とある狩人の一方通行   作:爪楊G

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忘れた頃での投稿なので初投稿です(2回目)


8話

 

 

 

 12月も半ば、期限が年内までなので3人分のハンター試験の申し込みを行った翌日。

 

 窓から射す朝日の光で目が覚めた。先に起きていた二人は既に朝食を摂っている最中だ。

部屋から出て来た俺に気づいて二人が此方を見て来る。

 

「あ、起きたみたいですね」

 

「あら、おはようございますの。お兄様」

 

 二人の言葉に適当に返事をしてコーヒーを飲もうと寝ぼけた頭で冷蔵庫を開けて缶コーヒーを取り出したが一連のやり取りに違和感を感じて動きを止めた。

 

「…お兄様?」

 

 違和感の原因である単語を思わず口に出し、最初にそれを言い出した黒子に視線を投げる。

何故自分を見ているのか分からないとでも言う様な態度で首を傾げる元凶。

 

「どうしたんですの?まだ寝惚けているのなら顔でも洗ってスッキリした方が良いですわよ」

 

「いや、寝惚けてンのは俺じゃなくてお前だろォが」

 

「ほら、だから超言ったじゃないですか黒子。流石にそれは無理がありますって」

 

 呆れた顔で言う絹旗。どうやら黒子のふざけた呼称について事情を知っているらしい。

 

「はぁ、仕方がありませんわ。…これには深い事情があるんですの」

 

 真剣な面持ちで話し出した黒子、一応聞くだけ聞いて見る。

 

「ふと思ったんですの。私…原典の白井黒子に比べて些かキャラが弱いな、と」

 

「…いや、そりゃァ同じなのはガワと能力だけなンだから同じにはならねェだろ」

 

 自分だけの現実の関係上、多少精神やら人格を弄られてはいるがそれも最低限の物だ。

中身もいる世界も異なるのだから違いが生まれるのは当然である。

 

「私もそう言ったんですけどねー」

 

 朝食を食べながらどうでも良さそうに絹旗が言ったが黒子は気にせずに話を続ける。

 

「…それでもですの。やはり黒子と言えば風紀委員でありお姉様LOVE、この二つが黒子が黒子足る所以」

 

 自らの胸に手を当て語る黒子。

 

「ンな事言ってもこの世界は風紀委員はないし超電磁砲もいねェじゃねェか。超電磁砲の方は俺達の他に転生者がいたらもしかすると選んでる可能性もあるが」

 

 俺も一方通行が好きなキャラだったから選んだが、そこまで忠実にロールプレイをする気はまったくない。

絹旗も恐らく同じだろう。

 

「そうなんですの、私も学園都市以上に治安が終わっているこの世界で風紀委員の真似事なんて最初から諦めてますわ。そうとなれば残るはお姉様のみ、しかしそれもいるかどうかも分からないのが現実…」

 

「まァお前の言いたい事はとりあえず分かった。それが何でさっきの薄ら寒い呼称に繋がンだよ…」

 

 面倒になったのか俺達のやり取りを無視して朝食を再度食べだした絹旗。

 

「お姉様がいないのであれば、一体誰にこの熱いリビドーを向ければいいのかを考えまして」

 

「そンなもンしまっとけ」

 

「まずお姉様より下の方など論外ですわ。そうなると、やはり序列が上で原作主人公の一人であった貴方が適任かと思った所存ですの」

 

 言いたい事の理屈は分かった…、分かりたくないが。

しかし、暴論に近い理論で何故そうも自信有り気でいられるのか。

 

「そこまで原典に寄せる必要もねェだろ…。そもそも原作での超電磁砲と一方通行なンて相容れねェにも程がある」

 

 原作の一方通行の言葉を借りるなら発端と加害者。互いに許し合う事はないが妹達を守ると言う一点に於いては同じ意思を持っている、程度の認識だった筈だ。

 

「そこまで考えだしたらキリがないので気にしないですの。とにかく!今日からは貴方の事をお兄様と呼び慕いますわよ!」

 

「おい、そンな事言ったらお前の原典云々も気にする必要ねェじゃねェか」

 

「あーあー!聞こえませんわ。早く朝食を摂って念の修行に行きますわよ!アクっ…、お兄様!」

 

 普通に名前で呼びそうになって、咄嗟に言い換える黒子。

 

