ガンダムビルドダイバーズ ブレイヴガールフラグメント   作:守次 奏

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優奈の過去が明かされるので初投稿です。


第四十五話「硝子の心は傷だらけ」

「一条さんには、わからないよ!!!」

 

 撃発した感情は、暴発した拳銃のようだった。

 引き金を引いてしまった怒りと、もたらされる結果は切り離されていて、綾乃の心を穿つつもりがなくとも、優奈が選んだ、選んでしまった行動は、結果として、二人の間に横たわっていた断絶を浮き彫りにする。

 そうだ。綾乃は何も知らない。

 優奈がどうしてここまで苦しんでいるのか、どうして涙を流しているのかも知らないからこそ、そして知ろうとすることもなかったからこそ、中途半端な慰めと正論しか口にできなかったのだと、他でもない彼女自身が一番よくわかっているだろう。

 一条綾乃は、賢い女の子だ。

 優奈もまた、綾乃のことを深く知らなくとも、過ごしてきた時間の中でそれぐらいはわかっていた。

 だからこそ、きっと綾乃が絶望しているのはその不理解を、不和を理解してしまったからで、その原因を作ったのは、他でもない優奈自身で。

 込み上げてくる吐き気を堪えながら、優奈ははらはらとその赤みがかかった瞳から大粒の涙を零し続ける。

 もう誰にも、何も、迷惑をかけたくなんてなかった。

 そう誓ったつもりだった。あの日から、ずっと。

 一秒がどこまでも薄く引き延ばされていく、永遠にも似た感覚の中で優奈は自らの膝から下に、ロングスカートに覆われている鉄の義足に、そこまでの過去がリフレインするのを感じる。

 ──優奈。お前は元気な子だから、だから、ずっと。

 思い出すのは、灼けるような痛みが走る中で辛うじて握りしめた、命の灯火が消えていく震える手のこと。

 そして、そこから次第に魂とでも呼ぶべきものが零れ落ちていくように、剥がれ落ちていくように、熱が失われていったこと。

 あれはきっと、何かの罰だったのだ。

 

「……っぷ、おええええ……っ……」

「優奈っ!」

「……ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい……わたし、わたし……ごめんなさい……ごめんなさい……」

 

 堪えきれずに吐き戻した胃の中身が、容赦なく制服を汚してシミを作る。

 ──どうして。どうして、わたしなんかに優しくしてくれるの。

 駆け寄ってきた綾乃から逃げようと車輪に手をかけても、震える指先には力が入らず、更にこみ上げてくる頭痛と、追い討ちのように再び胃袋から迫り上がってくる胃酸が、優奈の影を地面に縫い付けて離さない。

 

「……ほっといてよ……ほっといてよぉ! わたしなんて! わたしなんか! なのに、なんで……なんでわたしなんかに優しくするんですか!!! 何も知らないくせに!!! 歩けもしないし、一人じゃなんにも出来なくて!!! 皆の足を引っ張ることしかできないわたしなんか!!! どうして、どうして、一条さんは……」

 

 ──走ることが大好きだった。

 吐瀉物に塗れた口元を拭うこともせず、過去の傷跡から流れ出す血液の代わりに胃液を更に吐き出しながら、優奈は金切り声を上げて、ハンカチで汚れた制服を拭ってくれる綾乃へと怒鳴り立てる。

 それがどれだけ不義理なことなのかもわかっていた。

 綾乃はこんな自分のことも見捨てないでいてくれる。

 それがどれだけ心強くて、本当は手放してはいけないものだとわかっているはずなのに、心が、その奥底に刻まれた傷跡が残す、灼けるような痛みと、鋭い刃物で斬り付けられたような痛みが綯い交ぜになって、優奈の内側をずたずたに引き裂き、ちぎっていく。

