時系列整理を行いました。
設定のミスが発覚。
ラウラに関する事件について、“三年前→二年前”に変更。
時は夕食時、保健室にはラウラ・ボーデヴィッヒが寝ていた。先ほどの学年別トーナメントにおいて、異常な現象に巻き込まれ気を失っていたからである。
すると、ラウラが目を覚ます。そしてすぐ横を見ると、そこには彼女が憧れ、尊敬している女性、織斑千冬がそこにいた。
「いったい、何があったのですか?」
ラウラは弱々しく、そして不安になりながら千冬にそのことを尋ねた。
「一応、重要案件である上に、機密事項なのだがな……。VTシステムというものは知っているか?」
「ヴァルキリー・トレース・システム……」
「そう――」
ヴァルキリー・トレース・システムとは研究、開発、もちろん使用も禁止されており、過去のモンド・グロッソの戦闘方法をデータ化し、そのまま再現・実行するシステムである。
ラウラは“織斑千冬”のデータがラウラ・ボーデヴィッヒのISであるシュヴァルツェア・レーゲンに組み込まれおり、彼女の身体的ダメージ、そして精神的な――今回のラウラの場合、強い力に憧れ、負けたくないという“願望”がそのVTシステム起動のスイッチになったのだろう。
「私が……望んだからですね……」
ラウラは唇を噛み締め、そしてベッドのシーツを握り締めた。
「いいや、お前がなぜそれを望んだのか。それはあのとき、自分の力が足りなかったと思ったからだろう?」
あのとき……二年前のドイツ軍基地襲撃の事だろう。あのときラウラは、勇敢に戦い、そして自分を守ってくれた千冬に憧れていた。そして、自分は何も出来なかったことが腹立たしかったのだ。
強くなる為に努力もしたし、部隊でもトップクラスの実力にもなった。だけど、あいつらには歯が立たなかった。身動きすら出来なかった。そんな本当はそんなに強くもない自分に絶望した。 だから力を求めた。織斑千冬や春樹のような……強い力を。
「お前は誰だ?」
「え?」
突然千冬がそんな事を聞いてきたので、訳が分からないラウラ。
「言っておくが、お前は絶対に私にはなれないぞ。お前は自分なりの強さを求めろ。自分が本当にしたいことは何だ? そのしたい事の為に何をすれ良いいと思う? それが分からなければ、本当の強さを得る事はできないぞ。私や春樹、一夏、篠ノ之のような強い力をな……。お前はラウラ・ボーヴィッヒなんだ、他の誰でもない。この事をちゃんと覚えておけ」
「はい……。了解いたしました、教官!」
「学校では先生だと言っているだろう」
そのときの千冬の顔は優しく、そして少し微笑んでいた。
ラウラはその表情を見たとき、ドイツ軍にいたときには感じることのなかった不思議な感情に襲われた。なんだか温かい、そんな感情に。
「じゃあ、私は行く。好きなときに部屋に戻れ」
千冬はそう言ってこの保健室から出て行こうとドアを開けると、そこには葵春樹が立っていた。
「葵か、ラウラにはちゃんと言っておいたぞ」
「ありがとうございます、織斑先生」
春樹は軽く礼をして千冬を見送る、そして保健室の中に入り、ラウラの寝ているベッドの近くの椅子に腰掛けた。
春樹はラウラの顔を見るなり、微笑んだ。ラウラが無事で安心したのと、千冬に説教されて顔つきがよくなっていたからだ。
「千冬姉ちゃんに説教されたか」
「ああ……。なあ春樹……その……すまない」
「うん」
「怒ってないのか?」
「いや、自分が間違っていた事に気付いて、もう反省したんだろ? それに新しい目標も出来た。なら俺から言う事はないよ」
「……ありがとう」
ラウラは毛布に顔をうずくめてそう言った。なんだかとても恥かしそうに。
なんでそんなにはずかしがるのか分からなかった春樹はラウラに向かって「どうした?」と声をかけたが、ラウラは何も言わず、ただ毛布に顔をうずくめていただけだった。
もうどうしたらいいかわからなくなった春樹はとりあえず頭に思い浮かんだ言葉である夕食をヒントに何を言おうか考えたが答えは簡単だ。夕食に誘えばいい。
そもそも、ラウラを夕食に誘うつもりだったのだから、悩む必要はなかった。
「そういえば、身体の方は大丈夫なのか?」
「あ、ああ。何ともないが」
あの戦闘の最中、一度人間ではありえない方向に腕が曲がったのだが、ラウラの体には一切の怪我がなかった。
どうやら、あの腕とラウラの腕は別物であったらしい。
その事を知った春樹は一安心。身体に傷一つ無いのは、そういうことも含まれているのだろう。
シュヴァルツェア・レーゲンが操縦者を安全な場所に移動していた、とも考えられる。何故なら、VTシステムにはそのようなシステムが備え付けれらていないからだ。
したがって、操縦者が無事だったのはIS自体の意思によってもたらされた結果、ということになるだろう。
やはり、とことん訳の分からない存在であるISのコア。
でも今はこんなことで悩んでいる暇はない。これからラウラには一緒に来てもらわなければならない場所がある。
「よし。大丈夫なら、一緒に食堂に行こう。丁度夕飯時だしな」
ラウラは毛布から顔をひょこっと出して、
「春樹とご飯?」
「あ、ああ……」
春樹はようやくラウラが反応してくれて安堵する。
「分かった、行こう」
「おう!」
