ガンダムビルドダイバーズ ブレイヴガールフラグメント   作:守次 奏

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第一部が完結したので初投稿です。


幕間:「ヴァルガより愛を込めて?」

【ここは地獄の】ハードコアディメンション・ヴァルガ総合スレpart501【三丁目】

 

1:以下、名無しのダイバーがお送りします

ここはGBNにおける超上級者向け、無制限のフリーバトル区域、ハードコアディメンション・ヴァルガに関しての雑談スレッドです。ヴァルガ構築、クリエイトミッション攻略に関する相談はビルドスレ、クリエイトミッションスレでお願いします。

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◇◆◇

 

 

 

231.以下、名無しのダイバーがお送りします

ぬわ疲

 

232.以下、名無しのダイバーがお送りします

やめたくなりますよー苦行

 

233.以下、名無しのダイバーがお送りします

そうか、じゃあまた明日ヴァルガでな

 

234.以下、名無しのダイバーがお送りします

二度とやらんわこんなクソゲーって毎回思ってんのに気付けば修復終わり次第ログインしてるんだよなあ……

 

235.以下、名無しのダイバーがお送りします

依存症では?

 

236.以下、名無しのダイバーがお送りします

ヴァルガ依存症とか洒落にならないんだよなあ

 

237.以下、名無しのダイバーがお送りします

つってもポイント効率良く稼げるようになったらここより旨い狩場とか中々見つかんねえからなあ

 

238.以下、名無しのダイバーがお送りします

バトランダムミッションは格下に当たると不味いし格上に当たると勝てないしでそうなりゃもうヴァルガで戦略兵器ぶっぱして満足するしかないからな、シャフランダム? 却下だ却下!

 

239.以下、名無しのダイバーがお送りします

お前ら精神状態おかしいよ……でもシャフランダムは俺もやりたくない

 

240.以下、名無しのダイバーがお送りします

数多のヴァルガ民をもして真のクソゲーだと恐れられるシャフランダム

 

241.以下、名無しのダイバーがお送りします

あんまりにも闇鍋が過ぎるから固定組んで参加しろって時点でハードルが高すぎる

 

242.以下、名無しのダイバーがお送りします

フォースメンバーとか……いらっしゃらないんですか?

 

243.以下、名無しのダイバーがお送りします

>>242

その術は俺に効く

 

244.以下、名無しのダイバーがお送りします

>>242

そんな奴らがいたらこんな場所潜ってないんだよなあ

 

245.以下、名無しのダイバーがお送りします

実際ソロでダイバーランク上げるとなるとここ除けばレイド戦の単独討伐ボーナスとか稼ぐしかないからなあ……ソロ専には辛いゲームだぜ

 

246.以下、名無しのダイバーがお送りします

でもソロ専のFOEさんは個人ランク14位のSSSランだぜ?

 

247.以下、名無しのダイバーがお送りします

>>246

俺らとメジャーリーガーは同じ人間だからメジャーのマウンドに俺らも立てるかもしれないみたいな話はやめろ

 

248.以下、名無しのダイバーがお送りします

>>246

一部の例外を参考記録として出されても参考にならない定期

 

249.以下、名無しのダイバーがお送りします

FOEさん他のランカーと比べて話題には上がらんけど十分あたおかだからな

 

250.以下、名無しのダイバーがお送りします

他のランカーのキャラが濃すぎるんだよ

 

251.以下、名無しのダイバーがお送りします

ヴァルガで見かけるだけでも二桁最後の壁にしてのじゃ口調で喋るテンコ様になんか知らんけど遭遇したらFOEさんですら勝てるか怪しいおっぱいがでかい野生のレイドボスさんに獄炎のオーガに……あとたまにチャンプと「ビルドダイバーズのリク」も来るか

 

252.以下、名無しのダイバーがお送りします

相変わらず名前挙げるだけでも胃もたれしそうな面子だな

 

253.以下、名無しのダイバーがお送りします

まあ俺らが一番被害被ってるのがFOEさんって時点で俺らの大敵はあの人だけどな

 

254.以下、名無しのダイバーがお送りします

巻き添え事故みたいなもんだから諦めろ、この前ミラコロ使って背後から天誅しようとしたらソードビットで串刺しにされたわ

 

255.以下、名無しのダイバーがお送りします

ここはこの世の地獄か何か?

