骨と卵   作:すごろく

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どうも、作者です。

よくある話ですよね。
すっごく重い話だと思ってたら
当事者はそうでもなかったって事。
心配して損した!なんて。

今回はそんなお話です。
え?毎回そんなのじゃないかって? 
ち、ちがいますよ!
ちがうんじゃないかな…ちがうよね?…ちがうかもしれない
…多分ちがう。

でわ、ごゆっくりお楽しみください。


その48 感性。

「……これは」

フールーダは目の前のものに精神を集中し、

一つ一つを確認する様に同じ手順を繰り返す。

「…ふむ…やはり、間違ってはおらん」

そして腕を組み熟考する。

「!」

やがて、カッと目を見開きその場を足早に立ち去った。

 

「お主…耄碌したのではないかの?」

リイジーは書き物の手を止めフールーダを見た。

「逆の立場ならそう言うじゃろうよ、事実最初はそう思ったのだからな…しかし…残念ながら儂はボケておらん」

「ふ〜む…それでここへ来た、と言うわけじゃの」

「医学としての意見を聞きたい」

「結論としてはアリじゃ。しかしのぉ…」

「実例が…無い」

「その通り。じゃがこの村でもう何が起こってもう…」

「どうする?」

「とりあえず耳には入れとこう、儂も付き合うよ」

 

「…と言う訳じゃ」

「なるほど………勘違い、では無さそうだな」

「儂も多くの才能ある者を見て来たが、今回ばかりは己の眼を疑ったわい」

「そりゃあそうだろうとも。魔力を持つ乳飲み子なんぞ聞いた事もない」

(サイボーグなんちゃらってので1人居たけどな、そんな赤ちゃん)

「で、それがエンリに関係していると言う仮説だったな?」

「エンリが死んでしまう前にキーノが噛んでアンデッド化した。伝説通りじゃな。考えられておる仮説は吸血鬼の唾液に何らかの物質が混ざっておってそれが噛んだ相手の体内に入り変化をもたらす。ここまでは良いか?」

「あれは…その呪いとか類いじゃないのか?」

「だったらわざわざ噛む必要はないだろう?でだ、ここからが本題じゃが、エンリの母乳で赤子がアンデッド化してしまった、そして魔力も得た」

「確かに母乳も"体液"と言えなくもないが…ちょっと飛躍し過ぎてはいないか?」

「では、あの魔力をどう説明する?少なくともアルシェが入学した時よりも魔力は強いのじゃぞ?」

「まさか…それほどなのか」

鈴木は驚愕する、産まれたての赤ん坊が既にこの世界の天才レベルだと言うのだ。

「…それで…それで"まだ"人間なのか?」

絞り出すように言葉を繋ぐ。

2人の老人は互いに顔を見合わせて、首を横にふる。

「…なんと言う事だ……母親だけでなく、その子まで…」

鈴木は窮地だったとは言え己の下した決断を悔いる。

「お主の辛い気持ちは分かる。しかし、あの時はあれしか方法が無かった。それは皆、承知しておる」

「それでこの事は?」

「無論、この3人以外はまだ」

 

「分かった。エンリには折を見て俺から話す」

 

ーーーーー

 

「陛下、カルネ村へは何時行かれるのです?」

執務室のソファーに腰掛けカルカは尋ねる。

「………近いうちに」

ジルクニフはカルカから視線を外し短く答えた。

「貴方は妙に気が弱い所があります。でも今回、それはいけない事ですよ?」

「分かっておる、だがな」

「掛ける言葉が見つからない」

「その通りだ。あれ程可愛がっていた娘を自らアンデッドにしたのだぞ?やむに止まれないとは言え、その心中を想うと」

「そこを踏み込むのが友だちではなくて?」

(友だち…か。思えば俺にはそんな者は居なかった。いや、友だちどころか家族さえ…)

「今の貴方は独りぼっちじゃありませんわ。どうぞ私を頼って下さいな」

「しかしその身体で長旅は」

「妊娠は病気ではありません。ずっと城に篭っていてはかえって良い事はないと医者も言っていたではないですか」

「そうは言っても」

「私たちは今まであの方に助けられてばかりでした。今度は私たちの番ですわ」

(カルカの言う通りだ。公私に渡り今の充実ぶりはサトルのお陰だ)

「ね。参りましょう、カルネ村へ」

 

ーーーーー

 

「居るか?」

鈴木は息子夫婦の家を訪れていた。

「あら、義父さん。いらっしゃい」

フリルだらけのピンクのエプロン姿のキーノが出迎える。

「お、おう…なかなか…か、可愛いじゃないか」

「ありがとうございます♪」

(初めて来たがなんだこの内装は?ピンクと花柄だらけじゃないか…)

「これは父上、ようこそ我が家へ」

猫の刺繍が入った部屋着でパンドラズアクターが現れる。

(ゲッ!ありえんだろう…ヤンキー夫婦じゃあるまいし)

「ちょっと聞くがこれは?」

鈴木は部屋を見渡しながら尋ねる。

「キーノの趣味です」

(だよな。俺、こんな趣味に設定してないもんな)

「なんでもズッと我慢していたらしいのです。アダマンタイト級冒険者蒼の薔薇仮面の魔法詠唱者の肩書きがありましたから」

(長っ!肩書き長過ぎるだろ!)

