とある狩人の一方通行   作:爪楊G

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投稿です。

やっぱどうしても執筆に時間がかかるねんな……。


13話

 

 

 

 目的地に着いたとのアナウンスが流れ、俺達はタワーの天辺に降り立った。

 

「ここが三次試験のスタート地点になるトリックタワーと呼ばれる塔の天辺です。試験の内容は72時間以内に生きて下まで降りて来る事。……それでは三次試験スタートです」

 

 そう告げたビーンズは飛行船に戻り飛び立った。身を乗り出して塔の高さを確認していると一人の男が外壁をつたって降り出した。

 

「すげー」

 

「もうあんなとこまで降りてるや」

 

 ゴンやキルアが感心していると怪鳥が男を貪り食っていた。

 

「こりゃ外壁をつたうのは自殺行為だな」

 

「どこかに下に通じる扉があるはずだ」

 

 タワーについて話すクラピカとレオリオ。その会話を聞きながらどうしようか考える。

 

「正直な話このまま飛び降りてもいいンだが……」

 

「その時は黒子はともかく私は連れてってくださいよ」

 

「ちょっと絹旗?何故私を除外していますの?」

 

 俺の言葉に反応した絹旗に抗議する黒子。

 

「いや、黒子は高所から降りても能力でどうにかなるじゃねーですか」

 

「それはそうですが……」

 

 二人の会話を聞き流しながら考えていると、ある問題に辿り着いた。

 

「……よく考えたら外壁を降りるのはいいが、その後72時間も下で待たされねェといけないのか」

 

「あ、そうですわね」

 

「時間潰しにもなるし普通に攻略するかァ」

 

 そう結論付けてゴン達の方へ合流する。

 

 

 

「あ、一方通行達も丁度良いところに……そこで隠し扉見つけたんだ」 

 

 合流した俺達にゴンが言う。キルアもそれに続いた。

 

「俺らが見つけたのは五つだから全員は入れないけどな」

 

 

 

「ここに二つとあっちに三つだね」

 

 ゴン達に案内され隠し扉のもとへ来た俺達。

 

「五つか……こんなに密集してるなんていかにも怪しいぜ」

 

「いくつかは罠の可能性もある」

 

 怪しむレオリオとクラピカ。

 

「しかもこの扉、一回通ると開かない仕組みになってるらしいから二人は余っちゃうんだ」

 

「それに扉は人一人しか通れないから結局はバラバラの道を行かなきゃいけない……ゴンと俺はこの中のどれかを進むけどお前らはどうする?」

 

 実際にはこの5つは同じルートなのだが原作四人組は知る由もない事なので何も言わない。

 

「そうだな、二つはクラピカとレオリオが進むとして後の一つは黒子が行けよ。俺と絹旗は別の扉を探す」

 

 最後の一つは、この中で最も原作好きである黒子に譲る事にした。俺はそこまで原作への執着はないし絹旗も黒子程じゃない。

 

「そーですね。それでいいんじゃねーですか?」

 

「いえ、それは……しかし」

 

 絹旗も同意するが肝心の黒子が煮え切らない態度を取る。

 

「どうする?黒子」

 

「……そうですわね、では私は残りの一つで行きますの。お兄様も絹旗も、下で会いましょう」

 

 結局は黒子がゴン達に同行する事になったので五人を見送り扉を探す。

 

「さて、どうしますかね?」

 

「わざわざ床を探る必要はねェだろ」

 

 足で床を叩き、振動を利用して扉とその先にある部屋を調べる。

 

「あったぞ。こっちだ」

 

「超流石ですねー」

 

 茶化すように言う絹旗を無視して扉の上に立つ。

 

「ここと、そっちだな」

 

「行きますか」

 

 扉に入り部屋に降りる。部屋には奥に続く通路とタイマーが表示された腕時計の様な物が二つ置かれている。そして看板には絡繰りの道と書かれていた。

 

『絡繰りの道へようこそ。ここは二人で協力しながら、危険な罠や仕掛けが施された道を進むコースだ。二手に分かれる必要のあるギミックもある為、腕時計にはタイマーの他に無線機能も付いている。うまく活用してくれ……君達の健闘を祈る』

 

 アナウンスが終わり腕時計を付ける。どうやら側面のボタンを押すと無線機能が作動するらしい。

 

「へー、なんだか面白そうじゃねーですか。早く行きましょうよ一方通行」

 

 絹旗に急かされ俺達は進みだした。

 

 

 

————————————

 

 

 

「短い別れだったな」

 

「五つのどれ選んでも同じ部屋だったのかよ……」

 

