一日一万字、感謝の執筆が出来ればいいんですけどまぁ無理ですよね。
ペースは落ちますがぼちぼち投稿していきます。
『ダウーン!!起き上がれない!一方通行選手、またもや一撃KOだぁ!中性的な容姿と、その白く細い四肢に反してこれまでの試合は蹴りの一撃で数々の屈強な男達を薙ぎ倒して来ました!』
振り上げた足を下ろして、リングから降りた。
観客席からは野太い男達の声に混じって黄色い悲鳴が響き渡っている。
『この試合で200階行きが確定した一方通行選手!彼の快進撃はどこまで続くのか!?必見です!』
出入口に向かいながら観客席に視線を投げると、少なくない女性の集団が俺の名が書かれたパネルを持って声を荒げている。
俺が見ている事に気づいた集団はさらに声のボリュームを上げた。もはや悲鳴の域だ。
深く溜息を吐きながら俺はその場を後にした。
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「お疲れ様です、一方通行」
先に試合に呼ばれていた絹旗が既にロビーで待機していた。
「あァ、お前も200階に行ったみたいだな」
「超当たり前じゃないですか、一方通行は聞くまでもないですねー」
そう言いながら用意しておいたであろう缶コーヒーを投げて渡してくる。
試合後はいつも飲んでいるので先に買っておいてくれていたんだろう。
「おう、悪ィな」
そうして一服していると、遠巻きに見て来る集団が複数。
悪意を持った奴らなら容赦なく無視すればいいんだが…。
「流石、一方通行の容姿ですよねー。女の人達のハートを超釘付けですよ」
「言うな、なるべく意識しない様にしてンだ…」
飲み干した缶を握り潰し10mは離れているゴミ箱に放り投げる。
能力で軌道を完璧に操作された缶は、寸分の狂いもなく箱に吸い込まれていった。
たったそれだけで沸き上がる黄色い声、いつも以上に深く大きい溜息が零れる。
「相変わらずですわね…、一方通行」
そこへ黒子が戻って来て、哀れむ様な目で俺を見て来る。
階層が上がる度に比例して注目度は上がって行く。その関係で一方通行の容姿を持つ俺は女性からすればそれなりに魅力的に見える事だろう。
最初は悪い気もしなかったが、ここまで来ると辟易としてしまう。
「しかし、こうなってしまうと今度は貴方と一緒にいる私達が親の仇でも見るような目で見られますの」
「ぶっちゃけ超鬱陶しいですよねー」
「そっちなら俺も慣れてるからまだいいンだが…」
俺達は視線から逃れる様にその場を後にした。
「結局、黒子はまだ200階には行けなかったですね」
あの後、俺と絹旗は200階クラスの登録を行い、ホテルに戻った俺達は漸く落ち着ける場所で話していた。
「仕方がありませんの、私は相手を倒すのにどうしても時間がかかってしまうので貴方達の様に最高評価では上がれませんから」
「それでも190階まで来てンだ。次戦えばお前も200階だろ」
200階登録は終えたが俺はともかく絹旗はまだ戦わない、明日200階に到達するであろう黒子もだ。
ウイングとの邂逅から一週間、アドバイスを貰った二人は纏を習得。今は練の修行を行っている。
この段階まで来れば暫くはひたすら纏の維持と練の修行を行うだけ、十分な練を行える様になれば遂に系統を調べる為の水見式だ。
黒子はすぐにでも水見式をやりたがっているが、原作の二人もある程度の練を出来る様になってから水見式をやっていた為、それに倣う事にする。
俺は既に水見式をやっても問題ないだろうが、別段急ぐ必要もないので二人の練の習熟を待つ事にする。
今のペースであればそう遠くない内にその日は来るだろう。
話を終えて、既に二人は練の修行に入っている。
俺も思考を打ち切って練を行う。絹旗と黒子よりは先に進んでいるだろうが、念能力の道は遥かに長い。
その道を行く者達からすれば、俺や二人の位置は然程変わらないのかもしれない。
オーラ操作技術ではなく、鍛え上げた肉体と磨き上げた精神に依る洗練されたオーラ…それが今の俺に不足している物だ。
それらを得るには近道はなく、地道な修行でしか得る事は出来ないだろう。
二人を一瞥し、練の維持に戻る。近い内に俺だけでも200階で戦ってみる事にしよう。
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三日開けて試合に出た黒子が無事勝利。黒子の200階登録ついでに俺の戦闘日の指定を行う事にした。
「あン、お前ら…」
200階に着き、受付に向かおうとした俺達だが既に先客がいた。