 どれだけ綾乃が優しくしてくれたとしても、自分にはそうされるだけの価値なんてもうどこにもない。

 はらはらと涙をこぼし、胃液を吐き散らし、優奈はヒステリックに怒鳴り立ててはその後悔に涙を流すというループを繰り返す。

 それでも綾乃には、優奈を放っておくというチョイスなどなかった。

 確かに優奈のことを綾乃は何も知らない。

 どうして両脚を失ったのかもわからなければ、どうして元気だけが取り柄などと言い張っているのかも知らないし、なんなら中学時代やそれより昔のことなんて訊く勇気すら持っていなかった。

 ──それでも。

 ハンカチで優奈の口元や胸元を拭いながら、同じように涙を眦に滲ませて、綾乃は小さく呼吸を整えると、一言一言を反芻するように、確かめるように、己の内側から衝動的に湧き出てきたのではなく、決意と共に口に出そうと決め込んだその言葉を舌先に乗せる。

 

「……確かに私は優奈のことを知らないわ。知ろうともしてこなかった」

「……っく、ぐすっ……一条、さん……」

「……きっと、言い訳にしかならないのはわかってる。だから先に謝るわ。ごめんなさい、優奈。だって、私は……貴女のことを深く知ろうとして、嫌われることが怖かったのだから」

 

 綾乃が抱いていた恐れを言葉にしてみれば、それはとても単純な結論に収束するものだった。

 他人の心に踏み入るのには相応の資格がいる。

 抱えているものが大きければ大きいほど、そうでなくたって、人間というのは生きている限り、話したくないことや知られたくないことの一つや二つを抱えているものだから、そこに踏み込めば逆鱗に触れるということは珍しくない。

 特に、優奈は。

 優奈は、綾乃にとっては初めての友達だったから。

 だから、深く踏み込むことで、嫌われるのが怖くて。本当ならばもっと最初の時点で気付いていた違和感に踏み込むべきだったのかもしれない。

 あのGBNの中で見せた狂乱をただ心配するのではなく、本当であれば時間をかけて寄り添って、その理由を聞いておくべきだったのだろう。

 それを、友達でいたいからと、嫌われたくないからと、そんな醜いエゴの下に押し込めて、形だけの心配をして、言葉にした毒にも薬にもならないような正論は慰めにもならず、優奈をかえって傷つけてしまった。

 それがどれだけ罪深く、傲慢なことか。

 わかっている──その振りをすることが。そうしてぬるま湯に浸かり続けるように、互いの痛みに踏み込むこともせず友情を語ることが、どれだけ厚かましいのか。

 だからこそ、綾乃は痛みに突き動かされるように、胸の内側で砕けて散りばめられたその欠片を拾い集めて、優奈の瞳を真っ直ぐに見据える。

 

「……それでも私は、優奈の力になりたいの。だって、優奈は……ずっと友達がいなかった私にとって、初めての友達だから」

「……一条、さん……?」

「貴女がそう思ってなくても構わない。私は……優奈のことを知らないから。でも、もし……もしも優奈が私をまだ友達だと思ってくれているなら、教えて。何の力になれる保証もないけれど、貴女の痛みをどれだけ分かち合えるかはわからないけど」

「……一条さん……わたし……だって、わたし、何の価値もないよ……? もう元気でいられない、皆に迷惑ばっかりかける。だから、あの人の言う通り──」

「……それでも! 私は、優奈と……他でもない貴女と、友達でいたいのよ! 一緒にGBNをやりたいの! 貴女のことが、大好きなのよ!」

 

