とある狩人の一方通行   作:爪楊G

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投稿です。

評価、感想ありがとうございます。感想は返事は出来てないですけどしっかり読まさせてもらってます。

執筆速度的に投稿は週一くらいになりそうですね……。


14話

 

 

 

「もうここで過ごして二日くらいになりますよ。超暇すぎて死にそうです」

 

「後7時間くらいだろ。我慢しろよ」

 

 愚痴を言う絹旗にそうは言うが気持ちは分かる。結局20時間も使わずにゴールした俺達は、ゴール地点の広場で約二日の時間を過ごしていた。寝具もなければ暇つぶしの道具などもない場所で二日も過ごすのは苦痛以外の何ものでもなかった。

 

「こんな所じゃ寝るくらいしかする事ないじゃねーですか……。膝借りますよー」

 

 そう言って了承を待たずに人の膝を枕にする絹旗。何なら俺が寝る時も膝や腹を枕にしてくる。挙句の果てには能力で低反発的な感じに出来ないのかとまで言ってくる始末だ。俺も寝心地悪すぎて何回か膝貸して貰ったから文句は言わないが。

 

 溜息を吐きながら能力を使って寝心地を調整してやる。

 

「おー、これですよこれ。能力使ってくれないと若干骨ばってて寝心地悪いんですよねー」

 

「ったく、あれこれ注文ばっかしてきやがって」

 

 最初の内は寝心地についてあれこれ注文してきて、それを事細かに調整するという七面倒な事をやらされていたがそれなりの暇つぶしにはなったので付き合ってやった。今では完璧にこいつの頭に合わせたベクトル低反発膝枕を提供出来る程だ。

 

「いいじゃねーですか。後で膝枕してあげますから」

 

 そんな感じで絹旗に膝を提供しつつ、手の平でオーラを動かしながら暇を潰すのだった。

 

 

 

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「まさか最後の道が滑り台になってるなんてね!」

 

「ケツいてー、黒子は大丈夫かよ?」

 

「乙女に聞く事じゃないですわよ、キルア」

 

 ゴン、キルア、黒子が最下層に姿を現した。それに続いてクラピカとレオリオが現れる。

 

「こっちは滑り台なんて歳じゃねぇんだよ……。ケツが焼けると思ったぜ」

 

「まったくだ」

 

 無事ゴールにたどり着いた黒子達が広場を見渡すと絹旗とその膝を枕にして眠る一方通行の姿があった。それを見るや否やダッシュで二人に寄る黒子。

 

「ちょっと絹旗?私が電流に地雷にと奮闘していたにも関わらず、お兄様に膝枕なんて何を羨まけしからんことをしているんですの?」

 

「黒子が遅いのが悪いんじゃねーですか?いやしかしすごいですね一方通行は、髪が超さらさらで超ふわふわじゃねーですか。いくら触っても飽きませんねこれは」

 

 寝ている一方通行の髪を撫でながら言う絹旗を凄い形相で睨む黒子。遅れてゴン達がやってくる。

 

「俺達は必死こいて進んでたっちゅーにいいご身分だぜこいつは……」

 

「そうはいっても俺達もあの部屋で50時間ものんびりしてたけどな」

 

 恨めし気なレオリオにキルアが言う。

 

「しかし、制限時間まで残り3時間ですか。結構ギリギリでしたね」

 

「絹旗たちはどのくらいでゴールしたの?」

 

 会話する絹旗とゴン達を余所に黒子が一方通行ににじり寄る。

 

「18時間くらいでしたね。二日もこんな所で待たされたんですよこっちは」

 

「まじかよ。あそこで50時間過ごしたの、ある意味良かったのかもな」

 

 それから三時間、休憩しながら制限時間までそれぞれが待機していた。

 

 

 

————————————

 

 

 

「お兄様、起きてください」

 

 目を覚ました俺の視界には黒子の顔。絹旗に膝を借りていた筈だがいつの間にか入れ替わっていたらしい。起き上がると同時に試験終了のアナウンスが流れる。

 

「おはようございますの」

 

「あァ、そンなに寝てたのか。お前達もいつの間にかゴールしてるしよォ」

 

