王子系ヤンデレ女子大生に愛されるのでどうにか生き残る話 作:2.36α金属リン
いきなり監禁かまされてから数日。葵依姉ちゃんの干渉がないのでのんびりと平和を享受している中のそんなある日のこと。
「あ、鉤野君」
教室窓側の日当たりの良い席にて良い感じの眠気に微睡んでいると、クラスメイトの女子に話しかけられる。
「んー……どしたの」
眠いとこに話しかけられてちょっとアレだけど、まあそんな目くじら立てるようなことでもない。体を起こして返答する。
「今度文化祭があるでしょ?それでうちのクラスで何するかの案を募集しててさ。みんなに聞いて回ってるんだ」
「なるほどなー……まあ料理関連は衛生的にアレだし、演劇とかお化け屋敷とかが安牌なんじゃない?」
そういえばこの子学級委員だったな。そんなことを考えながら、パッと思いついたやつを適当にあげる。
「……うん、ありがとね!じゃあ」
「ばーい」
立ち去るクラスメイトの背中に手を振る。そして再び突っ伏して微睡もうとしたその瞬間。ピロン、と俺のスマホから着信音が鳴り響く。マナーモードにしてなかったっけな。
[葵依姉ちゃん:戒矢、今私以外の女の子と話しただろう。ダメじゃ
ブロック。ついでに着信拒否して友達登録も消しとかなきゃ。ああ、考えてみれば盗聴されてんのか。仕方ない。俺はおもむろに鞄からガラパゴスケータイよりもひと回り大きいぐらいの機械を取り出した。
「悔い改めろ馬鹿」
俺はそう言って、機械を起動した。
「あっ!?!?!!???!!?!?」
「どうしたの葵依、何かあった?」
「あ、いや。なんでもないよ椿。気にしないで」
起動したのはジャミングを行う機械。ちょくちょく盗聴されるからその対策として自作した。ちなみに周囲の機械に無差別に影響を与える暴れ馬なので俺のスマホは改造を施して影響がないようにしてある。あーあ、クラスメイトのスマホや教室のモニターが馬鹿になって阿鼻叫喚だわ。葵依姉ちゃんがこんなことしなかったら俺だってこんな技術持ってないんだけどなぁ。なので全部葵依姉ちゃんが悪い。えっと、エラーの反応はっと。あ、これとこれとこれだな。あんにゃろ鞄は兎も角ボールペンの中にまで仕込みやがって。……どうやって仕込んだんだろう。怖い。とりあえずぶっ壊しておくか。
それにしても、何でこんなやべームーブに出始めたんだろ。わかんねぇや。とりあえず寝るかぁ。すやー。
気付けば放課後。部活は今日は休みだし、直帰でいいだろ。
「…」
うーん帰りたくない。帰路に満面の笑みのやべーやつが待ち構えてんだぞ。弁慶でも小便漏らしながら逃げるわ。
「よー葵依姉ちゃん。昼間はよくもやってくれたなこん畜生。悔い改めろ」
「悔いる……?私は悪いことをしたつもりはないんだけど」
まあ盗聴自体は犯罪じゃないからなぁ。それを悪用したら犯罪にはなるが。まあプライバシーの侵害なんでどっちにしろ悪い。
「開き直ったやつって一番タチ悪いんだぜ。そんじゃ俺はこの辺で」
そう言って俺は葵依姉ちゃんの横を通ろうとする。
「いやいや、話はまだ終わっていないよ。せっかく私が仕掛けた愛を壊すなんて、そんな風に育てた覚えはないよ?」
と言って進路を遮ってくる葵依姉ちゃん。まあぶっちゃけこの程度は予想内の内、予想ど真ん中よ。
「育てられた覚えねぇんだなこれが。ってか早く帰らせてくんね?今日ソシャゲで推しのピックアップなんだから」
CV.内○兄妹の双子座。可愛くてカッコよくて好き。
「は?」
ん?
