ZOIDS学園   作:影狐

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その5

 

『先手必勝!! とらえきれるかっ!』

『えっ!?』

 その瞬間、ライジャーアサルトの爆発的な突撃がバーサークフューラーを襲う。

『クッ…!』

 だがその時、バーサークフューラーは信じられない動きをした。

 右のバスタークローが、妙な鋭さと『柔らかい』動きを持って前に突き出され、

『なぁ!?』

 ギィィン、と言う音を響かせ、ライジャーを逸らしたのだ。

『にぃ!?』

 いや、驚くべきはその後だ。

 ヒルダの腕は知ってのとおり、この受け流された動きを殺さず、ターンを決めて射撃に移ると言う事を平然とできる。

 この程度の驚きでも、冷静に後ろがとれる。

 逆に、先程も分かった通り、カリンはまともにゾイドが動かせない。

 ただ暴れさせるだけで制御が出来ていなかった。動かせても、それに反応できるのは無理だ。

 

 だから、先程の流れのままに反転し、バスタークローとライジャーアサルトのビームキャノンの銃口と向かい合う形になるその様子は、

 ありえない事だった。

 

『反転できた!』

『見事ッ!!』

 当然起こる事だが、ビームキャノンは放たれ、バスタークローは展開してEシールドがそれを防ぐよう張られる。

『なるほど、これは面白い!』

 撃った衝撃で後ろへとステップで下がり、再びライジャーは走り始める。

『つ、強い…! ココロ、行くよ!』

 あわててカリンは、ココロことバーサークフューラーを飛ばし始める。

         ***

「なんて動きを!?」

「ライジャーに反応しきった…!?」

 その様子を見たC組の面々は、驚きの声を口々に上げていた。

「普通の場合、あの突進をEシールドで受けるのがパターンです」

 と、リナが冷静にみんなに聞こえるよう、解説を始めてくれる。

「でも、その場合だとライジャーの胸の複合ショックカノンの餌食です。

 ガンブラスターのローリングバスターほどじゃありませんが、連鎖的にタイミングをずらして攻撃できるショックカノンとEシールドの相性はけっこう悪いですしね」

「それだけじゃないでありますよ、リナ殿」

 と、ここでC組解説役二人目である、オティーリエが口を開く。

「ライジャーのアサルトユニットを見る限り、あのビームキャノンはゼネバス系企業『Ziアームズ』の高貫通パルスレーザーライフルでありますし、今のように一発でバーサークフューラーのシールドを貫通とはいきませんが、ショックカノンの応用で破ることも可能だった、でありますよ?」

「ですよねぇ……でも、あのバーサークフューラーのココロちゃんはソレをしなかった」

 と、妙に的外れな事を言うリナ。

「まるで、一度そのパターンを見ていたかのように、それをしなかった。

 あのココロちゃんだから出来たんじゃないですかね~?」

「? カリン殿がしなかった、ではなく?」

「ええ。ぶっちゃけ、カリンさんが出来るのは、百歩譲って、まだ『バーサークフューラーの闘争本能の動きに合わせる』操縦だけだと思うんですよ~。

 ただ、それができるのもすごいですし、あれが私の考えてる通りのバーサークフューラーならそれでベターなんです」

 つまり、とリナは続ける。

「これではっきりしましたね。

 これ、カリンさんのココロちゃん、ライジャーに勝てますよ、条件さえそろえば」

          ***

(この動き、妙だ)

 ミサイルをランダム誘導パターンに設定し、蛇行しながらターンして後ろに放ち、再び走る。

『くぅ…!』

 それを、バーサークフューラーはジェノ系ティラノサウルス型ゾイド特有のホバー移動を駆使し、右へ、左へ、と避け、稀にEシールドやバスタークローで迎撃する。

(素人の動きなのに……的確過ぎる)

 ここで、すこし罠にはめるため、急に右後ろへステップする、という芸当をして後ろを取ろうとする。

『あ…!』

 が、空中でまだビームの照準をしよう、という段階で相手も反転し、こちらへ撃たせまいと突進してくる。

「だが反応は良い。素質はあると言わせてもらう!」

 バスタークローを壊すつもりで、胸の複合衝撃砲を放つ。

 4門のビーム、1門の大口径衝撃砲は、しかし奇妙なほどの反応の良さに回避される。

「回転…!?」

 バーサークフューラーは横へ大きく回転し、そしてその尻尾を開くのが見える。

『っ、こうなったら!』

「何ぃ!?」

 まさか、といまだ衝撃砲の反動相殺に四肢が動かないライジャーの中、その光景に驚きを隠せないヒルダ。

 首を下げ、尾と水平にし、口を開き砲塔を露出させる。

 空中でやっているその動作は、余りにも有名な攻撃の前準備。

「荷電粒子砲…!!」

『っ…!』

 まさか、と思い気付く。

 ジェノザウラーの系譜の一体、ジェノブレイカーは空中でも、どこでも荷電粒子砲が撃てた。

 単に安全のために、地にアンカーを打ちつけて撃つバーサークフューラーの設計でも、準備だけなら空中でできるはずだ。

「……くくっ、これは面白い!!」

 動け、とライジャーに意思を込めて操縦幹を動かす。

 まずは回避だ。フルチャージをする気はなさそうだが、それでも十分な破壊力はある。

 だが、避け方も重要だ。

 バーサークフューラーの荷電粒子砲の俯仰角は+25度/-12度、左右へのふり幅は真正面から約36℃ずつ。

 意外と広い。避けるのも難しい。

「荒野の決闘とは、良い展開だ!!」

 チャージの間に後ろへ回れば、勝てる。

 まわれなければ、消し炭……とまではいかないだろうが、嫌な思いはするだろう。

「ライジャー! 私について来れるか!?」

 吠えるライジャー。

 荷電粒子砲は発射寸前だ。

「来いッッ!!」

 一気に踏み込む。

 この場を抜ける最短距離は―――――あのバーサークフューラーの真横だ。

『速い!?』

「行くぞライジャーッッ!!!」

 バスタークローの迎撃も考えない。まずは避ける。

 シンプルに、背後を取る。

『くっ、』

「そして勝つ!!」

 一歩目で、バーサークフューラーの顔の前に踏み込む。

 もう撃たれてもおかしくない距離だ。

 だが、相手は撃ってこない。

(ふみだせッ!!)

 横を抜ける。ライジャーの速度を、バーサークフューラーはとらえきれない。

 空を切り、地面をうがつバスタークローを一瞥しながら、バーサークフューラーの尾の先端をかすめるほどの場所で着地をする。

「もらったぁッ!!!」

 旋回し、そして。

 逆さづりとなったバーサークフューラーの頭を見る。

「何ぃ!?」

 バスタークローが地面に『2つとも』刺さっている。

 そしてそれを基点に、180℃回転してバーサークフューラーはこちらに向いている。

「しま――――――――――――」

 

 威力を下げられているとはいえ、

 その荷電粒子砲の光は、ライジャーを包むほど強力だった。

 

        ***

 

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