 言い知れない熱に突き動かされながらも、頭の中は鮮明だった。

 正しいと思って選んだ答えが間違っていてもいい。愛しさや優しさを投げ出すことになってもいい。

 それでも、一条綾乃という一人の人間は、春日優奈という一人の人間のことを心の底から好きだと思っていたから、その悲しみに、痛みに寄り添っていたかったのだ。

 それが例え壊れたビニール傘を土砂降りの雨の中で掲げることに等しくとも、悲しみという湖からコップ一杯分のそれを掬い取ることに等しくとも。

 少しでもいいから、ほんの僅かでもいいから、優奈の悲しみや苦しみを背負いたかった。同じ痛みを分かち合いたかった。

 それほどまでに、自分は──一条綾乃は、春日優奈のことを好きでいたから。

 それがライクなのかラブなのかはわからない。もしかしたら両方とも正しくて、両方とも間違っているのかもしれない。

 だとしても、それが何だというのか。

 好きになった誰かの痛みを背負いたいと思う気持ちに、例え感情が激発したものだとしても、ずっと胸の内側に、心の裏側に押し込めてきた言葉に、嘘なんてどこにもない。

 

「……っ、ぁ……」

「……優奈……だから、一人で抱え込まないで……価値がないなんて言わないで……私は……私は、優奈がどんな人間だったとしても、嫌いになんてならないから……」

「……ほんと……本当、ですか……? 一条さん……」

「ええ、本当よ……貴女に嘘なんてつかないわ、優奈」

 

 はらはらと涙を零しながら、吐瀉物に塗れて汚れている自分の身体を厭うこともせず抱きしめる綾乃の熱に、優奈は心の中で凍りついた何かが溶け出していくのを、そして、走馬灯のように、フィルムを回すように、過去が脳裏を閃くのを感じる。

 自分は綾乃が思うほど、優しくていい子なんかじゃない。

 むしろそれどころか、綾乃が知ったらきっと、嫌いになるような人間だった。

 優奈は伝わる温もりに縋りつくように綾乃の背中に恐る恐る手を伸ばすと、曇天の元、降り出してきた雨に二人で立ち濡れ続ける。

 そうだ。思い出せば、あの日も、こんな雨だった。

 降り頻る雨に鈍色の過去を思い返しながら、優奈はぽつりと、綾乃へと自分の過去を語り出すのだった。

 

 

◇◆◇

 

 

 

 中学陸上界において、春日優奈の名前を知らない人間は少数派だった。

 かつて、両脚が金属のそれに置き換わる前、優奈はそれほどまでに勇名を轟かせ、寝ても覚めてもグラウンドを走り続けていたのだ。

 優奈はスプリントから長距離まで、距離を選ぶことなく走り続けてその全てで栄冠を勝ち取ってきたが、金メダルの栄冠も、授与されたトロフィーも、正直に言ってしまえばどうでもいいものだった。

 ただ自分は、走り続けていたいだけだから。

 この両脚はグラウンドの空を駆ける翼で、誰かを追い抜いて、置き去りにして、ゴールテープを切る瞬間にこそ喜びはあって、栄光だとか賞だとか、そんなものは二の次三の次でしかない。

 そんな中学陸上界のホープとして、全ての距離で一位を掻っ攫っていくスペシャリストとして順風満帆な道を歩んできたはずの優奈の人生に影を落としたのは、言ってしまえば不幸が故だったのかもしれない。

 父親が運転する車に乗って大会の会場に向かう途中、高速道路を逆走してきたトラックが、優奈の乗っていたそれに衝突するという事故が発生した。

 トラックの運転手は酒気を帯びていて、ほとんど眠りかけていた状態でふらふらと、アクセルを踏み続けたまま高速道路を逆走していたらしい。

 らしい、というのは後に警察から聞かされた話だったからで、正直なところ優奈としては、あの瞬間のことは痛みのあまりほとんど曖昧になってしまっていたから、それが正しいのかどうかは今もわからない。

 ただ一つ分かったのは、車外に放り出された自分の両脚は膝から下が繋がっていなくて、競技用のシューズを履いた右足と左足が、壊れた人形のように、車の破片と共に散らばっていたことだった。

 それでも生きていたのが奇跡的なほどの大事故で、車を運転していた父は、ほとんど即死だった。

 それでも、破れた肺で必死に呼吸を繋いで、手足があらぬ方向に曲がり、一部が千切れ飛んでいるのにも関わらず、残った右手を引きずりながら放り出された自分の元に這ってきて、「ごめんな」と、小さく呟いたことを覚えている。

