ソードアート・オンライン プログレッシブ 四人の進道   作:壊緑茶

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いやー長くなりましたねー
ここ最近コロナのせいで、せいで時間が飛ぶように過ぎてくんですねーほんとにつまらないですね、オンラインというのは。

とはいえ私の居る国もそろそろ規制緩和が・・・明日は友達というかクラスメイトといかまだ微妙ですけどプールに行く約束をしたりしています。幸い、趣味の同じ日本人がいてよかったです。
どうぞ


それではどうぞ。


五、命取りのスライム

「なんか不思議な感じ。なんであんなに避ける必要があったのかな、って今になって思った」

首をひねるナギナに対して、あれから何度も考えている「マツリが俺達を誘った訳」について俺は頭をひねっていた。

 

フィールドに足を運ぶのが日常になってきた今、歩きながら雑談をするのは当たり前になっている。例えばモンスターの話。クエストの話。プレイヤー関係。

まるで中高生が放課中にするゲームの話のように。

 

☆  ☆  ☆

 

「さてナギナ、今日の予定は覚えてる?」

予定というより目標に近い今日の予定は普通の攻略だ。攻略以外ないような気もするけど、他にもレベリング、熟練度上げ、厳選がある。攻略していれば自然に手に入ることではあるが、おいしい狩場は暫く留まりたいのだ。

今日は攻略であり、それは次のステップに進み、一層のボスに近づくことを意味する。

 

「うん・・・・進捗はまあまあだね。若干遅れているかな?」

たかがゲームなのに大雑把に将来像を決めるのは、デスゲームだからだろう。

これからどんなことが起きるなんて誰も予測できないけど、それでも俺達は闇雲に合ったって砕けないといけない。砕けるが死んだとしても一生ここにいるのは道徳的に良くない。

 

茅場は大病院に移された安全は保障された。と確かに言ったけど本来現実世界で生きる、未来のある若者が一万人もゲームにいるのは異常だ。そしてゲーム依存ではなく、誰かの手によって行われている事が問題である。

 

「ああ、目標ではここらへんまでマッピングするはずだったからな」

ウインドウを出し、マップから白く(もや)がかかっているところを指で指した。

 

一層ぐらいはマップを完璧に記憶している。ここには湖が在り、小魚なモンスターが、ボケモンのハゼキング的なのがポップしていた。

 

ウインドウを消すと、ナギナは前方方向に小走りしだす。

「キリトーあそこちょっとキラキラしていない?」

・・・どいうことだろうか?

ナギナに釣られて地面を強く蹴り彼に追い付くと、何かに反射した何かがキラキラと輝いていた。

 

———水だ。

 

日光が反射して閃く水面は広く、これが湖であることを知らせる。

 

しかしふと疑問に思った。湖はもう少し先にある筈だ。先刻、ナギナと見たマップで自分のカーソルとマッピング済みの地形から推測した湖の位置からは少し近い。

まあ気にかけることはない。この僅かな期間の攻略でも地形の変更は幾つか発見したからだ。

 

ナギナは土が盛り上がっている場所から湖を眺め、綺麗だよと言う。

同時に俺もそこに行くと、圧巻な風景が待っていた。

驚くばかりである。光の反射や水の屈折も現実と見分けがつかないものになっていた。

 

「すごいな。前の農場の景色もだったけど、これ凄いってなることが増えた気がする」

何度も感動していたらキリがないけど美しい景色に会ったら、素直に何度でも楽しみたい。

 

「よし!行こうぜ。さっさと今を終わらせよう」

―――分かった。

ナギナの快い応答に張り切って駆け始めた。

 

 

スパ!

気持ちよく斬れる魚は戦っていて爽快感がある。

レベル5の雑魚モンスター、愛称雑魚キングはレベル6のソードマン二人にスパスパ斬られていた。

 

この池の周りは結構人気な釣りスポットで、同じく戦っている(?)NPCも居れば、釣りをする人もいる。

 

 

ざくざく砂利の音が聞こえる。ギィィィンと剣の音が聞こえる。水滴が落ちる音が聞こえる。

そして、

「これ、著作権大丈夫かな?」

「だよな、この《キングオブカラシアス》とかなんの捻りもない、英語をローマ字にした「フナ科の王様」なんだよ」

 

