ボーダー隊員達がガチで塗りあう時が来た?   作:枝久桜

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第9話

「kids滅の刃~部下をキルされた風間さんの復讐~ 前編」

 

〈2014年2月23日 PM 20:35、ボーダー本部 風間隊 作戦室〉

 

三上(みかみ)はどこだ」

 

「ぐすっ…か…風間(かざま)さぁん……!」

 

生放送という場で三上が辱められたことに対し、後輩との食事を即放棄して作戦室に帰ってきた風間さんの目に飛び込んで来たのは、部下である三上歌歩が大粒の涙を流している姿であった。

そして、そんな三上をソファに座らせて気持ちを落ち着かせようとしていた同じく部下の歌川遼と諏訪隊の笹森日佐人が意外そうな表情で風間さんを見る。

 

「か、風間(かざま)さん……お疲れ様です」

 

歌川が挨拶すると同時に三上と向かい合う位置に腰を掛けていた笹森が「お、お疲れ様です!」と会釈する。

 

歌川(うたがわ) 生放送とやらのことは 犬飼(いぬかい)から聞いた」

 

犬飼(いぬかい)先輩が……!?」

 

すると、奥のオペレータールームから耳まで隠れたセミロングの少年 菊地原(きくちはら)士郎(しろう)がひょっこりと顔を出す。 

 

風間(かざま)さん……遅いですよ 三上(みかみ)先輩 泣いちゃったじゃないですか」

 

「いや、風間さんは 何も悪いことはしてないだろ」

 

しかし、そこは漢気に溢れる風間さん。

たとえそこに自分がいなくとも、部下の受けた屈辱は自分が屈辱を受けたと同義。

 

風間さんは悔しさに唇を噛み締め、コートのポケットから犬飼から貰った〝スプラトゥーン2〟を

取り出した。

 

「すまない……俺がお前たちと 生放送とやらを一緒にやっていれば こんなことにはならなかったのかもしれない」

 

悔しさと同時に仲間と一緒にゲームができなかったことへの寂しさも混じっていたような気がするが そこは歌川、紳士なので敢えてそれ以上は言わない。

むしろ、悪いのはせっかく三上に楽しい時間をと誘ったつもりだったのにこんな結果にさせてしまった自分達の方なのだ、と。

 

「いや、風間(かざま)さんは 何も悪くないですよ!?むしろ、俺たちのフォローが 足りてなかったんです」

 

「ここで責任追及をしても仕方ない……その初心者狩りとやらをした奴は特定できているか?」

 

すると、奥の方から菊地原がゲーム機を片手に奥のオペレータールームから出てくる。

 

「一応、フレンド申請は送ったんで 向こうから承認されれば そいつがスプラトゥーンやってる時を狙って こっちもログインできますよ」

 

スプラトゥーン2では、そのフレンドが部屋に入っているかどうかがゲーム内の〝ロビー〟で確認、合流することができる。つまり、仮に三上を陥れた初心者狩りが菊地原とフレンドになれば、そいつがいつログインしているのかがわかり、合流することも可能なのである。

 

「よくやった 菊地原」

 

「褒めはいいんで 早くそいつ潰しに行きましょうよ」

 

「ちなみに三上(みかみ)を 襲ったやつの名前はわかっているのか?」

 

風間さんがそう聞くと、菊地原がゲーム画面でフレンド申請をしたプレイヤーの一覧を表示するとそれを風間さんに向ける。

風間さんは見せられたプレイヤーネームに思わず眉を顰めてしまった。

 

「〝か◯どたん◯ろう〟? なんだこのふざけたプレイヤーネームは」

 

「一緒に〝ぜん◯つ〟や 〝ね◯こ〟なんてのもいましたよ」

 

菊地原は気怠そうにゲーム画面を自分の方に向け直し、露骨に嫌悪感を露わにする。

 

「ああいう奴らは 大抵プレイも鬱陶しいんで 嫌いなんですよね」

※もちろん個人の感覚によります。

 

「〝む◯たさん〟や〝おや◯たさま〟がいないのは なによりも気に食わないが ひとまず奴らは潰しておきましょう」

 

どうやら歌川の推しは〝村◯さん〟と〝◯館様〟だったようで、かなり悔しげな表情を見せながらもあくまで目的は〝三上を泣かせた奴への報復〟と明確にする。

すると、菊地原のゲーム機から ピコン!と電子音が鳴ったと思えば、菊地原が「来た…」と呟いてから風間さんに報告する。

 

「来ましたよ フレンド承認……これで いつでも行けます」

 

「さすがだ菊地原(きくちはら) 早速準備に取り掛かるぞ」

 

