今話からオリキャラが登場します。
どんな風に絡んでいくか全く予想も出来ません。
それは書いてる本人の頭の中が白紙だからです!
でわ、ごゆっくりお楽しみください。
「見てみな。久しぶりの上物だぜ?」
「おお!マジかよ?あの馬車だけで相当金持ちだってわからぁ」
「皆を呼んで来いや」
「陛下、目立たぬ様にとの仰せでしたが…やはり供回りが心許なかったのではないでしょうか。ここら辺は良からぬ連中が出るとの噂もございます」
「良い。大勢で移動してみろ、それこそ襲ってくれと言っている様なものではないか。それに此方にはレイナースとニンブルも居る、野盗如きによもや遅れは取らんよ」
「はぁ……なら良いのですが……」
ジルクニフは身重のカルカとカルネ村へ向かう道中だった。
いつもの専用馬車は使わなかったのは、のんびりと旅がしたいとのカルカの希望もあった。
なにしろ旅行などはした事が無いのだから、これも仕方ない事だった。
「陛下、これってハネムーンですよね?」
「ん?まぁそうなるかな。お互い公務に追いかけられる毎日だったからな、私も昼寝などは久しぶりだ」
「よくお眠りでしたよ」
「すまんな、この適度な揺れとお前の太ももが気持ち良くてな」
「変態ですか?」
「英雄色を好むと言うではないか」
普段過ごしている私室や執務室に比べ格段に狭い車内ではあったが、車窓に流れる景色や途中で買う食べ物に2人の話は弾んだ。
「陛下。本当にエ・ランテルにはお立ち寄りにならないので?」
「大層な事になるだろう?折角のお忍びが台無しになる」
「では、まだ少しカルネ村まではかかりますので一度休憩を入れて馬を休めたいと思うのですが」
「分かった。適当な所で停めよ」
一行は周囲も見渡せる場所で休憩を取る事になった。
「ここなら安全ですわね」
「そうだな。私たちも外の空気を吸いに出るとしよう」
「親分、どうしやす?」
「腹ぼての女とその亭主、護衛が2人、付き人が数人にエルフの奴隷が3人か…。楽勝だな」
「護衛2人の装備や付き人の見成り、奴隷までちゃんとした服を着てますからね。ありゃあかなりの金持ちですぜ」
「俺ら死を撒く剣団も最近は商売上がったりだからな。やっと運が向いて来たってとこだな。皆殺しにして根こそぎ頂こうぜ」
「オンナもですかい?」
「腹ぼてとエルフだぞ?まともなのは護衛の女だけだ」
「この際エルフでもなんでも…」
「フッ…オメェも好きだな…勝手にしろ」
「で?作戦は?」
「奴らの周りを取り囲んで一気に攻める。四方からヤラれちゃあ、人数の多いもん勝ちだぜ」
「何か来る」
「臭うわね」
「何人くらい?」
「剣士ばかり15くらいかな」
「じゃあフォーメーションBね、いい?」
「「OK」」
「どーりゃあああ!」「くたばりやがれっ!」
突然の罵声と共に馬車の四方から
死を撒く剣団が襲いかかる。
「敵襲っ!」
「陛下たちは馬車へっ!お前たちは馬車を守れっ!」
ニンブルは民間人に偽装している兵士に指示を出す。
「ニンブル!私はこっちをやるわ!貴方はそっちを!」
「了解したっ!」
「ニンブルさん、レイナースさん、下がって!」
突然、背後からの声に驚いて振り向くとエルフが居た。
「ワイデンマジック!スロー!」
「な、何だ!?体が重い!」
「今です!斬り込んで下さい!」
「助かるっ!」
2人は思う様に体が動かせない剣団に斬りかかる。
「ぎゃああ」「助けてー」
哀れな男たちは一瞬で倒された。
「今度はこっちね!いくわよ!」
「マキシマイズマジック!チェインドラゴンライトニング!」
掌から白い龍の如き雷撃が放たれる。
「うぎゃあ!」「あギー!」
逃げ惑う男たち。
「逃しはしない!ブーステッド!マジックアロー!」
「ワイデンマジック!エレクトロスフィア!」
魔法の矢と電撃球が的確に仕留める。
「凄まじいな」
「もう私たちの出番はない様ですわね」
ニンブルとレイナースは呆れ顔で見合わせた。
「あれもお前が教えたのか?」
「いいえ。魔法に関しては指輪の力もあるでしょうが、連携はあの子たちが考えたものでしょう」
「将軍たちが引き抜きに躍起になるのも分かる」
