骨と卵   作:すごろく

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どうも、作者です。

今度こそ後編ですっ!

大体ですよ、この手の作品に中編みたいなの無いですもんね。
前後編で纏めるのが普通です。

でもこの3話、投稿期間が短かったでしょ?
楽しいかったんですよ、書いてて。
誰かさん風に言うと。

そうだ…楽しかったんだ…

でわ、ごゆっくりお楽しみください。


その40 後編。

「威勢がいいねぇ〜、お嬢さんたち?」

ひねた薄ら笑いを浮かべ兵士たちが周りを取り囲んだ。

「占星千里様の言う通りだったぜ…まんまと網にかかりやがった」

取り囲んだ輪をジリジリと狭めて来る。

 

「法国の巫女の渾名です…予知能力があるという噂でした」

エルフの1人がエンリに告げる。

「ここに逃げて来る事を予知されていたと言うの?」

「おそらく」

「どうします?もう魔力が…」

アルシェとセリーは不安そうだ。

 

「何をコソコソ言ってる?お前たちがさっきの魔獣戦で魔力を使い果たした事は先刻承知だぜ?」

意地の悪そうなリーダーらしい男が勝ち誇った様に言う。

 

「糞がっ!隠れて見ていたのね…」

「卑怯な…」

「私もセリーもあと1回です」

「私たちもそれぐらいが限界です、すみません」

エルフが謝る。

「大丈夫…謝らなくて良い…なんとか…そう、なんとか…」

エンリは必死に頭を回転させるが妙案は思い浮かばない。

「ンフィーや、アレを出しな」

「エ?お婆ちゃんアレはまだ実験もしてない…」

「今から実験するんだよ!今出さなくていつ出すんだい?さっさと出しな!」

「お婆さん、一体何を…」

「秘密兵器さ。時間がない、手短に言うよ」

リイジーは要点だけを短く伝える。

 

「無駄な足掻きは止めな。さっさと降参するんだ…そうしたら…へへ…手荒な事はせずに、じっくり可愛がってやるよ?」

「へへへ」「ぐへへへ」

まるで品定めする様にツアレたち若い娘を舐め回す様に見て来る。

 

((イケる!))

 

ーーーーー

 

ドッカーン!

 

派手な爆発音がしてファイアーボールは着弾した。

 

「ギヒュ」

魔獣は変な声と同時に気を失う。

 

(ん?何かの気配がしたんだが…思い違いか?)

鈴木はチラッと着弾した方向を見たが、何も居ない事を確認して向き直った。

 

「さて法国の諸君、お待たせした。どうやら残りは君たちだけになったようだな」

 

「クッ…漆黒が全滅……まさかこれ程とは……」

「絶死絶命までとはのぉ…腹を決めるか」

 

「どうした?今からでも降伏すれば命は助けてやるぞ?何しろ俺は慈悲深いので有名だからな」

 

「アンデッドに命乞いするくらいなら死を選ぶ!」

 

「フッ…二言目にはアンデッドか…何とかの一つ覚えとはよく言ったものだな。生ある物は全て産まれ落ちたその時から死へのカウントダウンが始まるのだ、故に死は全ての物に平等だ。不死と言われる俺とて同じ事。全ての生命が死に絶えた世界で己だけが生きていて何の意味がある?人間だからとか、亜人だからとか、モンスターだからとか。全てが仲良く共存出来るなどとは言わん、しかし度が過ぎた選民思想は不快だぞ?ましてやその為に同族すら礎に使うなどは言語道断、思い上がるのも大概にしろ!」

鈴木から黒いオーラが湧き上がる。

 

「悪魔の戯言は聞こえん!」

第一席次が槍を構える。

「カイレ様!今です!」

チャイナ服の老婆が鈴木に向けて魔法を放つ。

 

「ぐおぉおおお!」鈴木がグラりとよろける。

 

「やったか!?」「手応えありじゃ!」

 

「父上!」パンドラズアクターが駆け寄ろうとする。

 

鈴木は顔を覆っていた手を上げ笑い出す。

「息子よ!すまん、すまん、ちょっとした余興のつもりだったが…俺の演技も中々だったろう?」

 

