骨と卵   作:すごろく

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どうも、作者です。

前回と同じく、其々が生活している。
そんなお話です。
状況に変化があれば自ずと考え方も変わってきます。
感じ方が変わると言った方が良いかも知れません。

このお話ではナザリックが出て来ませんので
鈴木さんが守るべき対象が違うのです。

でも、優しいのです。
それは変わりません。

でわ、ごゆっくりお楽しみください。


その36 現実の世界。

「ちょっと買い過ぎちゃったかなぁ?」

クレマンティーヌは大量の紙袋を前に呟いた。

亜人連合撃退報酬は早々に支払われていた。

加えて村から届いたポーションは大変好評で完売している。

そんな訳で懐はかなり潤い、現地へ還元だと店屋巡りをした結果が大量の紙袋だった。

「いいんじゃないか?皆んな楽しみにしてるし。それでネムたちちびっ子の絵本はあったのか?」

ガセフは手際良く荷箱に袋を詰めていく。

「神殿がしっかりしてるからかな…本は沢山あった。だから絵本だけじゃなくて大人が勉強する用も買ったの」

「娘たち用か?」

「そう。あの子たちも薬草の勉強とかしてるからね。その助けになりそうなやつ」

「皇帝の結婚式はまだ先だったよな?」

「まだまだ先だよー。なんて言ってもロイヤルウエディングだから、準備が大変だよね」

「村からも何人か招待されるのか?」

「そりゃ今回の立役者だもん、呼ばれるよ」

「まさか俺たちは呼ばれないよな?ああ言う堅苦しい席は苦手なんだよ」

「う〜ん、多分私たちまで呼ばないと思うけど。一応、着て行く服は買った」

「買ったんかい!」

「いーじゃん。だってガセフだってもう戦士長の礼服は着られないよ?私だってまともな服持ってないし。エ・ランテルの服屋じゃそんな種類無いからね。大きい街で買っとかないと、変な格好じゃサトル様に恥かかせちゃうじゃない」

「村が舐められるのは気に入らんな」

「でしょう?だからブレインのとエンリとツアレのも買った」

「そんだけ買えばこの袋の量になる訳だ」

まだまだ入りきっていない袋の山にガセフはため息をついた。

 

ーーーーー

 

「もはや猶予は出来ん。直ぐにカルネ村へ部隊を派遣する」

ローブルの顛末は直ぐに法国へ伝えられ、最高議会は満場一致でカルネ村への部隊派遣を決めた。

「派遣するのは漆黒で良いな」

「報告書を見る限りではカルネ村のチームは全員が英雄級だそうです。それに帝国のフールーダも滞在中との情報も入っています。実力不明の父子を考慮しても対応可能なのは漆黒ぐらいでしょう」

「しかし、番外まで出す事はなかろう。あれは一度も外に出した事はないのだぞ?それに我が国の2つの秘宝だ、余りにも過剰ではないのか?」

「番外については第五席次が今回使えませんので仕方ありません。秘宝については別件が起こる場合を考えての措置です」

「クインティアは現在軟禁中だったな…なら仕方ないか。してその別件とは?」

「村はトブの大森林の隣です。万が一にも破滅の竜王が復活した場合、秘宝無しでは対処出来かねます」

「む〜。また厄介な場所にあるものだ……」

「かの森には強大な魔物の存在も噂されております。何でも3体居るとか……」

「分かった。用意が整い次第出陣せよ」

 

その頃クインティアは自室で軟禁状態にあった。

(フン。この様な所に閉じ込めても何の意味もない。私を誰だと思っている。使役出来るのは何も魔獣だけでは無い)

クインティアは野鳥や鼠と意識を共有し情報を収集していた。

(成る程…いよいよ村へ攻め込むのか…クーレの情報も掴まれている以上、放ってはおけんな)

机で簡単な手紙を書くとそれを小さい筒に入れ、窓辺へ行き鳩を呼び寄せ脚に筒を結びつける。

(さあ!飛び立て!道案内は私がしてやろう)

瞳を閉じ意識を集中させる、鳩の視界が脳裏に映し出される。

「一泡吹かしてやる」

ニヤリと笑った。

 

ーーーーー

 

「じゃあ、折角だから私たちも行くわ」

ラキュースはキーノにニッコリ笑いかけた。

「ち、ちょっと待て。何が折角なのだ?大体それではリ・エスティーゼを通り過ぎてしまうじゃないか」

キーノは薔薇からの脱退をラキュースに告げ、自分はカルネ村へ行く事に予定だった。

「だって…行った事ないし。これからキーノが住む所を見ときたいじゃない?」

「だよな。一仕事終わったし金も出来たからな辺境の村で自然に浸るのも悪くない」

ガガーランも嬉しそうだ。

「水臭いぞ」「毒を喰らわば皿まで」

双子はニヤニヤしている。

「いや、全く意味が分からんぞ。なんだ、毒って。第一そんな大勢で突然行ったら迷惑だろうが!」

「あら。サトルさんも突然皇帝の部屋に行くじゃない。転移魔法使わないだけ私たちの方が良心的よ」

「良心的の使い方が間違ってるから。せめてぱんくんに聞いてからにしてくれ、頼む」

キーノは必死だ。

「しょーがないわねー。じゃあ今から聞きに行きましょ」

面々はパンドラズアクターの部屋に押しかける。

 