 立ち上がり背筋を伸ばすとパキパキと音が鳴った。

 

「起きましたか一方通行。どうやら外に出るみたいですよ」

 

 絹旗に言われ周囲を見ると受験者達が外に移動していたのでそれに続く。

 

 

 

「タワー脱出おめでとう。第四次試験はこの27名で行う事になる」

 

 外に出た俺達を試験官の男が出迎えた。

 

「諸君には四次試験の会場であるゼビル島に向かってもらうんだが……。その前にくじを引いてもらう」

 

 そうして用意された箱からタワーを脱出順にくじを引いていく。順番が回って来た俺の引いたカードには53の数字が書かれていた。

 

 

「引いてもらったカードに示された番号の受験生がそれぞれのターゲットだ。自分のプレート、ターゲットのプレートは三点、他は一点。四次試験通過に必要なのは六点。そして期限は一週間。非常にシンプルな試験だろう?」

 

 受験者達が周りを見渡すが既に多くは自身のプレートをしまい込んでいた。

 

「一方通行は何番でした?」

 

 聞いて来た絹旗に53の数字が書かれたカードを見せる。絹旗の手には281のカード、黒子は198だった。

 

「他の受験者の番号あんま気にしてなかったんで誰か分からないんですよねー。もうみんなプレート外しちゃってますし」

 

「私はあの三兄弟の誰かなのは分かるんですけども」

 

 ゼビル島への船に乗り込んだ俺達はターゲットについて話す。

 

「お前らこの試験が来るのは分かってたのに何で番号確認してなかったンだよ……」

 

「いやー、確かにそーですけどいちいち他の奴らとか気にしてられねーじゃねーですか」

 

 絹旗の言葉に呆れてしまうが黒子も同様らしい。

 

「はァ……、281はあいつだ。髪結んでる鼻でけェ奴。198は三兄弟の一番小せェ奴だ」

 

 俺の言った受験者に視線を向ける二人。まぁ正直見つけさえすれば楽に奪えるだろう。

 

「流石ですわね。お兄様のターゲットは?」

 

「俺はあいつだ。ポックル」

 

 原作では合格者のひとりだった男だ。後にキメラアントに念の存在を知られる原因ともなる。

 

「……これ、原作の流れ変わっちまうんですかね?」

 

「さァな。ただ、変わるにしてもマシな方にはなるだろォからあンま気にする必要もねェだろ」

 

 原作の事を考えて見逃そうと言う気もない。これでもし仮に、蟻達に念の概念がなくなるなら犠牲者が減るのは間違いないのでどちらかといえばむしろここでポックルには落ちてもらう方がいいとまで言える。

 

「まぁ私達が存在する時点で物語通りに進む事はないでしょうし」

 

 正直、原作の流れをどうするかは俺達の中でも決めていない。キメラアントは被害の規模が洒落にならない程度にはあるので変える方が望ましいんだろうが、下手に未来を変えようとして被害が大きくなる可能性がゼロじゃない……というか十分にあるからだ。この辺はもうその時々に判断するしかないとも思っている。

 

「そういうこった。考えるのは何かが起こった時でいい」

 

 

 その後はやけに膝枕をしてきたがる黒子をいなしたり、クラピカと話したりしてゼビル島までの時間を過ごした。

 

 

 

————————————

 

 

 

 ゼビル島に着き、三次試験の通過順に受験者が下船し始めた。

 

「ンじゃ、それぞれ六点集めたら集合でいいな」

 

「了解でーす」

 

「分かりましたの」

 

 そう言って船を降り、背の高い木が生い茂る森を歩く。ポックルは俺の前に下船していたので既にこの島のどこかにいる筈だ。しかし、急ぐ必要もないのでまずは一週間快適に過ごせそうな場所を探す事にしよう。

 

「今度は一週間もこンな所で過ごさなきゃなンねェのか……」

 

 大きな溜息を吐いて俺は歩を進めた。

 

 

 

————————————

 

 

 

 自身のターゲットであるヒソカからプレートを奪う方法を思案していたゴンは、偶然他の受験者の姿を見つけた。その後方にはもう一人の受験者が。

気配を消し行く末を見守る。一人が後方から不意打ちで矢を放つ、もう一人は咄嗟に反応して肩に掠める程度に済ませた。向かい合う両者に戦闘が始まると思ったゴンだったが、矢を受けた男が急に倒れてしまう。

 

「矢には即効性の痺れ薬が塗ってある。一週間はまともに動けないだろうけど、死にはしないさ」

 

 倒れた男の懐を漁り出すもう一人。

 

(すごい、これが狩りなんだ!)

