ZOIDS学園   作:影狐

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その4

 さて戦闘、と言う前に、リナはカリンを実験にかけてみた。

「テスト1ー、コマンドウルフ行きまーす」

『きゃぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!』

 カメラ越しでもわかるほど、カリンの乗った学校備品のコマンドウルフ―――大人しいはずの―――が大暴れしている。

「テスト2ー、ハンマーロック行きまーす」

『きゃぁぁぁぁぁぁ!?!?!』

 大人しいはずのハンマーロックもダメだった。

「テスト3ー、カノントータ」

「あの~?」

「なんですかぁ?」

「……」

 カノントータスが、乗せる事を拒んで頭を引っ込めている。

           ***

「ポンコツですね、本当。

 あなた、ゾイド乗りとしてここまで酷いのは稀ですよ?」

 ガーン、とショックを受けるカリンはさておき、とリナはカリンが乗れる、と『豪語』するバーサークフューラーに向き合う。

「型番、型番……まったく、こんなクソパイロットを乗せるだなんて、何処の贋作バーサーク(笑)なんだか……」

「うぅぅぅぅ……」

「ごめんなさいね、ウチの副委員長。歯に衣着せないし、舌には猛毒があるのよ」

 と、メルヴィンになだめられる涙目のカリンなど知った事ではないと背中で言いながら、バーサークフューラーの脚部、内部の基盤近くの型番が書かれた部分を見る。

「あれ…?」

「どうしたの?」

「なんで、ココロが暴れないんだろう……? 私以外に懐かないのに……??」

「あー、あのねー?

 あそこのリナの一番恐ろしい事はね、戦術だけじゃなくて、

 ほとんどのゾイドをそこそこ乗りこなせるっていう、結構便利な才能あるのよ」

 えぇ、と驚きの声を上げるカリン。

「あいつ、レッドホーンみたいな重いゾイドから、ライトニングサイクスみたいな高速戦、射撃適正が高い癖して、格闘機まで乗りこなす、とんでもないマルチロールゾイド乗りなのよねー。

 完全野生体も、手懐けられるほどのねぇ?」

 すごぉい、と素直にカリンは感心する。

「……それに比べて私は……」

 そして、シュンと項垂れてしまった。

「き、気にすることもないわよ! ホラ……3年は通うんだからね?

 徐々に腕も上がるわ! 後ろ向きな発想は忌避すべきよ?

 逃げるなら、後ろを向いても前向きな心で、とかのヘリック大統領も言っているわ!」

 と、そんなことを二人がしている内に、リナが帰ってくる。

「う~ん……」

「どうしたの?」

「いや~………あ~………

 まぁ、ひょっとしたら今日の勝負、カリンさん勝てるんじゃないかな~って」

 突然、リナがあまりに驚くべきことをさらりと言う。

「「えぇ!?」」

「いや、可能性の話でしょうけど、もしもカリンさんが本当にあの、『あそこの』バーサークフューラーを自在に動かせるのなら、ですけど」

 と、言ってリナは、頭を押さえる。

「どういう事ですか…?」

「まさか、あんな型番のバーサークフューラーが残っていただなんて」

          ***

『ヒルダ殿~、言われたものを持って来たではありますが……』

『本当に、これを積むのか…?』

 フッ、とライジャーの中で、真紅のパイロットスーツのグローブ部分を正すヒルダは笑う。

「ああ。セイバータイガーも乗っていた物でな。この武装が、一番いい」

 ライジャー両脇に立つのは、右にオティーリエのエレファンダー、左にシルバの乗るゴジュラスがいる。

 そして、二体の鼻と腕に支えられているのは――――

 

 長大なビームキャノン、そしてミサイルポッドとセンサー、それらが一体になったウェポンラック。

 空力用スタビライザーとスラスターが一体になった、予備ジェネレーターユニット。

 同じ装備を付けたゾイドがいる。

 旧名:グレートサーベル。

 セイバータイガーアサルト、とでも言えば通じるだろうか?

 帝国高速戦部隊の、エース級にのみ与えられる武装だ。

 

『ライジャー用アサルトユニット……!

