更識楯無と布仏本音はともに布仏家の家にいた。楯無は本音の護衛任務の途中なのだ。だが、この任務、いったいいつまで続くのだろうか? 襲撃が行われなくなるまで? だが、それはいつだろう。
「ねぇ、かいちょー、大丈夫かな?」
本音は心配の声を上げる。昨日からずっと一緒にいるが、いつもの笑顔がそこにはない。普段はいつも笑顔な彼女が、本当の自分をさらけ出すとここまで弱い人間に見えてしまう。つまり、彼女は自分の本音を隠しているのかもしれない。名前が本音だというのに、なんという皮肉だろうか。
「大丈夫だよ。本音ちゃんは、ただ待っているだけでいいの。私たちが何とかしてあげる。そのための組織なんだから! それに、本音ちゃんの王子様も私たちの仲間になったことだしぃ?」
「そ、そんな風に言わないでぇぇぇぇぇ!!」
本音は楯無の事をポカポカと叩く。
彼女らは一日中一緒にいるのだから、じっとしているだけじゃつまらない。だから、色々とお話をしていた。その時に出てきたのが剣崎結城のお話。つい昨日、その彼が自分たちの仲間となった。その人の話題には興味があったのだ。そこで、本音から色々と聞き出すことにしたのだ。
すると出てきたのは本音の惚け話だった。命の恩人から始まって、可愛いだのカッコいいだの、挙句の果てに恋愛相談に至り、彼の事を王子様と言い出した。その王子様、というのは本音からしても言い過ぎたと反省していたみたいだったが。
しかし、最近妹の簪の動向が気になる。しかも、その剣崎結城という男について、怪しい。最近、妙にファッションやらなんやらと相談してくるのだ。急に身なりを気にし始めたという事は、女友達に散々言われたか、男関係の二択しかない。気にし始めたタイミングが剣崎結城の話題が本音の口から話されるようになってからなのだ。
これは間違いないと思う。
(でも、本音ちゃんはその結城君にぞっこんだし、助けられた本人だしねぇ。簪ちゃんはヒーローものが好きだから、そういう男に惹かれるのは分かるけど)
簪は昔からヒーローものが好きだった。特撮、アニメに関わらず大好きだった。そのハマり様は姉である楯無を引かせるぐらいに。
主人公気質で、女性のために体を張るような男。そんな男で顔もそこそこイケるとなれば、そんな簪が惚れない理由はないだろう。しかも、とても身近に現れてしまったものだから彼女は頑張っているのだ。振り向いてくれないかな? と思っているに違いない。
(だけど、待っているだけじゃダメだよ簪ちゃん。そんなんじゃ、積極的な本音ちゃんに先越されちゃうよ?)
楯無はほくそ笑む。
「でも、お姉ちゃんはどこにいるんだろう? なんの情報も入ってこないよね」
そう、本音のいう通り、誘拐された本音の姉である虚に関する情報が一切入ってこないのだ。
「そうだよ、虚は誘拐された。でもなんで何の情報も入ってこないの? 身代金を出せとも言ってこない。ということは、彼女の技術が目的に違いない。それは分かるけど、尻尾を出さないという事か。くそっ!! 虚、待ってて、絶対にアナタも助けてあげるから!!」
春樹とブルーノはアジトだったところに座り込んでいた。ISの状態はもうだめ、弾もエネルギーもスッカスカ。もう動くことすらままならないぐらいまで使っていた。
「生きてるか、春樹?」
「ああ、大丈夫だ。どうにか生き残ったな、俺たち」
「ああ、これで安心して日本に行けるな」
「そうだな……」
「そう心配スンナって! 束さんもきっと会いたがってるぜ。お前の気持ちは分からないでもないがさ、彼女の気持ちも考えてやりなよ。これ以上離れ離れでいたら彼女もおかしくなるかもしれんし」
「……分かった。会うよ、束さんに」
「そうこなくっちゃな!!」
春樹とブルーノは立ち上がる。
一夏たちと合流し、目指すは日本。春樹は、束と再会を果たすことになる。
レイブリックと名乗る男はある場所で、携帯電話を使ってとある人物と話していた。