「……オスカー級でしたよ」

微笑むパンドラズアクター。

 

「そんな事まで知っているのか?お前は物知りだな」

 

「な!効いていない!」

「バカな!神が残した宝ぞ!」

 

「お前たちそれの名を知っているか?」

鈴木は愉快そうに尋ねる。

 

「ケイ・セケ・コゥク」

 

「やはりな…その程度の認識か…。教えてやろう、正しくは

傾城傾国、けいせいけいこく、だ。息子よ、婆さんからそれを剥ぎ取れ、但し、代わりの羽織るものをくれてやれよ?婆さんの裸なんぞ見たらそっちの方がダメージが入るからな」

 

「させるか!」

 

「タイムストップ」

 

全ての時が停まる。静寂が訪れる。

「やれやれだな。時間対策は必須だと………ん?……以前にも言ったか?この台詞」

鈴木は静かに席次に近づき槍を手から取る。

「……… 聖者殺しの槍・ロンギヌス…実物を見るのは初めてだな」

(パンドラズアクターの奴、後で大喜びだぞ!)

例外なく停止している息子を見て鈴木はニヤッとした。

(さて、代わりにこれをやろう)

鈴木は瓜二つな槍を取り出し代わりに持たせた。

「PVPのハッタリ用に買ったレプリカさ。まさかこんな所で使う事になるなんてな」

(さて、では第二幕だ。アクション!スタート!)

 

「ぐわぁああああああ!しまったぁあああ!」

胸に槍の一撃を受け倒れ込む鈴木。

 

「地獄へ堕ちろ!」勝ち誇る席次。

 

またも呆然とするパンドラズアクターを確認してから

鈴木はゆっくりと立ち上がる。

 

「今度はどうだ?迫真の演技だったろ?」

そう言って胸から槍を抜き、席次に投げ返す。

「どうした?もう一度やるか?」

 

「何故だっ!何故、消え去らん!」

 

「無知と言うのは時に残酷なものだな。それはな、聖者殺しの槍と言う名で、成る程、お前の知っている通り使った相手を必ず消滅出来る必殺の武器だ」

 

「……では…何故…」

 

「だから無知だと言ったのだ。そして続きがあってな、使った者も必ず消滅する」

 

「!」

 

「やっとわかったか?お前が今そこに居ると言う事は…そう言う事だ」

 

「おのれぇ!何をした!」

 

「さあな…そこまで教えてやる義理はない。そして言い忘れたがな…私は…そう…とても我儘なのだよ。心臓掌握」

(これも前に言ったっけか?)

 

糸の切れたマリオネットの如くドサリと倒れる第一席次。

 

「どうだ?平等だろ?」

 

鈴木はマントを掛けられた老婆に向かって言い放つ。

「お前たち3人は生き証人だ。さっさと国に帰って飼い主に見た事を伝えろ、そして俺がこう言っていたとな。もう静かに暮らしていても無駄だと知ったので雑音を消し去りに行く、とな」

「我らを滅ぼすと言うのか!?」

「ああ、そうだ。お前たちは死神を起こしたのだ、代償は払って貰う。…そうだな…国民全ての命で許してやる」

「なんと…恐ろしい…」

 

カイレたち生き残りの3人はフラつきながら去って行った。

 

(さて、終わったかな?)

鈴木が振り返るとジト目のガセフたちが居た。

 

「あれぇ〜?どしたのかなぁ〜?」

わざとらしく惚ける鈴木。

 

「酷いじゃないですか!なんだか知りませんけど、あんな魔法が使えるなら最初から使ってくれればアタシたち戦わなくて良かったでしょ!」

クレマンティーヌはカンカンだ。

「クーレの言う通りだ。反省しろ!」

ガセフも怒っている。

「いつもこの調子なのですか?」

ラキュースは状況が良くわからない様子だ。

「誤解だ!誤解。ほら、そうだ!お前たちも修行の成果を試してみたいじゃん?会得した技とかさ、実戦でやって見たいだろ?」

「そんなの命懸けでしたくありませんっ!」

「またまたぁ〜、ケッコー、ノリノリだったじゃんね。牙突クレ式」

「もう!またそうやって誤魔化すぅ〜」

「ところで本気で法国滅ぼしに行くんか?」

ガガーランは少し心配そうに聞いてきた。

「んなもん行かねぇ〜よ。脅しだよ、な?」

「ブレインの言う通りだよ。ああ言っとけば守りを固めるだろ?そうすれば自然と殻に篭る、殻に篭ると交易も滞りがちになって国力も弱まる。要は外へ向けて出て行かなくなれば良いのさ。後はタイミングをみてジルにでも頼むさ」

