とある狩人の一方通行   作:爪楊G

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少し間が空きましたが投稿。

ハンター読み返してたんですけどやっぱ王位継承戦編は分かりづらいですね。



7話

 

 

 

「はっ!」

 

 空間移動で俺の背後を取った黒子が俺に向かって足を振り下ろす。

円によりそれらの動きを感知した俺は振り向きもせずに黒子の蹴りを左手で受け止めた。

 

 俺が黒子の蹴りを防ぐと同時に今度は絹旗の一撃が迫って来る。

オーラによる強化と窒素装甲が合わさったそれは並の念能力者では防ぐ事は出来ない。

 

 流石にオーラによる防御だけでは諸にダメージを喰らうので能力を使いながらその一撃に右手を合わせた。

触れた瞬間、衝撃と共にオーラすら拡散し完全に勢いをなくす絹旗の拳。

 

 そのまま距離を取っていた黒子に絹旗を投げ飛ばす、空間移動でそれを避けた黒子はまた構えを取った。

 

「ちょっと黒子、何で避けるんですかー!」

 

「当たり前ですの!窒素装甲を纏った貴方なんて受け止めたら只じゃ済まないではありませんか!」

 

「今度はこっちから行くぞォ」

 

 話す二人に一声だけかけてからオーラを溜めた足で踏み込んだ。

狙うは黒子、接近する俺に気づいて能力を使う黒子。

 

 またも背後を取る様に空間移動した黒子だが予想していた事なので瞬時に振り返り、適度に加減した威力のパンチを放つ。

絹旗であればオーラのみではあるが全力で攻撃しても余裕で耐える事が出来るが、黒子は防御力不足の為、加減しなければ怪我をしてしまう。

 

「…くっ!?」

 

 空間移動は自身を連続で転移させる場合に1秒程のラグが発生する。

一瞬で転移した黒子に反応した俺の攻撃を防ぐ事が出来ずに防御したが吹き飛ばされる黒子。

 

 飛んで行く黒子と入れ替わる様に突っ込んで来た絹旗が懲りずに大振りの一撃を繰り出す。

今度は受け止めずに避け、足を払った。転倒した絹旗を片手で抑えて拘束した。

 

「今日はこンくらいでいいだろ。ほら、立て」

 

 絹旗を立ち上がらせて、戻って来る黒子を眺める。

 

「んー、一撃も当てられないのは普通に超悔しいです…」

 

「何だかんだで、一方通行も近接戦闘が様になって来た気がしますわ…」

 

「俺だって体術は素人同然なンだ、お前らが分かりやす過ぎるンだよ。絹旗は馬鹿正直に突っ込み過ぎだし、黒子の方は不意を突こうとしてンのはいいが毎回背後に転移してっから簡単に動きが読める」

 

 新人狩りの三人と戦ってから1か月。

二人がある程度練が維持できるようになってからは実戦に近い組手を行っている。

 

 最初は動きながらの練が全く安定しなかったが次第に動きながらでも練を乱さない様になり、今では戦いながらでも維持出来ている。不意に想定外の事が起きたりすると乱れるがそれも今の内だろう。

 

「練も十分身に付いて来たし、そろそろ水見式で系統を調べてみるか」

 

 これだけの精度で練を維持出来ていれば頃合いだろう。

 

「漸くですのね!この1か月、ひたすら練と組手を繰り返して来た成果を確かめる時ですの!」

 

「黒子程じゃないですけどやっぱり自分の系統は気になりますね」

 

「今日はもう身体を休めろ。明日、万全な状態で水見式をやるぞ」

 

「「はーい」」

 

 

 

   ————————————

 

 

 

 朝食を摂り、軽く纏と練の修行を行った俺達はテーブルの前で佇んでいた。

視線の先には一杯の水が入ったコップ、水面には一枚の葉が浮かんでいる。

 

「ついに…やって来ましたわね」

 

 見るからにソワソワした様子の黒子が言う。

 

「誰からやります?」

 

「誰からでもいいだろ」

 

「はいですの!私からやりますの!」

 

