王子系ヤンデレ女子大生に愛されるのでどうにか生き残る話   作:2.36α金属リン

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ほんへ1話も更新することなくバレンタインとホワイトデーと誕生日を超えるバカおるってマ?

今回は戒矢くんのやりたい放題度合いが全力全開です。ご注意ください。


番外編:To the only loved one in the world

「遂にもうすぐ葵依姉ちゃんの誕生日なわけだが」

 

「まずそのゲンドウポーズやめましょうか」

 

渋々ポーズを解く。

 

「とりあえず誕生日プレゼントって何がいいと思う?月の土地でも買う?」

 

「アクセルベタ踏みなのよ」

 

「踏んで押し込まれたまま戻ってきてねぇ」

 

「とりあえずブレーキ踏みなさい」

 

「火星探査機にするわ」

 

「「「話を聞け」」」

 

聞いてるよ。聞いた上でこれなの。

 

「じゃあ何がいいんだよ」

 

「最新のヘッドセットとか」

 

「発売日に買って贈ったわ」

 

「葵依クンの言動に辟易してたけど戒矢クンもそんなに変わらないというかよっぽどヤバいわよ」

 

「普通だろ」

 

「普通じゃねぇから言ってんだよな」

 

……………?(ガチで理解してない)

 

「もう『私がプレゼント』ならぬ『俺がプレゼント』でいいじゃない」

 

「「それだ」」

 

「表出ろよお前ら」

 

そんなんで喜ぶわけ──────いや、喜びそうだな?

 

「いや、俺の人権よ」

 

「んなもんねぇよ」

 

「るせぇチビ」

 

「あ?」

 

「やんのか」

 

「殴るわよ」

 

「「ごめんなさい」」

 

敵に回したくないランキング第1位の緋彩さんだけはダメだ。

 

「はぁ……で、どんなものを送るつもりなの?探査機は却下よ」

 

「じゃあ──────石膏像」

 

「重いのよ何もかもが」

 

「ああもう、適当に似合うアクセサリーでも見繕いなさい」

 

「ブラックダイヤのネックレス買ってくる」

 

「もうそれでいいわ」

 

「いや、買うとなんか足りない気がするからもういっそ作るわ」

 

「「「作る……?」」」

 

 

 

「というわけで学校サボってやって来ました中央アフリカ共和国。旅行者目当てで金巻き上げに来たチンピラたちを半殺しにした後『案内と通訳とその他諸々しなければ殺す』と脅して従えたのでそれでは行ってみましょう」

 

え、訳が分からない?理解しろ。

 

それじゃあ採掘場から卸される市場へと向かおう。その間に今回の目当てである「ブラックダイヤ」とはどういうものなのかを説明する。

 

そもそもブラックダイヤとは、正式名称を「カーボネード(カーボナード)」という天然の多結晶ダイヤモンドだ。ダイヤモンドの微細な結晶が緻密に集積した鉱物の変種だな。

 

バラスやボルツ、ボーツとも呼ばれることがあるが……粒状結晶から成るのがカーボナード、針状結晶から成るのをバラスと区別する場合もある。ボルツはダイヤモンドの研磨くずを意味することもあるな。粒状結晶と針状結晶の違いは細かく説明すると長くなるし話の本筋から逸れるのでカット。

 

色は黒や暗灰色、濃褐色で、劈開*1を持たないので単結晶のダイヤモンドよりも割れにくい。ただ結晶の大きさやその性質上、品質にはバラつきが大きいのが欠点だな。

 

中央アフリカやブラジルで主に採掘されており、産出量が少なく高価。と言っても宝飾用の需要が少ないから一般的にダイヤモンドと称される宝石よりは安いな。

 

カーボナードを模して、ダイヤモンドの微小結晶を焼結させた人工素材 polycrystalline diamond(ダイヤモンド焼結体)が存在し、安価で品質が一定だから工業用に使われたりもする──────そろそろ着くな。丁度説明も終わったし競りに向かうとしよう。

 

 

 

よっしゃ競り落としてきた。正直バチボコに疲れました。え、金は大丈夫だったのかって?ばっかお前葵依姉ちゃんの為ならこれぐらい直ぐ捻出するわ。適当に()()()()()()()()()()()賞金かかった数学の未解明問題解いてその賞金使って株やったら直ぐ都合出来た。

 

「さて帰るか」

 

空港に戻り直ぐに飛行機で飛び立つ。次に向かったのは南アフリカ。ここは白金──────つまりプラチナの産地だ。有史以来たった5000トン────金の総産出量の僅か3%にすら満たない、希少な金属。しかしそのモース硬度は約4.5であり比較的軟らかい金属であるため加工が容易であるという特徴を持つ。

