ハンターハンター要素がほぼありません。
次話かららしくなってくると思います。多分。
「……ンァ?」
目を覚ました俺は周囲の惨憺たる光景に一瞬硬直したが、それを作り出したのは
自分だという事を思い出して立ち上がった。
「痛ェ……クソ……、ばかすか殴りやがって木原君の奴……」
体中に痛みが走っている。
原作同様、能力に頼りきりで貧弱な身体の俺はダメージから未だに回復していなかった。
最初は能力に加えて身体もある程度鍛えれば敵なしじゃね?と思っていたが
こんな利便性の塊みたいな能力持ってたら鍛えるなどと言う発想が生まれる訳もなかった。
「携帯は……おォ、まだ動くな。
物騒な世界だけあって携帯も頑丈じゃねェか」
登録してあった連絡先に電話を掛ける。
木原君が割り込んで来た時に話していた研究所の責任者だ。
ジャポンで圧倒的な権力を持つ、世界でも有数の大企業を営む経営者。
勿論、そこまで成り上がったのは俺の能力を研究した恩恵を利用して、だ。
何コールも続く呼び出し音の後に漸く通話は繋がった。
『……あ、一方通行か?』
無視した方が酷い目に遭うと観念して出たであろうその声は震えていた。
「他に誰がいるってンだァ?出るのが遅ェンだよカス」
気が弱いと言う訳ではないが典型的な小物であるそいつは研究所時代に実験で色々と
暴れまわった俺を分かりやすい程怖がっている。
『…木原は、ど…どうしたんだ』
「もうこの世にいねェ奴の事なンて気にするだけ無駄だと思うがなァ」
携帯の向こうで息を呑んでいるのが伝わる。
木原君は謂わば俺を制御する為の首輪だと研究所では認識されていた為、こいつにとって今の俺は
檻から抜け出した猛獣の様な物だ。
「木原君に邪魔された話の続きと行こうぜ?
”俺”で相当稼いだンだろ?今までの分……しっかりと協力金を貰わねェとなァ?」
『……今までずっと不自由のない様に十分な支援を与えて来た筈だ』
俺の翼同様、真っ黒なカードも渡されておりこいつの言葉通り
俺は何も不自由のない生活を送って来た。研究所のクソ共と実験で相殺どころか寧ろマイナスだったが。
「本当にそう思ってンなら笑っちまうなァおい、そもそもお前に拒否権なンてあると思うか?」
俺はこの人生で金の為に働く気などさらさらないので此処で毟れるだけ毟り取って置きたい。
『……いくらだ?』
「1兆ォ」
特に何も考えずに頭を空っぽにして言った金額だが電話の向こうでは悩むような気配を感じる
半分くらい冗談で言ったのだが相手は割と本気で考えているらしい。
俺で稼いだ利益で言えば余裕で1兆など越えているだろうが急にその様な大金を
動かせないだろうと高を括っていたのだが。
『…………………………分かった、口座に振り込んで置く
だから変な気は起こさないでくれ』
本当に通るとは思っていなかったので驚きはしたが都合が良いのでそのまま話を続ける。
「それはお前次第だろォが、今言った金の振込と金輪際俺に関わらない事
お前の関係者が関わって来てもアウトォ……後、カードはそのままにしとけよ」
『それはっ…………いや、分かった。そうする、これでいいか?』
実験で暴れといて良かったと、無茶苦茶な実験を色々と実行していた木原君に少しだけ感謝する俺だった。
「物分かりがいいじゃねェか、それでいいンだよ」
カードの契約はこいつの企業名義でしてあるからな。
カードの請求はこいつの方に行く事になり俺に支払われる1兆は無傷と言う寸法だ。
『…………』
「じゃあ金輪際俺には関わるなよ、約束を破ったら……それはそれで面白ェ事になるだろォなァ。
あァ…、今使ってるホテルも引き払うまではそのままにしとけよォ」
それだけ言い残して通話を終了する。
研究所で支給された物なのでそのまま使うのは気が引ける。携帯を握り潰した俺は歩き出した。
——————
俺は新しい携帯を買う為に街を歩いていた。
ぶっちゃけ連絡を取る様な相手はいないので必要ないと言えば無いが、流石に携帯がないと不便だろう。
こうして街を歩いていると前世とあまり雰囲気自体は変わらない様に思える。
そんな事を考えながら歩いていると
「一方通行?え?超嘘ですよね…?本当に?」
「第一位来たーーーーー!ですの!
ほうら言ったでしょう!あの黒い渦は一方通行の黒翼でしたのよ!」
「……あァ?」
無視できない単語を宣う少女達の声に思わず振り返る。
そこにいたのは赤みがかったツインテールの少女と、
茶髪のショートカットに白のニットワンピースを着た少女だった。
何よりも俺の気を引いたのは……
「その見た目……、ンでもってそのババア声……、白井黒子か……?」
木原君と同じ現地キャラかと一瞬思ったがそれならば俺を知っているのはおかしい。
そしてこの世界では知る人間のいない筈の『第一位』という称号……
「むきぃぃぃぃぃ!絹旗だけでなく一方通行でさえも私のこの声をババア呼ばわりしてーっ!
