骨と卵   作:すごろく

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どうも、作者です。

ひょんな事から魔界村疑惑が浮上しました。
明るく健全な村を目指す鈴木さんは
例によって心配性が顔を出します。

しかしこれまた例によって
村民は個々にトンチンカンをやっていますよ。
どんな具合か少し覗いてみましょう!

でわ、ごゆっくりお楽しみください。


その56 決戦前夜Part 1。

広場でのイベントが終わって

訪問客はそれぞれの家路に就いた。

最初は村へ行く予定だったツアーも

既に皆に会ったのだから今更と国へ帰った。

全ての問題は解決したかの様に見えたカルネ村だが…

 

いつもの様に3時のお茶をテラスで楽しんでいる鈴木の元へフールーダが訪れる。

「おお、爺さん。一緒にどうだ?シナモンクッキーもあるぞ」

フールーダは対面の椅子に座り鈴木をじっと見る。

「ん?どうした?おーい!誰か爺さんにもお茶を頼む」

鈴木は奥に声を掛ける。

「なんだよ。黙りこくって…気持ち悪いじゃないか」

「五つ子の事ですじゃ」

「なんだ?また悪さでもしたか?」

「それぐらいなら良いのですが…最近少し気になる事が」

「勿体ぶるなよ。さっさと言え」

「この村全体が魔化しております」

「えーーーっ!?」

鈴木は飲んでもいない珈琲を吹き出しそうになった。

 

ーーーーー

 

「んーとね。グーっと力を貯めてバーって出す感じ」

「こう?」

「そうそう、それで頭の中でどんな風にしたいか考えるの」

「うん…こんな感じかなぁ」

「そんじゃ、今のを最初から流してみて」

「よーし!エイっ!」

ウレイリカの指先から微かな火花が出る。

「ヤッタ!」

「ウー姉ちゃん、凄い!凄い!」

五つ子は大喜びだ。

「じゃ、次はクー姉ちゃん」

クーデリカも同じ様に目を瞑ってイメージする。

「あ!クー姉ちゃん、目を閉じたら駄目。何処へ飛んで行くかわかんないから危ない」

「そっか!ゴメン!も一回やり直し!」

今度は一点を見つめて同じ事をする。

すると今度はやはり指先からマッチの火ぐらいのが出る。

「大成功ぉ〜!」

ウレイリカとクーデリカはハイタッチをする。

「ネム姉ちゃんはどうする?」

「アタシは空飛びたい」

「それは難しいよぉ〜。でもなんで?」

「前にね、お父さんに空へ連れて行って貰ったの。それが忘れられないんだぁ」

ネムはあの日を想い出しウットリと空を見上げた。

「お父さんってじぃじの事だよね。なんでお父さんなの?」

「アンタたちのママはアタシのお姉ちゃんでお父さんの娘だからママの妹のアタシもお父さんの娘なの、だからお父さん」

「そっかぁ!ネム姉ちゃんはズッとネム姉ちゃんって呼んでたから私たちみたいにじぃじの孫なのかなって思ってた」

「ここってその辺が、ややこしいよね」

「うん。だって他のお姉ちゃんたちもじぃじの娘だって言うし…クーレ姉ちゃんもツアレ姉ちゃんもそうなんだって」

「ぱん兄ちゃんは?」

「ぱん兄ちゃんは息子さんだって。そんでキーノおばちゃんはぱん兄ちゃんのお嫁さんになったからじぃじの娘になったってママが言ってた」

「なんでキーノおばちゃんなんだろ?キーノお姉ちゃんって呼ばないんだろ?」

「本当はすっごい歳が上なんだって。だからお姉ちゃんって私たちが呼ぶと姉妹みたいに思われるからっておばちゃんが言ってたよ」

「そーなんだぁ」

「ぱん兄ちゃんはすっごい年上なのにお兄ちゃんなのにね」

「前にママにその事聞いたら、色々あるのよ、って」

「ふ〜ん」

小さいが女子は女子。

脱線しだしたら止まらない。

「じゃあ、行くね!」

ネムが力を入れるとピョンと飛び上がった。

「ネム姉ちゃん、ズルしたぁ〜!」

「それジャンプしただけじゃん!」

「ハハ!バレた?」

「バレバレだよぉ〜」

 

ーーーーー

 

「と言う事が先日ありましてな」

脳内変換でちびっ子たちの会話を再生して

ホッコリしていた鈴木は現実に戻された。

目の前には爺さん。

鈴木はガッカリした。

「なにか?」

「いやなに…爺さんの話し方が上手いので聞き入ってしまっていたよ」

「それじゃなにか?五つ子の影響が他のチビにも出ていると?しかしそれじゃガセフたちにも出るだろう?」

「それについては聞き取りをしたんじゃよ。そしたら驚く事に…」

「だからぁ〜、勿体ぶるなって!」

「最近、感覚が鋭くなった気がすると」

「鍛錬の成果じゃないの?あと、勘違いとか」

「鍛錬などしていない娘たちも、と言ったら?」

「………マジか」

「マジですじゃ」

「…息子夫婦と婆さん、それにエンリとツアレを呼んでくれ。会議だ」

 