「将軍が?」
「ああ。戦術やら兵法やら熱心に聞きに来るらしい。曰く、若い士官に爪の垢でも煎じて飲ませたいくらいだそうだ」
「まぁ!それは色々教えた方も鼻が高いですわ」
「やったね!」
「完璧!」
「任務完了!」
笑顔でハイタッチするエルフたちを
ジルクニフは頼もしそうに見つめた。
「見たか?」
「あれ、確かカルネ村のエルフっ娘たちだろ?」
「近くに居るのは?」
「バハルス帝国の皇帝ジルクニフ」
「なんでこんなとこに皇帝が居るのさ?」
「知らねぇよ、んな事。それより全滅させられたの死を撒く剣団だろ?」
「あのエルフっ娘ってあんなに強かったのか…」
「エルフの歳はよく分かんねぇけど17ぐらいだよな」
「マジックアローってさ、あんなに数が出たっけ?」
「よく出て2〜3本」
「だよな」
「10は出てたぞ?」
「もっとだろ」
「どうする?帰って組合長に報告するか?」
「いや、止めとこうぜ。面倒くさい事になりそうだ」
「じゃあ、俺らは何も見てない」「聞いてない」
偶然近くに居たエ・ランテルの冒険者たちは
声を聞いてやって来たが、一方的な戦闘に逆に怖気付いてしまい隠れていたのだ。
「なぁ?街に軟膏売りに来てる娘たちもあんなに強いのかな?」
「だから、知らねぇって!」
ーーーーー
「とんだ邪魔が入ってしまったな、皆、怪我は無いか?」
ジルクニフはグルりと見渡して尋ねる。
「総員、異常はありません!」
「そうか、なら出発するとしよう」
「貴女たちいつもの間にあんな戦法を?」
エルフたちの馬の横にレイナースも並ぶ。
「将軍さんたちに色々教えて貰って」
「それにサトル様にも言われたし」
「三本の矢は折れないって」
いつの間にか来ていたニンブルは感心して言った。
「なかなか味のある言葉ですね。私も新兵は沢山見て来ましたがこれ程短時間で成長した例は知りません。しかもそれが女性ですからね、驚きです」
エルフたちはビックリしてニンブルを見る。
「どうしました?何か変な事でも?」
「いえ、私たちを"女性"って」
「ん?それが?」
「今まではエルフの奴隷とかメスエルフとか言われてましたので…」
「メス!?」
レイナースが顔を顰める。
「言ってませんでしたっけ。売り買いされる時はメス1匹とかで呼ばれてました」
レイナースにみるみる怒筋が浮いてくる。
「もちろん、今の帝国にそんな馬鹿は居ないわよね?もし居たら遠慮なんかしないで直ぐに言って頂戴ね、消去するからね」
「消去って…レイナースはカルネ村の事になると人が変わるよね」
ニンブルは、やれやれと呆れてしまう。
「傷のおかげで親やフィアンセにも酷い仕打ちを受けたのよ?その傷を治してくれてささくれた心まで癒やしてくれたのはあの村。カルネ村は私の第二の故郷でこの3人や村の娘たちは私の妹同然。家族を侮辱するなら代償は命で支払って貰う」
レイナースはきっぱりと言い切った。
どちらかと言うと一途な性格なのをよく知るニンブルは
それ以上何も言わなかった。
「そろそろね」
先程とは別人な笑顔のレイナース。
すると天から声がした。
「おじちゃんたちだ〜れ?」
一行はギョっとして空を見ると幼女がふわふわと浮かんでいた。
「……天使」誰かが呟いた。
「おじちゃんたちだ〜れ?」
2度目の質問にハッと我に帰る。
「君は誰だい?」
そう言ってからニンブルは実に馬鹿だと自分を笑った、質問に質問で答えるなど愚者の骨頂だ。
「わたしはルージュ。ルーってよんでイイよ」
「そ、そうか。じゃあルーは1人かい?」
「ううん。おねぇちゃんもネルルやムーディやラシェルもいっしょだよ」
ニンブルはキョロキョロと辺りを見回す。
他の者も同じ様にするが、一様に首を横に振る。
「だ、だれもいないんだけど…」
「かくれんぼしてるからかくれてんの。ちょっとまってね」
そう言って小さい指をこめかみに当てて何か呟いた。
すると何処からか声がした。
「あ〜、ルーちゃん、しらないひととおはなししたらいけないんだぁ〜」
「かあさまにしかられるよぉ〜」
「じぃ〜じもおこるかも」
「じぃ〜じはおこんない」
(夢でも見ているのか?)
