ZOIDS学園   作:影狐

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その4

 先陣を切るは、エレファンダー1機、ガンブラスター2機、ディバイソン2機の重装甲ゾイドを筆頭とした『パンツァー隊』の面々。

『しゃおらぁぁぁぁぁッッ!! デスザウラーが何ぼのもんだぜぇぇぇぇ!!!』

『うるせぇ副隊長! こちとらこんな任務なんて聞いてないんじゃー!!!』

 ディバイソンの中で叫ぶ『アスカ・ソウタ』―――突撃担当の生徒。

 当然の反応である。彼の場合気弱で有名だが。

『うるせぇ、黙って突撃しろ!! ハイパーローリングキャノンはもう装填積みなんだよぉ!?!』

『後ろから撃つ気か!? 俺ごと撃つ気だ!!』

『はいはい、黙って突撃!! 我々が壁でありますよぉ!!』

 ぎゃわぁぁぁぁぁぁ、という叫びとともに、ディバイソンの17連突撃砲が火を噴く。

        ***

『ディバイソンだ!! 装甲の厚いゾイドは前に出ろ!! 火力の高いゾイドは隙間から弾幕を張れ!!』

 瞬間、デスザウラーの足元にいたダークホーン4機、小型重装甲ゾイド『ブラックライモス』10機がダークホーンを中心とし縦陣となり前へ。

 続いて、その重装甲ゾイドの横陣の両脇に巨大な砲を積んだゴルドス2機、そして13機の重砲撃型イグアンを配置する。

 中央に3機のデスザウラーが布陣し、全体がこちらへ向けじりじり進撃を開始する。

『荷電粒子砲を使う!! チャージ中は間違ってもあのガンブラスターに攻撃をさせるな!!』

         ***

「な!? この状況で縦陣!? 防御ではなく攻撃をするつもりでありますか!?」

 パンツァー隊隊長であるオティーリエの驚きも無理はない。

 通常、『縦陣』とは玄人向けの攻めの陣形であり、普通は横陣という防御用のやりやすい陣形を作るのが、このコマンドタクティクスルールでは一般的だ。

『しかもこの数!! ほぼ全機いるぞこれぇ!?』

『オイ、大丈夫かよ!? 半分もこっちはいねぇぞ!?』

『だから言ったんだよぉ、無茶だってぇ!!』

『うるさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!! ガタガタ叫ばないッ!』

 瞬間、背後から走ってきたハンマーロックの群れ、アーチャー隊とその背後にゴドス2機、そしてバーサークフューラーことココロが向かってくる。

『このぐらいは想定の範囲内よ!! 何!? コッチは損害覚悟で勝利をつかむつもりなのよ!?

 ガタガタいうな! 文句は死んでから受け付けるわッ!!』

『むちゃくちゃだよこの人ぉ!?』

『ここまで無茶言われると逆にすがすがしいわ!!』

 メルヴィンの通信に叫ぶC組の面々。

「はいはい! とにかく、現在こちらは数で不利!!

 さっそくでありますが、後ろのアーチャー隊とカリン殿はミサイルなり荷電粒子砲なり叩き込んで相手の数を減らし、ほかはぶっ放しながらこのド平原に見えて起伏のある地形を利用し攻撃する!

 相手は、強力なゾイドの反面、起伏の利用できないデスザウラー!

 ならまだこちらにもやりようはあるであります!!」

 オティーリエは、エレファンダーに積んだ大型砲を照準し号令を出す。

「アーチャー隊は絶対に攻撃を喰らわないように! 全機、起伏は最強の壁と心得よ!!

 壁は、重戦車の役目!!

 パンツァー隊、全機ゾイドともに壊れて死ぬまで火力を保って撃ちまくれ!!」

 瞬間、叫び声をあげて、走り、先ずは当たらなくてもいい、邪魔になるように派手に撃ち始める。

          ***

「全機、暴風を噴き上げろ!!」

 号令とともに、ゴルドスの背後の連装41センチ砲2門が、イグアンの持つ様々な火器が、戦闘の重装ゾイドの群れの火器が、一斉に放たれていく。

 噴煙とともに、戦場に砂煙がもうもうと上がり始める。

「荷電粒子砲、発射準備!」

 重厚な足音とともに、デスザウラーが両足を大地に構える。

 背後の荷電粒子ファンが、惑星Ziに満ちる荷電粒子を吸い込み始め、

 その巨大な口の中の荷電粒子砲が、唸りを上げ始めた。

          ***

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ、もうぶっ放すつもりかあの速攻バカどもはぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!」