ボケモンのフナキングが少し英語らしくなっただけで、大概は同じだ。

見た目も名前もそっくりなのに訴えられないのは単に、ボケモンと提携しているからである。

これからも雑魚モンスターには時折、ん?というのが存在していた。

当然、大部分がオリジナルだが、製作者の一人にボケモンファンが居るようで、目がほんの少し飛び出るぐらいのお金をボケモングループに払っている。

 

「こんだけ斬れると気持ちいいね!」

笑顔で魚斬る姿は見ていて面白い。

 

その場はさっさと片付け、そこら辺で釣りをしているNPCに話しかけた。

 

中年のおじさん的顔立ちの彼は、聞きやすい声を持っていて、もしろ少し高め。

「すみません。お腹が空いてて、ここに住んでいる魚を釣りたいのですが、どうすればいいでしょうか?」

 

ピコン。

音は小さく、彼の頭上にはお馴染みの感嘆符が浮かぶ。

「そうですか。僕も未だ初心なもので教えられることは限られていますが、是非是非」

・・・やっぱいいと返したくなるのは俺だけだろうか。

 

クエストが開始された。川でいう河原をゆっくりとしたペースで歩く。ここから行く処は徒歩だと時間がかかる。

そしてその時間は、彼と話すためにあるのだ。もうクエストは始まっている。

少しでも多くの情報を手に入れるため俺と彼は積極的に言い交した。

 

「まず、釣竿を買わなければいけないですよね。餌も、針も、糸も」

はいと生きの良い返事をする。

「次は、釣堀でしょう。先程の池もいいですが、僕はもっとおいしい場所を知っています。付いて来てください」

 

付いていくなんて、分かり切ったことだが意外とこのおっちゃん、運動神経に恵まれているのでガタガタした地形でも容赦なく連れていく。

 

なぜここではゆっくり歩くのかと聞いたところ、転ぶのが怖い。だそうだ。

 

木が生い茂って、岩石級の岩がゴロゴロしている林ではびゅんびゅん進むが、不思議なことである。

 

「どれぐらい釣りしているのですか」

と、唐突に訊くと彼は、18ぐらいで熱中して、かれこれ27年経ったと言った。

 

ひとまず、どこが初心やねーんとツッコミたくなった。

 

ということは45歳だ。そして人生の半分以上を釣りに捧げるのはなぜかと訊くと、なぜかなと言った。

理解し難いが、要するになんとなく好きなのだろう。

そろそろアクロバチックな地形になった。

 

あのおじさん曰く、ここは若い子供達の遊び場だったそうだ。

この城が大地から切り離されたことで魔法は消え、そのような文化も色褪せたのである。

 

おじさんは浮遊城になった後に生まれたので、こんな穴場を知っているのは理由があると思った。

 

そして俺はこのクエを鮮明に覚えている。

元々現実世界より軽いこの身でいずれ、ジャンプやステップを数倍、数十倍に強くすることができる。

残念なことに今は倍もないが。

 

ふんだんに跳躍すれば、風切音が聞こえるほどだ。

奥に進むと植物もより多く、所謂(いわゆる)「草木が生い茂っている」環境になり、踏みつける石はコケが生えている。

 

俺はバランスをくずした。

「おっと!」

石と靴は互いの摩擦でスルッと音が出た直後、・・・ギリギリ落ちなかった。

「危ない・・」

この高さから落ちたからといって現実でもこのアバターも死なないが、脳に潜む本能のせいで危機感を抱かざるを得ない。

 

立ち直るまでの時間ですぐ後ろで走っていたナギナに抜かれた。

 

また止まってフウと息を吐き、数メートル離れた距離を再び戻す。

 

 

「ナギナー!・・・右行くかー?左行くかー?」

「・・・・急になに?」

ナギナが受け答えに応じるために走り終えるとおじさんも止まる。

「あれ?」

「大丈夫。ここは選択式だから。」

獣道が左右に分かれていた。

「ここはどっちかを選択して行く。・・・何があるかはお楽しみ」

・・・お楽しみと言っても結局目的地は釣堀(つりぼり)で、本当はこの分かれ道、二つとも全く同じだ。

少しは遊び心あってもいいよね。ぐらいの意味である。

「君達、どっちから行く?」

おじさんは竿を肩にかけ、問うた。

 

 