ラウラはベッドから立ち上がって春樹の横に立つと、春樹の袖を掴んで早く行こうと急かす。
春樹は「はいはい……」と、そう言って椅子から立ち上がり保健室を後にした。
食堂へやって来た春樹とラウラであるが、ラウラはずっと春樹の袖を離さなかったし、今も春樹の袖を掴んでいる。
だけども今はそれだけじゃない。彼の後ろに隠れてしまっているのだ。
何故なら、そこには織斑一夏、篠ノ之箒、セシリア・オルコット、鳳鈴音、シャルル・デュノアというメンバーが勢ぞろいしていたのだから。
誰も彼も、ラウラが迷惑をかけてしまった人物である。
しかも、ちょっと改心してしまった今となっては顔も合わせ難いのが正直なところだろう。
「よう、みんな」
春樹が皆に呼びかけると、皆それぞれ春樹の名前を呼んでくれた。
だけど一向にラウラは春樹の後ろから出てこようとしなかった。
「おいおい、そんなに警戒すんなって。今回の事はラウラのせいじゃないってみんな分かってるからさ。そうだろ、みんな?」
みんなは頷いて肯定する。やっぱり、皆やさしかった。
「だってさ、安心しろよ、ラウラ」
ラウラは春樹の後ろからそっと出てきてそして、不慣れな感じでラウラは微笑んだ。
そして春樹は食べたいものをラウラから聞いて座っているように言う。
彼には計画があった。
春樹はラウラの食べたいものを聞くなり早速注文しに行った。そして、ラウラは皆の中へ恐る恐る混じって、そして椅子に腰掛ける。
ラウラは緊張してなにも話せなかった。
それもそのはずである。一夏を
こんな事をやっておいてこんな所にノコノコと居座る方がおかしい。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ――」
箒はラウラに話しかけ、言葉を続けた。
「今までやってきたことはもう気に病む必要はない。私たちはラウラ・ボーデヴィッヒの事はもう許しているんだ。そして、私たちからお願いがあるんだ」
「お願い?」
ラウラはそのお願いというものは何なのか、もし今までの償いだったのなら、相手の気が済むまで受け入れる覚悟はあった。
「私達の……友達になってくれないか?」
ラウラはいきなりの事でどういうことか理解するのに少々の時間がかかった。
友達になって欲しい、ということは……自分と仲良くなろう。ということだ。
「友達?」
ラウラはもう一度みんなに尋ねた。
彼女の初めての同い年での友達は葵春樹だけだった。だけど、もしこんなにも沢山の友達が出来るなら、それは凄く楽しい事だろう。春樹と一緒に過ごした毎日を思い出すだけでも本当に楽しい気持になる。
(私は……こんな風に幸せになってもいいのだろうか? 私はあんな過ちを犯した奴なのに……)
そう思ったラウラだが、そんな気持ちはあっという間に否定されてしまった。
「そう、友達だ。ラウラ、お前がどう思っているか知らないけど、俺達はお前と友達になりたいんだよ」
一夏はそう言った後、続けてシャルルが話す。
「そうそう。もしラウラが嫌じゃなければ、沢山僕を頼ってね」
そして、続けてセシリア。
「専用機を壊されたのは目を瞑ります。あれはわたくしの力が足りなかっただけのこと。ですから、今後わたくしとISの練習をして共に強くなりましょうね、ラウラさん」
すると、夕食を二つ持った春樹が登場し、笑顔でこう言った。
「みんなこう言ってるんだよ。ラウラ、お前は大切な仲間が出来るんだ。嬉しがってもいいと思うぞ。もし……嫌じゃなければな」
ラウラは正直なところ嬉しかった。嫌なわけがない。こんなに私が幸せでいいのだろうか、とも思ってしまう。
そして、こんな大事な仲間を自分は守りたいという感情が芽生えたのだ。自分が強くなり戦う理由。それは、友達を守りたいという気持ち。あいつらを倒そうという無謀な事は考えない事にした。
自分はまだまだ力足らずな奴だ、そんな奴があいつらを倒そうだなんて、馬鹿な話だと思う。自分は最低限そういう奴らから友達……仲間を守りたい。そう思う。
あいつらを倒すまではいかなくても、守ることなら……。そう思う。
(だから、それが今私が正しいと思うことだ。これでいいのか? 春樹)
「みんな、ありがとう……」
ラウラはそう言って涙を流した。しかしそれは嬉し涙。シャルルはラウラの頭を撫でて励ます。春樹もラウラの隣に座ってラウラを励ました。
そのときのラウラの表情は、三年前のドイツ軍にまだいた頃の春樹と友達になったとき以上の幸せそうな表情をしていた。
春樹はそんなラウラを見て安心した。みんなと和解して、そして、彼女の中で何らかの決意ができた事が春樹は本当に安心したのだ。
(どうなるかと思ったけど、みんな優しいよな。ラウラがこんな嬉しい表情をするなんて……。一夏、箒、セシリア、シャルル……ありがとう。後は、近々退院する鈴と友達になれば完璧だな。まぁ、アイツなら誰とでも仲良く出来るだろうな)
ラウラ・ボーデヴィッヒはまた一歩、人間として大きく成長した。
人間はこうやって失敗を繰り返し、そしてその失敗を糧にして精神的に強くなっていく。それが人間としての成長であり、そして大人になっていくということである。
以上、Episode2でした。
いかがでしたでしょうか? 内容としては原作第二巻。
だけども、内容は全然違ったでしょう?
