にも。

 それの結果は……まぁダメダメですわ。

 

 本懐であるリコの保護は完了したのだけれど、同時に発生したオリジムシの対処がダメダメだったというか、敵前逃亡をしてしまったという事になっていたというか。

 ともかく、また謹慎です。はい。

 

 

 こってり絞られたけど、その程度わたしはどうでもいい。

 だって──

 

 

「何よこの日記」

「あ、勝手に見ないでよ!」

 

 

 ──バンガーが、わたしの愛する妹が、生きてることになってたんだもの!

 書いてる途中に見られて突っ込まれたけど、この文はどこかへ公開するつもりはない。だって意味不明だし。

 

 同行していた副隊長ポジのホシグマさんに怒られて帰投した後、バンガーにも怒られたわたしは説教を無視して思いっきり抱き付いてしまった。それくらい嬉しかった。

 その時にようやく、やっぱりあの時リコが過去を変えたんだって確信した。

 

 

「それだと何? わたしがあの時本当は、地雷に引っ掛かって死んでたってわけ」

「そう! そうなの!」

「だからあの道、あんなに焦げ臭かったのね……」

 

 

 でもどうやって? って聞いても前に書いた通りうやむやにされて駄目。それどころかあんまりそのこと言うなってさ。

 理由は分からなくもないけど。

 自由に時間を移動できて、バンガーを生き返らせたというか死んでない事にできるんだ。そんな反則を知られれば、どこからどう扱われるか分かったもんじゃない。

 

 今回は例外って本人も言ってたし、この辺に関してはわたしも次はないと気を引き締めてる。

 次に何かあってももう都合よくならないって。

 

 

「バンガーは、自分が死んじゃってたって信じるの?」

「……半信半疑ね。でも、あんな状況じゃいつ死んでもおかしくはないわ。それに元々死ぬ気で生きてたし」

「もうっ! せっかく生きてるんだし暗いこと言わないでよ!」

「あんたが振ったんでしょうが」

 

 

 ちなみに今、ロックベアの名前はバンガーが継いでいる。

 継いでいるっていうのはわたし視点なだけで、記録的には最初からバンガーのコードネームだけど。

 

 本名 バンガー

 コードネーム ロックベア

 

 

「……あ、そうだ。ねぇログベル」

「ん?」

「次にリコが来るのはいつか知ってる? グムとイーサンが他の世界の食べ物に興味があるらしくて」

「えー。わたしもわかんないよ」

 

 

 そしてリコについても書いておこう。

 タイムトラベル的な能力は今のところ誰にもバレて無いけど、どうしたって“天災の影響で他の世界からふと迷い混んでしまう異界の人間”という事は隠せなかった。

 なので、今は開き直ってそこは公開している。

 

 ただし公開していない情報もある。

 それはリコがこっちの世界に来る時間と方法だ。

 わたしの予想した通り、リコは向こうの世界で眠ると時折夢としてこっちへ来てしまうらしい。

 

 基本的にこっちの世界にいられるのは朝の11時くらいから夕方の17時位まで。向こうだと22時に寝て6時に起きる生活をしているからじゃないかとの事。

 本当に時々それ以外の時間でこっちに来るのは、お昼寝してたり学校の授業中に居眠りしてて……らしい。

 学校行ってるんだ。

 

 睡眠不足にならないのって聞いてみたけど、なんか平気らしい。

 我慢とかじゃなくて、こっちの世界は夢。だからだとか。

 詳しい事は本人もよく分かってないっぽい。

 

 

「ずいぶん書いたわね」

「色々あったからねー」

「……それ、日記?」

「……って感じじゃなくなっちゃった」

 

 

 何はともあれ、バンガーが生きてるしリコは前みたく明るくなった。

 それでよし!

 

 ──ところで、わたしの事を謹慎王って呼んだ人は誰?

