ISを改変して別の物語を作ってみた。   作:加藤あきら

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【9月30日】
時系列整理を行いました。
設定のミスが発覚。
ラウラに関する事件について、“三年前→二年前”に変更。

【13年8月27日】
一部を手直し。リメイク版にあわせました。

【13年9月29日】
ブルー・ティアーズの武器をビーム兵器からレーザー兵器に変更。
原作通りにしました。


第一章『新しい仲間 -Choice-』《お前を許さない》

  1

 

 鈴音のお見舞いをした次の日、IS学園。朝のショートホームルームにて突然の報告を受けた。なんと、編入生がこの一年一組に二人も来るという言葉を山田先生は言った。

 

 編入生が同じクラスに二人来るという時点で不自然気回りないのだが、恐らく裏で何かがあるのだろう。

 

「では編入生を紹介します。二人とも、教室に入ってきてください」

 

 山田先生は教室の外で待っている編入生二人を呼んだ。

 

 入ってきた生徒二人は、片方は銀髪で眼帯をつけている。何か堅苦しい雰囲気が漂っているのに対し、もう片方の人物。その人は男子用の制服をつけていたのだ。という事はどういうことなのか。ただならぬ男という事だろう。

 彼は金髪で可愛らしい感じがあった。とても高貴な感じがあり、第一印象から好感が持てるような人物だった。

 

 まず最初に金髪の男子生徒が自己紹介を始める。

 

「シャルル・デュノアです。こちらに僕と同じような境遇の人が居ると聞いて編入してきました。どうぞよろしくお願いします」

 

 彼が挨拶をするなり教室の女子達が騒ぎ出す。このノリはなんだか懐かしい感じがする一夏と春樹だった。これは自分達が自己紹介したときと同じだ。客観的にみるとこういう感じなのか、と落ち着いた雰囲気で二人はその光景を眺めていた。

 

「静かにしろ! まだ紹介は終わっていない!」

 

 千冬の一喝でその場が沈められる。一夏は自分達の入学当時を見ているようでなんか不思議な気持ちだった。

 あのときは千冬の登場に女子達が騒いでいたのを覚えている。

 

 そして春樹は、目の前のISを動かせるという男子に注目している。しかも舐めるようにその男とやらを観察する。本当に男なのかどうかを疑問を持ったからだ。

 

 確かに、ここにISを動かせる男は存在している。篠ノ之束が言うには男がISを動かせる要因は特別なDNAの情報があるかどうかで決まるそうだ。その 『因子』と呼ばれるDNAの情報は何故かISのコアに強く反応して共鳴し合う。その結果として普通の人よりISを上手く動かせる様になる。

 何故その『因子』を春樹たちが持っているのかは分からない。だが、何かがあるはずなのだ。その『因子』とやらの宿命を春樹たちに押し付けた何かが。

 

(アイツ……本当に男なのか? まさか、因子を持っている? とりあえず束さんに連絡してみようかな。あの人の情報ネットワークなら何か分かるかもしれない)

 

 そして、もう一人。銀髪で眼帯をつけている女の子。

 

「自己紹介をしろ、ラウラ」

「はい、教官」

 

 彼女は千冬のことを教官と呼んだ。つまり、千冬がドイツで教官をしていたときに関わった人物という事になる。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

「あ、あの……以上ですか?」

 

 山田先生はあまりに短くて簡潔な挨拶に戸惑い聞いてみるのだが――。

 

「以上だ」

 

 そうきっぱりと言われてしまった。

 

 そして彼女は一夏の方を見るなり歩み寄り――右手を一度左に持っていき、勢いよく一夏の事を(はた)いた。

 

 周りの生徒は突然の行動に驚きを隠せなかった。

 

 一夏もいきなりの事でなにが起こったのか理解できなかった。何故自分は叩かれたのか、理由が見当たらない。自分は目の前のラウラという人物とは今初めて会うはずだ。何か恨まれるような事はしていないはずだが……。

 そして、ラウラはこんな事を言い出す。

 

「私は――お前を許さない」

「何が許さないんだ?」

 

 ラウラはサッと声が聞こえてきた後ろを向くと、彼女には馴染み深い人物がそこに居た。

 

 葵春樹である。

 

 実は春樹は中学校二年生の時、千冬がドイツの教官をする事になったその時に春樹は自分を鍛える為にドイツの軍に体験入隊する事になった。その時に出会ったのがこのラウラ・ボーデヴィッヒである。

 

「春樹……か?」

「ああ、そうだよ、葵春樹だ。で、何が許さないんだよ?」

「そ、それは……後でちゃんと理由を話す」

 

 ぎこちなく返事を返すラウラ。すると春樹は微笑んで、

「そうか、わかったよ」

 

 と返す。

 すると、織斑千冬の鉄拳が春樹とラウラに飛んできた。いきなりの事で何が起こったのか理解するのにはそれなりの時間が必要だった。

 

「感動の再会中悪いが、まだショートホームルーム中だ。席に戻れ葵。それからラウラ・ボーデヴィッヒ!」

 

 千冬に名前を呼ばれたラウラはビシッと姿勢を正し、敬礼をしながら、

 

「はっ。何でありましょうか、教官」

「今は先生だ。それより……いきなり教師の目の前で暴力行為とは勇気あるな。だが、まあいい。今の拳骨が指導の変わりだ。今後、教師の目の前で暴力行為は慎むように」

「はっ。了解いたしました」

 

 またもラウラは敬礼をしながら席に着く。

 一夏は今の言葉を思い返してみると、あることに気付く。

 

(教師の目の前以外なら暴力はいいのかよ!?)

