「許せ秀次……あいつらは
〈2014年3月4日 PM 19:30、ボーダー本部 三輪隊 作戦室〉
A級7位
近接戦闘に長けた
「…………」
「よぉっし!1キル目!まだまだ行くぜ!」
「陽介 もう少し塗りの範囲を広げてくれ 俺もキルを稼ぐ」
「あ、待ってください!奈良坂先輩 相手にも〝チャージャー〟使いがいます」
「…………」
「うわ こっちキル取られちった 奈良坂よろしく!」
「任せろ あの程度では防御のうちに入らない」
「すごい…… 一瞬で4キルしましたよ 奈良坂先輩」
「…………」
なんて事ない仲間とのゲーム。
コタツでぬくぬくと楽しくゲーム。
しかし、4人の中で唯一隊長である
気心の知れた相手なのだから、隊長がこのような俗物で遊ばないなんてことは3人には容易に想像は付いていたし、隊長本人がなんて事ない顔で茶をしばいてるのだから本来なら気にする必要なんてないはずなのだ。
しかし………
(す、すごく気まずい……!)
毎度のことながら茶の間の温度差が激し過ぎるのである。
コタツの構造上、確かに4人は座れるので
戦闘員4人が座るのは何もおかしなことではない。なのに何だろう?
この明らかに異様な空気感は!
「…………なんだ?」
米屋と古寺の視線が気になったのか。
三輪が湯呑みをコタツの上に置きながら、怪訝そうな表情で2人を見やる。
迅や太刀川との絡みに相当疲れているんだろう。
目には隈ができ、先日軽く切られた前髪から鋭い眼光が3人を突き刺す。
もう耐えきれない!
そう思い、米屋が予備のゲーム機にスプラトゥーン2を差し込んで思い切って三輪に差し出した。
「し、秀次も……やらね?」
「陽介たちでやればいい」
やっぱり駄目だった。
わかりきってはいた事なのだ…。
今の三輪は
こういうゲームといった類いをしないのはわかりきっていたのに誘ってしまった代償がさらに場の空気が重くする。
そんな重い場の空気を打ち破ってくれたのは古寺だった。
「三輪先輩 このゲームは4人で1チームなんですよ あと1人は入れるのでどうですか?」
「…………」
古寺の誘いにも乗ってこないか。
しかし、これで場の空気はほんの少し軽くなった気がする。畳み掛けるように米屋が口を開く。
「そういや 昨日の夜に
「え?
憧れの先輩の名前が聞けて、嬉しくなった古寺が頬を赤らめる。米屋も「もしかしていけるんじゃね?」と謎の勢いに乗って、さらに饒舌になる。
「なんか昨日 〝
どうだ……?
米屋と古寺が固唾を飲んで見守る中、
三輪が出した答えは……!
「…………古寺」
「あ、はい なんでしょう?」
「その〝スプラトゥーン2〟とやらの 遊び方を教えろ」
「先輩………!」
米屋と古寺が心の中で思い切りガッツポーズをした瞬間だった。
そんな中、きのこの眷属を装いし我らがたけのこ王子はというと……。
(冷蔵庫の〝冷やしたけのこの里〟を食べよう)
たけのこの里にご執心だった。
◆◆◆◆◆
三輪に一通りの操作方法を教えた古寺は、早速ナワバリバトルのロビーの画面でゲーム機をコタツの上に置いた。
「チュートリアルは こんなところでしょうか あとは遊んでみて操作に慣れてみましょう」
「遊びだろうがなんだろうが
仮想の敵とはいえ近いうちに
数秒後、ポンと表示された〝プレイヤーネーム〟を見て、
「………この〝ニノミヤ〟って まさかだと思うが」
そう、〝ニノミヤ〟〝いぬかってないよ〟〝ギアラおいしい〟〝くうきていこうゼロ〟とこれまた既視感がある名前のオンパレードである。
「名前は一緒だけど さすがにあの
「それに明日はB級ランク戦の最終戦ですよ?1位ほぼ確実とはいえ 遊んでる余裕は さすがに無いと思いますけど」
(やはりたけのこは冷やしても行けるな)
そして……
「くっ……!」
塗りの確率としては大敗を喫した三輪様御一行。
キルこそは対戦相手と比べてかなり稼いでいたのだが、〝ある原因〟から塗りの%で押し負けてしまったのだ。
「秀次 気持ちはわかるよ 多分あのイカは〝二宮さん〟で間違いないわ」
「キルも取らず 雛鳥みたいにずっと三輪先輩のイカに付いてきてましたからね 親心みたいなものでしょうか」
そう、その理由は
おそらく?二宮と思われるイカが
三輪のイカにずっと引っ付いていたのだ。
しかも何が一番怖いのかって、
〝キルもせず〟ただずっと三輪のイカに付いてくるだけだったのだ。それこそ、刷り込み効果で親鳥を勘違いして付いてくる雛鳥のように。
何がしたいのか全くわからず、三輪もバトル中は終始混乱していた。
「で、でも初めてのナワバリバトルで2キルもしたじゃん! やったじゃん!」
「実際には全部 壁際に適当に投げたスプラッシュボムを
「しかも他のメンバー 全員
「〝いぬかってないよ〟って人が これでもかっていうくらい 煽り倒してたので多分そういうことだと思います」