 

─────────さて。

 

「まーーーーーーーーーーたチンピラの巻き上げか。面倒だし寝てろ」

 

流石に2度目は誰か残してボコるのも面倒なので全員半殺しにして沈めておく。南アフリカは英語が公用語だし通訳要らねぇや。仮眠は飛行機で摂って置いたので休憩もそこそこにすぐさまプラチナの購入に向かう。手っ取り早く購入したいので純度は低めのやつで行こう。え、そんなことしていいのかって?馬鹿野郎そんなこと自らやろうとする俺が精錬できないと思ってんのか。多めに買って純度上げりゃいい話だ。

 

「よし購入」

 

ブラックダイヤとプラチナを持って空港に戻り、今度は中国へ。最後に確保するのは「金」。同じくモース硬度4.5の軟性金属で、世界中で今までに約19万トン産出された金属。時差ボケで帰ったらヤバいことになりそうだがまあ頑張れば問題ない(アホ)。

 

空港から出てすぐさま金を購入しに向かう。すぐに購入し終えたので日本に帰国。

 

今回作るのはブラックダイヤをメインにした、フレームをプラチナと金でデザインしたネックレス。

 

一晩爆睡して時差ボケを完全に抜いた後、自作の精錬施設にて金とプラチナを精錬して純度を高める。今回使うのは電気分解による精錬だ。

熔炉に鉱石を入れ、銅精鉱とケイ酸鉱と酸素を加えて溶かし品位99.%の銅にする。それを精錬し銅や銀河などの不純物を電気分解で除去することで高純度の金を作り出す。それを繰り返して純度99.99%以上の金、即ち純金を作り出す。

 

同様にプラチナを精錬して純度99.9%以上の純プラチナを精製。よし、素材は揃った。

 

まずは金とプラチナで全体のフレームを作る。金を高熱で溶解させ、型に流し込みベースを作る。その後溶解させたプラチナを細い針の様な道具に付けて少しずつ丁寧に手作業で飾りをつけていく。それを凡そ100時間ほど──────食事や水分補給などを行いながら眠ることなく──────続け、最後はブラックダイヤを取り付けるのみ。丁寧に丁寧に磨き上げ、最上級の輝きを放つ状態で取り付け、完成!

大満足していた俺だが、時計を見てあることに気付いてしまった。

 

「…………あ」

 

今日、葵依姉ちゃんの誕生日(7月7日)じゃん。

 

 

 

 

 

「っしゃあっす(お邪魔します)!」

 

時速60kmで全力疾走して誕生日パーティの会場───要は緋彩さんの家───に向かう。勿論プレゼントであるネックレスが入った箱は細心の注意を払いy軸に対して1ヨクトメートル*2のズレもなく到着して直ぐ様呼び鈴を鳴らす。緋彩さんに呼ばれて家に入り、プレゼントボックスを言われた場所に置いた後、リビングに入った瞬間──────

 

「戒矢!!!!!!!!!!」

 

「うわうるさ」

 

鼓膜ぶち抜きそうな大声で名前を呼んで半泣きの葵依姉ちゃんに突進された。完全な不意打ちなので俺は回避不可。1D4+DBだな。葵依姉ちゃんの体格とか考えるとダメージボーナスはプラマイゼロって辺りか。というわけで2のダメージ。そして俺はSIZが18以下なので吹き飛ばし判定。敏捷ロールは成功なので倒れずには済んだな。

 

「私の前から居なくなるなんて酷いじゃないかでももう大丈夫これからはずっと一緒だk「頼むから黙って退いてくれ。俺は誕生日の奴を〆る趣味はないんだ」……代わりに何してくれる?」

 

「プレゼント持ってきた」

 

「足りない」

 

「欲張りさんめ。……ハグ」

 

「もう一声」

 

「………………………今度の土日の2日間、俺のこと好きにしていいぞ。デートだろうが添い寝だろうが接吻だろうが何だってしてやらあ。本番なしな」

 

「分かったよ」

 

「傍から見ても釣り合いが消し飛ぶ勢いの取引なのだけど」

 

「本番なして。そういう……え、エッチなお店じゃねぇんだから」

 

「あ、椿さん。渚さんも。こんばんわ」

 

「「こんばんわ」」

 

「まあ賭け金(ベット)に関しては自分から出したわけだし別にいいかなーって。長期間放ったらかした俺のせいでもあるわけだし」

 

