「kids滅の刃~部下をキルされた風間さんの復讐~ 後編」
〈2014年2月23日 PM 20:55、ボーダー本部 風間隊室〉
煽りイカ集団VS
ボーダー隊員なら誰もが観戦希望をするであろう世紀の一戦。
初心者を一方的に狩り、蹂躙し、愉悦に浸る極悪人達を風間さんは許さない。
特に
「敵の数が多いさっさと片付けて
先陣を切って意気込む風間さん。
たとえ今日が初めての初心者だろうと関係はない。
古来より悪の栄えた試しなし———。
常に正義は勝ち、悪は最後に滅ぶ
4人はゲーム機本体を手持ちで構え、戦闘に備える。
選択されたステージは「ムツゴ楼」。
2人の当初の予定である「モンガラキャンプ場」での射程の有利こそはなくなりはしたものの
問題は、今日がスプラトゥーンデビューの風間さんが煽りイカ達の餌食にならないかどうかである。
「ちぇ、ムツゴ楼じゃん……あてが外れたね」
「なら当初の作戦通り
「じゃあ、俺は隙を見て通報しておく!」
比較的スプラ慣れをしている菊地原と歌川(+笹森)は、ステージを見てすぐに事前に立てた別作戦を再確認する。
さすがは生配信をするだけあってなのか2人の謎用語は混沌を極める。会話の全てを風間さんは理解できてはいないだろう。しかし、風間さんは頭ではなく、心で理解するッ!
「俺の役目は〝◯まど◯んじろう〟を倒すことだ……」
そして、レギュラーマッチで
合流に成功した煽りイカ達と
総勢8人……否、8体のイカ達が戦場「ムツゴ楼」にて邂逅する。
偶然か、はたまた必然か。
チームは煽りイカ達と
通常、レギュラーマッチのチーム分けはランダムとなっており、知り合い数人と戦う場合でも敵チームになる可能性が高い。
しかし、今回に限っては敵と味方がきっちりと分かれているあたり、これは最早〝運命〟である。
風間さんは敵チームの中でダイナモローラーを片手に一際目立つ紫色の髪をした〝かま◯たん◯ろう〟に目を向ける。
「出たな……〝かま◯たん◯ろう〟……
瞬間
風間さんの脳内に溢れ出した
……〝存在しない記憶〟
頭を吹っ飛ばされ、日光に晒され、
屈辱を浴びせられた記憶——————。
蘇る〝かま◯たん◯ろう〟への敵意。
言いようのない不快感を背に、風間さんはスタート直後からブキである〝スプラシューターコラボ〟で地面を塗りながら疾走する。
少々強引に進んでいく風間さんを警戒した煽りイカ達の1匹 〝かま◯たん◯ろう〟も同じく風間さん狙いでダイナモローラーを引いていく。
(〝かま◯たん◯ろう〟の狙いはやはり風間さんかッ!)
「ムツゴ楼」の北側にほぼ同時に到着した風間さんと〝かま◯たん◯ろう〟。
因縁の2人の対決———しかし、風間さんの背後から歌川が〝スクイックリンγ〟を構えて援護に入る。
(相手はダイナモローラー……縦振りの前に殺し切る!)