ーーーーー

 

「でだ。ここに居る中で魔法とは無縁なツアレに聞く。お前はどうだ?」

「う〜ん…私はお腹に赤ちゃんも居るから…普通でも感覚は普段とは違うかと…」

そんな事は全く知らない鈴木は絶句する。

(マジか…。全然知らんかった)

「あたしゃ最近、鑑定魔法の精度が上がってね。この歳でスキルアップかと思うとったんじゃが、そう言う訳かい」

「父上、磁石みたいなものですね」

「それはどうだろう?例えば木に磁石を近づけても磁気は帯んだろう?」

「じゃあ、朱に交わると赤くなる」

「いやキーノ。例えがなんか印象悪いぞ」

「門前の小僧習わぬ経を読む」

「諺大会じゃないから…てか真面目に考えてる?」

「だってお父さん…ねぇキーノちゃん」

「そうだよな。それで問題あるなら兎も角、問題どころか朗報だと思う」

(なにこの受け取り方!貰えるものはなんでも貰う主義?)

「お、お前はどうだ?息子よ」

「はぁ…恥ずかしながら嫁に同意です」

(この野郎!完全に尻に敷かれてるじゃん!)

「と言う皆の意見だ。爺さん」

「儂も皆と同意見ですな」

「えー?ちょ!待て待て!話しが違うだろ!」

「儂は元々、村が魔化されている、と言っただけで…あと微笑ましいエピソードを話しただけですぞ?そしたら急に集合だ!会議だ!って……」

(なにこの人たち!俺?俺だけ変なの?だって村が魔界村になるんだよ?いいのそれで?恐怖の魔界村だよ?)

もう鈴木は何が何やら分からなくなっていた。

「と、兎に角だ!一応、村人全員の身体測定をやる!本日は以上!解散!」

 

ーーーーー

 

「しんたいそくてい?」

クレマンティーヌは首を傾げた。

「なんでも村人の健康状態を把握するってサトルが言い出したらしい」

夕食後のソファーに寝そべってイチャつくガセフとクレマンティーヌ。

「模擬戦みたいなのかな?」

「う〜ん、どれだけ速く走れるかとか重い物持てるかとかじゃないか?新兵の入団の時にやってたからな」

「アタシたちも?」

「全員だって」

「ふ〜ん。パパがそう言うなら仕方ないね」

「パパ?!」

「うん。こないだね、言われたの。いつまでも様付けで呼ぶなって他人行儀みたいで嫌なんだって」

「それでなんでパパなんだ?お父さんとか父ちゃんとか他にあるだろう」

「父ちゃんなんて嫌だよぉ、ダサいし。エンリちゃんがお父さんって呼んでるし、父上はアクター様、あ、兄上だった」

「兄上!?」

「いちいち驚かないでよ…本人希望なんだから」

「本人がそう呼べと?」

「うん。そう。クーレのお兄ちゃんはもう居るからって。優しいよね」

「そんな問題なのか…?」

「そうだよぉ。ちゃんと忘れてくれてないじゃん」

「じゃあ俺もサトルの事をパパって呼ぶのか?」

「あ、それは今まで通りでイイって。ガセフは友だちだからって」

「イマイチその線引きって言うか区別って言うか、よく分からんな」

「あるんじゃないのぉ?パパん中で。それよりチューして!」

「なんなんだ!お前は!」

「ねぇ〜早くぅ〜チュ〜」

脳まで筋肉で出来た2人のその後は窓から覗く月だけが知っていた。

 

ーーーーー

 

「俺は御免だぞ!その…なんだっけ…しんたいそくていってやつ」

ブレインはいつも通りの筋トレの手を休めそう言った。

「なんでよ?」

ツアレは産まれて来る子の為に靴下を編んでいた。

「だって健康じゃん俺。必要ねぇよ」

「またそんな事言い出す。皆んなするんだから1人だけしないって訳にいかないじゃない」

「俺は流されない男なんだよ!我が道を行くって言うの、それなんだよ!」

「頭の中がその辺で棒切れ振り回してる小僧並みね」

「何っ?!」

「だってそうじゃない。アンタ1人がしなかったら私も肩身が狭いしこの子だってそうなるのよ?それちゃんと考えてる?」

ツアレはお腹を摩りながら諭す様に話す。

「………」

「ね?もう1人じゃないの。家族が居るのよ?ホラ、あなたの子よ?動いてるでしょ?」

ブレインの手を取り腹にそっと当てる。

「うわっ!マジだ!動いてやがる!スゲー」

「わかった?赤ちゃんはちゃんと産まれて来る準備してるの

にお父さんがそんなでイイの?」

「俺…ちゃんと身体測定する」

「良い子ね。ほ〜ら、お父さんは良い子でしゅよぉ〜」

ツアレはブレインの頭を撫でる。

ブレインはとても嬉しそうだ。

(ったく…チョロいんだから)