「結局何してたのよ」

 

「海外行って原材料買って帰って加工してた」

 

「本当に何してるの?」

 

「そろそろ始めるわよー。……と、その前に。葵依クンはちょっとこっちに来て。戒矢クンはそこの部屋に置いてある服に着替えてから来てね」

 

えっあっ、うん。言われた通りに指定された部屋に入る。

 

「えぇ……………」

 

 

 

 

 

「着替え終わったぞ」

 

「こちらも終わったわよ」

 

リビングに入る。そこで見たものは──────

 

 

「……どう、かな。似合ってる……かな」

 

目に入ってきたのは美しき天女。髪は飾られた星の髪留めも合わさり、まるで星々を包み込む宇宙の闇であるかのように俺の目を捉えて離さない。

身につける着物も、藍色を下地として赤や黄色、橙、白、青白の点が散らされ、天に放たれる星々を描き出す。そして帯は無数の点が集まったかのようなデザイン───すなわち、天を断ずる天の川。

更に身に纏っている羽衣は民家の陳腐で安っぽい明かりですらも綺羅綺羅と美しい輝きを放つ。そんな何よりも美しい姿を見せられて、俺は──────

 

「──────最高」

 

「へっ!?」

 

そう無意識に零し、そのまま近付いて抱き締める。

 

「蜿ッ諢帙>邯コ鮗玲怙鬮俶?縺励※繧句、ァ螂ス縺──────!」

 

「ごめん何て?」

 

「あっ思ったことが3000倍速で」

 

「3000倍速」

 

「頑張れば8000倍速ぐらいまでいける」

 

「8000倍速」

 

閑話休題。

 

「衣装チョイスが最高すぎるので何かしらの褒賞を」

 

「希少なハーブを」

 

「販売停止した洋画のDVD」

 

「ギターのアーム」

 

「遠慮微塵もねぇけど全然いいや買っちゃる」

 

今ポチッた。

 

「で、ご感想は?」

 

「ちょっと待って、感想全部言ってると月が変わる」

 

「576時間はあるぞ」

 

「今日中に言い終わるようにして欲しい」

 

「聞き取れない速度になるが」

 

「全部読み上げようとしないで」

 

「会話スキップ」

 

「ピカチュウ元気でチュウのRTAじゃねぇんだぞ」

 

俺をなんだと思ってんだ。

 

「で、俺の格好はなんなんだよ」

 

織姫してる葵依姉ちゃんと合わせて彦星ってわけじゃないし。なんで執事服?

 

「戒矢クンのやることは一つ。

 

 

 

──────全力で葵依クンをもてなしなさい」

 

「上げ膳据え膳しろってことだな任せろ

 

次の瞬間、葵依姉ちゃんを椅子に座らせてスプーンを持ってその横につく。

 

「お嬢様、なんなりとご命令を」

 

「板についてるわね」

 

「やったことある?」

 

「ない」

 

俺が誰かに仕えるなら葵依姉ちゃんだけだ。

 

「なあ緋彩。私の記憶が確かなら食器ってまだ配置されてなかったよな」

 

「ええ。まだそこにあるはずよ」

 

そう言って緋彩さんがテーブルの隅を指す。なお俺と葵依姉ちゃんがいる所の対角線上である。

 

「葵依座らせてスプーン持って傍に来るまで何秒ぐらいだった?」

 

「1秒もかかってないと思うわ」

 

「化物かよ」

 

愛は物理法則を越える。この前物理法則を越えすぎて全世界の著名な物理学者に連名で文句言われたところだ。

 

「えっと……じゃあ、アレを「はい」早いよ」

 

「もういっそ怖いんだよな」

 

その後、ディナーとデザートのケーキを食べてめちゃくちゃ楽しんだ。

 

 

 

 

 

そして深夜。片付けも終わり、帰路に着く。ちなみに織姫衣装は明日行われる燐舞曲のライブに使うらしい。チケットも一緒に貰ったので明日観に行こう。そんなことを考えながら歩いて、葵依姉ちゃんの家の前に着いた。……ここしかない。心に決めた俺は口を開いた。

 

「葵依姉ちゃん」

 

「どうしたの?」

 

「誕生日プレゼントがまだだったからさ。渡したくて」

 

「プレゼント……どんなのだい?」

 

「目ェ瞑ってくんないかな」

 

俺がそう言うと、葵依姉ちゃんは素直に目を瞑った。……正直過ぎて不安だが。まあいいか。俺はそっと取り出したネックレスを葵依姉ちゃんの首にまわし、そっと金具で留める。