 その様子を見たオティーリエは、涙を交え叫ぶ。

『こちらガンブラスター、ことレイン! 撃つぜ、黄金砲!!』

「許可はいいから撃ってでありまぁぁぁぁぁす!?!」

 エレファンダーの巨大な砲が、ディバイソンの17連突撃砲が、そしてかつてその砲撃の色と威力をなぞらえて「黄金砲」と謳われたガンブラスターのハイパーローリングキャノン――――驚異の20門複合砲、可能な限り破壊力のある砲をとにかくつけまくったと称されるこの兵器を向ける。

『こいつを使うと電磁シールドが晴れねぇ、クッ…! くそ、盾よろしく!!』

「了解!! いっちょ、対ティーガー戦でのファイヤフライ戦法をやってやりますか!!」

『地球の歴史はお前ら移民にしかわかんねぇよ!?』

 オティーリエの号令とともに、一機のディバイソンがEシールドを展開しガンブラスターの斜め前に出る。

 同じく、オティーリエも同じくEシールドを展開、斜め前へ。

「射線に入らないように! ケツに黄金砲で掘られるのは御免でしょう?」

『俺はケツ掘りたい方です!!』

「よし変態、奴らのケツを掘ることを許可するであります!」

『下品極まりねぇな! 好きだぜそういうの!!』

 ガンブラスターのハイパーローリングキャノンを打たせまいと来る砲弾をEシールドで受け止め、その時を待つ。

「速くぅ!! ガンブラスターちゃんいい子だから、早くしないと荷電粒子砲発射しちゃうでありますよぉ!?」

 遠くからでも、あの怪獣の口に光が収束しているのが嫌でも見えていた。

『しゃおら、チャージ完了! 行くぜぇ!!』

 その言葉の瞬間、重装甲とはいえゾイドらしい横ステップでガンブラスターの前から避ける。

『見せてみろ、惑星Ziを震撼させた火力を!!』

 瞬間、このアンキロザウルス型ゾイドの咆哮とともに、黄金の光がほとばしる。

          ***

『きたぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!』

 対ショック耐性。しかし、それでも抑えきれない衝撃が、ダークホーンたちを襲う。

 おそらく、彼らはDNAに刻まれた、かつての暗黒大陸の先人たちの戦いを思い出して震えているだろう。

 たとえ知らなくても、再びダークホーンの群れに黄金砲は放たれた。

『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!』

『システムフリーズ!! そ、装甲が…!?』

「うろたえるな! ぐっ!?」

 すさまじい衝撃とともに、一歩前にいたエルフリーダのデスザウラーがダメージを追う。

 強固なデスザウラーの装甲が抉られ、肩から胸にかけての装甲がはがれおちる。

『総番!?』

「うろたえるなと言った!! 黄金砲だけに気をとられるな!!」

 とはいえ、と彼女は思う。

 今、前線を支えるゾイドが、かなり削られた。

 やはり黄金砲は、厄介な代物だ。

「しかし、まだ我がデスザウラーは立っている…!」

 口を開く。再び光が収束していく。

         ***

「荷電粒子砲―――――――っ!!

 総員、回避および防御姿勢!! 奴ら一気に削る気であります!」

 やっべ、の通信機の声とともに、放火の中ガンブラスター2機が寄り添い、その背後へ残りの3体の大型ゾイドが集まる。

『オラオラオラァ!! 17連突撃砲もおそろしいんだぜぇ!?』

『いやだー! こんな近くで荷電粒子砲なんて喰らいたくなぁぁぁぁぁい!!!』

『(ゴンッ)』

 通信機に、もう一機のガンブラスターに乗る生徒のマイクの叩く音が聞こえる。

 おそらく、「うるさい、ガンブラスターの電磁防護壁に任せろ」とでも言いたいのだろう。

 ―――一切、一度は耐えられる。だが、

(おそらく、たとえこちらの戦力を大して削れなくても、向こうのデスザウラーに致命傷を与えるガンブラスターを始末する目論見!)

「ガンブラスター2機は電磁シールドを展開!! 火力部隊、後方支援要請!