「キリト。この道実は両方とも同じでしょ、キリトの遊び心でしょ」

予想はしていたが図星を指されるとグキっとくる。

「ま、まあな、まあそんなこともあるさ」

 

ちなみにおじさんが訊いたのも冒険感を出したい製作陣の気遣いだ。

ちょこちょこ、後になって「あれ何の意味あったん?」らしき展開があり、全て製作陣の冒険感出したいチームの案である。

要るか要らないかは個々人の考え方に委ねられ、俺はそれなりに満足だ。

「製作陣の遊び心に乗る遊び心も必要さ。あと何か月かかるこのSAOにいるのか分からないし」

そんなことを話していると目的に着いた。

 

またまたデカい池だ。しかし水の汚れ度合を表す指標、BODの場合、約4の汚れている、であり、ドブ池ではないがこの美しい自然の中の池にはそぐわない。

 

尤もβのときも無色透明だったわけではないが、俺の覚える限りの池より汚い。

前はこの到着後時間を待たずに釣りクエストが始まったがさて、この池に魚は居るのだろうか。

急におじさんは実はな・・・と始め、この池の難事について俺達に教えた。

 

要約するとヘドロを吐き出すモンスターが最近この森をうろついており、この池がそのヘドロ被害に遭った、だ。

又そのモンスターを殺してほしいと依頼を受けついでにモンスターの弱点を下(く)れた。

 

無論弱点と言ったわけではない。おじさんは「あの悪魔の核心を突けば奴は一瞬で狼狽(うろた)える」とSAOにありしき言い方で俺達に伝えた。核というのは中心とか最も重要な部分なので心臓のことだろう。

 

おじさんの言う『ヘドロモンスター』なるものに実のところ、一層で会ったことはない。

未対敵のモンスターと戦うのはデスゲームと化したSAOでは怖い。

あれだけ必死に戦っていた数ヵ月前、死んでもリスポーンできた数ヵ月前を思い出すとどうしても腕に迷いが生じる。

今は復活できない。だからあの時のような「挑戦的な戦闘」で幾度も死んだことを考えると、この状況で行うのは危険なんじゃないか、と思う。

 

数刻後、木々の中で目標を発見した。

鞘から剣を取り出す。スーという金属摩擦音が鳴り、少しばかり戦闘モードにさせる。

 

同時にいつもと違う感覚が体を襲った。恐怖?

 

ナギナが隣にいてコンビを組んでいる現況を見れば、断然安全だ。

それでも、それでも足が竦んで動けないのではないかと思う。

 

剣を少し傾け(つば)を見つめる。

グリップを包む手を見つめる。

 

わずかに震えている。

 

あれ・・・おかしいな。

今までこんなことなかったのに。

視界が暗転するとドサッと音と共にナギナの声が聞こえた。

 

☆   ☆   ☆

 

んん・・・重い瞼を空け、今日のタスクを考える。

 

一瞬、俺が戦闘直前にぶっ倒れたことを思い出し、直後、現状の整理に努めた。

 

広葉樹を認める。どうやらまだ森の中のようだ。背中に冷たく固い何かを感じ、寝床が石であることを確認した。

起き上がるとすぐ近くにはナギナが座っている。

「・・・ナギナ」

「ああ起きた?」

素早い反応で振り返ったナギナに「ああ」と返した。

 

「急に倒れるからどうしたものかと思ったよ。大丈夫?」

眼球をHPバーのところに向けてそのまま大丈夫だよと言う。

「あはは、HPは大丈夫だよ。あの後直ぐにここに連れてきたから」

どうやって連れて来たか訊きたいが、俺なら多分寝袋にいれて持ってくるためスルーした。

 

「そんなことより君は大丈夫かって」

「———ピンピンさ」

「その様子だと大丈夫に見えなくもなくもないね」

 

自身が大丈夫か聞かれているのは分かっていた。ただそれを言ってしまうと後々()()ない気持ちになるのは容易に想像できる。

「スライムはどうなった?」

「えーと()だ敵対していなかったから普通に逃げられたよ、でも戦っている最中に倒れたらもう無理だったかもね。それにカーソルは・・・紫。短時間でHP割る前に討伐は難しそう」

HP割るはグリーンを下回ることだ。

そうか。と返事をし、ごめんと言った。

 