 

『優奈……お前は元気な子だから……これからも、ずっと……』

 

 きっと、自分がいなくてもやっていけるからと、父はそう言いたかったのかもしれない。

 ただ、優奈にとって残されたものは、縋り付くべきものはその言葉しかなかった。

 両脚を切断する大怪我を負った自分に、陸上界での居場所は残されていない。

 最速のスプリンターにして、最強のステイヤーとして名を馳せた一人の少女の人生は呆気なく幕を閉じて、そして義足に車椅子という姿になって学校へと帰ってきた優奈に向けられた視線は、常に冷ややかなものだった。

 それは、周囲の人間が掌を返したからではない。

 わかっていた。今までの春日優奈という人間は、紛れもなく傲慢だったのだから。

 どうしたら自分のように走れるか、と問いかけてきたライバルに対して、返した答えは冷ややかなものだったし、自分を尊敬してくれている陸上部の同期や、期待をかけてくれていた先輩たちの厚意も踏みにじるかのように、優奈がやっていたことは、ただ一人でグラウンドを走るという自己満足に、周囲を巻き込んでいたからに過ぎないからだ。

 春日はすごいな、と、ぽつりと零した先輩に、これぐらい当たり前です、と返したことを覚えている。

 どうやったら優奈さんみたいに上手く走れますか、と問いかけてきた後輩に、知らない。だって走ってたらこうなったから、と、無慈悲な──自分は天才だから、と、そう答えるのに等しい思い上がりを答えとしたことを、覚えている。

 だからこそ、走れるというアイデンティティを失った優奈に残されたものは、父からの遺言だけだったのだ。

 その日からずっと、主に陸上部で同期だった生徒たちのグループから優奈は冷遇され、ほとんどいじめのような仕打ちを受けていたのだが、それでも、文句だけは零すまいと、父が最期に遺してくれた言葉だけは守り通さなければと、笑顔で、「元気」を装って学校に通い続けていたことを、覚えている。

 そして、優奈はどこか、それを自分に対する裁きであるかのように受け入れていた。

 結局自分は、才能がなければ誰の役にも立てないし、それを失ったことでようやくわかったのだ。

 春日優奈という人間の価値は、最速のスプリンターでなければならないと。長距離を走り抜け、中距離を突き抜ける、一人の陸上選手だったことにしかないのだと。

 だからせめて、これからは誰にも迷惑をかけないように、そして誰の足を引っ張ることもないように、静かに生きようと、それがこれまでの償いなのだと、そう思ってきたからこそ、空元気だけを取り柄にして、優奈は何をするでもなく、高校進学という道を選んだのだった。

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

「……GBNをやってたのも、わたし……戦いたいからじゃないんです。あの世界だと思いっきり走れるって、わたしみたいな足でもちゃんと走れるって、お母さんが言ってくれたから、だから……」

 

 優奈にとってガンプラバトルは二の次で、自分の足で走れることの方がよっぽど重要だった。

 だから、例え騙されたのだとしても困っている人を助けたかったのだし、アヤノという──そして、綾乃という友人を得たことで、カグヤとメグという仲間を得たことで、曲がりなりにも楽しく、優奈はGBNの世界を楽しんでいた、そのはずだった。

 だが、メグがG-Tuberとして人気を博したことで、放課後の集まりの延長線上にあるフォースでしかなかったはずの「ビルドフラグメンツ」は一躍新進気鋭の実力派として有名になっていって、次第に申し込まれるバトルもまた、苛烈さを増していったのである。

