ソードアート・オンライン プログレッシブ 四人の進道   作:壊緑茶

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こんにちは前回の投稿から二ヵ月が経過しました。
ここ、転校とか補習校の入校(海外住まいなので)
で超絶多忙でした。

転校はインターナショナルスクール(私立)への転校ですので試験勉強とか馴れとか大変でした、少し落ち着いて来て、やっと完成にこぎつけ、投稿した次第です。

ちょこちょこ書いて、一週間おきとかだったので段々と無理やり感がでてきますが、これからもそうなると思うので、ご了承願います。


四、新しい繋がり

翌、現時点最前線の《ファルベカ》の町周りでレベリングに勤(いそ)しんでいたところ、女性プレイヤーが一人、南東の門をくぐって圏内に入るのを見た。

 

朝っぱらから晴天でお天道様が俺達を睨みつけている。微少に秋を感じる気温に燦燦と降り注ぐ陽はやはり、まだ夏であることを知らせた。

 

横目にチラッと映っただけだったため、年齢までは分からない。

どちらにしても、このデスゲーム宣言後まだ間もないのに関わらず最前線に女性プレイヤーが居ることに物珍しく覚えた。

 

目の前のシカ型モンスターの立派に枝分かれした角は、切迫感を俺に与える。

一瞬逸れた集中を再度シカに返した。

 

 

「さて、このようなことになったのにはどのような背景があったのかな」

ナギナはその女性プレイヤーを直視して、きつく質問する。

薄暗い中、俺達が物体を見れるのは太陽・・・ソルスではなく月と人工物だ。

「えっと・・・とりあえず町に戻りたいです」

———結局、その女性プレイヤーに会うことになった。

 

言葉に俺達は従い、第一に町に戻ることにする。

 

空気中に砂が浮遊し俺達の視界を悪くしていた。

一層は緑が多いものの、多種多様なマップが展開されている。これは、一層がアインクラッドで最も広い面積を持つからだ。

砂漠もその一つだ。そして、ここは砂漠である。

さして「広大」とは呼べないものの、砂漠の外周は盛り上がっていて有るであろう緑が見えない。

 

 

 

———この砂漠の特徴は、一部を除外しモンスターが出ないことだ。

今、どれだけの声量で発狂しようと、敵はポップしない。

サハラ沙(さ)漠(ばく)には基本的に生命が存在しないのだ。それと同じだろう。

 

さっさっと三人の足音が聞こえる。

「あの・・・お名前をお伺いしても宜しいですか?」

突然の問いに俺達は答えた。

「僕はナギナ。その人のパートナー」

素っ気無さが混じる返答をするナギナ。

「その人と言われた人はキリトだ。君は?」

「えっと・・・マツリです」

対し、俺は柔らかく返すと一瞬控えめに、でもはっきりと返事をしてくれた。

 

テキパキ会話が進み、名前は知ることができた。

さっきから会話の最初に「えっと」を付けてくるマツリは、しかし、未だに肩を狭くしている。

ナギナが先程から強く言ったのは、女性プレイヤーがこの砂漠にいることが原因と推測した。

 

一昨昨日(さきおととい)、俺が彼女を見かけた。今はあれから前線は少し進み、南の方を攻略し始めている。

つい先日までは《はじまりの街》から北西に進んでいたが、北西の端近く《ファルベカ》近郊から離れると敵が急に強くなったので、一時、南を開拓しているというところだ。

ただ、一言でのレベルなら《ファルベカ》近郊と同等かそれ以上なので最前線だ。そんなところに女性プレイヤーが一人で居るのは多分———ナギナは怖いのだ。死ぬのが。

ナギナは自分の命が絶対とは言わずとも、安全圏に有ることを理解している。しかし、まだ何も分からないビギナーがここまで前に出て無意味に死ぬのが何よりも怖いのだ。

自分が助けられるのは本当にごく一部のプレイヤーであり、全てを監視することは不可能である。

 

砂漠エリアは《はじまりの街》から更に南下すると広がっている。

ちなみに、はじまりの街は層の中央から少し下。

 