車椅子に座った男に一本の鉄棒と杖で立つマスクの男、そして左腕を欠損した目の潰れた男の3人がそこに立っている。
確かに、ウイングやズシがいるならこいつらがいてもおかしくない。
リールベルト、ギドにサダソ。ゴン達に立ちはだかった新人狩りの3人だ。
「邪魔な所に立ってンじゃねェ、ったく…行くぞ」
3人を睨みながら二人にそう告げる。
横を通ろうとした時、そいつらは声を掛けて来た。
「まぁそうツンツンしないで…ね?」
「君達、200階の戦いはまだだろう?だから俺達が最初の相手になってあげようと思って」
「手加減はしてあげるからさ」
悪意を隠すのが抜群に下手な奴らだ。
原作でもかなり強引にゴン達に粘着していたので隠す気がない可能性もあるが。
「試合登録すンのは俺だけだ。こいつらはまだ戦わねェよ」
「勿体ないなぁ、何なら俺達が試合で稽古付けてあげるからさ」
「ふざけンな、お前らみてェな三下に稽古なンざ付けられる訳ねェだろ。俺の戦闘日に合わせるンなら好きにしろ」
そのまま話を打ち切って受付でいつでもOKで試合を申し込んだ。
申し込み用紙を奴らに見せ、黒子の200階登録を済ませる。
「別に超戦ってもいいんですけどねー」
「まともに練が出来る様になってからだって決めたろォが」
「私は試合なんかよりも水見式がしたいですの」
話しながら受付を後にする。
横目にサダソが申し込みをしているのが映った。最初の相手はサダソか…。
3人の中で唯一、戦っている描写がなかった奴だ。能力は念の左腕だという事は分かっているので然して問題はないと思うが。
「こっからは能力使ったオーラ操作での戦闘実験だ。ベクトル操作を使った超高速流による近接戦闘でどれだけ戦えるかのな」
「っく、どこまでも先を行ってますわね。憎たらしい…!」
「これで虚弱本体を超卒業ですね。モヤシのまんまですけど」
「先にお前で試してもいいンだぞ別に…」
窒素装甲なら良いサンドバッグになるだろう。
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『さぁ!やって参りました!全ての試合を一撃で片づけてここまでやって来た一方通行選手!フロアマスターへの一歩目を今踏み出します!』
歓声の中、今までと比べて一際大きいリングに降り立つ。
『そして対するはこれまで3勝2敗とそれなりの成績を収めているサダソ選手!今日の試合もその不気味な微笑みで相手を見えない左腕で翻弄するのかー!』
対面から現れるサダソ。凝で視認すると既に左腕は準備万端らしい。
左腕を視認できる最低限のオーラを目に集めて他は満遍なく身体に張り巡らせる。
「ポイント&KO制!時間無制限一本勝負!…始め!」
開始の合図と共にサダソの左が向かって来る。
軌道も真っ直ぐで速度もそこまで早くない、右にステップし腕を躱す。
リングに叩きつけられた念の腕は石板の表面に罅を生み出した。
『出たー!サダソ選手の見えない左腕!しかし一方通行選手も見えているのかしっかりと躱している!』
腕は伸び切っていて、本体まで戻るのに時間がかかるだろう。
足にオーラを集中させて全力で踏み込む。素の俺ではありえない速度でサダソへと肉薄する。
「な、何!?」
慌てて左腕を戻そうとしているがもう遅い。
オーラを足から拳へ、そのまま無防備なサダソのボディに一撃を叩き込んだ。
「がはっ!」
俺の拳が届く前に練を行ったが、左腕にオーラの大半を割いているのだろう。
確かな手応えと共に苦悶の声を上げながら吹っ飛ぶサダソ。
「クリティカル&ダウン!プラス3ポイント一方通行!3-0!」
リングに倒れ伏し、中々起き上がらないサダソ。
「ンだよ、その程度か。これじゃ三下以下だぜお前」
それなりに持ってくれるかと思っていたが興覚めだ。
止めを刺す為に近づいて行くがそれでも倒れたままのサダソ。
『痛烈な一撃にサダソ選手起き上がれないーっ!一方通行選手、余裕を現すかのように歩いてその距離を詰めて行きます!』
「…っ!」
残り数m程の距離まで近づいた瞬間、巨大化した念の腕を繰り出して来た。
練の出力を上げ、そのオーラの爆発で腕を吹き飛ばす。
言葉を失っているサダソ。
「はァ…くだらね、実験にもなりゃしねェじゃねェか。もういい、寝てろ」
足を振りぬくと共に音を立てながらサダソの頭がリングへめり込んだ。
それと同時に響き渡る歓声、ピクリとも動かなくなったサダソに審判が駆け寄って来る。
『ノックダウーン!今度こそ本当に起き上がれません!ここで審判がKOを宣言しました!目にも止まらぬ動きでダウンを奪い、最後は得意の蹴りで止めを刺しました!』