 ブンブンと手を振りながら主張する黒子、特に文句もないので一番手を譲る。

黒子が呼吸を整えてテーブルの前に立つ、そしてコップを包む様に手を添えた。

 

「…行きますわよ」

 

 練を行う黒子。

そして、変化は起こった。

 

「おお!水の中に!」

 

 コップの中身、注がれた水の中に数本の鉄の針が現れ絹旗が声を上げる。

それ等は水の中で揺れる様に浮いている。

 

「水の中に不純物…具現化系か」

 

「うひょおおお!具現化系ですの!」

 

 具現化系か…。系統相性が隣の特質系は使えず、もう一方の変化系も具現化と効果が微妙に被る。

何より強化系と相性が悪いので戦闘に於いてバランスが悪いとされる系統だ。

 

 その代わり具現化した物に特殊な能力を付与する事が出来るので、その能力次第では型に嵌れば強いと言われている。

 

「どんな念能力にしましょう…ぐへへ」

 

 あまり人には見せられないだらしない笑顔で色々と考えているだろう黒子。

いつまで経っても帰って来そうにないのでもう一つコップを用意し、今度は絹旗が挑戦する。

 

「ちょっと緊張しちまいますね」

 

 そう言ってコップに手を翳す絹旗。

身体から溢れるオーラと共に水面が揺らぎ、コップから水がチョロチョロと零れだした。

 

 零れた水がコップを伝い、テーブルに広がって行く。

 

「水が増えた…って事は超強化系ですか!」

 

 絹旗は強化系、黒子の具現化系とは反対に戦闘に於いて最もバランスの良いとされている系統だ。

絹旗の窒素装甲との相性も悪くない筈。

 

 ただし能力も念も近接戦闘に長けた物なので、戦い方は超接近戦型の戦闘スタイルに限定される。

その代わり、念の習熟度によるだろうが肉弾戦では無類の強さを発揮できるだろう。

 

「ほう…絹旗は強化系ですのね。只でさえ脳筋ですのに、それがさらに助長されそうな系統ですの」

 

 いつの間にか戻って来ていた黒子が水が増えているコップを覗く。

 

「おばさんに超言われたくねーですね」

 

「まァ、窒素装甲も強化系もやる事自体はシンプルだからな。単純だが、その分強力な組み合わせじゃねェか?」

 

 揉み合う二人を余所に言い放つ。

これで二人の系統が分かったので、残す所は俺だけだ。

 

「ンじゃ、やるか」

 

 二人と同様、コップに手を添えて練。

 

 水の中に黒い渦の様な物が次第に現れていく、それにより渦を巻く水面。

渦巻く水面によって葉もクルクルと回っている。

 

「黒い渦…、私と同じ具現化系でしょうか?」

 

「いや…待て、違ェ」

 

 水中の黒い渦が滲む様に広がり、水その物が黒く染まる。

そして、渦巻く黒い水の上を回る葉の色が水とは反対に薄く輝く純白へと変わった。

 

 一つだけでなく複数の変化。

 

 通常にはない白く変化した葉。

 

「超…特質系、ですね」

 

 絹旗が息を呑みながら呟いた。

 

「何と言う…、念系統まで特別だと言うんですの?」

 

 斜め上の事で慄いている黒子を尻目に思案する。

 

「特質系か…」

 

 原作では希少性の高い系統と言われており、その念能力は強力な物が多く存在していた。

ただその多くが直接的な戦闘力は低い物が多く、強力だが扱いづらいピーキーな性能の物がほとんどだった。

 

 強化系との相性も最も悪く、単純な戦闘に於いては全系統中で一番適性が低いだろう。

戦闘力だけが念ではないが、この世界では戦闘力がないと呆気なく死んでもおかしくない。

 

 そう思うと考え方にもよるが、得る念能力によって当たり外れが激しい系統と言える。

 

「これは…どうなンだろうな。何とも言えない系統だが、俺の能力の事を考えればこっちの方向性で問題ないのか…?」

 

 戦闘力は正直、一方通行の能力だけで十分に強いと言える。

ならば、直接的に戦闘に絡まないタイプの補助型や条件発動型何かの念能力の方が出来る事の幅は広がりそうだが。

 