「ああ、レポートの一部を手に入れた。だけど、なんの役にも立たなかったよ。やはり、断片だけじゃ何も分からない。ん? 『亡国機業(ファントム・タスク)』? ああ、予定通り活動は休止させたよ。一部のIS持ちは必死に抗っていたがな。一夏と箒の前に成す術もなくやられたと聞いている。じゃあ、そちらに戻るよ」
男は歩き出す。
そして、その男はイギリスの地から去っていったのだった。
無事にEpisode6、セシリア・オルコット編を書き終えることが出来ました。
一気に色んなことが分かったこのEpisode6でしたが、亡国機業を立ちあげたのはセシリアの両親だとは思わなかったと思います。
自分だって驚いています。プロットを作っていて、どうやったら綺麗に収まるかな? と考えたのちにできた設定です。
既に死んでいるセシリアの両親の設定ならいくらでもいじれるからできた行為ですね(笑)。
後悔はしていない、反省もしていない、てか、反省する必要はあるのでしょうか?
さて、今回のテーマはキャラクターごとに決めていました。
全体的なテーマは『原動力』
一夏は『依存』
箒は『愛』
セシリアは『復讐心』
結城は『覚悟』でした。
まずは、全体のテーマである『原動力』についてお話ししましょう。
最初のシーンはセシリアの新生ブルー・ティアーズの最終チェックのシーンから始まりました。そして、彼女は両親の墓参りに行きます。その時に宣言したのが、両親の死を糧に自分は生きていくんだ、という意味の言葉。
次は剣崎結城のシーン。最初は平和なIS開発に携わっていましたが、束から暗部組織の勧誘につながる。
一夏は前回の事件で精神的にヤバい状態にありましたが、春樹からのメールで復活。行動を起こしました。
箒も、愛する一夏の為に行動を起こします。
主役のキャラクターたちには、行動するための理由をすごく明確に描写したつもりです。何か行動を起こすための理由付けをしっかりと描きたかったんです。
様々な想いがあって、みんなは動いているんです。どんな危険なことだろうとやり遂げて見せようと頑張ります。
これが、今回のテーマである『原動力』でした。
次に一夏のテーマである『依存』。
これは全編通して読んでいたただいていればわかるでしょう。春樹への依存です。兄のような存在だった春樹が居なくなって結構な時間が経ち、辛い思いを経て、助けを求めます。
そして、助けを求めた結果、春樹からメールという形で助けられるのです。たった一通のメール。だけど、これが一夏にとって何よりの助けになります。これがあって一夏は次の行動を起こせるようになったんです。
彼がいなければ何もできない。そんな彼を今回の物語では克服させていません。未だに春樹への依存は続きます。
もし、再び春樹が一夏の下から離れるような事があれば、また自分を塞ぎ込んでしまうかもしれません。
最初は再会した春樹を再び一夏の手元から離れさせるつもりでしたが、そしたらまた一夏は塞ぎ込んで、次の物語の始まりも今回と同じになってしまうのでやめました。(それに束をあんな風に描写しちゃったからしょうがないよね)
うーん、一夏は原作の一夏君とは本当に別人だね(笑)。まぁ、主人公をいたぶって成長させることが目的だからしょうがないよね。
箒さんのテーマは『愛』です。
あまり多く語ることはありませんが、一夏に対する愛があるからこそ、彼女はここまで一身になって頑張ってくれるのです。
これは最初に話しました『原動力』と話が被ることもはるので省略します。
原作ではあまり良い待遇受けてない箒さんだけど、この二次創作では一夏のハーレムが築かれてないからできることだよね。
最近の幼馴染キャラはかませでしかない風潮はどうにかならないものか。マブラヴに強い影響受けている俺からしたら幼馴染キャラに強い思いがあるもんで。
おっと、話が脱線しましたね。
セシリアのテーマ、それは『復讐心』でした。
