2年振りの投稿なのに感想をくれる方々がいて感謝感激の作者です。
結局、合格者を一人も出さなかったメンチに襲い掛かった受験者がブハラに吹っ飛ばされ、その後は乱入してきたネテロに窘められたメンチが新たな料理であるゆで卵を提案して飛行船で渓谷に移動した。
「おー、まじで下が見えないですねー」
「もしも落ちてしまった場合は、戻ってくるのに相当苦労しそうですわね」
「常人は戻ってくる前に死ンでもおかしくねェけどな」
渓谷を覗き見ると下から吹き上げて来る風に煽られる。渓谷の中腹には糸の様な物が張り巡らされており卵が吊られている。
「下は深い河だから安心していーわよ……それじゃ、見てなさいよ」
そういってメンチは渓谷を飛び降りて糸に掴まり、卵を回収して岩壁をのぼって戻って来た。
「この山に生息するクモワシの卵じゃよ。陸上生物から守る為に卵を谷の間に吊るしておる」
「こんな感じで回収した卵でゆで卵を作るのよ。じゃ、取って来て」
騒めく受験者達を尻目に俺達は崖際に立った。
「変な料理作るよりこっちの方が断然いいぜ」
「良かったー!これなら楽勝だね!」
そう言って飛び降りていくゴン達に続いた。卵を回収して岩壁を登る。
「下からの風がある分多少は楽だな」
「壁を登ってる最中に卵が割れるのだけ気を付けなくちゃですね」
「メンチさんは胸に挟んでましたが、私達は……」
雑談しながらも山頂に戻り、それぞれが回収した卵を茹でて食べ始めた。
「……うめェな」
「こんな美味しい卵、初めて食べましたの」
「どうせならもっとしっかり調理したのが食べてみたいですねー」
その後、二次試験を合格した45人を連れて飛行船は出発した。
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「次の目的地は明日の朝8時ですので、連絡があるまでは各自自由にお過ごしください」
「わしは最終試験で再度顔を出すつもりじゃったが、せっかくだしこのまま同行しようかの」
ビーンズから連絡事項が伝えられ、受験者達が解散していく。
「なぁ、飛行船の中探索しようぜ」
「うん!黒子達も行こうよ!」
キルアとゴンは早速船内を見て回ろうとしている。どうやら黒子と絹旗も同行するらしい。
「あんだけ動いた後なのに元気な奴らだぜ……」
呆れたように呟いているレオリオを横目に黒子が俺の下へやってくると、小声で話しかけて来た。
「一緒に行かなくてよろしいんですの?上手く行けばここで試験に合格出来るかもしれないですわよ」
黒子が言っているのはネテロがゴン達とやる球取りゲームの事だろう。
「お兄様なら会長からでもボールを奪えると思いますが」
「飛行船が墜落してもいいなら本気で奪いに行ってやってもいいが」
俺が能力をフルに使って奪いに行けばおそらくボールを奪えるが、そんな真似をすれば確実に余波で飛行船が堕ちる。逆に能力を使わないのであれば、ネテロからボールを奪う事は不可能だろう。そもそもネテロが俺にゲーム参加を許可するかも怪しい。
「あー、言われてみればその問題がありますわね……」
「後は単純にめンどくせェ。お前らだけで行って来いよ」
「はいですの」
ゴン達と走り去って行く二人を見送りクラピカ、レオリオと歩く。
「一日走り通しでクタクタだっての、早く寝てーぜ」
「ああ、長い一日だった」
流石に疲れた様子を見せる二人。
「一方通行は随分と余裕そうに見えるが」
「お前ら程じゃねェが普通に疲れてるぜ。後、肉体的にはともかく精神的にきてンだよ」
二次試験はともかく延々と走り続ける一次試験は本当にただただ面倒だった。
「そりゃそうか、あんなもん誰でもきつくて当然だわな。俺は肉体的にも限界なんだが……」
「しかし、試験は一体後いくつあるんだろうな」
クラピカが疑問を呟いたので答える事にする。
「大体平均で5つか6つ程度らしいぞ。会長のじじいが同行してるくらいだからそれ以上って事はねェだろうな」
「それでも後3つか4つはあんのかよぉ」
「そうか……今はしっかり休もう」