「無理して呼ばなくても良いだろ…」

 

「まー、勝手にさせとけばいいんじゃねーですか?どうせすぐ飽きると思いますし」

 

「はァ…もういい、勝手にしろ」

 

 諦めて俺も朝食に手を付ける。絹旗の言う通りいずれ飽きるだろうし、その時までは好きにさせる事にする。

 

 

 

   ————————————

 

 

 

 いつもの公園で組手を行っている二人を眺める。

水見式で系統が判明した俺達だが修行の内容は大して変わってない。

 

 纏と練を中心に修行し程々に組手。それに加えて絹旗は流の、黒子は発の為の訓練をそれぞれ行っている。

能力の訓練も各自行っているが、現状は念の方を重点的に修行していた。

 

 俺も円と流を中心に修行を続けている。

 

 流に関しては、速度だけは達人レベルを超えた速さで行える。

今は穏やか且つ滑らかに、相手に読まれにくいオーラの移動を意識して流の訓練をしている。

 

 円に関しては能力なしで50m、使えば550m程まではカバーできる様になった。

円の形に拘らなければ、1㎞から最大1.5㎞程までは射程が伸びる。しかし1.5㎞まで行くと情報の精度は大きく落ちるので実質的には1㎞が限度と思って良いだろう。

 

 今は二人の組手を見ながら円を展開し、公園の外を歩いている人間を利用して訓練している。

ほとんどは微弱なオーラしか出ていない常人が占めているが時折、念能力者と思われるオーラを纏った人間もいた。

 

「こいつは…」

 

 俺の円に強い反応を示す人間が一人。

天空闘技場へ来てから見てきた中で最も洗練された念能力者はウイングだったが、恐らくそれ以上の使い手だ。

 

 その念能力者は円の出所に勘付いたのか公園に入って来て此方に向かって来た。

木に凭れて座りながら円を展開していたが、立ち上がりやって来る誰かに備える。

 

 身長は190cm程度、かなり鍛えられた肉体をしている。

纏うオーラも近づくにつれ好戦的な禍々しい物に変わって行く。

 

 突然立ち上がりあらぬ方向を向いている俺に気づき組手を中断した二人。

 

「急にどうしたんですかー?」

 

 絹旗が問いかけて来るが、そいつがやって来る方が早かった。

 

「良い円だ、此処から外までの距離を展開出来る念能力者はそうはいない♣」

 

 目前に現れて、腰に手を当てながら斜に構え立つその人物。

その様相を一言で表すなら奇術師。原作で度々主人公であるゴンの前に立ち塞がり、所謂ライバル的立ち位置に置かれていたキャラで強者との戦いを求める快楽殺人者。強者や才能溢れる者を見るとエクスタシーを感じる変態でもある。

 

 オールバックをかき上げながら、禍々しいオーラを一層強く放ったその男。

 

 ヒソカ・モロウだ。

 

 

 

 これで原作キャラに会うのは二度目だ。この公園にいたらもう何人か会えるのではとどうでもいい様な事を考えながら目の前の相手を警戒しながら睨みつける。

 

 二人は突然現れた奇術師への驚きとヒソカの濃厚な殺気と禍々しいオーラにあてられて硬直してしまっている。

天空闘技場にいる様な奴らとは比較にならない圧だから仕方ないと言える。

 

 そんなオーラと殺気を向けられている俺だが、ぶっちゃけ木原君よりは全然ましなので硬直するような事にはなってない。

 

「そうかよ。技術を評価してくれンのは良いが、さっきから垂れ流してる殺気が鬱陶しいンだよ」

 

 円を解いて、いつでも襲い掛かられても良い様にオーラを練る。

 

「あぁ、いいよ…君、いいオーラだ♠君は物凄く美味しく実りそうだ…♥」

 

 言葉と共にヒソカの一部が膨張を始める。原作では謎の光でブロックされていたが、現実にはそんな物はなくヒソカのソレが鎌首をもたげる様がはっきりと視界に映る。

 

「チッ、変態かよ…、用がねェならさっさと消えろ。それかその鬱陶しいのを抑えろ」

 

 今ここで戦った所で負ける事はないと思うが、二人がいる為なるべくなら戦闘は避けたい。

原作での振る舞いを見るに、今すぐに戦いが始まってもおかしくないので警戒は緩めないが。

 