SAOは大半が現実世界に準拠しているのだが、日本の気候以外、つまり熱帯エリアや砂漠エリア、氷雪エリアなど温帯に属さない場合、その限りではないのだ。

又、その層ごとのテーマにそぐわない場合も含まれない。近しい層だと四層だ。

あの層は晴れない、少なくともβでは晴れなかった。

これでは同期しているとは言えないだろう。

 

とにかく、

つまり、熱い。

 

この暑さは45度に迫る気がする。

 

絶えずさっさっと砂を踏むと地面が微少に沈み、俺達の移動速度を落とした。

 

最寄り街ははじまりの街。俺達はそこに向かっている。

現在地は砂漠の端で、層の端でもあるため、距離は2キロといったところだ。せいぜい40分はかかると予想したのだが、その間何も喋らずに歩くのはきつい。気まずい。

 

ナギナの第一印象が悪くなるかもしれないと、必死に頭を捻ってナギナの考えていたのだがサービス開始後一週間しか経過していない今は楽しい経験談はナシ。話題ナシ。

 

まってまってまって・・・

俺、もはや初対面の人と話す技術が1以下なんだけど・・・!

中学二年の頭を必死に捻(ひね)っても、社会人のように「こんにちは。わたくし、何々と申します。どうぞよろしくお願いします。・・昨今は暑くなってきましたねー。これも地球温暖化なのかって気になりますぅ」とは言えない。

 

「君はなぜここにいるの?」

暫くの間が過ぎるとナギナが言った。

「私は別に気にしていません」

「何を?」

「SAOがデスゲームになったことです。普通にありえることだから。・・・ナーヴギアは自分の脳と情報をやりとりしているのに、おかしな信号を送られたとしても自己責任でしょ?私は一応警戒していました。ただ、これを発明したのは《アーガス》だから、油断したのです」

「もともとナーヴギア自体興味さえなかったんですよ。でも知り合いから進められて、どのゲームが良い?と聞かれたとき私は『信用できる会社』のと答えました」

 

アーガスは確かに『信用できる会社』だ。

超が付くほどの大規模な会社ではなくとも、《アーガス》は顧客の信頼と期待は大企業とは全く違う点がある。

 

「そしたらその子は『ソードアート・オンライン』っていうゲームが発売されるんだって言いました」

「その会社は今までも大ヒット作を出して、プレイヤーの意見をよく聞いて、問題点はすぐに直してくれて、すごいんだよ。その新作ゲームだよ。って興奮気味に」

「そうですか、それで君はこのゲームを買ったんだ」

 

・・・そうです。

静かに頷く。

「もうその場の雰囲気で、発売日に並んで買うことが決まりました」

 

「結局、抽選を通ったのか」

俺は半ば反射的に言った。

ナギナは気にすることなくもう一度マツリ問いかける。

「分かったよ、でも僕が訊きたいのはソードアート・オンラインにいることではなくて、君がなぜここまで前に出てきているのか?ですよ」

 

「ああ!そうですね。途中から話が脱線してしまいました。ごめんなさい」

 

「二回目、ですけど私は気にしていないんですよ。SAOがデスゲームになったことは。」

マツリは自身の脚を見つめ、続ける。

「どうしようもないし、街に籠っていてもなにも起こらない。なら折角買ったゲームだし楽しんでしまえ!っていう感じです。」

声のトーンからマツリが微笑んでいることが分かった。

遠くをにぼーっと目を向けていると再びマツリが発した。

 

「それに人間は出来ると思い込めば、予想以上になんでもできるものなんですよ」

化学が証明していますし・・・

語尾に付け足した言葉はナギナに届いているだろう。

 

軽く相槌を打ちながら聞くナギナは終(しま)いに「分かった」と言った。

 

「君は本当に大丈夫?」

 

「はい私は全く問題ありません」

 

「そう、またね。何かあったら僕らでも誰でもいいから助けを呼んでね。後、はい」

ナギナは話の途中高頻度で相槌を打っていたから、もう理解しただろう。

マツリの前にひゅっと浮かんだのはフレンド申請の画面。

了承を押すとウインドウは上下方向から瞬時に消滅した。

「・・後これからは丁寧語やめますね。私普段はこんな喋り方ではないですし」

「こっちこそ、最初キレていたせいでいつもより幾分落ち着いて話せたよ」

ナギナはキレていた(?)ことを何もなかったように暴露し、さようならと言った。

「幽霊くんもバイバイ」

マツリは俺達とは異なる場所を目指しているようだ。

 

