ボーダー隊員達がガチで塗りあう時が来た?   作:枝久桜

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第15話

「ボーダーイケメンパラダイス~ 略してボイパラ~」

 

〈2014年3月9日 PM 12:00 ボーダー本部〉

 

歳を同じくしてボーダースペシャルフェス初日のボーダー本部基地のエントランスで2人のイケメンが真面目な顔をしながら談話しているではないか。

 

「やはり修はもう少しトリオンを鍛える訓練をした方がいいですかね?」

 

「いや三雲くんには更に戦術に対する理解を深めてもらった方が……」

 

玉狛支部の烏丸京介と嵐山隊の嵐山准。

どちらもA級隊員の精鋭隊員にしてボーダー屈指のイケメンと称されるまごう事なきイケメンである。敢えてもう一度言おう、イケメンである。

ただでさえ、イケメン成分が高めの空間である。

気が付けば、彼らの座る場所の周辺には女子の訓練生が競うようにうようよ集まってきているではないか。

そして、ここにさらなる混沌を齎すイケメンが2人。

 

「秀次 このあと時間はあるな?スプラトゥーンのフェスが今日から始まった まずは俺と組め そしてボーダースプラ界の頂点に……」

 

「結構です」

 

二宮匡貴……ボーダートップクラスのトリオン量を誇り、その圧倒的な弾数にて数々の強敵を屠ってきた名実共にボーダー最強の射手である。そしてそんな二宮にストーカーの如く付き纏われているのはA級部隊 三輪隊の隊長 三輪秀次。かつて二宮と加古と共に東も下で焼き肉、様々なことを学んだシスコン少年である。

 

「よし早速だが残り2人を探しに行く」

 

「………」

 

最早、この問答にも疲れた。

以前にも二宮は突如として三輪隊の作戦室に押しかけたと思えば、三輪のスプラトゥーンの師匠になると言って騒ぎまくったのだ。

結局、あの後は二宮から命からがら逃げ出した三輪が東のところで息絶えたことで東から二宮へお叱りがあり、何とか収まった。

 

「あそこにいるのは嵐山と玉狛の烏丸だな よし あいつらにしよう」

 

不意に二宮は、エントランスで一緒のテーブルに座って何やら雑談している烏丸と嵐山を見つけるとそそくさと三輪の肩に腕を回して寄っていくではないか。

 

「嵐山に玉狛……!?二宮さん 俺 帰ります」

 

以前、黒トリガー争奪戦にて悪態をついた嵐山に、()()迅が所属する玉狛支部の烏丸である。

なんということか三輪が好意的に接せれる相手が二宮含めて誰もいない。が、時は既に遅しというわけで。

 

「あ、二宮さん ご無沙汰してます」

 

二宮と三輪と視線があった烏丸が席を立ち上がってぺこりと頭を下げる。

続けて嵐山もぺこりと会釈する。

 

「嵐山 烏丸 お前たちこのあと暇か?俺たちと共にスプラをするぞ」

 

二宮の提案に

烏丸と嵐山は互いを見合ってから首を傾げた。

 

「……?」

「……?」

 

何とも突然な話である。

二宮のいうスプラとは十中八九巷で話題の「スプラトゥーン2」で間違いはないだろう。

二宮がやっているというのは俄かに信じ難いが、別に悪いことをしているわけではない。

疑問なのは何故、嵐山と烏丸を誘ってきたのかということである。

 

「すみません話が全く見えてこないのですが」

 

「ボーダーでは今、空前のスプラブームだ」

 

(この人 たまに要点言わずに本題入るから 言葉の返しに困るんだよな……)

 

要点を話さずに本題から話してきた二宮に嵐山が内心困惑していると、すぐ横でそれを見ていた烏丸が助け舟を出す。

 

(スプラ……たしか今日からフェス始まってるって宇佐美先輩が言ってたから二宮さんも個人ポイント狙いなのか?)

「えぇと つまり……フェスで優勝して個人ポイントが欲しいということですか?」

 

「話が早くて助かる」

 

「き、京介!?」

 

烏丸の圧倒的理解の速さに嵐山が更に困惑すると、烏丸はなにやら遠い目で語る。

 

「嵐山さんこういうのはツッコんだら負けです。相手は小南先輩以上に面倒くさいんですから」

 

「聞こえてるぞ烏丸」

 

どうやら烏丸の本音がぽろりと出てしまったようで二宮があからさまに不機嫌そうな顔をする。下手を打てば二宮に蜂の巣にされかねないと烏丸が身の危険をひしひしと感じていると、そろそろ限界に達しつつある三輪が唸り声を上げる。

 

「嵐山ァ……!玉狛ァ……!」

 

猛獣の如き殺意の目を向けられ、ますます困惑を隠せない嵐山が二宮に問う。

 

「あの……三輪がとてつもない殺意の目をこちらに向けてくるのは何故ですか?」

 

「腹が減っているんだろ スニッカーズでも食べさせておけ」

 

と、どこから出したかわからないスニッカーズを三輪に差し出す二宮。だが、三輪は受け取るどころか二宮の手を叩き退けると更に唸りを上げた。

 