「いやいや、戒矢には私がいればそれで充分だろう?他の存在を気にする必要なんてあるのかい?」
んー……これは大人しく肯定しといた方がいいな。
「まあなくても問題ないっちゃないな。まあ腹減ってるから帰るんだけど」
「じゃあ私が晩ご飯を作ってあげよう。それでどうだい?」
拒否ったら絶対面倒になる。ついていくしかないか。
「あ、じゃあその前に晩飯いらないってオカンに連絡させて」
「私以外の女の子と……?」
「オカンもアウトっていうかオカン女の子判定下んの?????昼間から黒執事読んでBL本書いて描いてる40代後半ぞ?????」
可能なら絶縁したい。
[葵依姉ちゃんとこで飯食うから今日は晩飯いらない]
送信、と。あ、すぐ返信来た。
[腐れオカン:避妊はするのよ]
[お願いだから死んでくれ]
葵依姉ちゃんが中性的だからって男体化葵依姉ちゃん×俺とかいう業の深い代物書いてるやつは頼むから死んでくれ。無理なら殺しに行く。ってかなんで俺が受けなんだよ。親父はなんでこんなの選んだ。
「…………………………………………………じゃ、行こうか」
行きたくねぇ。
というわけでやってきました三宅さん家。葵依姉ちゃん、所属してるユニットのメンバーがいつ来てもいいようにって名目で一人暮らししてるんだよな。なおマジで名目であった実際の理由は俺を監禁出来る様に。最悪この家ブッ
「何が食べたい?」
万が一ヤバいことになった時のための逃走経路考えないとな。じゃあ手間がそこそこかかって時間を稼げるやつを注文しとくか。
「じゃあミートドリアで」
「わかった、オムライスね」
「疎通」
早よ考えるか。窓ぶち破りは……後処理が出来ない以上葵依姉ちゃんが片付けるわけだしなぁ。怪我されたら寝覚め悪いし却下。となるとトイレの窓から?いや流石に通れない。どうすっかなぁ。
「はい、これが戒矢全否定丼だよ」
「カツ丼出てきたんだけど」
本当に全否定しやがった。なら聞くなや。
「いただきまーす」
「どうぞ」
普通に美味いの腹立つな。てっきり血液とか媚薬とか混ぜ込んでると思ってた。
「ところで戒矢。私と食事だったらどっちの方が好き?」
「……………………? 三大欲求と張り合う気か?」
「いいから答えてくれ」
数秒考え込み。
「飯食えなくて死ぬのと葵依姉ちゃんに会えなくて死ぬの、どっちが早いかと言われたら飯かなぁ……」
「何故?」
「生命だからだけど……?」
何言ってんの(困惑)
「戒矢の人権はたった今喪失しました」
「いきなり色んな過程すっ飛ばして非国民判定なの?今戦役中だったっけ?」
国家反逆罪に問われるようなことした覚えないぞ。ちなみに国家反逆罪、首謀者の場合はほぼ確定で無期懲役か死刑なので気をつけような。
そんなことを考えていたら突き飛ばされ、床に押し倒される。
「エロゲみてぇな展開だな……」
「私以外の女の子に「もうそれいいから」あっうん」
さてやべぇな。このままだと性的にやられる。第二話にしてクライマックスだぜ。突き飛ばすと怪我するしなぁ。最悪抱き締めて脳味噌ショート、フリーズしてる隙に逃げるか。
そんなことを考えている最中、不意にインターホンが鳴る。
「葵依姉ちゃん、出た方が良いんじゃね?」
「無視で」
「社会不適合者かこいつ」
ひっついてくる葵依姉ちゃんを引き剥がしていると、リビングの扉が開けられる。
「葵依、忘れ物……」
「「「………」」」
「おー椿さん。悪いんだけどこの馬鹿引っ剥がしてくんね?」
入ってきたのな葵依姉ちゃんが所属してるユニット、燐舞曲のボーカルをしている青柳椿さん。ん?これちょうど良いわ。
「ほいっ」
「え?あ!?」
壁際に追い込まれていたのが功を奏した。思い切り壁を押して前へと移動する。もちろん葵依姉ちゃんにぶつかるが、その際にうなじのあたりに手を添えて柔道の要領で"回す"。空中で一回転する形になり、そのまま床に叩きつけられる。まあ床に絨毯敷いてあるし怪我はせんじゃろ。手加減もしてるし。
「そんじゃ俺は失礼!」
「え?あ、ちょっと!?」
椿さんの横をすり抜けて逃亡。この後アレの相手してもらわなきゃだし今度お礼しないとなぁ。
鉤野 戒矢
幼馴染みが盗聴器仕掛けてくるせいでジャミング装置を自作出来るレベルに技術力が身についている。この主人公はハイスペックだが基本的に葵依のヤンデレムーブ対策のため。ちなみに葵依を攻撃する際も怪我とかしないようにしているせいで助長させている。
三宅 葵依
盗聴器を仕掛けているやべーやつ。ジャミングされて情報が途絶した挙句破壊された。主人公が自分のヤンデレムーブ対策でスペックが上がっているとは微塵も考えていない。むしろ自分のために凄くなってるのではと思っている盲目。まあ自分の(ヤンデレムーブに対抗する)ためなので間違ってはいない。
青柳 椿
ちょい登場。原作では葵依にクソデカ感情を向けており、今作でも向けてはいるのだが全く意に介されていないかわいそうな子。
感性は常識人なのでヤンデレ襲撃に居合わせた時は守ってくれる。なお傷つけないと逃げられない時に限る。