変更点は、
●箒に『紅椿』を早期授与した。
●原作では「一夏・シャルル vs ラウラ・箒」だったのを「箒 vs ラウラ」にした。
●それによって戦闘内容が変化。
でしょうか?
それによってシャルル・デュノアというキャラクターは何のために居たの? 状態です。
自分の力不足でこのようなものとなってしまい、申し訳ない。
テーマは『力』『仲間』の二つです。
変更点の一つである『箒 vs ラウラ』は原作を見て思った事で、なんで箒とラウラの対比を書いて闘わせなかったのか、と思ったことが、このような話にしたキッカケでした。
そこで一つ目のテーマである『力』に繋がってきます。
箒の過去話で“力任せの剣道をしてしまった”という描写が原作にも、私の二次創作にもございます。
そして、ラウラも自分の力を誇示したいが為に力を振るってしまいます。
ここに箒が嫌な過去を思い出すとともに、過去の自分を悔い改めようとし、そしてラウラにもそのような事は辞めて欲しいと思い行動を起こします。
色んな作品でも言われている様に、“巨大な力は使い方を誤れば人を傷つけるし、正しい使い方をすればたくさんの人を笑顔にできる”という言葉を基に物語を書きました。
その“正しい使い方”と“間違った使い方”のぶつかり合いを描いたつもりです。
次に『仲間』です。
今回のEpisode2では数々の共闘シーンや、一夏とシャルルの関係など、仲間意識を感じられる描写を増やしました。
最初の鈴音のお見舞いのシーンに始まり、編入生紹介シーン。
そして、最初のラウラとのぶつかり合いとなるセシリアとラウラの共闘です。
一緒に戦う仲間を信頼せずに独りよがりの事をすると、二対一という優位な状況であっても勝てない。ということを表しています。
ただ、その後に今の言い分を覆すことが起きているんですけど。まぁ、これも箒の過去と重なるような感じで書きました。
まるでセシリアとの共闘の時の恥を、八つ当たりするかのように、ただ力任せに相手を叩きのめします。
そして最後のシーンに繋がるわけです。
ちなみに最終戦での箒の戦闘と春樹と一夏の登場は新規です。
文章の見直しをしているときに考え付いて書きました。
「ああ、こんな描写が合ったらもっと良くなるかも」
ってね。
で、あの最終戦なんです。
第四世代のISを持ってしても勝てない相手を、春樹と一夏という信頼し合える仲間同士で戦えば、勝てないものなんてない! って。
そして終章のラウラと皆が友達になるシーンですよ!
個人的に書いている自分が気に入ってしまったシーンです。これなんて言う自画自賛?(笑)
晴れて皆と友達になれたラウラ。今まで信頼できる友達が春樹しかいなかった彼女にとって、信頼できる友達が増えたのは何かジ~ンと来るものがありますよね? そう思いません?
今回分かった事!
・篠ノ之束は一夏と箒に協力を仰ぎたい。
・篠ノ之束は何者かに命を狙われている。
・シャルルは実は女だった。(原作とは違い、男と偽ったままである)
・シャルルは父親の命令で日本に来た。
・篠ノ之箒はISの操縦がとても上手だった。
・ヴァルキリー・トレース・システムが何者かによってラウラのISに仕掛けられていた。
今回もざっと挙げるとこの六点です。
基本的には原作通りの伏線ですね。これらは第二部で重要になってきます。
ま、そんな感じであとがきは終わります。
次のEpisode3は海――ではなく。
春樹の過去話になります。そして、原作で語られた一夏誘拐のエピソードのリスペクトとなっています。
完全オリジナルストーリーです。お楽しみに!
では。