「連合に組み込むの?」ラキュースが興味深そうに言う。

「そこまでは俺にはわからない。ジルとラナーが考えるだろうよ。そうそう今度はカルカだっけ?頭脳明晰らしいじゃん

、3人寄ればなんとかだよ」

 

「父上!エンリたちを迎えに行きませんと!」

 

ーーーーー

 

「ちょいとぉ〜、法国のお兄さん♡」

シャツを着崩してスカートの裾を持ち上げたツアレが

リーダーらしき男に近寄る。

「そんな怖い顔しないで楽しまない?アタシたちがたっぷりサービスするからさぁ♡」

見ると他の娘たちも同じ様にシナを作り男たちに言い寄っている。

「な、何でもって!なんだよ!」

男の目はシャツの合間から覗く谷間とチラチラと見え隠れする白い脚を忙しく往復している。

「野暮は聞かないの♡な・ん・で・も!」

ツアレの指が男の頬を撫で、やがてゆっくりと胸に降りて行く。

のの字を描きながら胸から腹、そして股間へと下りる。

「あふっ」

男は堪らず腰から剣を差しているベルトを外す。

「ねぇ?気持ちイイ?」

ツアレの指が焦らす様に男の身体を撫でる。

 

そして、男たちは娘たちに一箇所に集められた。

 

「今よっ!」

ツアレが叫び、娘たちは男から飛び退く!

ベルトを緩められた男たちは慌ててその場に転がる。

 

「それっ!」

リイジーが試作品のポーションを投げる。

男たちにポーションがたっぷり降り掛かる。

「騙しやがったな!」

気付いた男たちは立ち上がろうとするが、足が絡れて再び転けた。

リイジーは得意顔で説明を始めた。

「それは鎮痛薬からヒントを得て作った麻痺の薬でな。皮膚から浸透して神経を麻痺させるのじゃよ。思ったより即効性で助かったわい」

「チクショー!覚えてやがれ!」

「生憎、年寄りは物忘れが酷くてな。ほれ、皆んなで縛り上げてしまいな!」

「は〜い♡」

娘たちは手に手にロープを持って手際良く男たちを縛り上げて行く。

力仕事も熟す娘たちの力は意外と強かった。

「完了ぉ〜」

 

「なんだぁ〜?もう終わってるじゃないか」

「あ!ブレインさん!」

「おお、向こうも片付いたから迎えに来たんだ。でも一足遅かったみたいだな」

ポリポリと頭をかくブレイン。

「ええ、リイジーさんとツアレさんたちのコンビネーションプレーの勝利です!」

エンリが嬉しそうに言う。

「ツアレちゃん…がぁ?」

ブレインがビックリしてツアレを見ると、そこには魅惑的な格好の女神が居た。

「キャ!」

「うおっぷ!」

1つの悲鳴と1つの妙な擬音が森に木霊した。

 

ーーーーー

 

「……ムニュムニュ…もう食べられないでござるよぉ…」

気を失っていた魔獣はモゾモゾと動き出した。

「ハッ!某、気を失っていたでござるな。死んでなくて良かったでござる」

ムクリと起き上がると仲間と談笑していた鈴木が目に入った。

(ギョエー!やっぱり某は死んでしまっているでござるよぉ〜。あの骸骨は死神でござる!)

 

その後、森を高速で疾走する魔獣が居たとか居なかったとか。

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

蒔いた種は回収した筈ですが
拾い忘れがあったら見逃してくださいね。

武士の情けでござるよ〜

これでスレイン法国との因縁は決着です。
偶然ですが40話になってました。
区切りつけられて良かったです。

でも、もうちょっとお話は続きます。
どうぞ、お付き合いください。

じゃあまた、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
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