 はよ撃ってくださいでありまぁぁぁぁぁすっっ!!」

 ならば、と一番近い指揮官であるオティーリエは指示を飛ばし、考える。

(ここまでは想定の範囲内…!!)

        ***

「お待たせして悪かったわね!!

 アーチャー隊、全機配置完了! ミサイルを撃てぇっ!!」

 瞬間、ほぼすべてミサイルポッドで武装したハンマーロック達の全身から、すさまじい数のミサイルが放たれていく。

『うぅぅぅぅぅぅぅ、一発、一発600ガロスがぁぁぁぁぁぁぁぁ…!!』

『泣くなー! 泣かないで、撃てー!!』

「いえ、撃ち方やめ!! 奴らの火砲が当たる前に逃げるわ!」

 火力担当が同じ場所に居続けるのは愚の骨頂である。

 相手の火砲が飛んでくるのだ、すぐに移動するのが定石。

『着弾確認!』

 動きつつも、今放ったミサイルの行方を見る。

       ***

『ミサァァァァァイルッッ!!!』

 敵の言葉とともに、飛来したミサイルへの迎撃に対空攻撃を開始する。

『敵への砲撃を緩めるな!! だがミサイルにも気をつけろ!』

『くそっ、対空兵器も持ち合わせていれば…!!』

 迎撃しろぉ、と激を飛ばすものの、迎撃しきれないミサイルが降り注ぐ。

『うわぁぁぁぁ!!?』

『くそっ、やはりミサイルは厄介な―――』

 そして、その一発が、デスザウラーに向かう。

「しまっ――――――――――」

 荷電粒子砲発射寸前のその顔面に、ミサイルが着弾した。

        ***

 着弾、爆発――――誘爆。

「まさか……!」

 一瞬、相手の砲火が止まる。

 まさか……と思い煙が晴れる。

 

 一機のデスザウラーの、荷電粒子砲が、破壊されていた。

「ひゃっはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!

 やったぜ!! 大戦果!! 大、大、大、大、大・戦・果ッ!

 全員、呆けている場合でありますかぁ!?

 作戦通りとはいえ、ここに乗じない手はないでありますッ!!」

 瞬間、通信機から活気づいた声とともに、周りの砲火が強くなる。

 ミサイルの第2弾も、敵へ放たれていく。

「い、一応言っておきますけれども! 作戦は忘れぬよう、忘れぬよう!!

 うー、でも、でも!!

 このファインプレー、今回の勝敗の行方をかなりこちらに向けましたよぉ!!」

 攻撃の手が加速するC組の面々。

 そう、状況をかなり有利に変えた。

        ***

『クッ……調子に、乗るなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!』

 崩れ落ちるデスザウラーの背後で、残り2体がふたたび荷電粒子砲を放つ準備をする。

「っ、全軍、次は私のデスザウラーの二の舞はさせるな!!

 だが熱くなりすぎるな!! 相手方は想像以上の強敵だ!!」

 しかし、荷電粒子砲の発射口が破壊されても、エルフリーダのデスザウラーのコンバットシステムは、フリーズしない。

『そ、総番、しかし…!?』

「うろたえるなっ!!

 シュバルツェスシュトルムはうろたえない!!

 このぐらいはまだかすり傷だ!!」

 明らかに大嘘だが、この場合こういうのが正しい。

 指揮官機であり最強のゾイドなのだ。決して弱みを見せてはいけない。

「だが、数はまだこちらが有利!! 一気にけず、」

『デスザウラー隊、避けて!!』

 ところが、そうも言っていられない事態が起こった。

 ズドン、という爆音とともに、一機のデスザウラーが崩れ落ちる。

「!?」

 瞬間、咆哮をあげ、システムフリーズするデスザウラー。

 ―――背後の荷電粒子ファンが、煙を上げていた。

「後ろだと…!?」

 背後を見て、戦慄する。

          ***

 重厚な足音を立て、進軍するは、20の機影。

 レッドホーン、ディメトロドン、そしてゴジュラス。

 随伴するは、イグアン、カノントータス、そしてステルスバイパー。

 両脇には、ライガーゼロとライジャーがいる。

          ***

「まさか……この数は…!!」

 いくらバカでも、そう自分を称していても、

 エルフリーダには、この面子がなんなのかわかった。

          ***

「時間がかかってごめんなさい?

 でも、」

 リナは、にっこり、とひそかにコックピットで笑う。

 

 

「包囲殲滅の準備ができました♪」

 

 

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