 いや~、まさかこんなものをお目にかかれるとは……!』

「ライジャーは元はセイバータイガーの随伴機として生まれた。

 このぐらいは考えられていたとわかるだろう?」

『どうやって手に入れたかが、疑問』

「フッ、嫌みな貴族階級の特権とは、オーダーメイド程度は朝飯前と言えるものだ」

 すっげぇでありますなー、と嫌みかどうかはともかく、貴族階級に該当しそうなオティーリエがつぶやく。

 知ってか知らずか、ヒルダはなおもゾイドと武装の調整をし、口元に笑みを浮かべるのみ。

「相手方は腐ってもバーサークフューラー。

 弱かろうと、降ろしたてのライジャーの戦闘用ドレスの言い慣らしになる。

 そして、強ければ強くても、負けても笑う事が出来るであろう?」

『負けたら元も子もないでありますよー? かつてのゼネバス・ムーロアなんて負けた挙句にガイロスの人質として軟禁され続ける結果だったではないでありますか~』

「……まったく、耳が痛い」

 と、なぜか含みのあるような返答をし、意識を今度はライジャーに向ける。

「さて、ライジャー。名前を付けてやるほど気の利いた主人ではないにしろ、アサルト状態のお前が負けるのは、いささか我が心に不快感が残る。

 お前は敗北主義者では無かろう?」

 グルルル、と低く唸るライジャー。

 その声をどう受け取ったかは知らないが、フッ、とヒルダは笑う。

「さて、先方も待っているやもしれぬ。

 待たせるのはいい女の特権だが、ゾイドを駆る騎士としてはいささか面目ない。

 いくぞ」

 フルフル、と体の動きを確かめるかのようにライジャーが動き、グォォ、と一つ吼え、そのまま進む。

 向かう場所には、すでに相手が鎮座している。

          ***

『ハロー、エブリワ~ン! みんな元気ぃ?

 この度ぃ、ステルスバイパーちゃんに乗り換えたC組の情報通~、

 セドゥーサ・リーマンとは私のことだぁ~!』

 頭をもたげた蛇型ゾイド『ステルスバイパー』の上で、小柄な中々の美少女がそうマイクに向かって叫ぶ。

「帰れー!」

「実験と称してはめ殺しやがってー!」

「クソ蛇女! イグアンに乗り戻せー!」

「おうゴラァ、ステルスバイパー相手によってたかってレイプまがいの集団攻撃した癖に何言ってんのよ男子共!」

 なにおう、と喧嘩っぱやく答える男子をフン、と言って無視し、彼女は続ける。

『おっとっと、まぁそんな事は良いとして~。

 早速! C組内きっての大勝負始めるよぉ~!!!』

 いぇぇぇぇぇぇ、と歓声が上がり、校庭に2体のゾイドが並び立つ。

『ぅ赤コォナァ~!!

 知る人ぞ知る、知らない奴は誰も知らない悲しい高速戦ゾイドォ!!

 しかぁし、これぞ高速戦機の名機! ライトニング何とかさんもジークどうたらさんもこいつの評価には負けること確実!!

 我らが騎士っ娘、ヒルデガルド・ターレスが操るそれこそぉ!!

 EHI‐09、ライジャー!! そのアサルト仕様だぁぁぁぁぁぁ!!!』

 わぁぁぁぁぁ、と言う歓声を浴び、ヒルダのライジャーがサービスとばかりに天高く吠える。

『ぁ青コォナァ~!!!

 本気かな!? それとも演出か!?

 実力はいい意味でも悪い意味でも未知数のルーキー!!

 みんなのアイドル、ミツキ・カリンちゃんの『ココロ』こと!!

 EZ‐49、バーサークフューラァァァァァァァッ!!!!!』

 ドシィン、と一歩前に踏み出し、こちらも天高く吠える。

『バトルモード、001!

 一対一、ルール無制限、フィールド有限の、いわゆる『決闘モード』!!』

 ガシン、ガシン、と2体のゾイドは向かい合う。

『カリン殿、あって間もない身で失礼だが、勝たせてもらおう』

 グォォォン、とヒルダの言葉に反応し、バーサークフューラーへ立ち向かう意思を見せるライジャー。

『お、お手柔らかにお願いします』

 それに答えるかのように、バスタークローを展開して威嚇するバーサークフューラーのココロ。

『では、いっくよぉ~!!

 レディィィィィ……!』

 そして、始まる。

『ゴォォォォォォォォ!!!!』

 かぁん、とステルスバイパーの尻尾で、学校備品のゴングが鳴らされた。

       ***

 

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