 

 

 

 

 

 ・・・・・

 

 

 

 

 

 原作改変能力……闇の書事件からリインと俺を救った実績のあるらしい能力。

 俺が介入することで現在はリインも生きてる世界線になったとするように、アークナイツというこのゲームでは登場前に死亡しストーリーに関わらなかったバンガー&ログベルを助けることができた。

 ログベルはともかく、バンガーは時間溯行という反則技すらも使って。

 

 三つ疑問がある。

 

 

 まずは、時間溯行をどうして行えたか。

 

 俺自身にそんな能力はなく、状況的にあの時聞こえていた“声”が行ったとするのが自然だ。

 そして口ぶりから、俺がバンガーの死を引き摺り過ぎるあまり見てらんないしもういっそ生き返らせたろって感じに手を貸してくれた。

 実はガチで夢の世界だったからできたのか、あるいはどこかにその“声”の正体がいるのか……。

 

 二つ目の疑問は、その“声”の正体と目的。

 

 少なくても俺の味方。それも、精神的に追い込まれていれば反則技を使ってでも助けてくれる程に。

 ただしその正体は不明だ。声はなんというか、加工されてるというか頭にもやがかかったように推測できなくされている。ダークファルスに思考をアレされたときのような、認識阻害だ。

 ラヴィス=カノンを強制的に待機状態にしたのもその声だろうけど、どういう力を働きかけたのかはよくわからない。

 いつもならまぁいいかと済ませたいところだけど、最大の疑問が次だ。

 

 三つ目の疑問。なぜ、リインと俺を救ったと断言できているのか。

 

 どう見たって宇宙崩壊バッドエンドな闇の書事件なのに、なぜゆえ名指してきたのか。

 俺はともかくとしてリインまでピンポイントに。

 まさかと思うが未来予知、可能性宇宙の認識、あるいは既に一回その結末を迎えたのか。そのへん全くわからん。

 わからんが、次にまたあの声が接触してくるまでお預けとしよう。憶測にしかならんし、憶測は視野を狭める。

 

 

 今はとりあえず、バンガーも救えたし良しとしよう。

 正直、バンガーが死んだ歴史のままだと俺も立ち直れなかったかも知れん。散々人に言っておいていざそういう人死にに直面したのが初なので取り乱してしまった。

 もう二度は同じ轍を踏みたくはないけれど、この件はひとつ心構えにはなったな。

 ちぃ覚えた。

 

 

「ふぁあ……」

「──おはようリコ」

「おっすシグナム。おはよ」

 

 

 目が覚めて、ここはいつもの八神家ソファ。

 俺に膝枕しながら新聞を読んでいるシグナムが最初に目に入る。

 

「いつもシグナムって膝枕してるけど、オレちゃんのこと好きか?」

「ソファを占拠されて邪魔なだけだ」

「またまた。起こさないようにしてくれてたんだろ?」

「……お前がなかなか起きないだけだと思うが」

 

 そんなはず……!

 

「そうだ。さっきカノンから連絡があったぞ」

 

 カノンから? 珍しい。

 何て?

 

「“今度パフェ奢ってね”──だそうだ」

 

 あんにゃろ、適当なメールで励ました気になってやがんな……!

 つか今どこにいるかも知らんし!

 

「月か東京にいるらしい」

 

 せめて顔出せや!

 あとなんだ月って!

 

「お、リコちゃんの元気な声しとるなー」

 

 おはようはやて。俺はいつでも元気だぞ。

 

「うんうん。せや、その顔や」

「主はやてもそう思われますか?」

 

 おん?

 ……ってそうか、最近俺暗かったもんな。マジごめん。

 たぶん、闇の書事件後の鬱状態が再発したと思ってたんだろうな。

 それの影響も少なからずあるだろうし否定はしない。

 

「さってと」

 

 ソファから起きて伸びをひとつ。

 アークナイツの世界にお邪魔するのがこれっきりなのか、あるいはまた時折遊びに行けるのかはわからない。

 行けそうな気がするし、行けなさそうな気もするし。

 

 空中モニターを表示。

 アークナイツのゲーム画面が出る。

 

「イベントキャラ、ね」

 

 そこでは、イベントキャラクターとしてあのふたりが登場していた。




これにて事件は終わりです。
正直EP1で終わる予定だったのを変更し、バンガー救済の為に駆けたので多少無理が発生しているかも知れませんがお許しください。腕の不足です。

ここで一応の完結とさせて頂きますが、不定期に思い付いたアークナイツキャラとの絡みを乗せていきたいと思います。
また、裏設定的なものは後で活動報告にまとめておきたいと思います。

ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
また、振り回してしまい申し訳ありませんでした。
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