用意されている共有寝室に着いた俺達はそのまま眠りについた。
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所変わって、ゴン達は会長のネテロに誘われてハンターの資格をかけたゲームを行っていた。
「くっそ、あのじいさんどんな身体してんだよ……。まだ足が痛むぜ」
最初に挑戦して失敗に終わったキルアが痛そうに足を抱えている。視線の先ではゴンがボールを奪おうとネテロに向かっているがまったく取れる気配はしていない。
「だめだ!全然取れる気がしないや」
「ほっほっほ、そっちのお嬢ちゃん達はいかがかの?」
ネテロが黒子と絹旗に言うと、ゴンに代わって絹旗が前に出て来る。
「じゃー、まずは私から」
そう言って絹旗がネテロに殴りかかったが躱される。攻撃しながらボールを狙いに行くが、一向に隙が出来る気配はない。
「埒があきませんね」
攻撃で隙を作る事は不可能を判断した絹旗は、自分の攻撃を躱したネテロのボールを持つ方とは反対の腕を掴んだ。
「むっ」
振り払おうとかなり力を込めたネテロだが、絹旗はネテロの腕を離さない。
「逃げられるとっ、思わないことですね!」
「
感心した様子のネテロ。互いに力が拮抗しているのか、腕の引き合いが始まった。
(能力まで使ってるのに抑えきれない…、どんな力してやがりますかこのじいさんは!)
「……ほいっ」
焦った絹旗が一層力を込めた瞬間、ネテロが絹旗の顔目掛けてボールを投げて来た。突然飛んできたボールに驚いた絹旗は力を抜いてしまう。そんな絹旗の顔面でバウンドしたボールは再びネテロの手の中に戻って行った。
「パワーはあるが他がまだまだ甘いのう」
「流石にそう甘くはないですか」
ボールを弄びながら涼しい顔をしているネテロ。苦い顔をする絹旗の次は黒子が出て来る。
「今度はそっちの嬢ちゃんの番じゃの」
「では参りますの」
そう言った瞬間に黒子の姿が消え、ネテロの背後に現れる。
「何だあれ!?」
「早い!」
未だに念の存在を知らないゴンとキルアが驚きの声を上げる。
「ほう」
感心しながらも背後から奇襲してくる黒子の手を見もせずに払うネテロ。瞬間移動を繰り返し翻弄しようとするが死角をついても見えているかの様に反応される。
「ほっほ、いい能力じゃがわしらが相手を捉えるのは目だけではあるまい?」
「円ですわね……」
呟く黒子に正解と言わんばかりに笑うネテロ。空間移動で死角をつくのは効果がないと悟った黒子はネテロに向かって走り出す。
「今度は肉弾戦かの?」
余裕と言わんばかりのネテロに掌底を放つ黒子。片手で危なげなく捌くネテロだったが、次の瞬間ネテロの姿が消え離れた位置に出現する。
「げっ」
突然の事態に慌てた様子のネテロ、黒子が目前のボールに手を伸ばすが突然ボールが不自然に弾かれる。一瞬反応が遅れた黒子に先んじてボールを取り返したネテロが安堵した様に息をついた。
「危ない危ない、まさか自分だけではなく相手も飛ばせるとは……ちと油断しとったのぉ」
慌てて攻撃を再開する黒子だが、全ての攻撃を躱されていく。
「条件は手で触れている事じゃろう?でなければワシを飛ばし続ければいいだけだからの。それが分かってしまえばどうにでもできよう」
しばらくの間攻め続けていたが、その後は触れる事さえ出来なかった。
「中々やるのうお嬢ちゃん……そうじゃな、ゴンとキルア、今度は二人いっぺんにかかってきてもいいぞよ」
息を切らす黒子を余所にネテロが言う。
「よし、やろうキルア!」
意気込むゴンとは裏腹に不機嫌そうなキルアはネテロに問いかける。
「当ててやろうか?俺とゴンに二人でもいいって言ったのは絹旗と黒子と違って、俺達だったら二人でもどうにでもなるって判断したんだろ?」
「さて、どうじゃろうのう?」
しらばっくれるネテロをキルアが睨む。
「……舐めやがって」
二人は同時にネテロに飛び掛かった。
「いやー、超惜しかったですね黒子。黒子の空間移動ならもしかしたらボールを奪えるかもとは思ったんですが」