※知り合いだけでも ナワバリバトルでの煽り行為はやめましょう
傍目から見ても、散々虚仮にされて落ち込んでいるようにしか見えない三輪を米屋が背中を支えながら慰めを言う。
「俺らも名前変えるか ほら元気出せよ 秀次」
そう言われて、三輪は
悔しさに唇を噛み締めがら、自身の新たなる名前を口にした。
「名前を変えるなら 俺の名前は〝キルネイバー〟にしてくれ…!」
「
落ち込む三輪と慰める米屋を傍目に今度は古寺が奈良坂を称賛する。
「でも1番すごいのは
「まぁ
「良い狙撃訓練になった」
ほっこりとした笑顔でたけのこの里を頬張る奈良坂。そんな中、三輪はコタツから抜け出してふらついた足取りで作戦室から出て行こうとする。
「秀次?どこ行くんだよ?」
「
そう言いながら、ふらふらぁ、とおぼつかない足取りで作戦室を出て行ってしまった。
「お、おう……」
(そもそも
三輪が出て行ってから数分後、
隊員達がゲームの続きに興じていた最中、三輪隊の作戦室の扉が突然開いた。
「よう槍バカ 遊びに来た」
「おつかれーい ラウンジで
来訪者は三輪と米屋と奈良坂と同じ17歳の同い年隊員
「弾バカと
出水は作戦室を見渡してみて、隊長である三輪が不在であることに気がつく。
「あれ
「
すると、出水は少々不満げに腕を組んで
口を窄ませる。
「なんだよ 言ってくれれば おれと
※本職の
「おれは
※本職の
そんな会話をしていると
またまた三輪隊の作戦室に客人がやってくる。
「
ジャケット・ベスト・スラックスの三つ揃えの黒スーツをスタイリッシュに着こなす高身長のイケメン
「うおっ!?
「に、
(たけのこピラミッドできた)
「うおお!?久しぶりの生
※里見は生粋の二宮信者です。
(なんだろう デジャブか?この光景を前にも見た気がする)
米屋、古寺、奈良坂、里見、出水がいることを確認すると、ここに三輪がいない事に気がつく。
「
「
「なんだと……?射撃なら 俺がいつでも 教えてやるものを」
※この人も本職の
元チームメイトで、それなりに歳も近い故に頼るならまずは自分からだとでも思っていた二宮が驚愕の表情を浮かべる。
そんな二宮に米屋は苦笑いを返す。
「いや どうすかね……ゲームの話なんで」
「……その件で話がある さっき俺たちが戦った4人組は おまえたちか?」
「あ やっぱりアレ
「俺は何もしてない」
(
なんて言おうものなら、それこそ次は自分が蜂の巣にされる。米屋はそっと口元をチャックした。
すると、東のところへ射撃を教わりに行った三輪が口惜しそうな表情で作戦室に帰ってきた。
「くっ……!」
「お、
No. 1
一方、三輪は出て行った時よりも人が増えている事に気がつくと来訪者達の顔を見て怪訝な顔をする。
「
今すぐにでも作戦室から出ていきたい…。
三輪の思惑に、そうはさせまいと米屋が必死に三輪に食らい付く。
「それでどうだった? なんかコツつかんだ?」
米屋の必死な問いかけに三輪も諦めたのか、口惜しそうに答える。
「〝また今度にしてほしい〟そうだ…!」
(なんで
あの
「
二宮がジャケットの内ポケットからゲーム機を取り出しながら電源を入れると、それを見て若干引いている三輪が
「結構です」
と即答する。
しかし、そんなことで挫ける二宮ではない。
背後にいる出水と里見の方を向いて、ゲーム機を高らかに上げる。
「
「持っているの前提で 話を進められるのも 怖いんすけど 一応持ってます」
「良かった〜!
※里見は二宮ガチ勢です。
二宮の出陣に2人とも〝たまたま〟持参していたゲーム機を取り出した。
なんとか険しい空気は乗り越えた事に安堵した米屋も途端にやる気を出してゲーム機を握り直す。
「なんか面白そうだから いっちょ塗るか!」
「でも1人足りませんよ?どうするんですか?」
古寺の指摘に「それもそうか」と悩んでいると、
またしても作戦室に誰か帰ってきた。
そして帰ってきた人物を見て、米屋と古寺は絶句する。
「あら 楽しそうなことをしてるわね」
三輪隊のオペレーター
何もない日ならまだしも、今からバチバチにゲームをしましょうって時にお嬢様育ちで東仕込みの”戦術ガチ勢”に帰ってこられても気まずさが増すばかりである。
(やべぇ この状況において 扱いづらい上に マジでシャレにならない人来た……)
そして、8人揃って漸く勝負ができると思った二宮が何処からともなく取り出した予備のゲーム機をまだ完全に状況を把握できずにキョトンとしている月見に手渡して容赦なく、バトルを始めようとする。
「決まりだ
(ちょっと待って! そのまま進めちゃうんですか!?)
そんな中、
未だ たけのこの里 にご執心な奈良坂は携帯端末のレシピサイトで たけのこの里 を使ったレシピを見ていた。
(たけのこは焼いてもいけるのか!今度
to be continued…