骨と卵   作:すごろく

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どうも、作者です。

今回は村の将来が決まるかも知れません。
あんまり書くとつまらなくなるので。

でわ、ごゆっくりお楽しみください。


その58 身体測定。

「身長、体重、魔力の順番でーす。終わった人から順番に表に出て体力測定をしてくださーい。あと問診票の記入も忘れずにお願いしまーす」

いよいよ身体測定当日。

早朝からカルネ村は賑やかだった。

比率が圧倒的なので先に女子から済ます事になった。

 

「背の高さなどで人の真価は分からんぞ」

「何言ってんだか…さっさと済ませてよね。後ろがつかえてんだからさ」

ブツブツと文句を言うキーノをクレマンティーヌが急かす。

「この体重は赤ちゃんの分もあるから…仕方ないわね」

「妊婦が体重気にしてどーすんスか?」

いつの時代もどんな世界でも女子は体重を気にするのだ。

「それにしても双子も五つ子も見事に数字が同じね」

「うん、びっくりした。少しぐらいは違うと思ってた」

双子も五つ子も下着姿なので全く見分けがつかない。

「良かったぁ〜。胸は測らないんだ…」

「ん?セリーなんか言った?」

平な胸を撫で下ろす友人の顔を覗き込むアルシェ。

「魔力測定ってただ立ってるだけ?」

「詠唱とか唱えなくてイイの?」

「てか、アンタ胸デカくなったんじゃない?」

「え〜、アタシが1番チビじゃん!」

「シーッ!キーノさんに聞こえる!」

娘たちはいつもどこでも姦しい。

「若いおなごの下着姿はええのぉ〜」

「このエロジジイはいっぺん殺すかのぉ」

 

「なんか食堂は賑やかだな」

「そろそろ先頭が出てくるぞ」

「体力測定って何やるんだ?」

「お前…ちゃんと説明聞いてたか?この石を投げてどこまで飛ぶか距離を測る、あそこまで走って往復して時間を測る、この枝にぶら下がって何回上げ下げ出来るか数える、以上だ」

「時間ってこの砂が入ったのを使うんだよな」

「砂時計って言うらしいぞ。何回ひっくり返したか忘れるなよ」

「お、来た来た。おーい!こっちだぞぉー」

「一番乗りはキーノとクーレか…って、勝手に石を投げるんじゃない!」

「あーあ、飛んでっちゃったよ…。手頃なの探すのに苦労したんだぞ…ったく」

「おい!走るのに武技を唱えるな!素でやれ!お前もだ!転移を使うな!」

「おい、ガゼフ…こいつらいつまでも枝から降りねぇぞ?」

「…あ〜、こんな簡単なのなら一日中やっても疲れないよな。仕方ない、適当に数書いとこう」

「いいのか?」

「そんな事言ったってコイツらの終わるの待ってたら他が出来ん」

「キーノもクーレも全部終わったんだろ?だったらこっちを手伝ってくれ。やった通りの手順で頼む」

「「ふぁ〜い」」

 

身体測定は順調に進み残りはガゼフとブレインになった。

 

「フッ…まさかこんな形でお前と勝負になるとはな…」

「ニヒルにキメてる所をスマンが、これは競争じゃないぞ」

「馬鹿な事を言うな。タイムを測る以上これは立派な勝負だ」

「だから…タイムはそんな理由…あ〜もう面倒だ。行くぞ!」

「ガゼフ負けたら晩御飯抜きだからね!」

「ブレイン産まれて来る子の為にも勝ってね!」

「「おう!」」

「位置について!ヨーイ…ドンッ!」

 

熱い身体測定は全て終わった。

闘いを終えた戦士たちは互いの健闘を讃え合い

声援を送った妻たちは夫の労を労った。

 

「ただの身体測定なのに?」

鈴木は呆れてその様子を眺めていた。

 

ーーーーー

 

「と言う結果ですな」

鈴木とフールーダ、リイジーは部屋で測定結果が纏められた用紙を前に腕組みをしていた。

重い空気が部屋を覆う。

 

