ZOIDS学園   作:影狐

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その3

 現代戦においても、はるか昔の戦いにおいても、

 川を渡るという行為は、かなりの労力を要する。

 

『隊長、もうすぐ到着します』

 シュバルツェスシュトルムは超攻撃型チームのように見えるが、

 そんな川の対処のために、ある4機のゾイドを有する。

 一つ、前線までに様々なものを運ぶ『RPZ‐002 グスタフ』の改造機『グスタフワーカー』。

 二つ、水陸両用ワニ型ゾイド「RZ‐003 バリゲーター」の改造機、背中に橋を架ける装置を付けた『クラフトゲーター』。

 そして、最後に見えるは、やや重装型の中型戦闘工兵ゾイド――――『スピノサパー』。

 そう、彼らこそ、『戦場の勝利のカギ』戦闘工兵部隊だ。

 

「もう間もなく、川に到着します。

 そこからが戦いです」

 それらを見やり、ツバキはただ同胞である彼らに言った。

 

「いいですか? ここの砂漠は起伏が多いとはいえ、ただ広く隠れる場所の少ない地形であることは相違ありません。

 現在、お互いに半分あたりまで地形の把握が終わっているでしょう。

 つまり今いる位置から先は相手の罠の宝庫。そう考えて行動してください」

 

『ですよね………しかし、相手は何をするつもりでしょうね………』

 警戒しつつ、クラフトゲーターの前に陣取るスピノサパーの一機がつぶやく。

「無駄口は叩かないように。通信傍受の恐れもあります」

『おっと……失礼、隊長』

『隊長、川が見えました……げ!?』

 と、瞬間、すさまじい声を上げる、もう1機のスピノサパーの乗り手。

「……!」

 いや、その反応は、先ず適当な反応だった。

 

 川が、煮立っている。

 いや、正確に言えばゴポッ、ゴポッ、と何か音を立てながら、なんと表現していいかわからない色の川が、煮立っているように泡立っているのだ。

 

「の、の……!」

『濃硫酸の……川……!?』

 戦慄した。

 相手は……ミューズ学園C組の人間の思考は、どうやら学生のそれを通り越していた。

「……確か、川を濃硫酸にするふざけた薬品が昔、ありましたね」

『隊長、原理はわかりませんが、自分もその話は聞いたことがあります。

 となると、渡河するには、やはり……」

「中和作業か、あるいは回避ルートか、でしょう」

 ふむ、と少し考えるツバキ。

「……いえ、ここは相手の思惑通り「渡河しない」を選択すべきでしょうね」

『え?』

 と、ツバキはそう判断をする。

「ここまで来ておいて癪でしょうが、これは相手側の考えを「こちらの足を止めること」とまずは考えましょう。

 濃硫酸という防波堤に、斥候の破壊。

 まずこれで考えられるのは、足止め組と攻略組の分散、でしょうね」

 と、ツバキは考察を周りに語る。

「成程……こちらを濃硫酸の川を防波堤に足止めし、すでに川を渡っていた本体がこちらの本体を挟撃する。

 いい作戦ですね。久々にまともな相手と戦えて光栄です」

『おお、なんとなくわかりますぞ? いやはや、知能の低い私共でも』

 ふふ、とツバキはつぶやく。

「……反転して、主力部隊に合流しましょう、そして、挟撃組を……」

 と、突然、けたましいアラートが鳴り響く。

「!? 主力部隊に攻撃……!」

 瞬間、ボン、ボン、という砲撃音が、自分たちの陣地の方向から聞こえる。

         ***

「ヴォルケーノ、ポイントG‐87へ砲撃。目標、全長32.2メートル。毎時22.5ノットでF86方面に移動中。フレシェット弾を推奨します♪」

『了解、スカウター1。今日は晴れのち槍だな』

 姿勢を低く、這うようにすすむクロムウェルのセンサーが、砂漠を進む巨大な影をとらえていた。

 デスザウラー。

 まともに戦えば、勝てないほどの相手。

「お…!」

 高速飛翔対反応。

 そして、それが降り注ぐ。

「さて、先ずはセオリー通り。砲撃で削りましょうか♪」

       ***

『総番!! 真上!!』

 はじけ飛んだ砲弾から、大量の槍のような金属が拡散する。

「!?

 総員、防御姿勢! デスザウラーの荷電粒子ファンは死守、ぐっ!?」

 直後、断続的な衝撃がデスザウラーを襲う。

 惑星Ziトップクラスの重装甲ゾイドの装甲はそれだけではびくともしないとはいえ、フレシェット弾の貫通力は、当たれば痛い。

「クッ……真っ先にデスザウラーの弱点を狙ってくるか…!」

 エルフリーダは即座にFCSを起動。

「だが、位置はとらえたぁっ!!」

 デスザウラーのミサイルハッチを開き、迎撃を始める。

 ――――グォォォォォォォォォォォォッッ!!!

 咆哮とともにミサイルは放たれ、撃った相手のいるであろう位置へと飛んでいく。

 ズォドン、と大地が震える。

「ッ、被害報告!!」

『こちらのデスザウラーは無事です!』

『こっちも!』

『あ、足元の小型ゾイドたちも、何とか軽微!』

「この程度で相手が満足するか!? 我々は攻撃を受けた!!

 報復だ!! 速やかに次の攻撃から相手へ反撃を始める!!」

 了解ッ、と威勢のいい返事が来た。

 士気は、まだ落ちていない。

『総番!! 東方向、来ます!!』

 ぐるりとデスザウラーの頭部を向け、その方向を見る。

 ―――土煙を上げて、エレファンダーを筆頭とした、重ゾイドたちが、全速力でこちらに来る。

「来たぞッ!!

 戦闘を始めよ!! 奴らの勢いに負けるな、暴風諸君!!」

 うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッ!!!!

 そして、今、

 二つのゾイドの群れが、ぶつかる。

 

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