足音が俺達とは45°反対の方向に向かうのが聞こえなくなると、偶然ながらマップが砂漠から緑地帯へと変化した。

「はああああああぁぁ」

ナギナは直後、大大ため息をつく。

「どうした?」

「僕、自分が怒ると別人格になることを発見した・・・」

「同意する。なんというかここ数日のナギナは女子感溢れていたけどさっきは、イケメン男子だった。うん」

即答で本音を口にした。

本当に昨日まではオカマオーラ放射していたけれど、イケメンオーラに先刻、急に変わるのは驚く。

 

「後さナギナ、なんでお前は女性プレイヤーが攻略するなって言うの?」

ナギナの行動は女性プレイヤーへの差別でもある。はっきりとは伝えていなかったけれど、彼は危ないから来るなと暗示しているのだ。

もう会話の中でも結論は付けているが本人の言葉で知りたい。

「怖いじゃん。誰かが今死んでいるかもしれないというのは。君は数日前に無視しろと言ったけど僕はそれでも無視できない」

そうか・・

俺は数日前、はじまりの街で初心者は無視しろと言ったが、彼には関係あるようだ。

「ナギナは怖くないのか?」

これはまだ一度も訊いていない。

前々から人の心配ばかりしていて、自分自身が怖いと言ったことはない。

 

・・・・・怖くないかな。

隠しているとかじゃなくてさ。

彼は地面に咲いている花に囁きかけるように言う。

 

「僕は今キリトが普通の人間でいることが嬉しいから、それで頭が埋め尽くされているんだ」

 

・・・?

 

俺が普通の人間であることが嬉しい?

ナギナは初日に会ったときもそう言った。

俺は現実でも学校以外では引き籠もりなところを除いて、一般人だ。何の病気も患っていなく、精神病でもない。

 

疑問に思った俺は直後に訊く。

「その治ったって何?昔俺はおかしかったか?」

 

「・・・・うん。結構おかしかった」

間を空けた返事は、理解できなかった。

 

「いいよもう。その話はいつか教えるよ」

 

俺の心に少し曇が残る。

よく分からない。

記憶の中に俺がおかしかったなんて知らない。

思い出せない。

いや、思い出せないとかではなくて、完全にそんな記憶さえ無い気がする。

 

冴えない顔で悩んでいても、やはり何も分からなかった。

 

 

空に星が浮かぶ頃、未だに頭の靄(もや)は消え失せてくれない。

疑問を無くすことなんて重視するべきではないが、俺はSAOでなぜかお目当ての品がないとか、中学校で数少ない知り合いとの決裂なんかよりも、一層これを解消したいと考えた。

 

 

翌日の夜十時、消灯。

残念ながらベッドとは呼べないベッドに転がって、睡魔と戦っている。

SAOでは、現実では考えられないほど規則正しい生活を送っていた。

 

まれに夜更かしもあるがSAOでの二週間、十時から十一時に寝て、六時から七時に起きている。

理由は単純だ。

人間は疲労すれば眠くなる。

眠りを阻害する物と無縁であるならば、本来人間が寝るべき時間に寝られるようになる。

 

疲労は60%戦闘で、40%は常に死を意識しているところからきているのだ。

 

眠りを阻害する物は、スマホ、パソコン、家庭用ゲーム機である。

一切の電子機器と離れていると、もはや使う気も起こらなくなってくるのだ。

ブルーライトは太陽光と同じらしく、今は昼だ、日中だ、活動だ。

と浴びれば浴びるほど瞼が下がらなくなるが、触れもしない、見もしなければ疲労が蓄積すれば眠くなる。

 

そのダブルパンチで眠い。

 

ふぁ~・・・

 

現在、昨日のナギナの俺はおかしかった論について考えているが、もう負けた。寝る。

 

☆   ☆   ☆

 

その後の三日間はあっという間だった。

そして次に印象に残るとすれば多分今日だろう。

 

「あ、おはよう」

「おはようございます、五日ぶり?ぐらいですね」

それは、再びマツリに会ったことだ。

彼女は、前の様なあたふたした話し方ではなく、彼女は非常に落ち着いた印象で話しかけてきた。

 

