王子系ヤンデレ女子大生に愛されるのでどうにか生き残る話   作:2.36α金属リン

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バレンタイン特別編です。
ヤンデレはバレンタインに一体何をやらかすのでしょう。
予め言っておくと作者は彼女居ない歴=年齢なので雑なところがあります。ご了承ください。


番外集:季節イベント
番外編:ヤンデレバレンタイン迎撃戦


「……騒がしいな」

 

学校の昼休み。昼飯を食べながら憂鬱な気持ちをどうにか払拭したいな、と考える。

 

「おいおい、鉤野。どうしたんだそんな憂鬱そうな顔して」

 

同じクラスの友人が話しかけてくる。妙に浮き足立っているが……どうしたんだこいつ。

 

「……妙に周囲が煩いからな。静かに過ごしたい俺としては憂鬱にもなるさ」

 

「まあお前はなー。でも仕方ないと思うぜ?今日はなんで言っても───」

 

「2月14日。西フランクの王であるシャルル2世と東フランクの王であるルートヴィヒ2世が兄であるロタール1世に対抗するためにストラスブールの誓いを結んだ日だな」

 

「いやそうだけどそうじゃない」

 

えっ。違うのか。

 

「……じゃあ、グラハム・ベルが電話のシステムの特許を出願した日か」

 

「いやまあそれも今日だけどな?俺が言いたいのはそうじゃないんだが」

 

「あ、わかった」

 

「やっとか」

 

「マージョリー・ストーンマン・ダグラス高校にて銃乱射事件が発生した日か」

 

「バレンタインだよ!!!!!」

 

「うっせ」

 

「お前が原因だよ100%な!!!!!」

 

友人の絶叫に顔を顰める。マジで煩いなこいつ。

 

「ところでお前、今んとこチョコ何個貰った?」

 

「0だけど。お前は?」

 

「1つ「家族は無しだぞ」……0です」

 

「草」

 

「除草剤撒くぞ。お前だってどうせ貰えないくせに」

 

………………。

 

「渡してくるやつはいるが……それが問題だから憂鬱なんだよな」

 

「なんだいんのかよ。何が問題なんだよ死ね」

 

「頭おかしいやつが渡してくるから問題なんだよ。去年なんてチョコレートに睡眠薬と媚薬仕込まれて逆レされかけたんだぞ」

 

「ごめん俺が悪かった」

 

「まあ報復として土に埋めたが」

 

「俺何聞かせられてんの?殺害報告?」

 

「全然生きてたけど」

 

殺すつもりはないし怪我しないように手加減はしたが。

 

「今年も絶対ろくな目に合わないから憂鬱なんだよ。拷問方法考えなきゃだし」

 

「本当に仕留めてないんだよな???」

 

「くどい」

 

さて、本当にどうしようか。

 

 

 

「まずここに逃げ込むよな」

 

「私の家はシェルターじゃないわよ?」

 

現在俺がいるのは燐舞曲のメンバーである矢野緋彩……緋彩さんの家。葵依姉ちゃんの行動がやばくなり始めるとよくここに逃げ込んでいる。

 

「いや逃げ込みますよそりゃ。去年あの馬鹿が何やらかしたか覚えてますよね?」

 

「まあアレは確かに葵依クンもやり過ぎだったわよね……」

 

「一番安全そうな場所なんで逃げ込ませていただきました。お礼として家事ぐらいはさせていただきます」

 

まあ当然である。普段から逃げ込む代わりに掃除とかはさせてもらってるし。

 

「それじゃあ……料理のお手伝い、お願いね?」

 

「喜んで」

 

頼まれた料理を手早く作っていく。緋彩さんも忙しなく動いているが……

 

「……なにをなさってるんで?」

 

「ああ、気にしないでいいわよ」

 

「さいですか」

 

緋彩さんが気にしないでいいって言うんなら大丈夫なんだろ。葵依姉ちゃんが言った時は絶対ろくなことが起きないから気にするが。

 

「ほい完成」

 

「ありがとね〜」

 

熱中していた。気がついたら終わっていたので汗を袖で拭いながらリビングに出る。

 

「お、渚さん」

 

「ん、戒矢」

 

リビングでは燐舞曲のメンバーの一人である月見山 渚がギターのチューニングをしていた。いつの間に来たんだろうか。

 

「お前がここに来るなんて珍しいな」

 

「馬鹿からのシェルター」

 

「あー……」

 

納得したようで何より。男女のイベントが発生する日にあいつが動かないわけがない。

 

「あ、そうだ。ほらよ」

 

