骨と卵   作:すごろく

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どうも、作者です。

オーバーロードって兄弟とか姉妹が多いですよね。
ナザリックにも設定が多いですし
外部にも沢山居ます。

今回と次回はそんなお話しです。

でわ、ごゆっくりお楽しみください。


その43 妹。

「キーノさんて変わってますよね」

「ん?何だ?唐突に」

「だってこうしてお日様の下で畑仕事しても何ともないし、血だって吸わないし」

「そうそう、こないだなんかニンニク食べてたよね」

キーノはヤレヤレと言った風に手を止めて諭す様に言った。

「あのなぁ…どんな話を聞いてきたのかは知らんが、そんなのはもっと下位の吸血鬼の事だぞ。まぁ…自分で言うのもナンだが私はもっと上位のヴァンパイアだ」

娘たちは、ほう、と感心して話を聞いていた。

「だから何百年も生きてるんだ」

1人が納得したように言う。

「それも尾ひれが付いてる。250年"しか"生きてない。それぐらいならフールーダの爺さんだってそうだろう?」

「あ、そうかぁ」

それで納得する村の娘たちの感覚は既におかしくなっていた。

「で?パンドラズアクター様とはどうなんです?」

ど真ん中に直球を投げ込まれ狼狽える。

「ど、ど、どうって、どう言う事だ!」

思わず声が大きくなる。

「そりぁあ…ねぇ?」

「ねぇ?」

「お前たち少しおかしいぞ!こんな昼間から…」

「昼間じゃおかしな話なんですか?」

「う!しまった!こんな見え透いたトラップに…」

「何か、パンドラズアクター様ってああ見えて紳士的っぽいから案外何もしてないとか?」

「ああ見えてってどう言う意味だ!失礼な!」

「いや、なんかアクション大きくないですか?芝居がかってるって言うか」

「うんうん」「無意味に回転したりするよね」

「う、煩い!あれがイイんだ!」

「やっぱり変わってる」

「上等だ!表へ出ろ!勝負してやる」

「ここ、畑ですよ?」

「貴様らぁ〜!揶揄ってるだろ!」

「キャー!キーノちゃんがキレたぁ〜」

「誰がキーノ“ちゃん"だ!お前たちより年上だ!」

「だって…見た目が少女なんだもん」

 

「何ですか?随分と賑やかな畑仕事ですね?」

「あ、噂をすればご本人登場だ」

「ぱんくん、聞いてくれ!コイツらが私を苛めるのだ!」

「はは…普通の人間がキーノを虐められる訳がないでしょう。一体何があったのですか?」

「キーノさんとパンドラズアクター様がどこまで行っているのかなぁって話てたんです」

「どこまで…ああ、そう言う事ですか。キスまでですよ」

「ぱ、ぱ、ぱ、ぱんくんっ!?」

もう頭の上にヤカンを置いたら沸騰しそうなぐらい顔は真っ赤になっていた。

「ん?私、何かおかしな事言いました?」

 

「もうイイ!」

 

ーーーーーー

 

「ん?あのクリムゾンオウルは…確か」

見張り当番のクレマンティーヌは心当たりのあるフクロウが近づいて来るのを見つけた。

やがてフクロウは近くに留まると脚に手紙が付いていた。

(やっぱ、お兄ちゃんのだ)

早速、手紙を取り読み出す。

「ガゼフーっ!ちょっとだけ代わってー!」

ガゼフを見かけたので大声で呼ぶ。

 

「ほう…無事に解放されたか…なになに…折角自由の身になったので暫く旅をする?」

クレマンティーヌは鈴木の元に手紙を届けて手渡した。

「何だ…村に来たら良いのに…水臭い奴だな」

「竜王国でサトル様にあんな態度だったんで照れ臭いんだと思います」

「らしいって言えばらしいな。俺としては今回の法国襲撃の一報をくれた事でお釣りが出るくらいなんだがな」

「でも兄もズッと宮勤めでしたから、自由な旅なんてした事がない筈ですから」

「そう…か」

「また手紙を送るってありましたし」

鈴木は不思議そうにクレマンティーヌを見つめた。

「なに…か?」

「いや…お前なら何が何でも会いたいって言うと思ってたんだよ」

「もう子供じゃありませんし、兄には兄のこれからの人生もありますし」

「俺には兄弟が居ないからな、その辺の事は分からんのだが…妹ってのはそんな風に兄を見ているものなのか?」

「う〜ん、どうなんでしょうね。他をあまり知らないものですから…」

(姉と弟の例なら知らない事もないんだけどなぁ…)