「父上は賑やかなのがお好きですから別に問題ありませんよ」

「ほらね」

「なにが、ほらね、だ。良いのかぱんくん、こいつら私たちを揶揄いたいだけなのだぞ?」

「友だちは大切にしなさいと言うのが父上の口癖です。だからキーノ、そんな事を言ってはいけませんよ」

「出来てるねぇ。懐が深いわ」

「少しは見習え」「身長同様、懐が小さい」

「……ぱんくんは何も知らないから」

キーノはこの先起こるであろう騒ぎを想像するだけで憂鬱になるのだった。

 

ーーーーー

 

「爺よ。これの説明をしてくれるか?」

ジルクニフはフールーダから出された辞表をヒラヒラさせながら尋ねた。

「陛下も善き伴侶が見つかりましたしな。もう歳も歳ですし、ここらが潮時かと思いましてな」

「爺、嘘を吐くならもう少しマシな嘘をつけ。それに先ほどから目が泳いでおるじゃないか」

「流石は私の可愛いジル。全てお見通しでしたか!」

「そんなにカルネ村は住み心地が良いのか?」

「それはもう!伸び盛りの弟子は居りますし食事も美味い。なにより若い娘に囲まれて居りますと…こう…なんと言うか…精気が蘇るみたいな…」

(このエロジジイ…何を考えているのだ…)

「承知した。しかしこの辞表の受理は出来んので私が"預かる"と言う事で良いな?爺と帝国の繋がりが切れた事を外部に知られるのは今はマズイのだ。分かるな?」

「心得ました」

「しかし寂しくなるぞ、爺。なにせ私が生まれてからズッと側に居てくれたのは爺だけだからな」

「先先代からですからな…色々とありましたわい」

「ひと段落ついたら私もカルネ村を一度訪ねるつもりだ」

「それは良い。陛下もここらで一息つくのも大切」

「……そう成れば良いのだが……」

何か思い当たるのか、ジルクニフは遠くを見つめた。

 

ーーーーー

 

「わーい!サトル様、ありがとう!」

ジャングルジムに滑り台とブランコ。

鈴木は次々と創り出した。

ちびっ子は大喜びだ。

「仲良く遊ぶんだぞ。それとちゃんとお手伝いや勉強もするんだぞ?」

「「「はーい」」」元気な返事が返ってくる。

(俺なんて外で遊んだ事がないからな。子供はやっぱり外で元気に遊ばないと)

ビデオやゲームで幼少期を過ごした鈴木はご満悦だ。

「創り過ぎでは?」

横で見ていたエンリが呆れた様に言う。

「そんな事は無いぞ。もう少し経てばこれらを使う人数も増える」

エンリのお腹を見て鈴木は言った。

「気の早い話ですね」

エンリは大きなお腹を摩りながら微笑んだ。

「それにしても大きいなぁ。婆さんも言ってたが普通よりかなりデカいそうじゃないか」

「1人じゃないかも知れないって言ってました」

「ほう。それは楽しみだ。何か要る物があれば遠慮なく言えよ?」

「ありがとうございます。そろそろオムツを作っておこうかと思ってますので布が少し欲しいです」

「そうか、そうか。では今度、街へ納品に行く時に頼むといい」

「産まれたらお爺ちゃんですね」

「そうか?……そうだな。そうなるよな」

早くに家族を無くした鈴木は家族が増える事がとても楽しみだった。仲間が増えるのも良いが、家族が増えるのは格別だ。

(お爺ちゃんかぁ…昔、得意先の社長に孫が産まれた時めちゃくちゃ喜んで機嫌が良かったもんなぁ。目の中に入れても痛くないとかなんとか言ってた)

結婚もしていないのに娘が出来て孫が産まれる。

なんとも妙な話だが、こんな姿でこんな世界に居る事がすでにかなり妙な事なので驚くほどすんなり受け入れていた。

(いつかは他の娘たちにも良いお婿さんを見つけてやらないとな。そろそろ心の傷も癒えてきただろうしな。そうだ!パンドラズアクターはどうなんだろう?あの魔法少女と結婚するんだろうか?でもどう見ても小学生ぐらいだったし子供は無理っぽいよなぁ。そもそもアイツ"出来る"のか?)

鈴木はパンドラズアクター似の赤ん坊を想像してニヤニヤした。

「どうされました?」

エンリが不思議そうに顔を見る。

「いや、何でもない。これからの事を思って顔が緩んだ」

「村の皆んなが殺されてサトル様に助けられた、あの時からは想像もつきません。みんなサトル様のお陰です」

「ハハ!馬鹿を言うな、皆んなが頑張ったからだ。俺はその手助けをしただけだよ」

 

転生した頃はゲーム感覚よろしくこの世界を冒険して廻ろうと考えていた。強大な敵、不思議な世界。夢踊る冒険の世界だ。ところが現実は違った。成る程モンスターや異形の生物は居るし魔法もあるが、暮らしているのごく普通の人々。ファンタジーでもなんでもなく、どちらかと言うと生きてゆくのには過酷な世界だ。人間同士の戦いや生臭い政治の話、虐げられる弱者。そこで何をする?自らの強大な力で全てを淘汰するか?それでどうなる?魔王なんてロールでやっていただけで四六時中あんな面倒な所作は御免だ。魔王でも神でもなければ正義の味方でもない、中身は只の男。政治も何もわからない。敵を倒してドロップアイテムを集めてレベルを上げる、それで良かったゲームとは違うのだ。

 

「世界征服なんて楽しくもなんとも無いよ」

 

滑り台で無邪気に遊ぶ幼な子を見ながら、そう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

退屈な話ですみません。
作者は鈴木悟さんの優しさが一番好きなのです。
書きながら気付きました。
だからオーバーロードが好きなんだなって。

ごめんなさいね。
変な事書いちゃって。

じゃあまた、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
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