はじまりの街の悲鳴は聞こえなくなったため、俺達はフィールドにいるときの声量で話し始める。

「どうだった?」

マツリは気さくに尋ねた。

「どうだった?なんて僕が訊きたいよ。僕は君をフィールドに出すのが嫌なのに」

「そうだね。問題なかったよ。私はレベルも順調に上がって熟練度も上がって、単純な経験も沢山詰んだからね。ナギナが心配することはないよ」

 

やはり気さくに話すマツリはあの時、緊張していたのかもしれない。五日前はナギナとも呼んでなかった。喋り方も控えめだった。が、今話しかけるマツリは少しお淑やかで、無駄な壁もない。

もう何度も聞く石畳の音は、俺達の話のメトロノームのようだ。

 

「それはレベルが順調に上がるような敵と戦っていたということ?」

「いや、勿論安全をキッチリ考慮してたよ。あなた達の方が無茶しそうだけど。特にその幽霊君。雰囲気から」

 

いつの日か読んだラノベで雰囲気薄い人が幽霊君と呼ばれていたときの否定を、そっくりそのまま真似した。

「いや~マツリさんひどいなあ幽霊だなんて」

「ふふふふ、意外。あなた話題に何も入って来なかったからもっと陰気で、でも実は凄いゲーム上手なオタクだと思っていた」

 

ウケは良かったようだ。

しかし俺の想像が想像より酷く、この人本当は笑いながら恐ろしいこと考えているんじゃないか。と思った。

 

適当に頷けば、間もなく話題転換した。

「あとマツリさん、幽霊君って可哀そうだからちゃんと名前で呼んであげて」

「そうしたいところなんだけど生憎(あいにく)、記憶力が乏しくて」

それは忘れたということだろう。

「・・・・じゃあ、改めてこの人はキリトです」

 

 

俺達は座りながらお喋りをしていた。

「君って今どれくらい強い?」

レベルをそのまま訊くのには気が引けたので、濁らせて質問した。

 

「わざわざ誤魔化さなくてもいいよ。レベルのことでしょ?私はレベル5だよ。」

 

私「は」というあたり、俺達の「は」も必要そうだ。

 

「俺は6。ナギナも同じだろ?」

「うん。いつもこの人とペアだから変わらないよ」

 

一週間足らずでこのレベルだ。結構がんばった方なのだろう。

 

突然、マツリは口を開いた。

「βテストの時、この層のボスどれぐらいのレベルで倒したの?」

 

「・・・皆6とか7だったな。レベルだけで見るならもう数日で達成できる」

 

前回、一層は十日で攻略した。

しかし、この状況を考察するに今回、正式サービスでは無理だろう。

 

「あの時は何度も挑んで何度も死んだから攻略できたんだ。あのレベルでも。誰も死ねないし、死ぬという恐怖からも、13とか14最低でも10は必要なんじゃないかな」

 

うん。

マツリは暗い顔で囁く。

たいへんだね。

 

「キリトは一層の攻略どれくらいかかると思う?」

 

「・・・正直、分からない」

《はじまりの街》のカフェ(らしきもの)で話している俺達は、はじまりの街商業区に居る。一層の加えてこの街では二層、三層、など上層には劣れど、かりにも主街区だ。

デザートの一つはある。

 

俯きながら黒い網目の様な、お洒落なテーブルを見た。

何もかもが本物そっくり。

火の表現などは現実と異なれど、椅子、机、家、動物、金属のつや、反射、物体は全くの違和感を感じさせない。

 

物理エンジンも精密に計算されており、物が落ちる速さ、剣を交えたときの反動。その他遠心力なども込み込みで、本当にこの世界にいるようである。

・・この世界がいつか現実になってしまうのだろうか。

 

マツリが手を首に当て頰杖なる首杖をし、横を見る。

 

彼女は唐突に提案してきた。

「パーティー組まない?」

 

急だね。

隣に座っている少年が即座に返すと、マツリは早速パーティー申請をした。

「はい。有言実行!」

 

「有言実行って、まだ僕らOKって言ってないよ」

「・・・別にナギナ達には不利益じゃないでしょ。それに一層の攻略までどれくらいかかるか分からないと言ったのはキリトでしょ」

 

それと何が関係あるのかとツッコミたくなった。

なぜ?なぜ攻略進度が関係するの?