そんなこと言って嵌り役でしたでしょう!?アニメを見る内に黒子は
この声じゃないと満足できなくなってたでしょうにぃぃぃ!」
何処からかハンカチを取り出して咥えている黒子を無視してもう一人に話しかける。
「お前は絹旗最愛だな……って事は、……転生者」
「超そう言う事ですっ!」
ウインクしながら俺にそう告げてきたのは一方通行や俺が星にした
木原君同様とあるの作品に出てくる学園都市の能力者、
Level4の窒素装甲を持つ暗部組織『アイテム』の一員・絹旗最愛
そして、その傍でピーピー喚いているツインテールも学園都市の能力者、
Level4の空間移動を持つ『風紀委員』の一員・白井黒子。
「…ふぅ、少々取り乱してしまいましたの。
淑女らしからぬ振る舞いは白井黒子として控えなくては……」
「原作からして淑女とは程遠いキャラだろォがお前」
「寧ろ超変態ですね」
俺の指摘に絹旗も乗って来る。
「それは言わないお約束ですの
……この世界で見つけた二人目の転生者、少々お時間よろしくて?」
こっちはこの世界で見つけた初めての転生者だ。向こうが言い出さなければ
俺から提案していただろう。
「此処じゃ何だし、着いて来い」
携帯はまた今度でも問題ないだろう。
——————
「うっわ、此処この辺で一番高いホテルですよ?
流石超第一位……」
「こんな所でキャラ格差見せ付けられるとは……
一方通行……、流石は第一位ですの」
冷蔵庫から缶コーヒーを取り出しベッドに腰掛ける。
「この世界じゃ第一位なンて呼称は存在しねェけどな
……適当に座れ」
「ルームサービス頼んでもいいですか?」
「私も少々小腹がすきましたの…」
「勝手にしろ」
「超おいしいです!流石一流ホテルですよ!」
「ウマいですの!こんなに高級な物初めて食べたですの!」
ルームサービスの食事を馬鹿みたいに貪り食らう絹旗と淑女()
小腹とは何か(哲学)
「お前ら話に来たンじゃねェのかよ…」
コーヒーを片手に呆れながら二人を眺める。
「しょうがねーじゃねーですか、私達二人とも施設暮らしで
贅沢とは無縁の生活を送って来ましたから」
「ほうでふの、ほーうはいでふふぉ」
口に物を詰め込んだまま話すのは淑女なのかどうか疑問に思いながらため息をつく。
「はー、美味しかった」
「美味かったですの……」
二人が漸く食べ終わったので話に入った。
「ンで、転生者らしいが…今まで何して過ごして来たンだお前ら」
俺はある程度原作の一方通行の様な人生を歩んで来たが……。
「正直私達は取り立てて何かある訳ではありませんの」
「私も黒子も生まれた時にすぐ捨てられたんですよ
そこからはずっと施設で育って特に何かした訳じゃねーですね」
予想よりは普通な人生だ。親が不在になるのは転生者の為の処置だろうか。
「能力を使う練習は欠かしていませんわ
物騒なこの世界、能力は私達の命綱ですもの」
「出来れば念能力も習得したかったですが、まずは元々使える能力に集中した方がいいと思って
そっちはノータッチですね」
「そンなもンか」
空間移動に窒素装甲、共に強力な能力ではあるが
この世界を余裕で生き抜けるかとなると断言は出来ない。
「窒素装甲は攻撃力、防御力共にこの世界じゃ結構なもンだろうから十分そうではあるな。
空間移動の場合、攻撃力は当てれば防御力関係なくどンな奴でも倒せる可能性があるが
能力由来の防御手段がねェからな」
それに加え、原作だと空間に作用する能力は演算が難しく
動きが速い物は苦手とされていた筈だ。
この世界は念能力者の場合、普通の人間ではありえない速度で動き回る事から、
相性はあまり良くないだろう。
「そうなんですの、対象の動きが速いと演算が安定しないので
戦いとなると正直あまり自信はありませんの」
予想通り、あまり能力の練度は高くないらしい。
原作での戦闘力は風紀委員としての経験の多さも要因の一つだろう。
「一方通行の方はどう何です?
こんな良い所に住んでるって事はやっぱり超勝ち組人生歩んでるんですか?
