骨と卵   作:すごろく

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どうも、作者です。

タイトルは懐かしい恋の呪文です。
本文にもレトロが出てくるのでタイトルもレトロしてみました。
作者はアニメが好きです。
深刻な物より笑えるのが好みです。
ですので、ぷれぷれぷれあです、はメッチャ好きです。
関係ない話ですみません。

でわ、ごゆっくりお楽しみください。


その34 スキトキメキトキス。

双子忍者のお陰でその夜は急遽婚約発表の場になった。

そして何故かラナーは街から吟遊詩人を数人呼んでくれるようにケラルトに頼んだ。

根掘り葉掘り質問する双子忍者に対して、

カルカは始終真っ赤な顔で俯いていたが、ジルクニフはとても嬉しそうに答えていたのが印象的だった。

フールーダは「あのジルが…!オムツを替えた事もあるあのジルが!」と号泣していて皆をドン引きさせた。

ケラルトはラナーに近づき小声で聞いて来た。

「何故、吟遊詩人なのですか?」

「一言で言うと宣伝ですわ」

「宣伝?」

「この婚約を公式に堅苦しく発表しても国民は皇帝の策略、政略結婚だと思うでしょう。それはジルクニフにもカルカにとっても良くないイメージになってしまいます。そしてその国民感情を利用して南部の貴族は謀反を起こすでしょう。それを未然に防ぐのですわ」

「仰っている意味がよく分からないのですが…」

「これをラブストーリーに仕立てるのですわ。国を担うと言う重責に立ち向かう2人のね。ハッピーストーリーはそのままハッピーエンドに繋がると宣伝するのです。争いでは無く和解にこそ真の幸福があると。確かに英雄譚や冒険譚は受けの良い演目ですがネタは食傷気味、詩人たちにも願っても無い新ネタになりましょう。きっと上手い具合に脚色して広めてくれると思いますよ」

「……そんな事までお考えだったのですか」

「宗教と言う心の奥底にある概念を上書き出来るのは愛です。男女の愛情は全ての垣根を乗り越えてしまいます。私と旦那様の様にね♡」

(旦那様って来てから一言も発言してない彼かしら?)

「貴女もこれから大変ですよ?」

「え?私?」

「そうですよ。私の筋書きではカルカは後任に貴女を指名して帝国へ行き、同時にお姉様には将軍職に就いてもらいます」

「…そんな…まさか!」

「何をまさかです?これで名実共に民から慕われる女神様の誕生でしょう?」

「何故それを!?」

「簡単な推理ですわ。婚約発表の時に真っ先に異議を唱える立場の貴女は黙っていた。カルカがローブルを離れたら後継者に自分が指名されるのがわかっていたからでしょう?そして貴女とお姉様なら南部を制圧出来る。文武の両輪、しかも血を分けた姉妹。お姉様はきっと生涯をかけて貴女をサポートしてくれるでしょう。違いますか?」

「……恐ろしい子。噂は本当だったのね。王国の王女は外見と違って規格外の策略家という噂」

「あら、でもガラスの仮面は付けていませんことよ?」

(2人の兄を手玉に取って今の状況に導いた。そんなのは作り話だと思っていたけど………まさか!今度の事も最初から!?ジルクニフやカルカも!?)

ケラルトは目の前で無邪気に笑う少女に震撼した。

 

こうしてラナーの思惑通り皇帝と女王のラブストーリーは詩人たちによって好意的に広く国民に浸透していった。

元々神殿勢力を抑えていたケラルトと軍部を率いていたレメディオスは、カルカには出来なかった強硬手段も行使出来たので南部制圧は難無く達成した。

帝国は南部の港を軍港ではなく貿易港として整備し、後に北は政治の、南は経済の中心として大層栄えた。

余談だが、平和になったローブルの徴兵制は廃止されネイア

バラハは職を失った。しかし彼女には人前で話すと聞く者を魅了する不思議な力があり、メキメキと頭角を現し広報官に大抜擢された。そしてそんな彼女自身に魅了されてしまった男性と巡りあい目出たくゴールイン、子宝にも恵まれ幸せな人生を歩んだ。

人は彼女を"愛の伝道師"と呼んだ。

もう1つ余談だが、アベリオン丘陵の亜人連合は解体された。噂では強大な力を持つアンデッドが2体現れ、その力を見せつけた事で未来永劫の忠誠を誓った。そしてその忠誠への代償として様々な知識を与えられたことで種族間の無用な争いも無くなった。

それから各種族の集落には粗末ながらも神殿らしきものが建造され祭壇には大小の髑髏が並べて祀られる様になった。

 

ーーーーー

 

賑やかな会見も終わり遠征組も各人の部屋に戻った。

飲み慣れない酒を飲んだキーノもベッドにダイブしたが

何故か眠れない。

小さな体をゴロゴロと転がして居た。

「はぁ〜〜〜。カルカ様、幸せそうだったなぁ〜。なんだろな〜、ドキドキして眠れないや」

遂には独り言をブツブツと呟き出した。

「そうだ!ぱん君の部屋に遊びに行こ!眠らないって前に言ってたもん、迷惑じゃないよね」

勢いよくベッドから飛び起きると、いそいそと身支度を整え出した。

「前に買った可愛いワンピース着て行こっと♪」

袖口と裾にレースのフリルが付いたそれは子供用だった。

「警備とかに見つかると厄介だぞ……っと」

そろりとドアを開けキョロキョロと廊下を伺う。

(よし!誰も居ない!いざ出陣!)