「ねぇ見てみんな、何か書いてるよ」

 

 ゴンの言葉に全員が壁にかかった看板を見る。

 

「どうやら五人で多数決を以て何かを決めながら進むルートのようだな」

 

『その通り。そこは多数決の道。全員の協力が不可欠となる難コースだ。諸君らの健闘を祈る』

 

 クラピカの推察に答えるようにアナウンスが流れた。

 

「タイマーがあるぜ。〇×のボタンも付いてるな」

 

「これで多数決を取るって訳か」

 

「そのようですわね」

 

 全員がタイマーを付けると文字が記された扉が現れる。

 

「さっそく多数決か……ってこのドアを開けるかどうかだぁ?そんなもん多数決とるまでもねーじゃねぇか」

 

 レオリオが言いながら全員がボタンを押す。全員〇で扉が開いた。

 

「まぁ、これはチュートリアルのようなものだろう。この先もこういった風に多数決でルートを決めて進むと言う事だろうな」

 

 クラピカの言葉に頷いて一行は扉を通るがまたすぐに多数決が用意されていた。

 

「今度は右か左かだってよ」

 

「またかよ!」

 

 結果は右三人、左二人だった。

 

「こういう時は普通左だろ!?俺はこんな時は左にするって決めてんだよ!」

 

 レオリオが多数決の結果に抗議するが黒子がそれに。

 

「行動学によると人は道に迷った時などに左を選ぶ傾向にあるらしいですの。私が試験官ならそのデータをもとに、左に難度の高いルートを設定致しますわ」

 

「あ、俺もそれ聞いた事ある」

 

「私も黒子の意見に賛成だな。左の法則の事を踏まえると、右の方が難度の低いルートである可能性が高い」

 

 キルアとクラピカが黒子の言葉に反応する。

 

「左の方が選ばれやすいってならなんで右が三人もいんだよ?」

 

「右ですの」

 

「俺も」

 

「私もだ」

 

 レオリオの問いに黒子、キルア、クラピカが答える。

 

「けっ!どうせ俺達は単純だよ!」

 

「それって俺も含まれてる……?」

 

 そう吐き捨てて右に進むレオリオにゴンが苦笑いする。

 

 

 

 進んだ先には吹き抜けのような場所が広がっており、中心にはステージが設けられていた。

 

「向こうに誰かいるぜ」

 

 気づいたキルアの言葉で反対側を見る四人。すると、その中の一人が声を上げた。

 

「我々は試練官だ!お前たちは一対一の勝負を我々五人と一人ずつ行ってもらう。そして多数……即ち三勝以上すればここを通過だ!戦い方は自由、引き分けはなしだ。……この戦いを受けるかどうか多数決を取ってもらおう!」

 

「また採決かよ!いちいち時間の無駄だぜ。ったくよー……」

 

 文句を言いながらボタンを押すレオリオ。〇五人で満場一致で試練を受ける事に。

 

「こちらの一番手は私だ!そちらは誰が出る?」

 

 試練の説明をしていた男が一番手を名乗り出た。

 

「では、私が行きますわ」

 

「おいおい大丈夫かよ黒子。相手の男、見るからにヤバそうだぜ」

 

 心配そうに声をかけるレオリオ。足元から出現したステージへの道を進む。そして、ステージで黒子と男が相対した。

 

「俺の提案する勝負はどちらかが死ぬか負けを認めるかのデスマッチだ」

 

「ふざけんな!黒子はまだガキなんだぞ!そんな危険な勝負受けられるかぁ!」

 

 男の提案に激昂するレオリオに心配ないと手を振る黒子。

 

「私はそれでよろしくてよ」

 

 提案を呑んだ黒子にクラピカとレオリオが息を呑むが、反対にゴンとキルアは何も心配する事はないと言わんばかりの顔をしている。黒子の返答に笑みを浮かべた男が構えた。

 

「それでは……勝負!」

 

 開始の合図と共に黒子に迫る男。目前までやって来た男が黒子に手を伸ばし触れようとした瞬間、黒子の姿が消え男と入れ替わる様にその背後に現れた。

 

「「「なっ!?」」」

 

 レオリオと試練官達、そして男から驚愕の声が上がる。そのまま黒子は男の背中を服ごと掴むと今度は二人共の姿が消え、ステージの淵……崖際に二人が現れた。男は崖を投げ出されるように現れている。黒子に掴まれていなければ、そのまま奈落の底まで落ちてしまうだろう。

 

「こ、これは、どうなっているっ!?」

 

 狼狽する男に黒子は簡潔に述べた。

 

