王子系ヤンデレ女子大生に愛されるのでどうにか生き残る話   作:2.36α金属リン

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見切り発車オーライ。次の駅は知りません。


本編:ヤンデレ女子大生vsサイコ男子高校生
第一話:ロープで縛られてもそんなに痛くない。


ご都合主義、という言葉がある。

ヒーローがピンチになった時に覚醒するとか、突如現れたライバルが助けてくれるとか。偶然当たった攻撃が敵の急所だったとか、色々な用途で扱われる単語ではあるが……まあ、基本的にあまりいい意味では使われない。

どこぞのデビルかっけぇ男の子なんて幼馴染みの主人公と対等に戦うためだけに一切の都合も確率も排除するような頭のおかしい能力を獲得してたし。

まあ、それぐらいにはありとあらゆる局面に置いて「不純物」と定義される要素ではある。

え、なんでそんな話をし始めたのか……って?

うん、まあ俺はそのご都合主義ってのが嫌いだったんだよね。主人公に都合よく世界が回ってるような気がして、世界の全ては主人公のためにあるような気がして。そんな窮屈さが嫌いだった。そう、"だった"んだ。今は違う。ちょっと危機的状況でね。ご都合主義にでも藁にでも……とにかく何でもいいから縋りたい状況なんだ。

 

ところで質問なんだけどさ。近所に住んでて昔から仲良かった姉ちゃんに監禁されたんだけどどうすればいいと思う?

 

「ふふ……ようやく2人っきりになれたね、"戒矢"」

 

むー(んー)ほほはい(この際)ほーほふ(拘束)はへへふ(されてる)ほほひふいへは(ことについては)ほやはふいははいはらは(とやかく言わないからさ)ほへ(これ)はふひへ(外して)ふんはい(くんない)?」

 

ガムテープで口塞ぐとかいつの時代の誘拐だよ。時代はギャグボールか猿轡だろ。いや誘拐に時代もクソもねぇわ。

 

「ああ、ごめんね。苦しかったよね」

 

そう言って口元に貼り付けられていたガムテが剥ぎ取られる。両腕は椅子に固定されたままだが……まあ喋れるようになったしマシになったか。

 

「……で、"葵依"姉ちゃん。こんな凶行に出た理由は?今ならボディブロー1発で水に流してやるけど」

 

「凶行?……ああ、『コレ』のことかい?凶行だなんて酷いな……傷つくよ?」

 

ハイライトのない瞳でそう言ってくるのは葵依姉ちゃん……フルネームだと"三宅葵依"。大学2年生で、身長170cmの長身女性。趣味は散歩とジャム作り……そして巻き込まれる俺としては不本意ながら、"鉤野 戒矢"観察。要は俺の観察である。ざっけんなプライバシーを寄越せ。

いつからかは覚えてないが……まあ葵依姉ちゃんは俺のことを可愛がるようになった。いっそ過剰なぐらいに。いやまあ親がいない時は作ってくれたし、体調崩してぶっ倒れた時も看病してくれたし助かりはしたんだけどさ。

そういや葵依姉ちゃんに家の合鍵って渡してたっけ。渡されてるの見た覚えがねぇぞ。え、怖くなってきた。これ以上考えたら恐ろしいので考えんのやめよ。

 

「傷つくようなメンタルだったら人拉致ったりしないんだよ?ほらさっさと解放しろ。わーった、デコピンで許してやっから」

 

大分譲歩したぞ。ボディブローがデコピンに格下げされたんだからな。わかったら早く解いてくれ。

 

「……なんで解放しなきゃいけないんだい?」

 

うーん風向きが変わってきた。嫌な予感しかしないぞ。

 

「私は戒矢を愛している。どうしようもなく愛している。それは君も同じはずだ。戒矢は私が大好きだ。大好きに決まってる。だから他に何も必要ないだろう。戒矢は私の物だ。私以外の人間を視界に入れる必要はないし入れてはいけない私が私が私が私が私が私が誰よりも戒矢のことが好きで戒矢も誰よりも私のことが好きなんだから相思相愛両思いだ結婚しようああまだ18歳になっていないんだねじゃあそれまでの1年ほどを私と共に過ごそう君がいれば他に要らな─────────」

 

「んー、ちょっといい?」

 

トリップ決め込んだ葵依姉ちゃんを呼び止める。俺は縛られていた右腕を()()()()──────

 

「どうしたんだい?ああ、心配は」

 

「寝てろ馬鹿」

 

脳天にチョップを叩き込み意識を刈り取る。

 

「はぁー……長々とトリップ決め込んでたから隙だらけで楽だったよ。ここは……葵依姉ちゃんの部屋だよな。なんなら俺の部屋よりもいた時間長いの怖いな」

 

とりあえず葵依姉ちゃんをベッドに放り込み、部屋を出る。

 

「……鍵掛かってら。しゃーない、壊すか」

 

蹴破って退室する。人監禁にはドア1枚と脳天へのチョップ一撃で勘弁してやんよ。次やったらエグめにシメなきゃなぁ。

 

 

 

これは、俺───鉤野 戒矢が、俺のことが大好き過ぎてイカれた葵依姉ちゃん───三宅 葵依から、全力で逃げる物語である。




鉤野 戒矢
主人公。名前の読みは"かぎの かいや"。
ヤンデレに付き纏われる日々を過ごすちょっと物理が強いだけの高校生。
といっても暴れるタイプではなく、基本的に迎撃する派。基本的に矛先が葵依に向いている。本人も暴力に訴えたくはないが相手が対話でどうにかなりそうにない上手を出した方が早いので出してる。怪我はないようにしている模様。
最近の悩みは葵依が自分の行動を分刻みで記録していること。燃やさなきゃ。

三宅 葵依
王子様系ヤンデレ女子大生ヒロイン。作者の最推し。
葵依さんメインの作品がなかったので書いてみた。
第一話からいきなり主人公を監禁した今作のやべーやつ。自身の熱量が主人公に極振りされているせいで、
周囲の女の子→→葵依→→→→→→→(超クソデカ感情)→→→→→→→戒矢という謎の二面性を持っている。
外で戒矢が絡まなければまともだが、一人になるか戒矢が絡むと途端に取り繕っていた外面が消し飛ぶ。
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