「…ですな、じゃないだろう…」

ようやく鈴木が口を開く。

「結果。思い過ごしだったと言う事ですな」

「爺さん…準備を入れて丸2日、体重計まで作ったんだぞ?」

「まぁまぁ、無事これ名馬と言う事ですな。それに体重計はまた使えるますし」

「それ意味が違うだろう…まぁ体重計は言う通りだが」

「それで爺さんの見解はどうなのじゃ?」

「俺もそれを聞きたい」

「まず…アルシェの所の双子ですが。元々姉にもあった魔法因子が開花した、と考えられますな」

「それが何故急に?」

「魔法は精神状態に左右されます。歳の近い五つ子の感覚的な教え方が功を奏したのでしょう、目から鱗ですわい」

「はぁ〜、なにが目から鱗だ…。仮にも教鞭を取っていたんだろう?分からなかったのか?」

「ですから感覚的だと。あの歳の子供に理屈で教えてもこうは上手くいきませぞ?」

「なにキレ気味なんだよ…。ネムは全くの見当違いだったクセに」

「それについてはネムが大変ガッカリしておりましてな」

「だろうよ、可哀想に…。聞けば俺と飛んだ時の思い出だったそうじゃないか」

「それはサトルが何とかしてやらんとのぉ」

「ちょ!婆さん!なんで俺が責任取らにゃならんのだ」

「親じゃろう?」

「クッ!痛い所をつきやがって…。分かった俺が何とかする」

(フライが使えるアイテムがあったな、あれをやろう)

鈴木は算段をする。

「そんな訳で村の魔化に関しては問題なかったのですが、興味深いアンケート結果が出ておりますぞ」

「オマケで書かせたアンケートだろ?コレってマジなの?」

「マジですじゃ」

「だってお前…全員がアンデッド化したいって普通じゃないぞ?」

「まさしくこれこそカルネ村らしいかと」

「村の魔化よりこっちの方が問題だろう」

「大した事じゃないでしょう?ちょっと噛むだけですし」

「左様。傷も残らんしの」

「お前ら…変」

2人の老人は言われた意味が分かっていない。

(こいつら…いや、待てよ。これが魔化か?)

強大な力を持つアンデッドの魔法詠唱者。

次々起こるイベントに不思議な現象。

(俺の影響…?)

(感覚が明らかにズレて来てる)

「その様子だと村人全員がアンデッド化しても何も問題は無いと?それはお前たち2人も含めてか?」

「「無論」」

(無論と来やがった)

「婆さん、お前は実の孫がアンデッドになるんだぞ?」

「既にひ孫がそうなのに?」

「ウッ…」

(こいつらマジだ)

「しかし…ガゼフやブレインもそう思っていたとはな。あいつらは潔く死ぬと思っていた、いや、死をも恐れぬと考えていた」

「なんの目的も無ければそうは思いますまい。実際、儂もそうですじゃ。やりたい事、守りたい者、続けたい事、諸々が有ればこそでしょうな」

そこで鈴木はハタと気付く。

(ユグドラシルが永遠に続くなら俺もそうだったかも)

「しかし…双子やネムはまだ子供だ。五つ子の様にやむを得ない理由でそうなったのではないからな。大人の考えで決めてはならん」

「それはそうじゃ」

「成人するまでは保留じゃな」

「後、ツアレも保留だ。産まれて来る子が五つ子の様になる可能性が高いからな。いくらブレインやツアレが頼んでも許可せんぞ」

「仕方ありますまい」

「異論なしじゃ」

(結果的にこれって村が魔化するのと同じ事だよなぁ。でも誰も強制されてない訳だし…本人たちの意志だし。偶然、そう出来る手立てが身近にあってその結果も見た、だから何の躊躇もないって事だろうな。前から感じていたけどこの世界の人間は思い切りが良いというか躊躇いがない。明日をも知れない過酷な生活から来ているのかも知れないな。俺だってリアルが過酷だったからこの世界でやっていくのに躊躇いはなかった、いや、むしろ希望すら見出した。だったら俺がこれを止めるのはお門違いってモンなのか?)