「降参か奈落の底か、どちらを選びますの?私としては降参をおすすめいたしますが?」

 

 黒子の忠告に息を呑む男。

 

「……降参する。私の負けだ」

 

 降参宣言を聞いた黒子が男をステージに引き上げる。安全圏に戻った男は安堵の息をついた。そんな男を放って黒子が自陣に戻って来た。

 

「これでまずは一勝ですわね」

 

「お、おう……何ていうかお前、強かったんだな」

 

 涼し気な顔で戻って来た黒子に若干ビビった様子で声をかけるレオリオにキルアが話し掛ける。

 

「だから大丈夫っつったじゃん。黒子があの程度のやつに負ける訳ねぇだろ」

 

 

 

————————————

 

 

 

「絹旗、数字とマークの組み合わせはどうなってる」

 

「一番が蛇で二番が魚、三番が山羊、四番が人間ですねー」

 

 無線でやり取りする絹旗の返事通りに手元のパネルを組み合わせる。すると離れた位置から何かが動く音が聞こえた。

 

「どうやら開いたみてェだな」

 

「じゃーさっきの場所で合流しましょうか」

 

 来た道を戻って絹旗と合流した。開いた扉の先を進む。

 

「なんていうか、ただの協力型の脱出ゲームって感じですね」

 

「ギミックだけならそうなンだがなァ」

 

 進んだ先にあったのは、振り子の様に揺れる刃や飛び交う大量の矢だった。

 

「まァたこれかよ」

 

 先程から協力型のギミックと、この殺意が高めの絡繰り仕掛けを交互に突破している形が続いている。常人には危険なんだろうが、正直俺と絹旗の二人にとってはほぼ無い様な物だ。二人で刃や矢を受け止めながら進む。

 

「ギミックはゲームみたいで超楽しいんですけどね」

 

 しばらくギミックと絡繰りを交互に突破していくと広間にでた。そこにいた二人の男の内の一人が声をあげる。

 

「よく来たな!俺達はこの絡繰りの道の試練官だ。ここを通るには俺達の試練を受けてもらう」

 

「試練の内容は絡繰り鬼ごっこ!広間に仕掛けられた罠を避けながら俺達二人を捕まえる事が出来れば試練突破だ」

 

 やはりと言うかこっちのルートでも受刑者による足止めはあるらしい。

 

「へー、鬼ごっこですか。随分と平和ですね。てっきりデスマッチとか言い出すかと思いましたよ」

 

「そォは言うけどこれまでの道中からして罠は致死性の物だろうけどなァ」

 

 広間を見る限り仕掛けの様な物は見当たらない。

 

「試練を受けるかどうか決めてくれ!」

 

「受けるに決まってンだろ」

 

 試練を受ける旨を伝えると、床には回転刃や地雷らしき物が、壁には先程までの道中の様に矢の罠が現れた。これらを掻い潜って試練官を捕まえなければならないという事だろう。確かに普通なら厄介そうな試練だ。わざわざ鬼ごっこを指定するくらいだから逃げ足に自信がある事もうかがえる。

 

「では、試練開始だ!」

 

 そう言って試練官二人が動き出すと同時に罠も作動した。

 

「お前は左を捕りに行け。俺が右を捕る」

 

「りょーかいです」

 

 

 

————————————

 

 

 

 これまでにこの絡繰りの道で幾度となく試練官を務めて来た男達は新たに来た受験者にほくそ笑む。

 

(ここに仕掛けられた罠の配置にタイミング、矢の軌道……その全てを俺達は把握している。位置取りに気を付けて逃げ続ければ罠で勝手に沈んでくれるんだから楽勝だぜ。俺達の刑期は残り百年と少し、後何回かこれを繰り返せば晴れて自由の身さ)

 

 笑いながら安全圏に立った男が見たのは、罠を無視して一直線に向かってくる白髪の少年だった。進路上の刃は砕かれ、矢は弾かれている。

 

「へ?」

 

 そのまま顔面を掴まれ、男の意識は暗転した。

 

 

 

————————————

 

 

 

 気絶させた試練官を床に捨てる。絹旗の方を見ればもうひとりの方を殴り飛ばしていた。二人が行動不能になった所で罠が停止し、奥の扉が開いた。

 

「随分と呆気なかったですね……」

 

 拍子抜けした様子の絹旗が言いながら寄って来た。

 

「スタート時の動きに迷いがなかった、多分こいつら安置知ってたンだろ。立ち止まった時明らかに気が抜けてたしな」

 

「それはまた超狡い事しますねー」

 

 倒れている男を足で小突く絹旗。

 