 

256.以下、名無しのダイバーがお送りします

そうだよ(肯定)

 

257.以下、名無しのダイバーがお送りします

話変わるけどまたログイン一日目でヴァルガを生き延びた奴が現れたってマ?

 

258.以下、名無しのダイバーがお送りします

ログイン一日目(GPD数万戦勝率8割)定期

 

259.以下、名無しのダイバーがお送りします

マジの新人ならあのリビルドガールズの似非アイドル以来か

 

260.以下、名無しのダイバーがお送りします

初心者がまずヴァルガに行くのはよっぽどの狂人か騙されたかの二択だからなー、後者だったらガチ初心者かもしれん

 

261.以下、名無しのダイバーがお送りします

>>259

(´・ω・`) アイカちゃんいいわよね、包丁でぶっ刺してもらいたいわ

 

262.以下、名無しのダイバーがお送りします

>>261

お前ヴァルガスレにもいるのかよ、出荷な

 

263.以下、名無しのダイバーがお送りします

(´・ω・`) そんなー

 

264.以下、名無しのダイバーがお送りします

アイカちゃんに刺してもらいたいって言動だけで特定されてんの草

 

265.以下、名無しのダイバーがお送りします

あの子も随分立派になって……

 

266.以下、名無しのダイバーがお送りします

それでなんの話だっけ

 

267.以下、名無しのダイバーがお送りします

ログイン初日で生還した新人がいるって話

 

268.以下、名無しのダイバーがお送りします

マジかよ、って思ったけどモヒカン共相手になんか大立ち回りしてたのはいたな

 

269.以下、名無しのダイバーがお送りします

>>268

見てたのか、どんなのだったん?

 

270.以下、名無しのダイバーがお送りします

>>269

一機はクロスボーンとV2をミキシングしたやつでもう一機はカミキバーニングとトライバーニングを混ぜたようなやつだった、クロスボーンの方は多分GPD経験者なんじゃねえかな、マントを相手のメインモニターに被せて指示妨害してる間にモヒカン共をなます斬りにしてた

 

271.以下、名無しのダイバーがお送りします

なんだそりゃ、たまげたなあ

 

272.以下、名無しのダイバーがお送りします

クロスボーンとV2のミキシングかー、GPD時代にいたのはF91にV2っぽいミノドラくっつけた奴だったからそいつのフォロワーなのかな

 

273.以下、名無しのダイバーがお送りします

>>272

言うて組み合わせ的にはそんなおかしくないからGPD勢とも限らんはず

 

274.以下、名無しのダイバーがお送りします

GPDは詳しくわからんけど槍じゃなくてバタフライバスター二刀流だったから多分そいつのフォロワーじゃないと思う

 

275.以下、名無しのダイバーがお送りします

二刀流ってことはもしかしてあの侍のファンだったりすんのかな

 

276.以下、名無しのダイバーがお送りします

すっかりGPD勢扱いで草

 

277.以下、名無しのダイバーがお送りします

実際あのモヒカン共相手に戦えるログイン初日のダイバーとかGPD勢以外になんかおるん?

 

278.以下、名無しのダイバーがお送りします

あのモヒカン共、やってることはみみっちいけど地味に強いからな

 

279.以下、名無しのダイバーがお送りします

モヒカンでなければそこそこいい線いってたものを……

 

280.以下、名無しのダイバーがお送りします

むしろそこそこいい線行ってたからモヒカン堕ちしたんじゃねえかな

 

281.以下、名無しのダイバーがお送りします

ヴァルガに限らずこの手のVRMMOって天才の墓場だからな、なまじ才能がいいやつほど壁に当たってそのまま挫折したって話しは珍しくない

 

282.以下、名無しのダイバーがお送りします

そのクロスボーンとカミキバーニングの子もそうならないように祈ることしか俺らにはできんな

 

283.以下、名無しのダイバーがお送りします

その前にやんなきゃいけないのはダイバーポイント稼ぎだけどな!