そして、3人が息の合った立ち回りでゲーム機をセッティング。未だ泣き続ける三上を歌川が優しく奥のベイルアウトルームの方へと促し、風間さんはゲーム機にスプラトゥーンをセット。菊地原がお茶菓子をテーブルに並べ、笹森はただその手際の良さを驚くばかりであった。

 

「さ、さすがA級3位……!」

 

「ほら弱いんだからさっさと準備しなよ 今度は風間さんもいるんだから 初心者狩り(あんな奴ら)に4キルなんてされないでよね」

 

その場でただ立っていただけの笹森の背中を押して準備を促す。笹森も「う、うん!」と急いで自分のゲーム機を用意する。

するとだ。風間さんがゲーム機の電源を入れると同時にこんなことを言い始めた。

 

「ところで……このゲームはどうやって遊ぶんだ?」

 

その時、彼らは戦慄した。

考えてみれば当たり前である。

風間さんは今日が初スプラの新米イカも同然。

もちろん、初心者狩りができるような相手を倒せるほどスキルなど持っていないのである。

しかし、風間さんのその堂々たる姿に歌川達はこの時までは疑問にすら抱いていなかった。

 

「……まずはランク上げから 始めましょうか?」

 

「いや……時間が惜しい 基本的な操作方法だけを教えてくれれば あとは戦術でどうにでもなる」

 

もちろん根拠なんて存在しない。

普通に考えれば、初心者(ビギナー)初心者狩り(ビギナーキラー)に正面から戦って勝つなんてマグレでも起きない限り不可能である。それでも可能性はゼロではない。しかし、現実はそう甘くはない。だが!

そこは我らが風間さんである。

初心者であろうが一切の不安や恐れを感じさせない威厳たるや経験(プレイ時間)の違いのみが戦力の決定的な差ではない事を教えてくれる。そんな気がする。

 

「わ、わかりました……!なるべくオレたちも フォローします風間さん1人に無理はさせません」

 

「ムカつくんですよね この煽りイカ どのみちこのままじゃ引き下がれないでしょ」

 

「じゃあ、オレは念のため 通報もしておきます!」

 

3人の覚悟をしかと受け取った風間さん。

思わず、目頭を熱くなってしまう。

 

三上(みかみ)……お前の受けた屈辱は俺たちが晴らす……」

 

「ぐすっ……みんなぁ〜……!」

 

自分のためにここまで怒ってくれる優しい上司と仲間達に三上はさらにぽろぽろと泣き出してしまう。すると、歌川はフレンド登録にあった風間さんの名前を見て、眉を顰める。

 

「ところで……風間(かざま)さん この名前は……」

 

風間さんのプレイヤーネーム……それは、仲間を辱められ、尚も煽りを続ける者達への粛清の意味を込めた殺意の名前……

 

風間(かざま)さん……さすがに〝おまえを◯ろす〟はダメだと思います こっちが逆に通報されます」

 

折角、考えた名前を歌川に即却下され、風間さんは少し残念そうにする。

 

「なんだと?なら これならどうだ?」

 

と、風間さんが手際良くプレイヤーネームを変える。そのプレイヤーネームとは……

 

「〝おまえをこ□す〟ならどうだ?」

 

「さらに悪化してますよ……というか、伏せ字が伏せ字の意味を成していませんよ 殺意増し増しじゃないですか」

 

バトル開始直後に デデン! という音楽でも流れそうな名前に風間さんもかなりお気に召したようだが、またも歌川に却下されかなり落ち込んでしまう。

 

「かなり気に入ったんだがな……」

 

「じゃあ〝kidsめつのやいば〟なんてどうです?どうせこんな名前つける奴なんて小学生くらいなもんですよ」

※もちろん個人の感性によります。

 

「よし、それで決まりだ」

 

なんだか余計に敵を作りそうな名前だが、

さっきの殺◯予告よりは大分マシな方だと歌川は己の感性を少し疑いながらも首を縦に振った。

 

◆◆◆◆◆

 

そして何とかチュートリアルを終わらせ、

何もないままではあれだとランク4まで上げた風間さん。ブキも〝スプラシューターコラボ〟へと変え、いざ出陣の時が来た。

 

「敵の数は同じ4人……まずは三上(みかみ)を狙った初心者狩りから倒すぞ」

 

改めて気合を入れ直した風間さん。

その一方で菊地原と歌川が呪文のような言葉を並べ立てる。

 

「〝たん◯ろう〟の装備は〝ダイナモローラー〟……かなりゴリラする気満々な戦術だったよね」

 

「振った時の塗りの範囲と射程が割と広めで轢きはほぼ一撃で敵を潰せるな」

 

「でもインク消費あるし足にギア振ってないなら〝フロ〟か〝ハイドラ〟で射程の外から削り殺せば……」

 

「他3人も〝スプラローラー〟だったよな?やはり塗りと対面重視の戦術と見て間違いなさそうか?」

 