 

 ゴンが目前の狩りに感心している間にプレートを見つけ出した男が立ち上がる。そして何かを口にしようとした瞬間、音もなく上から降りて来る一方通行。突然の事に反応が遅れ、一方通行に首を掴まれた男は気絶してしまった。

 

「まさかこォも早くにターゲットを見つけられるとはなァ、運が良かったぜ」

 

 呟く一方通行が男のプレートと、ついでにもう一つのプレートを回収する。

 

(そうか!相手が獲物を捕らえて安心した瞬間……、それか、捕らえる瞬間なら隙が生まれるし動きも読みやすい。それなら俺でもヒソカからプレートを奪えるかもしれない!)

 

 格上のヒソカからプレートを奪える可能性を見出したゴン。そんなゴンに視線を向け、後ろ手に手を振りながら一方通行は去って行った。

 

「き、気づかれてたんだ。すごいや、一方通行……よし、まずは釣り竿で目標を捉える特訓からだ!」

 

 自身に気づいていた一方通行を見送り、気合を入れたゴンは特訓を始める為に歩きだした。

 

 

 

————————————

 

 

 

 下船後、同じく三兄弟をターゲットとするキルアと行動を共にしている黒子。

 

「俺達のターゲットがあの三人組だって分かったのはいいけどさー、結局このバカ広い島の中から探し出さなきゃならないんだよなー」

 

 スケボーをクルクルと回しながら歩くキルア。

 

「おそらく三人で行動しているでしょうから、他の受験者よりかは見つけやすいと思いますわよ」

 

「そうだな。ところで黒子、気づいてる?」

 

 立ち止まり、振り返ったキルア。黒子もつられて止まる。

 

「尾行でしょう?下船した時からずっとですの」

 

「まー気づいてるよな。……なぁ!バレバレだぜ、ずっと尾けてんの!出て来いよ!」

 

 声を上げるが反応はない。

 

「放って置いたらいかがですの?どうせ時間がたてば痺れを切らして出て来るでしょう」

 

「それもそうか。腹減った!なんか食えるもん探そうぜ」

 

 

 

————————————

 

 

 

「もー、全然見つからねーじゃねーですか……。良く考えたら一方通行と行動して円とか能力使って探して貰えば良かったかもですし」

 

 二日目になり、ターゲットを求めて森を進む絹旗だったが愚痴りながら歩いていると不意に人影が目に入った。

 

「あ」

 

「え?」

 

 偶然にもターゲットの男と遭遇し、一瞬の硬直の後仕留めようと動こうとしたが後方から物凄い形相をしたヒソカがやってくる。

 

「ちょ、そいつ私のターゲットなんですけど!」

 

 絹旗の言葉に後ろを振り返り、遅れてヒソカを発見した男は慌てて剣を抜く。男を挟むようにして走る両者だがヒソカの方が僅かに早かった。トランプで男を切り捨てたヒソカはそのまま絹旗に向かってくる。

 

「昂っちゃって仕方がないんだ……少し付き合ってくれよ♠」

 

「超嫌に決まってるじゃねーですか!」

 

 舌打ちしながらヒソカに向かって拳を放つ絹旗。避けられて腹に一発喰らうがダメージを負った様子もなく今度は逃げる動きを見せる。

 

「硬いね、君も彼と似た様な能力なのかな♦」

 

 呟くヒソカが腕を大きく振るうと絹旗がそれに引っ張られたように体勢を崩す。顔面に一撃入れられ吹っ飛ぶが、またも引き寄せられるようにしてヒソカに向かって行く絹旗。

 

「安心しなよ。殺しはしないさ♠今はまだその時じゃない」

 

「くそ、さっきの殴られた時ですか……」

 