近界民(ネイバー)は全て敵だ……!」

 

「三輪?息を吸うように名台詞を言わないほうがいいぞ?そういうのは本編でとっておいてこその味が出る」

 

と、二宮の手からこぼれ落ちたスニッカーズを嵐山は拾い上げるや、三輪に邪険にされた二宮にそっと差し出す。

 

「秀次……いつからスニッカーズが食べられなくなったんだ?焼き肉か?焼き肉に行きたいのか?」

 

三輪からの予想外の反応に、まるで後輩に冷たくされて困惑する先輩の如くオロオロしだす二宮。

しかし、二宮は無理矢理にでも精神を整えるや、いつもの如く隊服であるスーツの裏ポケットからSwitchを摘み出す。

 

「よし 秀次 終わったら 焼き肉に行くぞ いつもの店でいいな」

 

さすがは我らが二宮さんである。

可愛い後輩に邪険に扱われようが王者の風格を損なわない凛々しい表情。

だが、嵐山達からすれば迷惑にも程がありすぎる話である。というよりもなんなら嵐山と烏丸は今すぐにでもこの場から立ち去りたい気持ちで一杯である。

 

「いや俺たちまだやるとは一言も……」

 

あの二宮に目を付けられてしまったらもう終わりである。

最後の抵抗も虚しく二宮に勝手にチームメイト扱いされた嵐山の肩に、そっと烏丸の手が乗る。

 

「嵐山さん諦めましょう」

 

◆◆◆◆◆

 

と、いうわけで

いつものようにチームが決まり、画面に映し出されたプレイヤーネームの名前達。

 

チーム名:ゾエとゆかいな仲間たち

メンバー:ゾエさん、Yuzuru、おれがじんゆういちだ、ザキさんかっこいい

 

チーム名:ムラカミイレブン

メンバー:むらかみです、ポカリスエット、ダイハード2、Kage

 

「既視感のある名前しかいない!」

 

そこに並べられたのは一目見て、知り合いから類推できるプレイヤーネームに嵐山が叫んだ。

 

「ボーダー内でしか配布されてないんだから身内しかいないのは当たり前だ」

 

二宮が、さも当然のようにロード画面を進んでいると、同じくSwitchを起動して待っている烏丸が今回の「ボーダースペシャルフェス」について疑問をぶつける。

 

「ちなみにフェスって2択ありましたよね?那須先輩か加古さんを選ぶってやつが」

 

そう、忘れかけていたが

フェスには2択で選べるチームが存在する。

通常のフェスでは、バトルで勝ったチームが「貢献度」と言うことでポイントを貯め、その総合で最終的にどちらのチームが勝ったのかを競うのである。

もちろん、「ボーダースペシャルフェス」も例外ではない。

「ボーダースペシャルフェス」では総合点で勝ったチームにはもれなく個人ポイントが少ないが贈呈される。

微々たるものであるだろうが、直接剣で斬りあったり、銃で撃ち合うよりもゲームをして勝つだけでポイントが貰えるのだからそれは参加できる隊員ならほとんどが参加するだろう。

 

さて、そんな今回の「ボーダースペシャルフェス」の2択は———

 

那須の鳥籠変化弾と加古の炒飯。

 

おそらく、否、このボーダーに所属する隊員がもしもどちらかを選べと言われるならば、間違いなく那須の鳥籠変化弾を選ぶだろう。誰だって、死ぬなら綺麗に死にたいものなのだ。というよりも公式で加古の炒飯が凶器扱いされていることに対して加古はどう思っているのだろうか。

さらに嵐山は、現時点でのチームの比率をゲーム画面で確認する。

 

「お、フェスの2択の現時点でのチーム比率があるぞ!なになに……」

 

現在参加隊員数

 

那須隊長の〝鳥籠変化弾(バイパー)

 

100%

 

加古隊長の〝いちご醤油炒飯(チャーハン)

 

0%

 

「最初から完全な出来レース!?」

 

さらに嵐山が吼えた。

分かり切ってはいたかもしれないが、

加古炒飯、まさかの0%。この時点で加古がどんな表情をしているのか想像するだけで恐ろしいが、嵐山達がここで加古炒飯を選んでみようものなら、ボーダー隊員全員から総バッシングを受けるのは想像に難くない。

とはいえ、加古炒飯を選んだところで4人でどう勝てというのだろう。

 

「じゃあフェス自体は那須組の勝ちってことですかね?」

 

「新規参加してくるチームが加古を選ばなければなまあそんな命知らずは今後現れないだろうがな」

 

二宮が満足げな顔を見せつけてくる。

何を隠そう先日、二宮は加古とのスプラトゥーン勝負に勝ち、彼女は今後一切の作戦室での炒飯作りを禁止されてしまっているのだ。

 

「あんな食材兵器をそうそうボーダー内に流布されてたまるか」

 

ボーダースペシャルフェス初戦。

誰が勝つかも予想がつけられない世紀の決戦が今、始まろうとしていた。

 

to be continued…

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