ふと何かを思い出したらしい渚さんが何かを放り投げてくる。

 

「……なにこれ」

 

「チ○ルチョコ。来月お返し頼むぜ」

 

「お前チロルチ○コ如きでお返し要求するとか何様のつもりなんだよ152cm」

 

「身長を弄りに使うんじゃねぇ。お前が高いんだよいくつあるんだ」

 

「最後に測った時は……184かなぁ」

 

そろそろ止まると思いたい。

 

「何でそんなデカくなれるんだよ……」

 

「逆にアンタはなんであんなに食っといて背ェ伸びないんだよ。太らないならまだしも」

 

「お前女性に対して体重ネタ出すってどういうことかわかってんのか」

 

「ごめんて」

 

怖かった。俺のやることに対してほとんど全肯定決め込む葵依姉ちゃんですらキレる題材はまずかったか。

 

「とりあえずチ○ルチョコにしたこと後悔させてやるからな」

 

「どうやってだよ」

 

「罪悪感で」

 

「本当にどうやってなんだよ」

 

困惑する渚さんをスルーしながらスマホを起動、ゲームを始める。そうして暫くすると、コートを着た椿さんがやって来た。

 

「お邪魔するわね」

 

「あ、椿さん。葵依姉ちゃんは用事があるから遅くなるってさ」

 

「お、椿」

 

「椿ちゃんいらっしゃ〜い」

 

「ところで戒矢クンは……何をしてるの?ゲーム?」

 

「ゲーム」

 

「どんなゲームをしてるのか聞いてもいい?」

 

「病原菌を作って世界を滅ぼすゲーム」

 

「悩みあるなら相談聞くぞ」

 

「葵依がごめんなさい……」

 

「休んだ方がいいんじゃないかしら」

 

「別に病んでねぇよド素面だよ」

 

失礼にも程があんだろ。そうして時々雑談していると、椿さんと緋彩さんから小包を渡される。

 

「何これ」

 

「バレンタインよ。数少ない交流のある男の子だもの、これぐらいはね?」

 

「ありがとうございます。来月ちゃんと返礼するんで首洗って待ってろ」

 

「あれ?私決闘を申し込んだわけじゃないわよね?」

 

椿さんがめちゃくちゃ困惑してる。俺がおかしいだけだから気にしないでください。

 

「お邪魔します……」

 

「あ、葵依姉ちゃん……ってえらく疲れてんな。どうしたん」

 

「大学でみんなからチョコを貰ってね……何度も呼び出されて疲れたんだ」

 

「ばりヘロヘロで草も生えない。……ハグいる?」

 

「いる……」

 

「飛びついてこないあたりガチで疲れてんな」

 

ふらふらとよろけながらコートを脱ぐことなく近付いて来るので葵依姉ちゃんの後頭部が俺の胸元にくるような感じで後ろから抱き締める。体重をかけてくるので気分はさながらソファである。椿さんが羨ましそうな目で俺を見てくるが無視だ無視。

 

10分ほど経過して。

 

「よし回復」

 

「そりゃ良かった」

 

「戒矢、バレンタインプレゼントの──────

 

 

 

──────婚姻届だ」

 

「緋彩さん、ゴミ箱どこにあったっけ」

 

「キッチンにあるわよ」

 

「よし」

 

「ああ!?」

 

葵依姉ちゃんの持ってきた婚姻届を修復不可能なレベルに破ってゴミ箱に叩き込む。

 

「ならば手錠を」

 

ガシャン、と重い音と共に俺と葵依姉ちゃんの手に手錠がかけられる。

 

「これでずっと一緒だ」

 

「椿さん、ヘアピンとか持ってる?持ってたら貸して」

 

「はい」

 

渡されたヘアピンを変形させて手錠の鍵穴に突っ込む。あ、開いた。

 

「ほい解放」

 

「なんで!?」

 

「浅はかなんだよやること全てが」

 

雑なんだよ何もかも。

 

「……」

 

「おい、葵依が拗ねたぞ。ってか葵依って拗ねるんだな……」

 

「攻撃を意にも介さず適当に相手すると30分ぐらい拗ねるぞ」

 

「ゲームの攻略情報?」

 

「馬鹿の攻略情報」

 

大体あってる。

 

その後、俺が作るのを手伝った料理を5人で食べたりして時は過ぎていった。なお葵依姉ちゃんは俺作+俺の「あーん」で元気を取り戻した。性別的に逆では?