 凝で伸縮自在の愛が自らの腹部に付着しているのを確認する。仕方なく応戦しようとするが、伸縮自在の愛で動きが制限されている為思う様に動けない。一方的な戦いが続く中、再度ヒソカが引き寄せようと腕を引こうとしたが動かない。

 

 

 

「あーもォ超うざってェですね!昂ってるンだかなンだか知らねェけど勝手に気持ちよくなってろクソがァ!」

 

 ダメージがほぼないとはいえ、一方的に嬲られ続けて我慢の限界を超えた絹旗が吠えた。伸縮自在の愛を掴み思いきり引っ張る。先程とは比べ物にならないパワーで逆に引き寄せられるヒソカ。

 

「死ねェ!」

 

 そのまま顔面に拳を叩き込まれ吹っ飛ぶヒソカに何処からか飛来した釣り針がプレートを掠め取った。二人が戻って行く釣り針に視線を投げるとそこにはプレートを手に持ったゴンがいた。

 

「あァン?……あー、そォ言えばこンな感じでしたね」

 

 何かに納得したような様子の絹旗と静かにゴンを見つめるヒソカ。慌ててその場から逃げ出したゴンに二人の戦闘が止まる。

 

「へぇ……、もう満足したから失礼するよ♥僕が殺した男のプレートはお詫びにあげる♥」

 

 ヒソカはそう言って、逃げて行ったゴンを追うように去って行った。

 

「チッ、勝手に襲って来て勝手に逃げンのかよ。まァいーですけど」

 

 ターゲットのプレートを手にして絹旗は一方通行達と合流する為に歩き出した。

 

 

 

————————————

 

 

 

 歩く黒子とキルアだったが、キルアが突然立ち止まる。

 

「もう一日中尾け回されてるぜ、いい加減うざくなって来た……こっちから行っちまおっと」

 

「まぁ、そろそろ頃合いでしょうかね」

 

 痺れを切らしたキルアが尾行者に向かって近づいていく。黒子もそれに続き歩いていると三兄弟の二人が現れ、草陰からもう一人も現れた。

 

「まだプレート奪えてなかったのかよお前!いくら二対一だからって相手はガキ二人だろうが!」

 

「ち、違うよ兄ちゃん。子供相手に可哀そうだから穏便に済ませてあげようと……」

 

「嘘つけよ、まったく……」

 

 姿を現した三人の姿にキルアが笑みを浮かべた。兄二人に叱咤された弟が渋々前に出て来る。

 

「どうせ一点にしかなんないと思ってたけどあんたらだったんだ。丁度良いや……黒子」

 

 キルアの呼びかけに頷いた黒子の姿が消え、前に出て来た弟の背後に現れる。突然の事に動揺した三人の隙をついてキルアがターゲットである次男の背後に移動した。キルアは爪先を首筋に突きつけ、黒子も鉄芯を突きつけている。

 

「動かない方が良いよ、俺の指ナイフより切れるから」

 

「私の鉄芯も鋭利さには欠けますが、首に突き刺す程度なら容易い事ですの」

 

 二人の脅しに素直にプレートを渡した二人。ターゲットのプレートを手に入れた黒子とキルアはその場を後にした。

 

 

 

「私はお兄様と合流致しますが、キルアはどうしますの?」

 

「ついでだから俺も行こっと、一人でいても暇だし……でも見つけられんの?」

 

「問題ありませんわ」

 

 キルアの言葉を受け、黒子が木の上に登り凝を行う。ある場所から柱状のオーラが立ち上っているのを確認して木から降りた。

 

「こちらですの」

 

「今ので何が分かったんだよ……」

 

 疑問を覚えながらもキルアは黒子の後に続いた。

 

 

 

 

 その後、一方通行と先にいた絹旗と合流し、四人で試験終了まで時間を過ごすのだった。

 

 

 

 




ゴン君、せっかくヒソカが獲物を仕留める瞬間を狙う特訓してたのに結局ぶん殴られて吹っ飛んでる所を狙う事になった模様。しょうがないね。

三人のターゲットは割と適当に決めてます。ポックルがここで脱落した事で蟻編に変化があるかどうかはその時の作者次第です。



絹旗の膝枕、柔らくて寝心地良さそうですよね。してもらいてぇ……。
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