「大丈夫だよ。今は二人いる。今まで特攻をして何度死んだとしても、これからは慎重になればいい。君がレッドゾーンに入っても今なら僕が時間を稼げる」

————それは分かり切っていたが、直で声を聞くと実際は忘れていたのかもしれない。と感じた。

 

小半時ほど経ち落ち着きを取り戻した俺は、

「行こうぜ」

と声を掛ける。

 

先刻のような怯えは全く感じなかった。ヘドロモンスターとやらの討伐でどんなアイテムがドロップするか楽しみなほどだ。

もう一度二人のHPバーが満タンであることを確認し、そのまま馴れた動作で剣を抜く。

「これ前はなかったんだよね。攻撃パターン全く知らない?上の層で似たようなの出てこなかった?」

「えーと、九層に普通の敵としていたね。こんなボス感はなかったはずだ。でも干形が違う気がする」

「ボス感ねー。今一番レベルが高いはずの僕と、キリトでも紫だからね。名前は?」

九層にいたのは《ヴォミーティング・スラッジ》。攻略情報サイトなんて、殆ど見なかったけど、あれに関しては必要だったからから見た。

うる覚えだが、そこにひねりのない直訳とか書いてあり、「ヘドロを吐く」だそう。

 

「ヴォーミティング・スラッジ。弱くもない、普通に時間のかかる敵。でも攻撃パターンがヤバいめんどかったな。どんなのだと思う?」

「・・・・典型的な超複雑なやつ?一層にも居たよね」

うーんと悩んだナギナの答えの反対である。

「逆だ。同じ攻撃を超高速で連発してくるの」

 

「・・・・めんどうくさいと言うことは普通に対処したら負けるんだよね。単純なモンスターって簡単だったけど。・・・もしかしてヘドロを発射し続けるみたいな」

「ダッツライト!延々と、当たると毒状態になる玉を出してくる。普通のモンスターだけどそこが特殊なんだよ。でもそういう敵ってHPが減らしてあるのが定番だけどね」

「・・・ね?つまりHPが高いわけ?」

そこまで鬼ではない。

「いやいやそれ以外は本当に普通。ただ攻撃の特殊なフィールドモンスターに過ぎないから」

ナギナは雰囲気を想像できたのか、納得した様子で二度頷いた。

 

話に集中していたのか、剣先を下に向けてあった。

半直線上に剣が伸びたとすると、そこにはあのモンスターの中心、心臓がある場所で、その位置は九層にいたモンスターのそれと同じと仮定した場合である。

 

西洋風中段の構えのような形を取りながら、俺はナギナに本当にこれしかないコツを教えた。

「攻略方法は一つだけ。あれ、実はパリィできるんだ」

言った直後、今日までナギナにパリィという言葉の意味を伝えていないことに気付いた。

「ああごめん、パリィっていうのは攻撃を剣で弾くことのことだよ。でも、単に弾いて攻撃を止めるのとはちょっと違う」

 

始めて聞くSAOの要素にナギナは首を傾げるのではなく、俺に質問をする。

「何?パリィって。普通の防御とは何が違うの」

「食いつくように訊くね、パリィっていうのはつまりベストタイミングで弾くんだ。そして、成功したら・・・デバフがかかる、というのはないけど敵は零コンマ零一秒怯むぜ」

 

「てか零コンマ『零』一秒っていう言葉初めて聞いた気が———ふーんでも一秒失っただけで最悪死にかけることもある。って前言っていたよね。弾かれたプラスほんとに一瞬だけど隙ができたら一気に有利になれるのかな」

ナギナはこの世界で、戦闘中の零コンマ零————というのは少々オバーだが零コンマ一秒の重要さを心得ている。

「まさにな。パリィの強いところは特殊攻撃を弾けるんだ。例えばこいつみたいなっ」

丁度そこに、そのヘドロモンスターとやらの毒玉が飛んできた。

 

ギィィン!その液体には似つかない衝撃音が響く。

「こういう風にね」

ナギナはしまったと思ったはずだ。警戒を怠ったからである。

 

「大丈夫。パリィはこう・・ピンときた時に剣を振るえばいいから」

上手い伝え方が分からないのもあるが実際、33%ぐらいは直感で成功していた。

 

「ピンときた時か・・・それは経験しないと分からないよ。理解不能だよ」

その通りだが、もう詳しく言うことはできなさそうだ。

 

そして勿論、ナギナはそれ以上訊かない。

そのヘドロモンスターが敵対し始めたからだ。

初撃は様子見的な小攻撃を繰り出す者も居れば、いやおうなしに突進する者もいる。あのモンスターは前者であり、これから本格的な攻防となる。

 

「そろそろ頃合いだ」

「———分かった」

 

敵の本当の名前を確認するために、数歩進んでカーソルを見るが、まだ距離が遠いようで出てこない。しかしもう少し近づけば、その名称は浮き出て来た。

《The fatal slime》

ザ・フェイタルスライムと読むのだろうか?