「強化系は一方通行にとってはそこまで重要ではないでしょうから、能力では不可能な事が出来そうな特質系は悪い結果ではないと思いますが…」

 

 黒子の言う通り、攻撃力は能力で十分以上に引き上げられるのでそこまでの強化率は必要ない。

操作系は人間の操作以外は俺の能力で出来る事が大半だろうから、操作系も微妙な所だ。

 

 放出系はそれ自体は悪くない気はするが、俺にはうまみの少ない強化系や操作系と隣り合っている為総合的にはやはり良いとは言えない。

 

 変化系はオーラの性質又はオーラ自体の形を変える系統だが原作でキルアが発にしていた電気何かの現象の類なら俺の能力で割とどうにか出来る物が多い気がする。オーラの変形などもっての他だ。

 

 そうなると、残るは具現化系と特質系だ。

俺の能力では物質の具現化等は不可能だし、それ以外に出来なさそうな物は特質系に分類される筈。

 

 そう考えると特質系と言うのは俺に足りない物を補える良い系統と言えるかもしれない。

 

「ただでさえ出来る事が多いのに、念でそれがさらに増えるともう超万能ですねー」

 

「どンな念能力を作るかにもよるけどなァ」

 

 

 

 水見式を終え、コップの水を処分した俺達。

 

「黒子は具現化、絹旗は強化で俺は特質か…。」

 

「まー私は考えて戦うとかあまり好きじゃねーんで強化系で超良かったですかね」

 

 オーラを纏いシャドーボクシングをしている絹旗。

元々窒素装甲を用いたインファイターだったので長所が伸びる形だ。

 

 放出系との相性もいいので窒素装甲にはない遠距離攻撃もカバー出来る。

変化系も窒素装甲にはない搦め手やトリッキーな戦い方が可能になるが、絹旗の性分からしてこっちは使わないと思われる。

 

「私の具現化系や一方通行の特質系は可能な事の幅が広いので、想像力次第な所はありますわね…」

 

「お前はどンな能力にするかは大体検討付けてンのか?」

 

 基本的に発が必要とされない強化系の絹旗は問題ないが、具現化系の黒子は何らかの発が必要になるだろう。

それが念獣なのか特殊能力が付加された物なのかは分からないが。

 

「そうですわね…。どんな能力を付加するかは決めていないですが具現化させる物はこれを使おうかと」

 

 そういって取り出したのは原作でも黒子が愛用していた鉄芯。

能力の訓練で使っている所は度々目にしていたが、まだ実戦で使っている所は見ていない。

 

「ああ、その鉄芯ならずっと使ってきた物なんでイメージもしやすいですよねー」

 

「って事は鉄芯を打ち込む事で何らかの効果を発するタイプの念能力にすンのか」

 

「そういう事になりますわね。効果までは決めていませんけども」

 

「放出との相性が悪ィからあンま身体から離して使うのは得意じゃない筈だがそこは大丈夫か?」

 

 付加させる効果次第では当てれば勝ちの初見殺しにもなり得るが。

 

「そこは考えがあるので大丈夫ですわ。一方通行はどうするんですの?特質系と言う事は取れる選択肢も多いですし」

 

「今は特に考えてねェな。現状能力だけで十分だから急いで作る必要もないし…ま、時間はあるンだ。ゆっくり考える事にする」

 

 今は基本や応用技を高める事に集中すれば良い。

 

「一方通行ならそれでも大丈夫でしょうが、折角の特質系でそれは超もったいない気もしますね」

 

「急いで発を作って、変な物を能力にしてしまうよりは良いと思いますわよ」

 

「そォいう事だ」

 

 発についてはぼちぼち考えていく事にしよう。

 

 

 




と言う訳で三人の系統は
黒子が具現化、絹旗が強化、一方通行が特質でした。

発はまだ大体しか決めてません。

絹旗は強化なので恐らく発を作らない可能性も…



オーラと窒素でぶん殴れ



※ほんの少しだけ黒子の念能力についての会話の描写を変更しました。
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