 

「……はい」

 

「これは……」

 

「ブラックダイヤのネックレス。全部仕入れて、製錬して、溶かして細工作って……まあ、頑張って全部自作したんだ」

 

「……とても。とても綺麗だ」

 

「そう言ってくれると嬉しいぜ。……なあ、葵依姉ちゃん」

 

俺は少し言葉に詰まりながらも、必死に言葉を紡ぐ。

 

「俺はさ、ずっと前からどうしようもなく葵依姉ちゃんのことが大切だった」

 

「初めて出会った時から。どうしようもなく不器用で、イカレてて、破綻してた5歳のあの時から」

 

「俺は、葵依姉ちゃんに救われたんだ」

 

「誰も俺に追いつけない」

 

「誰も俺に敵わない」

 

「誰も俺に並べない」

 

「僅か5歳で、俺は人生に絶望してた」

 

「何をしても楽しくない」

 

「何をしても面白くない」

 

「何をしても、空虚に響いてた」

 

「でも、葵依姉ちゃんと出会って全てが変わった」

 

「絶対に追いつけない、敵わない、並べない。そんな何よりも遠いはずの俺に」

 

「追いつかず、敵わず。そのまま一緒に並んでいた」

 

「親以外の全てから遠巻きにされてて孤独だった俺の心を埋めたのが、葵依姉ちゃんだった」

 

「だから俺は、葵依姉ちゃんのために何かをしたくなった」

 

「俺の孤独を、寂しさを、淋しさを埋めてくれたお礼。最初はそのつもりだった」

 

「そのために助けたかった。力になりたかった。頼られたかった」

 

「でもいつの間にか欲が出た」

 

「手段と目的が合一化し、別の目的が生まれてた」

 

「お礼として助けたかったのに、何時しか葵依姉ちゃんと一緒にいるために葵依姉ちゃんに色んなことをするようになった」

 

「貴女がいたから俺は人でいられた。貴女がいたから俺は化け物にならずに済んだ。貴女がいたから、俺は"鉤野戒矢"として存在できた」

 

「だから、さ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これからも、ずっと一緒に居させてください」

 

戒矢はそう言ったきり、口を噤む。どうしようもないエゴでしかない。他者が介在しない自己で完結した意思にして自我。他者からすれば忌むべきものであり、それは誰よりも戒矢自身が理解していた。

 

「戒矢」

 

「……私も、戒矢とずっと一緒にいたい」

 

「些細なことを一緒に笑って」

 

「些細なことで一緒に悲しんで」

 

「些細な時を共に過ごしたい」

 

「だから」

 

「こちらこそ、一緒に居させてください」

 

そう言って、2人は抱き合う。

想いを確かめ合い、絆を確かめ合い、繋がりを確かめ合う。

今この瞬間、2人の目に映る世界にはお互いしか存在しない。

この2人の間には、数分前とは異なる確かで暖かな繋がりが生まれていた───────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところでさ、さっきの愛の告白みたいだったよな」

 

「だね。流石に市街地ど真ん中で愛の告白するわけないよ」

 

 

ドンガラガッシャン!!!!!!!

 

デカい音が響いたのでそちらを見ると、渚さんが頭から郵便ポストに突っ込んでデカい瘤を作っていた。

 

──────────────────────────

 

緋彩宅

 

「あら?渚ちゃんからL○NEね」

 

椿宅

 

「……渚から連絡?」

 

そこには。

 

「嘘だ!!!!!あれで違うなんて嘘だ!!!!!」

 

とだけ書かれていた。

 

「「……………どういうこと?」」

*1
岩石や鉱物の割れ方が特定方向に割れやすいという指向性を持つ性質のこと。小学校の理科の授業で習ったことがあるはず。

*2
国際単位系において最小の長さの単位。10^-24m




To the only loved one in the world(この世でたった一人の愛しき人へ)

プレゼント
金、プラチナ、ブラックダイヤモンドで作られたネックレス。
金具も細工も、それどころか製錬も何もかも───材料の採掘を除いた全てがMade in 戒矢の代物。
この為だけに資金を確保し、世界中を飛び回り、技術を身につけ、手間暇かけて作り出された至高の一品にして愛の結晶。
人でなし(バケモノ)だった男の子が作り出した、一年に一度だけの贈り物。


ちなみにこの2人、マジで付き合ってません。
バレンタインやホワイトデーの一件もあって同衾もハグもキスもしますが、まだ付き合ってません。この後抱き合って一緒に寝るけど付き合ってません。
本当になんなんだこいつら。
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