 

「なぜ君は僕らとパーティーを組みたいの?」

どうやらナギナに先越されたようである。

 

パーティーは基本的にメリットしかない。

訂正。基本的にではなく絶対的にだ。

パーティーを組んで一切の損は存在しない。

 

コルは人数で割られ、経験値はそのキルにどれだけ貢献したかで分配される。

二人になり、コルが半分になろうが、効率は二倍、安全性は二倍。連携が上手くいけば効率も安全性も比較のしようがないほど高く、メリットがあるのだ。

 

俺は今ナギナとコンビを組み、システム的にパーティー扱いになる。パーティーになればそのメンバーのHPバーなどが視界左端に表示され、頭ではなく眼球を向けることで確認できる。

 

確かにパーティーを組む意味は十分に理解できるが、最も分からないのが、その理由だ。

 

それを知るべく俺は尋ねた。

「パーティー組む上でのメリットは分かるが、君はなぜ俺達とパーティーを組む必要があるのか教えてくれないか」

 

「それは・・・・」

 

「なぜ僕らなのか。僕たちはその君の個人的な理由を知りたい」

 

ここまで俺達がマツリを責めるように問い質(ただ)すのには当然訳がある。

 

マツリは俺達の態度の急変に戸惑っていた。

彼女は一緒にパーティーを組もうと誘っただけで、「有言実行」と言ったのもマツリなりの誘い方だと知っている。

 

なぜかよく分からない。

愕然とした表情で、さっきから何も変わっていなかった。

 

なぜ問い質すのか?

それはマツリを疑っているからではなく俺達の二日前、今後の方針について腹を固めたことに関係を持つ。

 

理由は情報、βのときの攻略情報が役に立たなくなったからである。

モンスターが強くなったのは共通の認識だったが、ここ最近段々と戦闘スタイルや弱点が変異してきた。

 

まだSAO開始から一週間と少し。この時点での決断は少々早く、パラメータやプログラムが更新されたのはたまたまだったのかもしれない。

 

でも確かに二日前俺達はダンジョンでプレイヤーが死ぬのを見た。

彼はここ数日で急激に力をつけ、一部の人では知られた存在であったのである。

 

彼曰(いわ)く、鼠の書いた攻略本を参考に、暗記するほど読んでいたそうだ。

でも彼がこのゲームから永久退場した原因は攻略本に頼り過ぎて、咄嗟の判断を誤ったことである。

 

本には危険なポイント、危機的状態に陥ってしまったときの対処法までは書いてあったが、もし敵が変異していれば本は頼りにならず、自らの判断が重要だった。

 

彼は攻略本通りに進んで効率的に狩れたその反面、敵の攻撃方法、特殊攻撃を受ける前に倒していた。

昨日、俺達が彼のいたダンジョンに行くと、段々と進むにつれ変化が著しくなっていた。

 

途中で撤退したから最後までは踏破していないが、本当にβとは打って変っている。

 

急激に強くなった彼は少し思い上がっていたのだと思う。攻略本があるから大丈夫。それに直近、全く問題がなかったから大丈夫。と。

 

これがパーティーと関与しているのは、不必要な人々との接触と、「俺達」の情報収集が遅れることだ。自分たちが攻略の前線を担っていることは知っている。

だから俺達と組んだ誰かが、いずれ自分はもう大丈夫と思って独りでに攻略するのは避けたい。

 

第三者からしたら大した問題ではないかもしれないが、鼠に情報提供したのは俺だ。

繰り返したくない。

「繰り返したくない」これはもしかしたら、自分が死に関することが怖いだけなのかもしれないのかとも思った。

 

この件は二つ目の情報収集に影響し、ここから俺とナギナ二人で鼠、アルゴに正確の情報を提供しよう、となったのである。

 

だから・・・

「だからやだとかじゃなくて無理。俺は君と組むことができない」

 

事実関係を明らかに説明し、俺は完全に切り離した。

 




誤字脱字方向よろしくお願い致します。
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