 そして、再び優奈は否応なく突きつけられた。

 自分が一番、「ビルドフラグメンツ」でガンプラバトルが下手なことを。フォース全体の足を引っ張っていることを。

 もう誰にも迷惑をかけたくなかったのに、もう誰の足も引っ張ることなく生きていたかったのに、「ビルドフラグメンツ」が前に進めば進むほど、優奈は置き去りにされていく。

 だから、激昂したのだ。だから、哀しみに吼えたのだ。

 フォース「ヴァイスウルブズ」との戦いでは、結果的に敵を道連れにできたからよかったものの、「グランヴォルカ」のムーンにはバーニングバーストシステムを起動しても、手も足も出ずに負けて、そして「GBNを辞めてしまえ」とまで言い捨てられた。

 だから優奈は、その通りにするつもりだった。

 陸上部の時と同じ過ちを犯さないように。大好きな綾乃たちにこれ以上迷惑をかけないように。

 そうしてまた、空元気を出していつもの学校でぽつんと一人、気丈に振る舞っているフリをすればいい。

 ──それでも。それが最善だと、わかっていても。

 

「……でも、悔しい……わたし、悔しいよ、一条さん……! どうして、皆みたいになれないの……? どうして、一条さんみたいに格好良くなれないの……!? わたし、歩けたら、それで……よかった、のに、よかったはずなのに、ぃ……っ……!」

 

 悔しい。そして、悲しい。

 それはいつか、自分が後輩や先輩から問いかけられてきた時に、彼女たちが抱いていた感情と同じものだった。

 今までは敗北を知らなかったから。そして、誰かの役に立たなければいけないという過去に押しつぶされそうになっていたから。その二つが自分の中でぐちゃぐちゃに絡み合っていたからこそ、優奈はもがき、悶え、苦しんでいたのだ。

 突きつけられた真実に、そして曝け出された硝子の心に深く刻まれた傷に、綾乃もまた優奈と同じく涙を零しながら、ひし、と、その細い身体を抱きしめて、嗚咽を喉から漏らしていた。

 

「……いちじょう、さん……?」

「……ごめんなさい……ごめんね、優奈……私、貴女のこと、全然知らないのに、友達面してて……ごめんね……」

 

 降り頻る雨に濡れるのも厭わずに、綾乃はただ触れた痛みの重さに、なぞった傷の深さに贖罪をするかのように涙を流して、優奈の今にも消えてしまいそうな華奢な身体を抱きしめる。

 この世につなぎとめるかのように、そして涙で、溢れ続ける色のない血を雪ぐかのように。

 

「……嫌いに、なりましたよね……わたしなんて……」

「……言ったじゃない、私は……優奈が大好きよ……どんな優奈であっても、どんな過去があったとしても……だって、優奈は……優奈は、私の初めての、友達なんだもん……」

「いちじょう、さ……ん……」

 

 弱くて、脆くて、本当は元気なんかじゃなくて、いつだって涙を堪えて生きてきたような優奈のことが。

 そう言葉を続けて、綾乃は優奈の輪郭をそっとなぞった。

 ようやく曝け出してくれた本当の優奈を全て受け止めるにはまだ時間がかかるかもしれない。

 だとしても、ここから進んでいけばいい。その一歩がどんなに重くても、どんなに苦しいものだとしても。

 綾乃は、優奈は、降りしきる雨の中で互いの温度を確かめるように、互いの輪郭をなぞるかのように、そして世界から消えてしまわないようにと、その身体を抱き寄せあって、その瞳から透き通った、色のない血液を流し続ける。

 ──ありがとう。

 その言葉を紡いだのは、綾乃が先だったのか、優奈が先だったのかはわからない。

 それでも、きっと──どっちだって良かったのだ。

 身体を打ち据えるような土砂降りの中で、涙と共に綾乃と優奈は、雨が止むまで、そして零れ落ちる涙が雪がれるまで頬を擦り寄せて、そこにある想いを──きっと、友情から半歩だけ先に進んだその想いを結び合うかのように、抱き合い続けるのだった。




雨が降るとどうなる 知らんのか、地が固まる
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