鈴木は少し懐かしく、そう思った。

 

ーーーーー

 

「そんな我儘は許しませんよっ!」

クレマンティーヌが鈴木の部屋から出て持ち場へ戻ろうと

食堂の横を通ろうとすると大きな声が聞こえた。

(ん?アルシェじゃん)

「我儘じゃないもんっ!」「ないもんっ!」

(なんだ…姉妹喧嘩か…。それしても珍しいなアルシェがあんな大声出すの)

クレマンティーヌは少し気になって物陰で様子を伺う事にした。

「あなた達はまだ小さいから冒険者がどれだけ危険な仕事なのか分かってないんです!カッコ良さだけじゃやっていけないんですよ?」

「分かってるよーだ!」「だ!」

「いいえ、分かってません!お姉ちゃんだってどれ程危ない目に会ったか数え切れないんですよ?そんな危ない目にあなた達を会わせられる訳ないじゃない」

「だって…お姉様はクーやウーの為に戦ってくれてたんだから…今度はクーとウーがみんなの為に戦うの!」

「戦うよ!」

「もう…お願いだからそんな事言わないで…」

とうとうアルシェは泣き出してしまった。

(そろそろ…かな)

「おんやぁ〜?アルシェと妹ズじゃん。どったの?」

「「あ!クーレ姉様!」」

「はーい、クーレ姉様ですよぉ〜。また悪戯してお姉ちゃん泣かしたのかなぁ〜?」

「違うもん!」「悪戯してないよ?」

「じゃあどうしてお姉ちゃん泣いてるのさ」

「あのね、クーとウーが冒険者になるって言ったら泣き出しちゃたの」

「どうして冒険者になりたいの?」

「あのね、この前ね。法国の悪い人たちを姉様やセリー姉様たちがやっつけてくれたの。それでね、カッコいいなぁって2人でお話しして決めたの」

「ふ〜ん、でも、死んじゃうかもよ?大っきい怪我とかもするよ?血が一杯出るんだよ?痛いよぉ〜」

「負けないもん!クーレ姉様やガゼフおじさんみたいに一杯練習して強くなるんだもん」「ねー」

「何でそんなに強くなりたいの?カッコいいから?」

「ん〜、それもちょっとあるけど。御恩を返したい!」

「御恩?」

「うん。姉様がいつも言ってるの。私たちは村の人たちに助けて貰って一杯御恩をいただいてるから忘れちゃ駄目だよって」

そこでアルシェがハッとする。

クレマンティーヌはそんなアルシェにウインクして話を続ける。

「そっかぁ。それで強くなって今度は2人で村を守って御恩を返すって訳だ」

「うん!」

「あのさぁ、2人の気持ちはとっても良く分かるけどね…そうだなぁ…サトル様も2人には戦って欲しくないって仰ると思うよぉ」

「「サトル様も?!何で?」」

「お姉ちゃんと同じだよ。2人がとっても可愛いからだよ。もしもだよ?2人に何かあったら"お姉ちゃんも"サトル様もとっても悲しんでズッと泣いてるよ?それでもいいの?」

「……………」

「御恩を返す方法は他にも沢山あるんだから、クーとウーはそっちの方が良いとクーレ姉様は思うな」

「どんな方法?」

「一杯お勉強して、賢くなってエンリ村長さんやツアレお姉さんのお手伝いするの。どう?」

「すごーい!」「出来るかなぁ?」

「出来るさ、クーとウーなら絶対出来る。なぁ?アルシェ」

振られたアルシェは慌てて涙を拭いてニッコリ笑った。

「出来る!だって2人は私の妹だもん」

そう言ってギュと抱きしめた。

クレマンティーヌは静かに話した。

「アタシも妹だから分かるんだけど、兄ちゃんや姉ちゃんの言葉って結構覚えてるもんなんだよね〜。しかも重く。勿論、アルシェがそんなつもりで言ってたんじゃないのはよ〜く分かってるよ。だけど妹ズはまだ小さいから…ね?」

「私も悪かったんです…妹たちには苦労させまいって…私みたいな苦労はさせちゃ駄目だって…それでキチンと村へ御恩返しをしてズッと平和にこの村で暮らしていって欲しくて…」