一方、風間さんも歌川だけに任せる情けない事はしない。自らもキルを取り、初心者を舐めたこの煽りイカ達に報いを与えるべく、スプラシューターコラボで〝かま◯たん◯ろう〟を狙って射撃を開始する。
すると、意外にも〝かま◯たん◯ろう〟は風間さんの射撃を見るやすぐさま後退していくではないか。おそらく振りの速度では勝てないと踏んだのか。
「このまま押し切る……」
風間さんが追撃に〝かま◯たん◯ろう〟を追おうとしたその時だった。
激しい炸裂音と共に風間さんのイカが〝爆散〟したのだ。
「
歌川と菊地原も突然のことに驚きを隠せないでいる。風間さんはキルカメラを見るや今しがた自分を吹っ飛ばした原因に目を大きくする。
「スプラッシュボム…だと?」
おそらく、〝かま◯たん◯ろう〟は後退すると見せかけて「スプラッシュボム」を転がしておいたのだろう。射撃に夢中になっていた風間さんではそれが「スプラッシュボム」であるかの判別が付かず、歌川の位置では一瞬のことで何が置かれたのかもキチンと判別できなかったのだと思われた。
「しまった……サプウェポンです!あいつらやはり風間さんを初心者だと知っての攻撃を……!」
まんまと1キル目を取られてしまった風間さんへの申し訳なさに悔しさを滲ませる歌川だが、風間さんはむしろ〝やる気〟になったらしく、珍しく不敵な笑みを浮かべる。
「なるほど強かな奴らだ……俺は奴らを甘く見ていたということか」
「甘く見るも何も
菊地原が呆れた様子で言うと、歌川は気を取り直すようにコントローラを握った。
「まだ1キル取られた程度だ……オレたちがその分を取り返せば良い」
「すまない……たが次は必ず奴の息の根を止める」
流石に歌川と菊地原と笹森では装備に差があるのか、1分が経過した時点での全体的な塗りはやはりローラー集団たる煽りイカ達に優勢に傾いており、このままでは
「このまま負けるのか……オレたちは!」
「
「
人生初めての生放送を経て、
極限まで憔悴した三上の精神。
そこへ煽りによる更なる心労が加わり
三上の精神的HPは限界を超えていた。
心労に加え煽りに次ぐ煽り
仲間を侮辱された
次なる煽りに対する復讐……
今後もし……
同じ自体が起こったなら
必ず……必ず
今、
両陣営の塗りのおおよその比率は
スプラトゥーンにおいて、30秒あれば盤面をひっくり返すことができる。
※書き手個人の感想です。
構造上、リスキル(リスポーンキルの略)もできないため、まだ十分に逆転の余地は残されている。
歌川はあと少しで溜まるスペシャルゲージを見て、一つの決心をする。
「……オレと
「任務了解……」
「わかったよ……やればいいんでしょやれば」
「り、了解……!」
早速、既に塗り尽くされた北側を塗り返しながら一心不乱に突き進む風間さん。
その背を追って歌川と菊地原が手持ちのチャージャーで少しずつだが塗り返しを進めていく。
だが、それでも相手のローラーによる侵略スピードと比べるとまだまだ足りない。
そこで風間さんが敵のヘイトも稼ぐ目的も含めて敵陣営に殴り込むことでまんまと集まってきた敵をスペシャルで一掃するというわけである。
すると、風間さんがそこにいる誰もが〝驚愕〟する一言を呟く。
「なんてことだ……バッテリーが残り〝10%〟になっている」
「な、なんですって!」
失念していた———。
考えてみれば当たり前である。
手持ちでやり続ける限り、内蔵されたバッテリーが消費され続ける。
歌川達が先刻まで使用していたドッグを使えば充電は可能だろう。しかし、ドッグにセットし、テレビ画面にまた戦闘画面が映し出されるまでの数秒間。その数秒間のフリーズで煽りイカ達は間違いなく、風間さんをキルする。
そのくらい深い領域まで風間さんは踏み込んでしまっている。
かといって、このまま何もしなければ
ただでさえ、塗りで負けてしまっているこの状況下で人数的不利を抱えること、それだけは避けたい。
どうすれば——————。
すると、風間さんが全てを悟ったかのように3人の顔をそれぞれ見やる。
そして、いつにも増して優しい笑顔で言うのだ。
「3人とも……俺はもうじき充電的に死ぬだろう。だが俺の信頼するお前たちなら必ず……必ず、敵を葬ってくれると信じている」
それは風間さんからの最後のメッセージであった。