この分では残りの二人も期待できないだろう。
そもそも天性の才能があるとは言え念を覚えたてのゴン達に負けるような奴らだ。
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「散弾独楽哀歌!!」
打ち出された駒の大群を踏み抜いた石板の破片で全て打ち落とす。
「何ぃ!?」
『一方通行選手、ギド選手の駒を全て打ち落としてしまいました!これにはギド選手も驚きを隠せません!』
練で受けても良かったが態々喰らってやる義理もない。
そのまま距離を詰めようとした瞬間にギドが高速で回転し出した。
『おおっと、これは竜巻独楽だー!この状態のギド選手を止めるのは至難の業です!』
「ふはは!さぁどうする一方通行。これでお前の攻撃は届くまい!」
オーラを纏いながら高速回転するギド。
自信満々に勝った気でいるようだがぶっちゃけこの技に関しては致命的すぎる弱点がある。
「お前、馬鹿だろ」
姿勢を低くしながらギドへ迫る、そのまま回転の支柱である鉄棒をオーラで強化した足で掬い上げた。
どれだけ高速で回転していても、ただの棒なら奴が纏っている以上のオーラで強化すれば簡単に止められる。
「なぁ!?」
ゴンはギドが落ちた後に止めを刺していたが俺はそこまで待ってやる事もしない。
空中で回転の弱まったギドにそのまま拳を叩き込み、闘技場の壁に吸い込まれていくギドを眺めていた。
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「常人にこの鞭を見切る事は不可能!もはやお前に勝ち目はなぁい!」
「そォか」
学園都市の大気の流れすら演算してのける処理能力を持つ一方通行の頭脳と、凝で強化した視力で鞭の軌道を計算。
オーラで強化された速度でうねる二対の鞭を躱しながらリールベルトに突っ込み、ヤクザキックをお見舞いする。
「おぼぁ!?」
何が起きたか分からないままに吹っ飛んでいくリールベルトは衝撃に耐えきれずにバラバラになった車椅子と共に場外へと崩れ落ちた。
『なんとぉ!?凄まじいスピードでうねる鞭を掻い潜り、リールベルト選手を一撃でノックアウトしました一方通行選手!これで3勝0敗!サダソ選手やギド選手に引き続きリールベルト選手も瞬殺だぁー!強すぎる!』
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「特に戦いらしい戦いにもならずに3連勝しましたわね」
「いいんじゃないですか?楽に勝てるんならそれはそれで」
あれから数日ずつ間隔を空けながら例の3人と戦ったが想像以上に手応えが無かった。
「良くねェよ。あいつらが弱すぎるせいでこっちは実験にもなンねェ…」
他の200階選手の試合も見てみたが、サダソ達と大した差はない様に感じられた。
洗練された念能力者ならそもそも自分の能力が映像として残るという致命的なデメリットがある天空闘技場に来ない可能性が高いとは考えていたが、それにしてもレベルが低すぎる。
「劇場版でズシがフロアマスターに到達してた時点で、ヒソカやカストロの様な実力者はそういないとは思っていましたがそれにしてもですわね…」
「どうするんですか?これ以上戦っても超意味なさそうですけど」
絹旗の言う通り、今の天空闘技場にいる程度の200階選手なら戦う必要性があまり感じられない。
今の時期ならカストロがいてもおかしくはないと思っていたが、ヒソカに負けてからまだ戻って来ていないらしい。
「次は戦闘準備期間が切れそうになるまでは戦わねェ事にするか」
「何はともあれ念の修行ですの!少なくとも年内には水見式をやりますわよ!」
立ち上がり練をする黒子。
「それは黒子の努力次第ですよねー」
「どの道、来年の年始にはハンター試験があるンだ。修行の進行状況はどうあれ試験前に一回はやると思うぞ」
黒子と絹旗も一度は200階での戦闘を行う筈だ。
準備期間が過ぎれば登録が抹消されてしまう為、試験前ギリギリに戦っておかなければ期間の90日が過ぎてしまうからだ。
例え90日を過ぎて登録が消えた所で特に問題がある訳ではないが一回戦うだけなら特に手間でもない。
200階のレベルが思った以上に低かったので、現状の二人でも十分以上に戦える事だろう。
流れる様に処理される3人、俺だったら見逃しちゃうね。
ぶっちゃけサダソってあの3人の中で一番弱そうですよね。
オーラの腕ってそんな早く動かせなさそうなんで凝されたら何にも出来なさそう。
感想の方も返して行こうと思うんで質問等があれば答えられる範囲で答えます。
ネタばれは出来ませんが。