ぶっちゃけ、自分でもセシリアの描写は上手くいっていません。このテーマを自分でも理解しきれていない部分もあります。
明確に復讐する相手がいない中、セシリアは自分に置かれている状況を打破するため、死んでしまった両親の為にも強い人間になろうと努力します。
そして、今回の事件なんです。もしかしたら、アベンジャーという組織が両親を殺したのではないか、という疑問。情報が少なく、手探りの中、それを聞き出すために今回の襲撃を利用しようと思います。
ですが、それは失敗。
情報を何も得られなかった中、チェルシーが敵に捕まってしまいます。
そして最後にあのお話。明確に復讐する相手などいなかったのだと、セシリアは気づきます。
抗うべきはこの世界。そう両親は言い、セシリアは誓います。このおかしな世界を必ず修正してやるのだと。
謎が多すぎるため、明かせるタネが限られているのでちょっとわかりにくくなってしまいましたが、そんな感じです。
そしてオリ主第二号である剣崎結城さんのテーマは『覚悟』。
まぁ、まだ主人公らしき行動をしていない彼ですが、次は大活躍させる予定です。
これも本編を読んでいたただければ分かる通り、束の組織に入るとき、勇気を振り絞って暗部組織に入りました。
そして、シャルロットとの会話、そうして彼は成長していきます。何かをやるための覚悟を、覚えていくのです。
ざっとこんな感じで書きました。
お次は鳳鈴音のお話です。お次は休憩がてらにラブコメ調で書こうかな、と思っています。
そのための前置きはちゃんと書きましたからね。
次の主役は剣崎結城君。彼を掘り下げて主人公に仕立て上げようかな、と思っています。
また時間をいただきますが、その時まで楽しみに待っていてください。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
あと、感想、講評、なんでもいいです。本当にください。私のモチベーションが下がりに下がってどうしようもないんです。
つまらないんだったらつまらないとはっきりと言ってください。どこがダメなのかも言ってくれれば助かります。
何が良くて、何が悪いのか、自分だけでは判断しようもないので。
お願いしますね。
次はEpisode1のリメイクを書いていきます。ですから、Episode7は少々お持ちください。
【キーワード】
『剣崎結城』
第三の主人公になるかもしれない人物。
布仏本音を助けたことをきっかけに更識クリエイティブでIS開発に携わることになり、その後『束派』に入ることになった。
なぜかISに関する知識がとんでもないスピードで理解してしまう人物。
それは彼自身の能力なのだろうか?
『Locus_of_Evolution社』
セシリアが使うブルー・ティアーズを開発した会社。
次期の看板ISとしてゼロ・グラビティを開発。その宣伝を行った。
社長の名前はドゥーガルド・フィリップス。
『レイブリック・アキュラ』
アベンジャーのリーダー的存在。
第三の男性ISパイロットであり、一夏と箒の事をお仲間、と称した。
それを意味するものとは?
『葵春樹』
以前所持していた熾天使とは違うISを所持している。
なにやら特別な力を持っているISらしいが、それはいったい何なのだろうか。
『ブルーノ』
春樹とキャシーの仲介役のような存在。
扱うISは重火器でまとまったISを使う。それに対してキャシーから脳筋野郎と呼ばれてしまった。
『キャシー』
春樹の事を思う女の子。見た目は小学生か中学生くらいだが、年齢は22歳である。
超火力の武器を扱うISに乗っている。
そんな武器を使うせいか、ブルーノから火力馬鹿、短気女と呼ばれてしまう。
『Cunard_Black_Sky_Line』
セシリアの両親が設立した会社であるが、裏の顔は『亡国機業』のアジトだった。
しかし、それは何かに導かれるように消滅した。