「どうされましたかな?」

「ん?いやちょっとな…すまんがこの問題はもう少し考えさせてくれ。意見を聞いてみたい者も居るのでな」

(俺自身がこの身になってまだ日が浅いからな。ここは先輩に意見を聞いてみるべきだ)

鈴木はそう決心してこの夜の会議を散開させた。

 

ーーーーー

 

「父上が来ますよ」

「分かるの?」

「繋がりがありますからね、多少は分かります」

「わ、私の事も?」

「そうなるでしょう」

「やったぁ!」

「これ!紅茶が溢れます」

不眠の2人は連日夜通しでイチャついていた、よくも飽きないものである。

 

「おーい、居るかぁ?」

 

ーーーーー

 

「なるほど…そんなアンケート結果が…」

「正直、俺もビックリだよ」

「それで父上はアンデッドの先輩である妻に意見を聞きたいと」

「キーノは息子の嫁だがこの状態で居る事については遥かに先輩だからな、その意見は貴重だ」

「お義父さんに褒められちゃった…」

パンドラズアクターは優しくキーノの頭を撫でる。

(夫婦と言うより子猫と飼い主だな…)

「…その…お前たちはいつもそうなのか?」

「はい。彼女も撫でられると喜びますし、私も髪がないので彼女のサラサラの金髪を撫でるのが好きです」

「そ、それは良かった」

(そう言えば髪、無かったよな。いつも帽子被ってるから意識無かったよ)

「あ〜、それじゃいきなり本題だが。アンデッドで長く生きるってどうだ?」

「…辛い事が多かったです」

(あ!直球過ぎた?部屋の重力が!)

「自分が死ななくなって初めて死と言うものと直面しました」

(重い!これ、夜中にする話じゃなかったか!?)

「親密度と別れの悲しみは比例しますね」

(ゴメン!ホント、ごめんなさい!)

「…キーノ、貴女はこの小さな身体で多くの悲しみを乗り越えて来たのですね」

「…ぱんくん」

2人は堅く抱きあった。

(この芝居じみた台詞と動作…まさか)

「お前たち…ひょっとして…」

「流石、父上。お気付きになられましたか!」

「え?いや…何が?」

「過酷な運命に立ち向かい尚も前を向いて進む少女ロール、ですよ」

「それを支える優しくかっこいいパートナーロール、もですね」

2人はハイタッチをした。

(似たもの夫婦…なのか?)

「あのなぁ、こんな夜中に何故お前たちの小芝居を見なければならんのだ。そろそろ本題に入ってくれ」

「ふぁ〜い」

 

ーーーーー

 

「つまりはこう言う事か。仲間が居なくなるから不死は辛いが皆んなが死なないのから不死こそパラダイスだ、と。」

キーノは可愛くコクコクと頷く。

(俺がおかしいのか?深く考え過ぎなのか?)

「そうか!」

鈴木は思わず声に出した。

「そんな事は最初にお前が言ってたよなぁ、我が息子よ」

「思い出されましたか?」

「ああ、思い出したとも。思い出したとも。そうだよな、この村全部が家族で仲間で友だちなんだもんな。明日も明後日も百年後も千年後も今日と同じ日が来るのなら迷いなどは無いんだよな」

「お義父さん、私も最初エンリをアンデッドにする時には悩みました。それはなった後でもそうです。だけどエンリやキッズやお義父さんやぱんくんを見ていると何か違う様な気がして来たんです」

「違う?」

「ハイ。生者だとか死者だとかアンデッドだとか精霊だとか。長くこの身で人間社会に暮らしていたので知らず知らずのウチに自身で壁を高くしてしまっていたのかも知れません。弊害が無いなら良い方を選択すれば良いだけだったんです」

「キーノも私も父上も別に生者を食べなくても大丈夫ですし、勿論生者を憎んでもおりません。それはエンリやキッズも同じ。ならば死なない事になんの問題がありましょう」

「アンデッドが優れていると?」

「そうではございません。あくまで選択の話です。その人が良いと思う方を選べば良いのです。危険な冒険者を選ぶのも無難な商人を選ぶのも人それぞれでしょう?」

「…なるほど」

「それにお義父さん。アンデッドになったからと言っても強敵に負けたりしたら消滅するので、そういう意味では永遠ではないですよ?」

「アンデッドがどうしても嫌になったら、と言う話か?」

「そうです。"死なない"のであって"死ねない"ではないのです」

「究極の話だな」

「寿命を自分で決めるのがアンデッドです」

「寿命を自分で決める…か」

(楽しい時を長く楽しんだ代償は高いんだな)

鈴木はぼんやりとそんな事を考えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




お疲れ様でした。

そうなんですよね。
アンデッドも死ぬのです。
本編ではシャルティアも死にました。
寿命の取り扱いが自分自身なのはキツいですよね。

じゃあまた、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
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