「そ、そうか」

「彼女はまだ12歳ですから」

そこへキーノが盆にお茶を入れて持って来る。

盆もカップも花柄だ。

「それで?ただ訪ねて来て下さった訳ではないでしょう?」

「うん。実はキーノに聞きたい事があってな。内密な話だ」

「外しましょうか?」

「いや、それには及ばん」

 

「…それは」

「やはりお前も初耳か」

「噛んで血を吸う事で眷属に出来る事は知っていましたが…でも変だなっと思う節はありました」

「と言うと?」

「エンリとの繋がりが全く感じられないのです。普通は眷属になればそれなりの繋がりは感じる物ですから」

「それは分かる。俺も召喚した者とは感じるからな」

「でしょう?不思議だなぁと思っていましたが、産後の変な症状もそうでしたからその影響かな、と」

「ポーションが効かない」

「はい、この世界の理を受け付けない症状でしたから眷属云々の理もまた通用しない」

「なるほど、その理屈も筋は通っているな」

「では、母乳の件は?」

「吸血鬼が出産した話自体聞いた事ありませんし、仮に出産して産まれた子は当然吸血鬼でしょう。でも、人間の子として産まれた、その後で母乳でそうなるなんて」

「ありえない」

「そうは言ってません。むしろ、あり得ると思います」

「リイジーの言う、体液か?」

「はい、その話はリイジーさんの言う通りですから」

「よし、ここからが本題だ。実は赤ん坊の成長が早いのだ。でな、この場合はどの程度で止まると思う?」

「う〜ん、私はこの歳でそうなって、そこで止まりましたから…成長している事が既に規格外ですね」

「いや、心配しているのは、このまま成長して婆さんになって、そこで止まって不死になるのでは、と言う事なのだ。それはいくなんでも、だろう?」

「それは無いでしょう…多分ですが」

「何故そう言える?」

「不死である以上はどこかで成長は止まるでしょうが、逆にそんな最悪な年齢で止まる事の方が稀だと思いますよ。だって魔法使いのお婆さんは聞いた事あっても吸血鬼のお婆さんは聞いた事がないでしょう?」

(なる!確かに、爺さんのドラキュラは見た事ない!)

鈴木はなんだかホッとした。

そして来て良かったと思った。

「息子よ。お前の嫁は実にポジティブで良いぞ」

「恐れ入ります」

「最初この家に入った時から明るいなと思ったんだよ」

「あと、お義父さん。エンリちゃんにはこの事は?」

「う〜ん、それが未だなんだ。やはり言い難いよな」

「やっぱりそうでしたか。だったら大丈夫だと思いますよ」

「何かあるのか?」

「私も当事者ですので、それとなく様子は見てるんですね。で、私もある程度ほ魔力感知はあるので赤ちゃんの事を言ってみたんですよ」

「そ、それで!?なんと?」

「嬉しがってましたよ」

「嬉しがってた!?」

「はい、これで子供の死に目に合わなくて済むって。それどころかこれで未来永劫、村は安泰だって」

「父上、私、感服いたしました。流石は父上が最初に目を付けた娘だ。器が違う」

「いや、お前、そうじゃないだろう…。しかし、それは本当なのか?」

「嘘言ってどうするんですか…この耳で聞いたのですから間違いありません!」

(む〜、エンリは最初会った時からポジティブ思考だとは思ってたんだけど、ここまでそうとはな)

「2人とも夜遅くまですまなかったな。お陰で気が楽になった。明日朝にでもエンリと話すよ」

「とんでもないですよ父上。いつでもどうぞ」

「そうですよお義父さん」

 

「うんうん。じゃあ俺は寝ないけど、おやすみ」

 

ーーーーー

 

「えーー!それマジ?」

「マジだって!お茶を出そうとして偶然、聞いちゃったんだから!」

「それでアンタどうしたのよ?」

「勿論、聞いてない風を装ってお茶出したよ」

「気付かれてなかった?」

「うん。話の内容が内容だから、そんな所に気を回す余裕無かったんじゃないかなぁ」

「でもさぁ。村長さんがあんな風になってビックリしたけど今度は赤ちゃんかぁ。サプライズ多すぎてついてけないよね〜」

「言える。アタシなんかさ、こないだうっかり村長さんに、色が白くてイイですね〜、って言っちゃったよぉ」

「迂闊過ぎだろ!もうね、アホか、バカかと」

「だってぇ、村長さんは村長さんだしぃ。アンデッドとかヴァンパイアとかエルフとか妖精とか、全然普通だしぃ」

「まーねー。偶にリザードマンだっけ?蜥蜴の人。親子でくるじゃん、魚持って」

「そうそう、あの"人"が持って来てくれる干物、すっごく美味しいんだよねぇ。干物なのに焼くとふっくらして脂も乗ってるし」

「ちょっと!赤ちゃんの話はどうなっのよ!」

「ん?どうなったって言っても…」

「だよね。お母さんと同じアンデッドに成りました、セリーちゃんやアルシェちゃんみたく魔法も使えます、チャンチャンって感じ?」

「…よく考えたらそんな特ダネでもないか?」

「アハハ!特ダネかと思ったら違ったでゴザルみたいな」

「マジ、ウケるんですけどぉ」

「もう!ヤダァ!」

「キャハハ!」

 

「ったく!夜更かしばっかりして…これがガールズトークって奴なのか?なに話してんだろ?」

立ち聞きしようと思ったが見つかると変態呼ばわりされるので、素通りして部屋に戻る鈴木であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

赤ん坊の成長を待てないので
魔法を使いました。

それから何事もなく何年か過ぎた。

なんて、使いだしたら便利すぎて
使いまくってしまいそうでしょ?

エピソードのパッチワークみたいな作品なのに
その何年間にもエピソードある筈だろ!みたいな。

じゃあまた、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
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