そして気付けば夜10時半。流石にこれ以上遅くなってしまうと俺が補導される可能性が出るし丁度いいぐらいの時間ということで解散になった。しっかり後片付けも手伝ったぞ。

 

「……」

 

「……」

 

葵依姉ちゃんと並んで2人っきりで歩く帰り道。なんつーか……

 

「久しぶりだな……」

 

「何がだい?」

 

「あ、いや。こうして葵依姉ちゃんと2人で帰るのがさ。もう2年ぶりになるんだなって」

 

「……ああ、そういえばそうだったね」

 

俺が通ってる学校が葵依姉ちゃんが通ってた陽葉高校の近くっていうのもあり、2年前はよく俺が自転車で陽葉まで行って2人で帰るっていうのが日常だった。姉ちゃんが大学に進学してからは時間帯が合わなくなったりしてなくなっちまったけどな。

 

「昔は色々あったよなー。葵依姉ちゃんが女装してるとか言われて揶揄われたりそれが原因で泣いてんの見て俺が陽葉にカチコミかけたり」

 

「あはは、そんなこともあったね」

 

今でも思い出す。チャリで陽葉に突貫かけて揶揄ったやつ轢きにいった俺。金属バット持って自転車乗ってグラウンドで人追いかけ回してる俺見て大爆笑してた葵依姉ちゃん。俺がマジで轢いて相手の骨折るまでオロオロし続けてた教師。轢かれた後逆ギレしてきたからもっかい轢かれた奴。俺に説教かけたけど内容が「せめて釘バット、もしくは木製バットに有刺鉄線巻いたの使え」だった親父。放課後に俺のこと死ぬほど撫でまわしたりしてた葵依姉ちゃん見て薄い本分厚くしてたオカン。クズしかいねぇ。救いはないのか。ねぇな。

 

そうこうしているうちに気付けば葵依姉ちゃんの家の前。俺はこの後家に直行するわけだ。

 

「じゃ。また明日「待って」

 

葵依姉ちゃんの家に着いたのでそのまま家に帰ろうとした時、葵依姉ちゃんに呼び止められる。

 

「なんだよ、もうイカレムーブには反応しないぞ。夜遅いんだからあんま時間を取らせ……」

 

振り向いた瞬間の柔らかい感覚。至近距離にある葵依姉ちゃんの顔。それが離れて数秒、ようやく俺は葵依姉ちゃんにキスをされたということを理解した。

 

「ちょ、葵依姉ちゃん!?いきなり何すんだよ!?」

 

「……これを」

 

葵依姉ちゃんは慌て散らす俺の質問には答えず、短い文言と共に包みが差し出される。

 

「……ありがたく受け取るよ」

 

俺はそう言って包みを受け取ると、すぐさま家へと駆け出した。……流石に、今の俺じゃ葵依姉ちゃんの顔をまともに見れる気がしないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戒矢。ハッピーバレンタイン」




鉤野 戒矢
去年チョコレートに薬盛られた。今年も盛られると思ってたら私がプレゼントされた。チョコレートの方はまともではあったが重み(概念)はヤバかった模様。ちなみに身長はそれっぽいいい感じの数値を考えるのがめんどくさかったので作者のリアル身長を流用しました。
カスタムキャストでなんとなくの外見イメージを作ってみました。あくまで「作者の主観」ですので読者の方々の側でイメージが固まっている場合は無視してもらってもかまいません。余談ですが作者は今回のバレンタインイベントよガチャで天井行ったにも関わらず葵依さんが当たりませんでした。


【挿絵表示】


三宅 葵依
去年チョコレートに薬盛った。今年は私がプレゼント。余談だが戒矢が燐舞曲のメンバーにも貰ってたのを知り凄い顔をしていたが戒矢の「嫌いになるぞ」の一言で轟沈した。戒矢にあげたのは手書きで「I love you」と書かれたハート型の手作りチョコレート。

青柳 椿
恋愛的な意味で今作最もかわいそうな人。せめてもの救いは葵依本人が自分に向けられる感情に対してはある程度真摯に対応すること。戒矢にあげたのは手作りではあるが飾り気のないチョコ(単体)。

月見山 渚
初登場。葵依のヤンデレムーブに追い詰められる戒矢とその報復で締め上げられる葵依を見て大爆笑をかますタイプの人間。戒矢にあげたのはチ○ルチョコ。

矢野 緋彩
初登場。葵依のヤンデレムーブに関しては「まあそういうのもあるよね」的アバウト認識。ニコニコして見守るけど度が過ぎればちゃんと怒るタイプ。実際去年は強硬手段を取った葵依とその報復として生前土葬をかました戒矢の2人ともに説教した。戒矢にあげたのはデパ地下に売ってはいるけどその中では安めな感じの手作り。
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