って言うか最初から気になってたんですが何で怪我なんてしてるんです?」
「勝ち組とは……言えなくもねェかもしれねェが…」
俺の人生の大まかな流れを二人に話す。
「何故貴方は原作と似た様な人生を歩んでいるのか気にはなりますが
それよりもこの世界に木原数多がいた方が驚きですの…」
「念能力+木原神拳とか良く勝てましたね……
まぁその怪我とあの翼が出たって事はそれなりに追いつめられたんでしょうが」
木原君が存在した事に驚いてる二人だったが
木原君がいたお陰で俺の存在に行き着いた面もある為、微妙な心境何だろう。
「もう星にしてやったがなァ」
「しかし木原とは……本当に転生者じゃなかったんですの?」
この世界にいない筈のとあるキャラだ、どうしても疑ってしまうのだろう。
俺も最初は疑ったのだから仕方がない。
「あァ、それは間違いないし
何で木原のクソがこの世界にいたのかは見当はついてる」
「何なんですか?」
割と出会ってすぐの頃に仮説は立てていたが。
「アイツも込みで特典って事だろうな」
そう言った俺に二人は良く分からないような顔をしている。
「制御の利かなくなった能力もそうだが
メインの役割は黒い翼に覚醒させる為だったンだろうな
……そこまで込みで『一方通行』って事なンだろ」
追い込まれたら発動する黒い翼。
逆に言えば追い込まれなければ発動しないという事だ。
そして、考えうる限りハンターハンターの世界で
俺を追いつめられそうなキャラは思いつかない。
そんな俺の黒い翼を引き出させる為の舞台装置と言う事だろう。
「はぇ~、分かる様な分からないような……」
「一方通行だけ環境の整い方が段違い、
どこまでもキャラ格差を感じますの……」
「格差って言うけどボコボコにされたンだぞ俺
それに空間移動とか王にすらワンチャン勝てる能力なンだからお前も十分過ぎるだろ。
窒素装甲だって滅多な事じゃ致命傷なンて負わないだろうしなァ」
攻撃力最強の空間移動に恐らくはウヴォーギンに匹敵する防御性能を誇る窒素装甲だ、
大抵の奴ならどうとでも出来るだろう。
「って言うか何で私達全員とあるのキャラ何ですかね?
恐らく一方通行も作品を指定されたんですよね?」
まだ納得のいってなさそうな顔をする黒子を無視して絹旗が俺に問いかける。
「そォだな、指定の理由は……あンま種類の違う作品が入り乱れ過ぎると世界がバグったり
でもするンじゃねェの?知らねェけど」
思いつくのはその程度の物だ。そこの仕組みに関しては神のみぞ知ると言う奴だろう。
「しかも私も黒子もほぼキャラのまんまっぽい感じですし、
一方通行も滅茶苦茶原作の感じそのままですよ」
「確かにその通りですわね、特に違和感なく今のままで生きて来ましたが
貰った特典はキャラの能力と容姿だけですもの」
そこに関しては既に俺の中で答えが出ている。
「そんなもン俺達が学園都市の能力者だからだろ」
「どういう事ですの?」
絹旗も頷きながら俺を見て来る。
「俺達能力者の力の根幹にあるのは”自分だけの現実”だ
そして”自分だけの現実”は能力者自身の精神性に深く関係してる……ここまではいいな?」
二人が頷く。
「要するに、そのキャラの容姿と能力だけ貰ってもその人格、精神性が大きく違えば
能力が変質……下手すりゃ機能不全を起こして使い物にならない可能性だってある
その辺りを防止する為に、能力の使用に問題ない程度に調整が入ってるンだろ」
「なるほど、”自分だけの現実”……
そう言われるとしっくり来るんですの」
「流石、超第一位の頭脳ですね」
一方通行の頭脳関係なく、とあるに多少詳しければ思いつく程度の物だ。
「ま、別に何か不便がある訳じゃねーんで
私は超どうでもいいんですけど」
「私も同じですわ」
「精神障害の類も見られねェし
そこら辺は神が上手くやってるンだろ」
話に一区切り着いた所で姿勢を崩す。
「しかしさっきの話を聞く限り一方通行は研究所を出たんですよね?
これからどーするんですか?」
「あァ?……そォだな、この街…って言うかこの国にいたらどうせ何かしらの研究関係者から
接触がありそうだからなァ、来週辺りにはジャポンからは出て行くと思うぜ。
折角のハンターハンターの世界なンだからジャポンだけなンて勿体ねェだろ?」
この能力があればどんな所に行っても大した危険はない。
幸い、金は腐る程あるので適当な場所を回る事にする。
「来週ですの…、でしたら早めに施設の方に手続きをしませんと」
「ですね、荷物はないに等しいんで荷造りはほとんどしなくていーですし」
「と言うか、別にこのまま帰らなくて宜しいのではなくて?
連絡だけ入れて終わりで問題ない気がしますの」
あぁ、そうですねーと絹旗が携帯を弄りながら気の抜けた相槌を打っている。
「何だァ?お前らも施設から出てくのか
どこ行くンだよ?そもそもそンな金あンのか?」
「何言ってんですか?貴方に超着いて行くに決まってんじゃねーですか」
「そうですの」
「…………はァ?」
と言う事で、大能力者二人は黒子と絹旗でした。
選んだ理由については完全に趣味です。
学園都市のLevel4、最かわトップ2なんだよなぁ