ZOIDS学園   作:影狐

2 / 47
その2

 惑星Zi、西方大陸エウロペ、ミューズ森林地帯からロブ平野方面に訳50キロにある都市『ニューリヴァプール』。

 

 の、ゾイド及び通常車両兼用道路の交差点

『はーい、押さなーい、押さなーい! そっちのワークトータスは自家用車踏まないようにー!』

『そこのコマンドウルフ!! 背中のライフルで車を脅さない!! ゾイドウォーリアーか!?』

 そこは今日も渋滞だった。

 ゾイドが、人が入り乱れ、クラクションと鳴き声が響きわたる。

『速くしてくれよぉ、仕事遅れちゃうよぉ!』

『くぉぉらぁぁぁ、そこのマーダー!? いい加減にしないと逮捕するぞぉ!?!』

 惑星Zi最速の一角であるゾイドの一体『EMZ‐13(01)マーダ』に、交通整理中のゴドス重装型警察使用が、88ミリ市街戦ゾイド制圧用ライフルを向ける。

『ちょ、民間人に何を向けてるんですかぁ!?』

『うるさい! このぐらいせんとこいつらはつけあがるばっかりだ!』

 あわてて、同じく交通整理中のEZ‐027『レブラプター』警察使用が駆け寄り、そのゴドスを止める。

『また始末書かされますよぉ?』

『お前は風族だから知らんだろうがな、地球移民である俺の家の家訓にこうあぁる!

 『犯罪者は即往生』だ!』

『んな無茶苦茶なぁ……』

 と、言いつつもちゃんと交通整理をしている辺り、彼らも優秀な警察官なのだろう。

『ごらぁ、そこ!! 車に迷惑をかけるな、ぶっ放すぞ!!』

 ……人格以外は。

 と、その時、遠くでガシガシという大きな音が聞こえる。

『この音、どこかで4足歩行ゾイドで速度違反をしているな!?』

『なんで嬉しそうなんですか!?』

 と、言っている前に、その音がどんどん大きくなっていく。

『ぐっふっふっふ…! 来るなら来てみろぉ!!

 こちとら、もう銃の装填はおわっとるんだ!!』

『落ち着いて! コマンドウルフか、それに近いゾイド相手とはいえ、その砲じゃ絶対に大参事ですって!』

 しるかぁ、とゴドスが、88ミリと実戦でも通じる方を音の方向―――ちょうど、渋滞が幾分かマシな方向に向ける。

『きやがれぇぇ! そして往生せい……や…あ?』

 その姿が見える。

 予想以上に大きな、4足歩行の強い音を響かせて、来る。

 中型じゃない、アレは……

『お、大型ゾイ、ド……?』

『な、あ、あ、れ、って、ら、らら…!』

 それが、大きく跳躍し、交差点を、渋滞をも飛び越える。

『『ライガーゼロぉぉっっ!?!?!』』

 手ごろなワークトータスを踏み越えて―――カノントータスになっただけあって頑丈で、多少揺れた程度で動じない―――――ライガーゼロは渋滞を抜けた。

        ***

「交通違反上等ですよー!」

 現在時速、145.2km/h。

 ゾイドによる機動戦の始祖、ゼネバス帝国の末裔たる技術は、その速度ですら『巡航』速度だ。

「このまま、グラム湖近くの学校まで!!

 交通違反なんてみんなしているし、そんな事よりも初日に遅れる方が大問題です!」

 ぐぉぉぉ、と叫ぶライガーゼロ、ことクロムウェル。

 どうも賛同したわけではなく、コックピットごと後ろを向く。

「げぇ、もう見つかりました!?」

 後ろから、2機の小型ゾイドが全速力で追いかけて来ていた。

         ***

『待てぇぇぇぇぇぇえぇぇぇ!!』

 ゴドスの最高速度は150km/h、今ほとんどその速度で走っており、表情の見えないゴドスも心なしか苦しそうだ。

『無茶しすぎですよ! ここは僕に任せて!』

 と、そこで210km/hは叩き出せる、相方のレブラプターが前に躍り出た。

         ***

「やっぱり、レブラプターは軍よりも警察が似合いますね~、そもそも火器らしい火器のない機体なんて普通考えますかアレ?

 帝国の黒歴史ではありますよね~、改修してもパイルバンカーとかいうふざけた仕様ですし!」

 とはいえ、とリナは静かに焦った笑みを浮かべる。

「やっぱ速いですね~、限定OS(※この場合『オーガノイドシステム』の略)積んであるだけあって!」

 ならば、とリナは左手のスロットルレバーを握る。

「クロムウェル、本気出しますよ!!」

 スロットルを全開にする。

 その途端、ライガーゼロたる容姿の特徴、その背部にあるイオンブースターが開き、機体が加速する。

「パワー、ミリタリー(出力全開)!」

 数秒で速度メーターが300を突破、最高速度307km/hを叩きだす。

 いつもの心地よいG、景色がどんどん一変する。

「振り切りなさい、クロムウェル!

 始業式に遅刻して私がハブられないためにっ!!」

 そんな私利私欲が通じているのかはわからないが、クロムウェルは獅子の咆哮をあげて走る。

           ***

『だめだぁ、追いつけない!』

 特殊アスファルトの道路は、ドリフトするように止まるレブラプターの足が火花を散らすほどに踏ん張っても、焦げ目ぐらいしか残さなかった。

『はーっ、はーっ……ええい、逃がした!!』

 と、ようやく追いついたゴドスが静かに近づき、中にいる警官がそんな声を出す。

『しっかし、まさかライガーゼロをこの目で見れるなんて……世の中わからないもんですねぇ?』

『ふん! どうせ、明日もここを通る!』

 え、と驚くレブラプターに乗る警官に、ゴドスの中から相棒の警官が言う。

『あんなもんに乗ってこんなことやるのはただ一人だけだ!

 この先の『ミューズ学園』の生徒で、寝坊した人間、ただそれだけだ!』

 くそう、と言いながら、彼はもう見えなくなった方向へ、88ミリ砲を撃つ。

『ちょ、始末書書かされますよ!?』

『ゥ覚えてろぉぉぉぉぉ、悪ガキめぇ!! 今度こそ引導を渡して―――――』

 と、そこまで叫んだところで、再び何かの足音が後ろから聞こえる。

『このパターン…!』

『ま、またか!?』

 後ろを振り向く二人。

 その後ろから迫るのは――――――――

『『ま、まただぁ――――――――ッッ!?!』』

 再び、今度は中型ゾイドが2体を飛び越える。

 銀と赤の、ライオンに似た流線型のゾイドが着地し、走り去る。

『な、なんだ、あのゾイド?』

『ライガー……じゃない?』

 その容姿は、二人の見たことが無い物だった。

 その謎の4足歩行ゾイドが去っていく。

 

 

 

『……ってか、交通整理どうしましょ?』

『ぬわぁ!? しまったぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。