今度はクレマンティーヌがアルシェを抱きしめる。

「分かってる…分かってるって。ここに居る皆んなは色んな目に遭って来てる。だから今を壊すまいって事にはとても過敏になるんだよね。でも大丈夫。サトル様は私たちを皆んな娘だと仰ってくれてる、おっきな愛で包んでくれてる。心配要らないって」

 

いつの間にかクレマンティーヌも泣き出していた。

幼い双子の姉妹は抱き合って泣いている2人を不思議そうに見ていた。

 

 

「おっせえなぁ〜、クーレの奴、一体何処へ行ったんだ?」

真面目な男ガゼフ・ストロノーフはトイレも行かず1人で見張っていた。

 

ーーーーー

 

「おや?そこに居るのは誰だい?」

ピニスンは問いかけた。

「………」

「…ネム?どうしたんだい?もう陽が暮れるよ?」

「………」

「ははぁ〜。悪戯でもして怒られたのかな?」

「………違う」

「じゃあどうして1人で果樹園の隅で座ってるのさ」

「……ネムは独りぼっち」

「お姉ちゃんも皆んなも居るじゃん」

「皆んな、ネムの事なんて忘れてるの」

「よくわかんないなぁ。良かったら話してみてよ。それとも僕じゃ駄目?」

「ネムの話、聞いてくれるの?」

「僕たちは早起きだからあんまり夜遅くは付き合えないけどね。さぁ、話してごらんよ」

 

 

「と、言う事があったんだよ」

「成る程な…昔、そんな話を聞いた事がある。……分かった、その件は俺で対処しとこう。だから内緒でな」

「そうかい。それは助かるよ」

「で?もう一つの大事な話とは?」

「うん。サトルは西の魔蛇の事は知ってるかい?」

「森の3大魔獣の1匹だ、ぐらいかな。しかし、その内の東の巨人とやらはウチの娘たちがやっつけてしまったぞ?」

「それだよ。その巨人が倒されたので森のパワーバランスが崩れてしまったのさ」

「その…西の魔蛇?と…」

「森の賢王」

「ああ、そうだ。確かエンリが前にそう言ってた」

「その2匹が組んで森を支配しようとしてるって噂なんだよ」

「噂って誰が?」

「誰って、虫や鳥たちだよ」

「ちょっと待て。大丈夫なのかその噂…」

「何言ってんのさ。森の噂でこれ程確かな情報元はないんだよ?」

「そ、そうなんだ」

「でね。話を元に戻すと、近々村に攻めて来るかも知れないって」

「強いのか?」

「腕力はグに及ばないけど、どっちも魔法を使うんだ」

「グ?」

「巨人の名前だよ、聞いてなかった?」

(そう言えば変な名前のトロールだったと言ってたな)

「ちゃんと聞いてる?」

「おお、聞いてるとも。少し考え事してたんだ」

「ならイイけどさ。それでこの事をサトルの耳に入れとこうと思ってね」

「そうか。重要な情報だったぞ。ありがとう」

「どういたしまして。僕も役に立てて嬉しいよ」

「ところで、どうだ?最近は。他の仲間たちも不都合などないか?」

「うん。皆んなよく世話をして貰って喜んでるよ。イイ娘たちだからね、ちゃんと話しかけてくれるし」

「それが何か関係あるのか?」

「知らないの?植物は話しかけると綺麗な花を咲かせたり美味しい実がなったりするんだよ?」

「それは都市伝説だろう?」

「違うって。精霊の僕が言うんだから間違いないって」

(アレってマジネタだったんだ)

「そうか…じゃあ娘たちにももっと話しかける様に言っとくよ」

「うん。頼むね」

 

(ファンタジーだよなぁ〜。実際。さて、どうするか…)

 

宿題を2つ貰った鈴木は夜空を見上げた。

 

「月ってあんなにハッキリ見えるだ…。それに明るいと思ったら満月じゃん」

暗視能力のある鈴木は今までそれに気づかなかった事が

何かおかしくて笑ってしまった。

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

如何でした?

小さい子供って見方を変えると小動物ですから
少しの空気の動きを読んだりするんですよね。

あと、久しぶりにピニスン君が登場しました。
彼、面白いですよね。

それと…賢王を再登板させる為に魔蛇さんに登場願いました。
どう絡むかはお楽しみに。

じゃあまた、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
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