「そうツレない事を言うなよ♥君だろ?最近、天空闘技場で有名な王子様って奴は♦」

 

 最近になってファンが囁き出した忌々しい渾名に眉を顰める。

 

「実は僕も闘技場の選手でね♣準備期間はまだ残ってるんだけど年始に用事があって近い内に一度試合を組んでおかなければならないんだ♦本当は試合だけ組んでバックレようと思ってたんだけど…君の噂を聞いて探してたんだ♠」

 

 俺の円に気づいて偶然コンタクトを取って来たのかと思ったが、元々俺を探していたらしい。

 

「噂通り、かなりの使い手だ♥どうだい?僕と一戦、遊ばないか♥」

 

 年始の用事とはハンター試験の事だろう、描写からして原作開始前からヒソカが天空闘技場で戦っていたのは間違いない。試験がどれだけの期間に渡って行われるかをヒソカは分かっていない筈なので試験前に一度、準備期間をリセットしておきたいのは当然だ。

 

 かく言う俺達も原作のタイムスケジュールは大まかにしか分かっていないので、同じ理由で試合を組まなければならないのだが。

 

 ある程度殺気に慣れて来たのか、動けるようになった二人が俺の後ろへ駆け寄って来る。

そんな二人を舐める様に見てこれまた笑みを深めるヒソカ。

 

「う~ん♠君達二人も中々おいしそうだね♣…それで、どうだい?僕と遊んでくれるかい♥」

 

「もし仮に、ここで断ったらどォする?」

 

「そうだねぇ♦だったらいっその事、今ここで…♥」

 

 落ち着きつつあった殺気が再度膨れ上がる。

結局の所、今やるか後でやるかと言うだけ話だろう。

 

「はァ…。どの道、俺もそろそろ試合を組もうとは考えてたンだ。戦ってやるよ」

 

「それは良かった♥日付は僕が決めても良いかな♠」

 

「勝手にしろ」

 

 嘘だったかの様にそれまでの殺気が消え失せ、近づいて来るヒソカ。

 

「じゃあこれ、僕の番号ね♣後で適当に掛けてくれよ…登録しておくから♥」

 

 携帯の番号が書かれたメモを受け取る。一目見て記憶したので、握り潰してポケットに突っ込んだ。

 

「日付を決めたら連絡するよ♠じゃあまた♥」

 

 手を振りながら去って行くヒソカを黙って見送る。

その姿が見えなくなった所で、今まで黙っていた二人が口を開いた。

 

「やっと行きましたね…」

 

「原作で見ているだけでは実感出来なかったですが、実際に相対してみるととんでもないですわね…」

 

「まァ、仕方ねェな。アレは確かにイカレてやがる」

 

 自分以外の存在は全て玩具だと思っている様な奴だ。

方向性としては木原君と似通った所がある。あいつの場合、その感情が俺に集中していたので俺にとってはヒソカよりも木原君の方が厄介だった訳だが。

 

「しかし、ヒソカと試合ですか…。お兄様なら問題ないでしょうが、気に入られて執着されると面倒ですの…」

 

「もう既に超お気に入り認定されてそうですけどねー」

 

「ヒソカレベルとやれる機会なンざそうねェンだ。良い実験相手が出来たと思う事にする」

 

 流石にヒソカ相手にオーラだけで戦うなんて真似はする気にならないので、能力フル活用で戦いには挑む事にする。

 

「試験直前でヒソカに怪我させると原作の流れが変わっちゃいそうですけど、どーなるんですかね?」

 

「そンな事言ったら俺達が試験に参加する時点でもう原作の流れとは乖離するンだ。能力使わない訳にも行かねェし、ンな事気にしたら何も出来ねェだろ」

 

「そうですの」

 

「ま、それもそーですね」

 

 原作でも確かな実力者として扱われていたヒソカなら今の自身のレベルを図るのに丁度良い相手だろう。

 

 

 

 

 




 約半年振りの投稿ですね(震え声)
正直気まぐれ投稿なのでいつまた消えるか分かりません。

 次話は書き上げてるんで近い内に投稿します。
話自体は考えてるんですけど文字に起こすのがね……

 まぁ期待せずに頭の片隅に留めて置く程度に待っててください。
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