「本来なら安置に陣取って受験者が近づいて来たら別の安置に…ってな感じで立ち回ろうとしてたンだろォな」

 

 残念ながら俺達相手にそんな悠長な真似をする暇はなかったわけだが。

 

「まー、今更どうでもいい事ですね。先に進みますか」

 

 

 

————————————

 

 

 

 黒子の勝負後、ゴン、クラピカに続き勝負にでたレオリオ。クラピカの相手の気絶のフリを看破し一勝を確定させたが……。

 

 

 

「すまねぇ、勝てると思ったんだが……」

 

 女囚人との賭け勝負に負けたレオリオが悔しそうに戻って来た。

 

「黒子、ゴン、私の三勝で試練には勝利したが、今の勝負で負けた50時間を支払わなくてはならない」

 

「残り時間は60時間切ってるぜ。ペナルティ含めたら10時間もないじゃん」

 

 苦い表情をするクラピカに、タイマーを確認するキルア。

 

「とりあえず、早く50時間を消化して進まなければなりませんの」

 

「そうだな。おい!俺達が三勝したんだ!ここを通ってもいいんだよな!?」

 

 黒子の言葉に頷いたレオリオが試練官に問いかける。

 

「ああ、ここを通ると小さな部屋がある。そこでペナルティの時間を過ごして……「待て」

 

 男の言葉を遮って奥から大柄な男が出て来た。

 

「久々にシャバの肉を掴めると思ってみれば終わりだと?俺は何のためにここに来たんだ?」

 

 そう言ってフードを取り去った男を見てレオリオの顔色が変わる。

 

「解体屋ジョネス……!百人以上を殺した大量殺人鬼だ。何よりやばいのは犯行の全てが素手で行われた事……、奴は素手で人間の肉をむしり取っちまう」

 

 息を呑むゴンにつまらなさそうに話を聞くキルア。

 

『ふむ、そうだな……。ではこうしよう、君達に一つ提案だ。ここにいる彼と戦い追加の勝利を得た場合、この先で有利な道を解放しよう』

 

「はぁ!?ふざけんな!なんで勝ったってのにあんなヤバい奴と戦わなきゃなんねぇんだ!」

 

 アナウンスに反論するレオリオを余所にキルアがステージに進み始めるが、慌ててレオリオが止めに入った。

 

「何やってんだキルア!俺達はもう勝ってる。あんな殺人鬼相手にする必要はねぇ」

 

「そうは言っても実質10時間切ってるんだぜ。残りの道がどれだけあんのか分かんないんだから少しでも有利にしとかないとだろ」

 

「そりゃそうだけどよ……っておい、キルア!おい!」

 

 そのままレオリオの制止を無視してキルアはジョネスと相対した。尚も止めようとするレオリオを黒子が抑える。

 

「キルアなら大丈夫でしょう。もし何かあれば私が介入しますの」

 

「……そん時は俺も行くからな」

 

 

 

————————————

 

 

 

「時間ないから早いとこすませたいんだよね。どっちかが死ぬまででいい?」

 

「いいだろう。だが、これから行われるのは一方的な虐殺だ。お前は……」

 

 提案を呑んだジョネスの話の最中にキルアが動き出す。緩やかに動き出し、一瞬ですれ違う様に移動したキルアの手の中には血を噴く心臓があった。自身の心臓が失われた事に遅れて気づいたジョネスが手を伸ばすも数歩もしない内に倒れ込む。投げ出されたジョネスの手に心臓を返すキルア。

 

「これで有利な道進めるんだよな?」

 

『ああ、見事だ。この先の道は最短ルートを開放しておこう』

 

「……では、この先の部屋でペナルティの時間を消化してくれ。時間が来れば先へ進む扉が開く」

 

 道を空けた試練官の男が告げる。ゴンからキルアが暗殺一家のエリートである事を聞いたレオリオとクラピカは冷や汗をかきながら合流したキルアを見た。

 

「……?なんだよ?」

 

「え?いや……お疲れ様ですぅ」

 

 二人の視線に気づいたキルアに動揺しながらも労いの言葉をかけるレオリオ。一行はペナルティの為に部屋に移動するのだった。

 

 

 

 




トンパが完全に空気になってるけどしょうがないですね。一応理由としてはそもそも一方通行達は最初にヒソカと仲良さげにしてたから狙いから外して、その後ゴン達もその一方通行達と絡み始めたんで狙いから外してって感じです。

キルアのジョネス戦、原作の心臓握りつぶすのもいいけどアニメ版の手に返す方が好き。その後のレオリオのお疲れ様でぇす!も含めて。

一方通行と絹旗の方のルートは正直適当。
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