 

 

  2

 

 

 朝のショートホームルーム後、一夏は箒にラウラとはどういう関係なのか聞かれていた。

 

「それがわからないんだよ。今日初めて会ったってのに、わけわかんねぇ」

「もしかしたら、一夏さんが知らないだけで、実はもう会っていたりってことはないのですか?」

 

 セシリアは一夏にそう聞いてみたのだが……。

 

「いや、あいつはドイツの人だし、俺と会っていたってのは無いと思うぞ」

「そうですか……」

 

 自分の推測が外れてちょっと残念そうな顔になるセシリア。

 

「そういえば、春樹があのラウラってやつと知り合いだったみたいだが、どういう関係なんだ、一夏?」

 

 箒はさっきのショートホームルームの事を思い出していた。あの親しそうな感じ、どう見たって初対面じゃない。何かあるはずだと、そう踏んだ。

 

「ああ、アイツは千冬姉(ちふゆねえ)がドイツ軍の教官をする事になったときに一緒についていったんだよ。自分を鍛える為にな。たぶんそこで出会ったんじゃないのか?」

 

 それは初耳だった。春樹が軍隊の訓練を受けていたとは知らなかったのだ。あの剣道でのトレーニングのときに見せた異常な体力と身体能力はそこにあったのか、と納得した。

 

 しかし、一夏もそれに追いついているのにも、箒は凄く気になった。

 軍を体験した春樹とトレーニングをしたからといってそう簡単に対等な力を手に入れられるものなのだろうか、と気になったのだ。

 

「春樹さんって、軍隊に入っていたことがありましたの?」

「ああ。正式な入隊ではないんだけどな。なんか心身共に鍛え上げられた感じで帰ってきたぞ? あの時はビックリしたなぁ、すげー筋肉だったし、随分と逞しくなっていたなぁ」

「そ、そうなんですか……」

 

 なんかセシリアは自分の世界に入ってしまっている。なにやら変な妄――いや、想像をしているのだろう。なんか顔が惚けている。

 邪魔したらいけないと思い、一夏と箒は二人で会話を再開する。

 

「で、一夏も春樹が帰ってきた後、春樹と共に身体を鍛えたのか?」

「ああ、最初の頃は凄くキツかったぞ。でも、これでも軍の訓練に比べたら三分の一の量だぞって言われたときは驚いたよ。春樹はどんな訓練を受けてきたんだよって思って……」

「でも、やってく内に軍となんら変わりない訓練でも大丈夫になったのだろう?」

「そうだな、慣れるまで随分と時間がかかったけど……」

 

 要するに、一夏は春樹に追いついたという事である。これで一夏の強さもはっきりした。これを二年間続けてきたのだ。恐らく早朝にでも走りこみをしているのだろう。

 

「今でも、なんかしているのか? そういったトレーニングは」

「そうだな、毎朝春樹と走りこみをして、その後の筋力トレーニングも欠かさず毎日やってるよ。今じゃこれは習慣になっちまってて、やらないと逆に不安なんだ」

 

 一夏と春樹は毎朝のトレーニングは欠かさなかった。皆がまだ寝ているだろう時間にグランドまで出て走っていたのだ。

 すると、今日編入してきたフランスの代表候補生であり、ISを動かせるという三人目の男らしい人物が話しかけてきた。

 

「なになに? どういう話をしてたの?」

「ああ、あのラウラ・ボーデヴィッヒってやつの話と春樹の話だよ。えっと……」

 

 一夏はなんて呼んだらいいか迷ったが、シャルルはすかさずフォローを入れた。

 

「ああ、僕の事はシャルルって呼んでもらって構わないよ。だから君の事も一夏って呼んでもいいかな?」

「ああ、いいぜ、シャルル。えっと、こっちは俺の幼馴染で篠ノ之箒っていうんだ」

「篠ノ之箒だ、よろしく」

「うん。よろしく、篠ノ之さん」

 

 箒とシャルルは握手を交わした。そんな光景を見た女子達はクラスの女子達は箒を見つめてこう思った。

 

(箒は織斑君のことが好きなんじゃないの……これって浮気じゃない!?)

 

 全く持って勝手な思い込みであった。

 

 

  3

 

 

 屋上に来ていたラウラと春樹は会話を交わす。

 

「とりあえず、久し振りだなラウラ。二年ぶりか?」

「そうだな」

「で、何で一夏を(はた)いたんだ?」

「それは……」

 

 急に口ごもるラウラ。春樹が知っているのはキリッとしているラウラだったが、こうなってしまうという事は、教えたくないか、教える事が恥かしいことなのだろうと春樹は思った。

 

「分かったよ、言えないならそれでもいい。でも、これだけは忘れないで欲しい。お前にとって俺は訓練を共にした仲間だ。だから何かあったらいつでも頼っていい」

「ああ、ありがとう春樹。……それより聞きたいことがある。春樹、お前はあの後何処に行っていた?」

 

 ラウラは急に表情を変えて睨みつけるかのように春樹の事を見たが、春樹は決して戸惑う事も無く、ラウラのその睨み付けにも怯むことなく話す。

 

「それは……言う事は出来ない」

「納得がいかない! だって私は……」

 

 ここで予鈴のチャイムが鳴った。今日は一時間目から二時間目までは座学で三時間目から放課後までずっと実技である。

 そのチャイムによってこの二人の間には変な空気が流れている。お互いに何かを隠しているのは一目瞭然だ。互いに詮索する事を避け、そして春樹は言葉を出す。

 

「一時間目は座学だ、教室へ戻るぞラウラ」

「ああ……」

 

 ラウラはこの緊張感で声が出てくれなかったが、それでも力を振り絞って返事を返した。

 そして、春樹とラウラはクラスへと戻っていった。

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