ツアレは2人の子育ては大変だなっと思った。

 

ーーーーー

 

「元はと言えばあなたたちが原因だって?」

アルシェは妹ズを前に頭を抱える。

「違うもん」「遊んでただけだもん」

「はぁ〜。それで?いつからその遊びやってたの?」

「う〜ん。お祭りのちょっと前ぐらい、かな?」

「最初は見てるだけだったんだけど」

「お姉様も出来るし」

「やってみたくなった」

アルシェは2人を抱きしめた。

「姉様、苦しいよぉ」「息出来ないよぉ」

アルシェは決心した。

一途に掛けては誰にも負けない。

「分かったわ。御師さんに言ってちゃんと教えて貰うようにサトル様にお願いする。お姉様と一緒にお勉強しましょう」

そうだ。

これで妹たちが一人前のマジックキャスターに成れば村に恩返しが出来る。

それにこれから先、食べるにも困らない。一石が何鳥にもなるではないか!

「ホント?」「わーい!」

無邪気な妹たちは姉と共に学べる喜びに浸っていた。

(あぁ…私はなんて幸せ者なの!きっと役に立ってご恩返ししてみせる!)

この娘、ほんの少しの幸せを増幅させられるスキルを持っていた。

 

ーーーーー

 

「しんたいそくてい…えーと…身長と体重…それに魔力の測定…ふ〜ん」

姉の妊娠でセリーシアは寮の個室へ部屋を移していた。

表向きは新婚さんに気を遣って、と言う事になっているが

、実際は全く気など遣われておらず連夜の"騒音"に根をあげたのだった。

「えーと、なになに…当日は女子は食堂で男子は中庭で行います…雨天の場合は…あ、女子は関係ないや」

セリーシアはベッドに寝転んで渡された注意書きを読んでいた。

「でも…何で魔力を測るのに身長とか体重まで測るんだろ?

…まさか!胸も測らないよね?」

ベッドから飛び起きるセリーシア。

ペロンとシャツを捲り上げ己の胸を見る。

「チェ!全然おっきくなってないじゃん!」

そうなのだ。冒険者チーム・漆黒の剣で男装してニニャと名乗っていた頃から少しも"そこ"は成長していなかった。

「背はちょっとだけ伸びた…様な気がするんだよなぁ〜。大体ニニャ時代もサラシ巻いてたけど実はあんまり必要無かったんだよねぇ〜」

セリーシアはほぼペタンコに近い所をさすってみた。

「あ〜ココも測るんだったらヤだなぁ。こないだお風呂でアルシェのチラッと見たけどそこそこあったんだよなぁ。あれはちょっとショックだった」

エンリを始め姉や他の娘たちには勝負にならない、唯一のライバルがアルシェだったのだ。

そのアルシェに完敗したのだ。

「でさ、その事お姉ちゃんに言ったら"セリーはそのままが可愛いのよ"な〜んて言われてさ。そんで内緒にしててねって言ったのに兄貴にまで喋ってさ。もうサイアクだよ」

そこでセリーシアはハッと何かをおもいつく。

「そだ!兄貴って言えば何でブレインさんは自分の事を兄貴なんて呼ばせてんだろうって思ってたけど…そうか!そう言う事か!」

「きっと私の胸の大きさで妹じゃなく弟扱いしてるんだ!だってクーレさんだってお兄さんの事はお兄ちゃんって呼んでるもん、おかしいよ、ゼッタイ!」

「あ!でもパンドラズアクターさんのことは兄上って…なんか本人希望だって言ってたけど…まぁあの人はちょっと変わってるからなぁ」

「あ〜これじゃあネムちゃんたちのちびっ子クラスに入れられちゃうよぉ〜」

ベッドでゴロゴロと転がるセリーシア。

「そう言えば…こないだの広場でやったお祭り…なんか私の前でモジモジしてた女の子…あれってまさか」

ガバッと起き上がる。

「まさかアタシを男の子と間違えて告白とかしようとしてたんじゃ…」

再びバタンとベッドに倒れ込む。

「髪、伸ばそうかな…」

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

Part1と言う事は、このドタバタはまだ続きます。
まだ出番待ちの人達が居るのです。

さて。
カルネ村ははたして魔界村に成るのでしょうか。
そもそも魔界村って定義がよく分かってません。
なんとなく言葉の響きでそうしましたから(笑)

じゃあまた、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
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