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 思えば、私物を誰かに預けたのはこれが初めてだった。

 ベッドの上に寝転んで、無事かどうかはともかく、デビュー戦を飾ることができたクロスボーンガンダムXPをその手に掲げながら、綾乃は優奈のあの、木漏れ日のような笑顔を思い返す。

 どうしてマフラーを貸そうと思ったのか、どうして、出会ったばかりの優奈と明日の約束を交わそうと思ったのか、考えても考えても答えは出てこないけれど、それはどこか懐かしい感覚を綾乃の中に呼び覚まし、あたたかな真綿で心臓をゆるく締め付けられているような感覚を与えるのだ。

 初めてのGBNで出会ったのは剣豪じゃなかった。

 綾乃はおもむろに立ち上がると、手に持っていたクロスボーンガンダムXPを、今までそうしていたように机の上へと置いた。

 今までは格好いいと思ったポーズを取らせていたけれど、今はどこか寛いでいるように足を投げ出させて、まるで明日の戦いに向けた休息を取っているかのようなポーズで、綾乃は愛機を机に飾る。

 

「……そうね、貴方はきっとコレクションじゃなかった」

 

 自分が諦めて、衰退したなら仕方ないと、あのサムライがいなくなってしまったから仕方ないと言い訳をつけて、ずっと机の上に押し込めていたけれど、それでもこのクロスボーンガンダムXPは、自分が憧れの舞台で戦うために心血を注いで作り上げたガンプラだ。

 その舞台は現実ではなく、仮想の世界へと移ってしまったけれど、中々どうしてあのGBNという世界で戦うのも、そんなに悪くはない。

 綾乃はそんな風情に、まだ操縦桿を握っていた感覚の残滓がある掌を見つめる。

 ガンプラは、原則的に喋ることはない。

 だからこそ、綾乃が呟いた言葉は一方的なものだ。

 そしてそれは、現実でもそう変わらなかったのだと、そう思う。

 中学時代、いつだって綾乃は上の空で、諦めたような態度を取りながらも失った憧れに想いを馳せていた。

 だからこそ、期待されて入った剣道部で芳しくない成績を残して終わってしまったことを祖父は怒っていたし、何よりも同じ部活の仲間たちが、自分をどこか冷ややかな目で見るようになっていったのだろう。

 いつだって、相手に対して真剣に何かを届けようとしてこなかったから。

 そんな自分が今──少なくとも、何らかの行動という形で、自らの意思で誰かに何かを託しているという事実には、他でもない綾乃当人が驚いている。

 

「……どうしてなのかしらね」

 

 どうして、優奈なのだろう。

 脳裏にフラッシュバックする底抜けに明るい笑顔と、過剰なまでにお人好しな所作を思い返しながら綾乃はその答えを探ろうと手を伸ばしても、それは空を切るばかりで、どこかに届くことはない。

 こんこんこん、と、自室の扉が三度ノックされる音が響いたのは、ちょうどそんな時のことだった。

 

『邪魔するぞ、綾乃』

「与一兄様? 大丈夫です、入ってください」

「すまないな、こんな夜分遅くに」

「いえ……寝るにはまだ早いですから」

 

 扉を叩いた当人である与一は、部屋に踏み込むことはなく、扉の前で直立して、綾乃の机に置いてあるクロスボーンガンダムXPと、その傍に鎮座している六角形の物体ことダイバーギアを一瞥すると、どこか満足げに頷いてみせる。

 

「GBNは、楽しかったか」

「はい、与一兄様」

「ははは! それは何よりだ。おれはこの手の話にあまり詳しくはないが、お前の望む剣豪たちに出会えたのならばそれは喜ばしいことなのだろう!」

 