ジルクニフはそう思った。これが白昼夢だ、と。
「みんないじわるしないででてきてよぉ」
すると薄っすらと白い影が出て来て、やがて人型になった。
そして4人の幼女が現れた。
宙に浮かぶ5人の幼女に流石のジルクニフも言葉を失う。
「……まさか…いや…ありえん。だがしかし」
やっとの事でそれだけを口にする。
「おじちゃん、どうしたの?」
「お嬢ちゃん、此方の方はおじちゃんではないんだよ?」
流石にニンブルが遮る。
「じゃあ、おなまえな〜に?」
「わたしはねジルクニフという名前なんだよ」
ジルクニフはニンブルを手で抑え答えた。
「ジルクニフ…ジルクニフ…」
幼女の1人が何か思い出そうとしているように、口の中で繰り返す。
「あ〜!おじちゃん、ジルってよばれてる?」
「あ、ああ、そうだよ、そう呼ぶ人も居るね」
「なぁ〜んだ、じぃ〜じのおともだちかぁ」
「えっと…あのね、その"じぃ〜じ"って?」
「じぃ〜じはじぃ〜じだよぉ?おじちゃん、おとななのにしらないの?」
これでは埒が開かないとレイナースが助け舟を出す。
「じぃ〜じさんにはお名前無いのかなぁ?」
「あるよ。サトルっていうの」
(やっとたどり着いた)
皆がそう思った。
「じゃあ村まで案内して貰えると助かるんだけどなぁ〜」
「う〜ん、しらないひとをつれてきちゃだめっていわれてるの」
「おじちゃんたちはじぃじのお友達だよ?」
「ちょっとまってね、いまきいてみるから」
「あ、じぃじ?うん、ネルルだよ。あのねいまねジルっておじちゃんといるの、そいでね、むらへつれていってほしいって。うん。じぃじのおともだちだって。え?うん。わかった。じゃあね、きるね、バイバイ」
「な、なんだって?」
「うん、ひさしぶり?だなぁっていってた。じゃあついてきてね」
5人は相変わらずフワフワと浮かびながら先頭を行く。
「レイナース、アレは誰だ?」
「エルフちゃんたち、知ってる?」
「いえ…あんな小さい子はアルシェの妹ぐらいしか…」
「サトルがまた何処かで助けたとか?」
「だとしたら私たちには分かりません」
「何にせよ、只者ではないぞ。5人揃って魔法を使うし…ひょっとしたらあの外見は偽装かも知れん」
「でも、じぃじとか呼んでましたよ?」
後に続いてヒソヒソと話しながら歩いていると
急に怒鳴り声がした。
「コラっ!あんまり遠くに行っちゃダメって言ってるでしょ!今日はおやつ抜きっ!」
「ちがうんだよ〜、ママ。あのねこのおじちゃんたちがみちにまよってたから、たすけてあげたんだよ」
「「ママっ!?」」
そこには仁王立ちのエンリが居た。
お疲れ様でした。
イメージとしては少し大き目の白いワンピースを
着ている幼女が空中にフワフワ浮いてる、です。
可愛さを全面に押し出した想像でお楽しみください。
じゃあまた、よろしくお願いします。
ありがとうございました。