「空間移動の発動条件を看破されてからは何も出来ずに終わりましたけども」
奮闘する二人を余所に黒子と絹旗が話す。
「近接戦じゃまず敵わないですからねー、パワーで抑え込めなかった時点で私じゃ勝てませんし」
「私もこれ以上はいくらやっても無意味でしょうね」
壁に寄り掛かり休憩しながら二人の挑戦を眺める。惜しい所まで行くも、少し本気を出したネテロに阻まれ失敗に終わる二人。
「やーめた、俺の負けだ」
「えー!?今のももう少しだったしこのままやれば取れるよ!」
ギブアップしたキルアに言うゴンだが、呆れた様子を見せるキルア。
「何も分かってねーなお前、あのじーさん俺達相手には右手と左足ほとんど使ってねーんだよ。今のままじゃとてもじゃないけどボールなんか奪えっこないぜ」
「え?」
キルアの言葉に驚くゴン。ネテロは感心したようにキルアを見た。
「ほう、ばれてたか。上手く隠しておったつもりじゃったが」
「はっ!ムカつくじーさんだぜ。行こうぜゴン」
「俺はもうちょっとやっていくよ。せめて右手くらいは使わせたいし」
去ろうとするキルアにゴンが言う。
「お前なぁ……。分かったよ、頑張りな。俺は先に寝るわ……黒子と絹旗はどうすんの?」
ゴンに呆れたような、感心するような視線を送ったキルアが二人に聞く。
「私達もお暇しましょうか、時間も時間ですし」
「そーですね。頑張ってくださいねーゴン」
キルアに続いて二人も部屋を後にした。
「ねぇネテロさん。キルアが何人にも見えたのとか、黒子が消えたりしてたのとか、どうやってやるの?」
「あれは闇商売の専売特許みたいなもんじゃ、お主が知っていいものではない。黒子君のあれは……今知るものではないが、いずれ知る事になるじゃろう。」
詳しくは語らなかったネテロだが、ゴンは気にした様子を見せなかった。
「へー、でも両方ともすごい技ではあるんでしょ?」
「うむ、双方共に常人では辿り着けん領域にあるものじゃ。とてつもない努力を要するじゃろう」
(黒子君のアレは、念能力か怪しいもんじゃがのう……)
疑問を覚えながらも、どちらにしろ変わらないと結論付けるネテロ。
「絹旗も俺なんかよりネテロさんとやりあえてたし。やっぱりみんな凄いや」
そういいながら不意打ちでボールを奪おうとするゴンだったが避けられる。
「やっぱだめだったか」
「油断も隙も無いやつじゃな……」
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「そう言えば黒子のアレ、どうやってんの?」
歩いていた三人だったが、キルアが思い出したように黒子に聞いてきた。
「アレ、と言うのは?」
「消えたりしてたアレだよ。しらばっくれても無駄だぜ」
少しの間悩んでいた黒子が口を開く。
「まぁいずれは知る事になりますわよ。どうしても気になるなら試験が終わったらキルアのお父様にでも聞いて見るといいんですの」
「親父に……?ってか、そんな事せずに今教えてくれればいいじゃん」
「私達の半端な知識で教えても碌なことになんねーですからね。今は知らないでいいですよ」
絹旗も濁すように言う。
「なんだよ、けちくせーな」
口を尖らせて文句を言うキルアだが、これ以上問い詰めても教えてもらえないと察して追及することはなかった。
「じゃ、俺は寝るわ」
部屋に着いたキルアと別れた二人。
「私達も休みましょうか」
「そーですね」
それぞれが休息をとる中、飛行船は目的地に向かうのだった。
所々場面が飛んでたりかなり端折ったりしてる所がありますが、そういった場面は原作と変わらない流れと思ってもらって大丈夫です。
試験編も面白いですが、ハンターハンターが本格的に面白くなるのはヨークシンあたりからだと思ってるんでさくっと進める為にもこんな感じで書いて行きたいと思います。
失踪しない為に雑になってもかなり無理矢理書き進めたりするんで見直したりして変な所があれば随時修正します。
誤字脱字報告はもちろん、感想評価も待ってまーす。