「ナギナいmっ・・・」

クソ!危ない!

ナギナは俺と正反対の方向に回避し、又、続きを言わずとも俺の疑問に答えた。

 

「最もポピュラーなのは致命的だけど、多分、『命取りのスライム』とか『死者が出るスライム』とかそんな感じだと思う」

「ありがとうっ」

距離からしたら必要以上の声量でお礼をする。

そしてその言葉の余韻が消える時には、俺達は殆ど戦闘モードになっていた。

 

程度を超えた速さと早さで出される毒玉をただひたすら躱す。

でも、毒玉飛沫(しぶき)が何度か当たっていると、毒状態を表すアイコンが視界左上部に点滅した。

レベル1の毒状態。

 

解毒ポーションは元からストレージに入っている。しかし、戦闘中にはそんな時間は無い。

 

そんな時間は無い・・・?

 

しまった・・・!

ポーション等はポーチに仕舞っておくのがセオリーで、戦闘中だと、ここは絶対に攻撃されないっていうとき、確証があるときにだけポーチに補充するのが普通だ。

団体だと比較的戦闘中でも補充できるが、ソロ、デュオなどの数人規模だと、安全地帯や、仲間が守ってくれるときのみだ。雑魚や普通のモンスターなら二人以上ではできるが、よもや相手が強敵に分類されるものとは・・・!

不運なのは敵が超高速連射攻撃をしてくること。そしてそういう敵には猶予は確保できない。

 

自分は敵が毒使いである確率が高いと思っていた。それに目視でも明解だった。しかし、ポーチに入れておくのを忘れた。

なんという失態か分かっている。自分の評価が下るから悔やんでいるのではない。

これは命に関わる。

 

「ヤバい。ポーチに解毒ポーション入れてなかった。アホすぎる」

俺はナギナにそれを伝えるのが先決だと判断した。

暫くしてナギナはこう言った。

「引き返す」

 

選択の余地は残されていなかったので全力疾走で逃げる。

危険な展開に陥ったときの最も正しい判断は逃げることだ。

そこまで簡単には逃げられないのに現実感がある。

レベルも装備を低い状態では、回避ステップも現実よりは身軽なぐらいだ。

足も現実よりは速いが、現実でも基本的に動物の方が速いため撤退というのは至難の業で、更に動物系はグループ行動のため逃げるのがより難しい。包囲されるからだ。

 

幸運だったのはそれがスライムであることによって足が遅く、数も一体しかいないということである。

 

相変わらず追っかけては来たが結果、逃げるのは成功した。

 

「ごめん。ナギナ、今日は足手纏いだった」

「足手纏いだなんて誇張しすぎだよ、キリト。いつもは僕が足引っ張っているんだから」

「それもそうだったな」

そこは否定するのが礼儀ってもんでしょ。というのは受け流した。

 

気付けば外気は冷たくなっていた。

 

その後はレベリングに精を出していたが特にクエスト失敗にはならなかったし、おじさんも期限は示していなかったのでタイムリミットは一週間ほどだろう。

取り敢えずの基本計画として、あのクエストを完了するまでひたすらレベルを上げることにした。

 

つまりは今までと同じだ。

 

☆   ☆   ☆

 

三日が経過し、二人ともレベルは8に上昇した。

そして今、もう一度あのスライムの前に居る。

装備は変わらず頼りなく豪華でないものだけど、解毒POTは買い込んで、ポーチにも半々で治癒POTと一緒に入れてある。

夜は作戦会議なるものをし、9層で会った同じヘドロモンスターのをこと細やかにした。

準備万端!

 

三日ぶりに行くぞ!と檄を飛ばす。




スライムってありますけどイメージメタモンじゃなくてベトベターとかベトベトンです

誤字脱字報告宜しくお願い致します。
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