「でもこっち〝風間(かざま)さん〟いるけど……」

 

「バカ野郎!風間(かざま)さんはオレたちが命懸けで守るんだよ!」

 

「根性論で乗り切ろうとするのやめてくんない?もし〝イカニン〟と〝イカ速〟付いてたら多分、風間(かざま)さん何もできずに死ぬけど……」

 

何が何だか分からなくなり始めた風間さんが思わず、「ちょっと待て…」と2人の会話を止める。

 

「お、お前たち……なんの話をしてる?」

 

「ああ、要するに……相手は〝隠密戦闘(カメレオン)〟みたいなことができるかもしれないということです」

 

「なるほど大体わかった」

 

ローラー系ブキはその場でフリフリすることで接近戦ではかなり広い面攻撃を繰り広げることが可能で、振り下ろせば『旋空弧月』のように比較的長い射程で敵を攻撃することができる。もちろん、チャージャー系などと比べると射程には劣るものの〝当たれば強い!〟を地で行くブキといえる。

さらにここに高速移動に欠かせない〝イカダッシュ速度アップ〟とダッシュ時に見えるプクプクを最小限に抑える〝イカニンジャ〟がギアとして付いてくることで重さを重さと感じさせないスタイリッシュな攻撃を維持することもできる。

※書き手個人の感想です。

 

「ということはどうすればいい?」

 

風間さんが歌川にそう尋ねると

歌川も少し悩んでしまう。

何せこちらには初心者である風間さんと、先程初心者狩りにまんまと4キルされてしまった笹森を擁している。

対抗できるとすれば歌川と菊地原だが、それだと実質的に2対4の状況になってしまう。

 

「ちなみに今回のステージは……〝モンガラキャンプ場〟と〝ムツゴ楼〟か」

 

ムツゴ楼……

左右が鏡合わせのような形をしたステージで、

このステージの大きなポイントは北と南にある少し大きめな広場のような場所をイカに制圧できるかにかかっている。

敵の侵入不可域があるため、完全に自陣が塗り潰される心配はないといえるが、それでも両広場を取られるだけで打開が難しくなるステージといえる。

 

「〝ムツゴ楼〟なら多分どのブキでも何とかなる気がするな……すると〝モンガラ〟のことも考えて〝チャージャー〟にする方が無難か」

 

「そうだね……風間(かざま)さんは使えるブキ少ないだろうし……〝チャージャー〟なら本職じゃないけど辛うじて使えるし」

 

奈良坂(ならさか)先輩に教わった甲斐があったな!」

 

「あの人は〝変態〟だから……」

 

と、方針が大体整ったところで

風間さんがタイミングを見計らって声をかける。

 

「すまないな こういうゲームは お前たちの方が 得意なようだ」

 

「普通に戦うなら風間(かざま)さんは 最強だと思いますので 気にしなくて大丈夫ですよ 今回は風間(かざま)さんは 自由に動いてください オレたちがフォローします」

 

「わかった なら俺は可能な限り 敵を殲滅する」

 

ここに、風間隊(+笹森)VS煽りイカ。

世紀の一戦?が始まろうとしていた。

 




第9話ご覧いただきありがとうございます!
約2週間ぶりになってしまいましたがなんとか前編は行けました!「風間隊編なげぇよ!」という方もいらっしゃるかと思いますが次回で風間隊編に決着をつける予定なので今暫くお待ちください。

尚、今回は煽りイカ集団のプレイヤーネームを某時代劇ダークファンタジーの登場人物達から取らせていただきましたが、あれは単純にわかりやすい名前の方がいいかな?という枝久の解釈 故の展開なので別に鬼滅の刃の登場人物の名前のプレイヤーの方々が今回出てきた煽りイカたちのようではないということをここに明記させてください!

正直なところ、今回の話を書くにあたっては、こういう表現を使ってしまっていいのかどうか?で迷ってしまった部分もあり、ストーリー自体は出来てはいたんですが中々投稿に踏み切れていなかった感じになってしまいました。
ちなみに枝久は鬼滅の刃は全巻読破済みです。特に猗窩座戦が好きです。義勇さんの「どういう気持ちの顔これ」好きです。

ちなみに今回、他の人物が苗字だけのところを、風間さんの作中表記のみ「風間さん」だったのは枝久の完全な趣味です。風間隊編以降に風間さんが再登場したときは普通に戻したいと思います。

折角、前回ガンダムネタについて触れていただいたので、今回は枝久が知るガンダムネタを何とか使おうと思ったのですが中々、奥が深い!あまりガンダムネタらしいことができてないかもしれませんがどうかご容赦ください。ですが次回も何とかやれるだけのことはしてみたいとおもいますので次回も閲覧お待ちしております。
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