 豪快に与一は笑っていたが、綾乃があの世界で出会ったのは剣豪どころか世紀末じみた奇声を上げるモヒカンと、初心者を騙して狩ることを喜びとしているような不逞の輩と、そして底抜けに明るくて、お人好しで、アホの子で──だけどどこか放っておけない、そんな少女だけだった。

 

「いえ、兄様。剣豪にはまだ会えませんでした」

「む? そうか……ならばどうしてそのように、嬉しそうな顔をしている?」

 

 与一に指摘されて初めて、綾乃は自分が表情を綻ばせていたことに気付く。

 確かに頬は緩んでいて、そして自覚したせいか或いは最初からそうだったことに気付いていなかったのか、ぼうっと熱を帯びていて。

 

「……確かに剣豪たちには出会えませんでしたが、その代わり……友と呼べるような存在と、出会いました」

 

 ──ああ。

 きっとその感覚に、最初から自分は気付いていたのだろう。

 言葉だけが先に走って、置き去りにされた意識はタイムラグを経てその事実へと辿り着く。

 自分は優奈に、きっと友情を感じていたのだろう。

 友情と、その先にある友達という関係。それは久しく綾乃にとっては縁がなかったもので、だからこそ記憶の奥深くにそれは埋没していて。

 どこか意外そうに首を傾げると、納得がいったかのように与一は再び満面に豪快な笑みを浮かべて、ぽん、と綾乃の頭に手を置いてみせる。

 

「そうか、そうか! 友か、そう呼べる存在に出会えたのならば、これ以上の幸せも中々あるまい!」

「……ええ、与一兄様。私は……」

「うむ、おれがこれ以上とやかく言うのも野暮な話だからな。心ゆくまでGBNを……あの世界を楽しむといい。少し遅れたかもしれないが、あれは入学祝いも兼ねておってな」

 

 日々精進、励むのだぞ、綾乃。

 そう言い残すと、与一は掌の温もりだけを頭上に残して、踵を返して去っていった。

 時代錯誤な、というのは辛辣だとしても和服に袴という、祖父の影響を強く受けて侍じみた格好をしている兄を綾乃はどこか苦手に思っているところも正直にいえばあるのだが、それでも嫌いにならないのが、兄妹の縁というものなのだろう。

 他人にそうされていたなら間違いなく睨み付けていた頭の温もりを確かめるようにそっとなぞると、ふぅ、と、小さく綾乃は溜息をつく。

 GBN。まだ足の小指をつけた程度にしか潜っていなくとも、その奥深さは底知れない電脳の海。

 そんな深淵にも似た場所で、友達と呼べるような存在と出会える確率はきっと、何万個のサイコロを振ってようやく辿り着けるような、たしかしたらそれ以上にかかるような、途方もない奇跡なのかもしれない。

 スマートフォンを起動して、天気予報のアプリを起動してみれば、明日の天気は曇り時々晴れとどこか冴えないもので、朝の気温はまだ、冬の気配をそこに残していた。

 

「……マフラーを貸したのは、早計だったかしら」

 

 まあ、代わりはあるのだけれど。

 タンスを一瞥して、綾乃は声には出さずにそう呟く。

 それでも明日は、マフラーを巻かないで学校に通おうと、そう思った。

 だって、貸した相手がいるから。きっと、あの子はマフラーを返すために学校に来てくれるはずだから。

 なんて、そんなことはただの思い込みなのかもしれないけれど。

 そんな、淡い約束に想いを馳せて明日という日を待ち望んでいるこの瞬間もどこか懐かしく、そして愛おしい。

 さながら小学校の頃、遠足に行く前の日のように。

 電気を消して布団に潜り込んでも、しばらく睡魔が訪れてくれないのだろうな、と苦笑しながら、綾乃は明日のために、ベッドへとゆっくり、その身を横たえるのだった。




待ち人来ず、奇跡は来たり。
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