たとえ、自分がいなくとも最後に勝てばそれでいい。風間さんはそのための犠牲を自ら買って出たのだ。
「
気が付くと、歌川の狙い通り、風間さんを狙った〝かま◯たん◯ろう〟と〝ぜ◯いつ〟〝ね◯こ〟が北上してきているではないか。
「お前たち……あとは頼んだぞ」
3匹のイカ達が容赦なく、風間さんへ迫る。
風間さんが敵の射程距離に入った———そこへ、覚悟を決めた歌川と菊地原がスペシャルを発動する。
歌川のブキは〝スクイックリンγ〟でスペシャルは〝ジェットパック〟。そして菊地原は〝14式竹筒銃・甲〟で〝マルチミサイル〟である。
北側に通じる西側のスロープでほぼ同時に起動した2人の攻撃が3匹のイカを襲う。
「お前たちは強い……だが、
歌川と菊地原の〝奇襲〟に思わず敵達も驚いたのか、〝かま◯たん◯ろう〟 以外の2人が風間さんから離れて菊地原の〝マルチミサイル〟を躱す動きを見せる。
しかし、〝かま◯たん◯ろう〟はそれでも風間さんに追い縋るように前に飛び出した。
だが、そこへ歌川の〝ジェットパック〟での砲撃が〝かま◯たん◯ろう〟の前方で炸裂する。
「外した……!」
「問題ない、これで終わりにしてやる」
その瞬間、風間さんのイカが勢いよく上昇。
それは、風間さんのブキである「スプラシューターコラボ」のスペシャルである〝ジェットパック〟であった。
最後の最後でスペシャルを起動し、菊地原の〝マルチミサイル〟を躱した〝◯ん◯つ〟と〝◯ず◯〟に砲撃を咬ます。
風間さんの砲撃は当たりこそしないが、3人は思わぬ奇襲で逃げることに手一杯になり、風間さんは無我夢中で〝ジェットパック〟での砲撃を繰り返す。
そして、風間さんの〝ジェットパック〟が終わる瞬間、その時が来た。
「これで…何もかも終わりだ…任務完了…!」
〝ジェットパック〟が終わり、風間さんのイカが地面に着地した瞬間、風間さんのゲーム画面が黒く染まった。
充電が切れ、ゲーム機がその役目を終えたのだ。
一方、歌川達の画面では、〝かま◯たん◯ろう〟を砲撃で倒された後、立ち尽くす風間さんが煙となって消滅するところが映し出されていた。
「
風間さんの死は無駄にはしない。
歌川達の闘志がこれまで以上に膨れ上がる。
自分の死を踏み台にしようと是が非でも許しておけない悪を滅する。
風間さんはそれを身を持って教えてくれたのだ。
ありがとう風間さん。そしてお疲れ様でした風間さん。
「
その後、北上した笹森の塗りと南下する菊地原と歌川のキルが煽りイカ達を次々と葬り、3分間の怒涛の死闘が終わった。
結果は——————
51.4%VS42.5%
「オレたちの……勝ちだ!」
「決着ゥゥーーーーーーッ!!」
この瞬間、4人は歓喜した。
三上の屈辱を晴らせたこともあるが、初心者でも煽りイカに勝つことはできる。
それを証明できたことに。
僅かな差かもしれない。たが、勝ちは勝ちである。
これをもって彼らがまた煽り行為をするかどうかはわからない。
しかし、また彼らを見つけたその時、風間さんがまた来てくれる。きっと必ず来てくれる。
この日、
to be continued…
第10話ご覧いただきありがとうございます!
10話という節目で風間隊編がようやく終わることができました。
ここまでやれたのも皆様のおかげです。ありがとうございます。
そして鬼滅の刃ファンの方々本当に申し訳ございませんでした。
今回のお話では節目ということもあって他作品のネタをいつも以上に盛り込んでしまいました。書いている自分でさえ、「これ少し…てか大分やりすぎたかなぁ〜」なんて思ってしまいました。
風間さんの「存在しない記憶」ネタは鬼滅の刃において風間さんの中の人が鬼役をやられていたという事で、何かそれを表現できるものはないかと思っていたところ、枝久の中でインパクトが残っていたのが呪術廻戦の東堂と虎杖君のあのシーンでした。ちなみにこれはこの話を書こうと思った時から決めていました。
ちなみに枝久は呪術廻戦も全巻読破済みです。完全に余談ではありますが、枝久はジャンプ作品を割と読みます。本誌は毎週読むのは厳しいのでワールドトリガー以外は単行本ですが。
次回からはA級部隊(+二宮隊)をメインにした話からB級部隊に広がった話をもう少しやれればと思います。ちなみに次回は元A級1位のあの方に登場していただこうかと思いますので、次回も閲覧お待ちしております。