キーノは転移魔法が使える事も忘れてパンドラズアクターの部屋を目指した。

 

「ん?キーノじゃねーか、何やってんだアイツ…」

まだ飲み足りないガガーランは酒とツマミを両手に抱えて部屋に戻る途中だった。

「ま、いっか!目出てぇ夜だしな!」

 

「あれ?キーノよね?どうしたんだろ、こんな夜中に…」

久しぶりにラナーとガールズトークを全開させたラキュースはチョコを抱えて部屋に戻る途中だった。

「それにしてもラナーの話は刺激的だったわ、さすが人妻ね」

 

「キーノ発見」「尾行する?」

双子の忍者は暫く顔を見合わせていたが、

揃って口を開いた。

「「解散」」

 

仲間の暖かい配慮でキーノは無事にパンドラズアクターの部屋に着いた。

(とうとう来ちゃったよ!こんな夜中に部屋まで押し掛けて嫌われないかなぁ…)

ノックをしようと手が出るのだがそこで固まる、幾度がそれを繰り返していた。

(勇気を出せ!一歩踏み出せ!)

「コン、コン」

「………」

「コン、コン、コン」

「何方ですか?」中から声がした。

「き、キーノです」

ドアが開きパンドラズアクターが顔を出す。

「おや、これは珍しい。こんな夜中にどうされました?」

「え、えーと。ち、ちょっとお話がしたくて…迷惑かな?だ、だったら帰るけど…」

「迷惑だなんて、そんな。どうぞ入って下さい」

恐る恐る中に入るキーノ。

「お邪魔しまぁーす」

「どうぞ、どうぞ。適当に座って下さいね。今、お茶を淹れますから」

「お、お構いなく。ぱんくん、何かしてたんじゃない?」

「少し本を読んでいました。でも良いんですよ、人と話をしている方が私は好きですから」

「何の本か聞いても良い?」

「え?ああ、畜産関係の本ですよ。村には今は家畜は居ませんがゆくゆくは飼いたいと思っていたので」

「へぇ〜、勉強家なんだぁ〜。私なんて滅多に本なんか読まないのに…」

「はは、必要に迫られて、ですよ。農業の方はウチには妖精が居るので彼らに任せておけば問題はないのですが、動物性タンパク質も必要になりますからね」

「どうぶつせいたんぱくしつ?」

「そうです。やはり食べ物はバランスが大切ですから」

「お肉、とかですか?」

「まー肉は直接的ですが…例えば乳製品なんかも含まれます。今はそれらは買い出しで賄っていますが自給自足が出来る様になれば生活も豊かになるでしょう?」

(スゴイなぁ〜。色んな事を知ってるんだ。私なんか魔法の事しか知らない…)

キーノは少し落ち込んだ。

「さあ、お茶が入りましたよ」

パンドラズアクターはカップを差し出す。

「ありがとう、いただきます」

キーノはカップに口をつける。

「熱いから気をつけて」

「甘い♪」

「夜中ですからね、珈琲はやめておきました。それはロイヤルミルクティーです、お砂糖を少し多目にしました。ところで、お話とは?」

キーノは無い筈の心臓がドキンとした様に感じた。

「あ、あ、うん。今夜の2人、ぱんくんはどう思う?」

「どう、とは?」

「う、うん。その…なんて言うか…羨ましいって言うか…」

「ああ、そう言う事ですか…。好意を持った者同士が一緒に過ごすのは良い事だと思います」

「そ、そうだよね!」

「私も父親と一緒に過ごせてとても幸せですから」

(そっち!?)

「どうかされましたか?」

「気にしないで。ぱんくんはお父さんと仲が良いのだな」

キーノは少し俯いた。

「私としたことがなんという失態を!ご両親とは早くに別れたのでしたね。配慮が足りませんでした。許して下さい」

「いや!全然気にしてないから!大丈夫だし!別の事だから!」

キーノは慌てて手を振った。

「別の…事?」

(マズイ!話が変な方向に!)

「う、うん。その…男女の間ってどうなのかな、と」

(うわ!何言い出してんだ!もう駄目だ!)

「恋愛感情の事ですか?」

(え!?)

「素晴らしいと思いますよ。私には持ち合わせていない感情ですからね」

「え!?」

「正確には異性を愛した事が無いのでその感情という物がよく分からないのです、ただ…」

パンドラズアクターは暫く黙っていたが、やがて静かに語り出した。

「最近、ほんの少しですがわかるようになって来た気がします」

「………」

「最初はただ珍しさから来る興味でした。しかしその人の事が放っておけなくて、心配でたまらなくなっていたのです」

「……ぱん、くん?」

「その人のキラキラ輝く金色の髪、赤い瞳、特徴的な八重歯」

キーノの瞳から涙が溢れ出す。

「そして今回はっきり分かりました。その人と居ると楽しい、ずっと一緒に居たい、とね」

「あぁ…わたし…わたし…なんて言えば…」

言葉は溢れ出ようとしている、しかしそれが口からは出て来ない。昂る感情が脳を支配する。

気がつけば胸に飛び込み、そして抱きしめて居た。

パンドラズアクターは少し長い腕でキーノを包み込み、耳元で囁く。

「ich liebe dich」

 

キーノには何を言っているか分からなかったが

きっと自分を虜にする魔法の呪文だろうと思った。

 

「こんな気持ちの良い魔法なら解けない方がいい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

ぱんくんとキーノちゃんにはかなりの身長差があります。
原作で王都エントマ撃退の後、モモンさんに抱きつくキーノが可愛いです。あのイメージです。

実はレメディオスさんには別ルートを考えていたのですが
その後が面倒になる気がしたので、あっさりと済ませました。
ガガーランさんが絡むルートと言えばお察しですね。

じゃあまた、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
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