ラストスパートです。
変わらない鈴木さんは作者の理想像です。
最初ですから気をつけた事はたった1つ。
スタンスは変えない様にしよう。
異性にモテモテになるでも
美食に埋もれるわけでも
偉大なる魔王になるわけでも、なく。
どうすればより理想に近い鈴木悟になるのか。
でわ、ごゆっくりお楽しみください。
すっかり萎縮したフロストドラゴンたちは
友好の記念だからと言って
溜め込んでいた様々な財宝を差し出した。
そんな物を貰っては略奪と変わらなくなるからと
固辞したがドラゴン側も譲らないので
仕方なく村の土産程度の物を貰った。
それを横目で見ていたリユロは
ウチからも是非貰って欲しいと、これまた聞かなかった。
しかし二度と村へ行くのは怖かったので
リザードマンの集落へ見繕って届けておくと言った。
理由は陽の下は苦手だからとしておいた。
鈴木としては財宝や稀少鉱物より
ドラゴンとクアゴアが総力を上げて
ドワーフ捜索をすると約束してくれたのが嬉しかった。
空と陸、地下と揃えばきっと見つかるだろう。
「ちびっ子たちの練習も出来たし、大成功じゃないか」
鈴木はそう言って大満足で山を降りた。
その後、オラサーダルクとリユロは協力して山の治安に全力を注いだ。
もし何かあればまたあのアンデッドが乗り出してくる。
リユロは村にはまだまだ仲間が居るとオラサーダルクに言った事で更に両種族の結束は強まった。
「わぁ!これってアダマンタイトじゃない?」
「こっちの宝石も凄いよ!キラキラだよ!」
「これだけ金貨があれば当分村の財政は安泰です」
問題解決のお礼を兼ねてやってきたザリュースは
干物と一緒に預かっていた貢ぎ物も持って来た。
「すまんな。運送屋さんまでさせて」
「いえいえ、こちらこそこの度は助かりました。ありがとうございます。それより…あの仲が悪かった2人がビックリする程仲良しになってましたよ?何かあったんですか?」
「そうか!そりゃあ良かった!行った甲斐があったってもんだ」
ザリュースはそれ以上言わなかったが、2人の怯えようはそれはもう大変で宜しく取りなして欲しいとそればかりを頼まれた。
(あの様子じゃきっと地獄を見せられたんだろうな)
ーーーーー
「もう教える事は何もありませんぞ」
フールーダは満足気に鈴木に報告した。
「だろうな…俺の使えるのも殆ど使えてたしな」
「あと試してないのは…」
「超位魔法だが、それは教える予定はない」
「何故です?」
「さっきも言った様にあの子たちは独自の路線を行くと思う。お前や俺とは違う魔法道みたいなものをな。その過程で自然と身につくならそれで良い。階位を上げるだけが良いとは限らん」
「確かに…かつても儂なら躍起になっておったでしょうが。あの子たちを見ていると…なんと言うか魔法に対しての見方が変わりましたぞ」
「ヒールひとつで心まで癒やしてしまうのだからな…あれには驚いた」
「概念を変えてしまう」
「その時必要な魔法を自在に操り最高の効果を得る。階位も属性も全く無視だ」
「元々、竜族の始原の魔法しかなかったところへプレイヤーが階位魔法を持ち込んで今に至っております。…ひょっとすれば、あの子たちは新しい種族かも知れません」
「…ハイブリッドか」
「なんですかな、それは?」
「ん…いや…なんでもない」
ーーーーー
「呆れた奴だな…そんな理由でアゼルリシア山脈を制圧してしまったのか…」
「何を聞いていたんだ、ジル。制圧じゃない、友好だ」
「まあいい。それでドワーフの探索は奴らに任せるのか?」
「山には山のルールがあるらしくてな。任せてくれと聞かないんだ」
(余程恐ろしい目にあったな…気の毒に)
「しかしわざわざその事を報告に出向いてくれたのか。それとも他に?」
「察しが良いな。3人の様子を見にきた」
「ったく…過保護だなぁ相変わらず。安心しろ元気だ」
「どんな感じだ?」
「自分の目で確かめたら良いだろう」
「それもそうだな…今、何処に居る?」
「確か…図書館で経済の講義中…おい!待て!」
鈴木は早速転移してしまった。
「俺も子が産まれた、ああ成るのか?」
ジルクニフは苦笑いを浮かべた。
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「お父さん!」
鈴木を見つけるなり3人は飛び付いて来た。
「ハハ、元気そうじゃないか」
「今日はどうしたんですか?」
「ん、お前たちの顔が見たくなってな…と言うのは嘘で
サボってないか偵察に来たんだ」
「相変わらず嘘が下手なんだから」
鈴木は3人をローブで包み込み抱きしめた。
「頑張ってるそうじゃないか…偉いぞ」
3人の顔は涙でぐしょぐしょになる。
「ローブで隠して良かったな。誰にも見られてないから安心しろ」
「…お…父さん」
鈴木には分かっていた。
エルフと言う種族でしかも元は奴隷だった立場で人間社会で暮らしている。
自分たちから言い出した事なので弱音は吐けない。
村に居れば居心地は良かった筈なのだ。
「何も言わなくていい」
そう言って優しく何度も頭を撫でた。
「私ももらい泣きしてしまいましたわ」
柱の影から見ていたカルカは夫にそう告げた。
「アイツの不思議な力でな。伝染するんだよ」
そう言うジルクニフの目も赤かった。
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「どうだ?孤児院は繁盛してるか?」
「もう…相変わらずですね。あれは慈善事業だから採算は度外視ですわ」
「よく言うよな。兄ちゃんとジルからガッポリ予算取ってるクセに」
「そのお陰でどちらも評判は鰻登りですわよ?」
「らしいな。もう誰も鮮血帝などと呼ばんのだって?」
「ハイ。その渾名はもはや過去の物。今は国民想いで愛妻家の金髪の皇帝です。世の若い奥様には理想の旦那様なんて言われてますよ」
「単に尻に轢かれているだけじゃないか」
「あらあら…独り身のやっかみに聞こえますよ?」
「ラナーの口も相変わらずじゃないか…ところでクライムは?」
「子供に、仕事は?と聞かれてヒモと答えられないとか言い出して仕事を探しに行ってます」
「よくお前がそれを許したな」
「言いませんでしたっけ?妊娠してからクライムは随分強くなって、もう私の言い成りにはなりません」
「イイのか?それで」
「とても」
ラナーの瞳が妖しく光る。
「ま、まあ。お前たちがそれで良いなら…な」
(コイツ…絶対また変な性癖見つけたな。あの目は間違いない)
「ところで…カルネ村の魔化計画は順調ですの?」
「お前!どうしてそれを!」
「良いではないですか…そんな事。でもその慌て様では噂は真実ですね」
「キッタネー、カマかけたな!」
「本当、嘘の下手な人ですね。まあそれが魅力なんですけど」
「褒めてるのか?貶してるのか?」
「勿論、褒め言葉。だって、私を救ってくれた神様ですもの」
「何を企んでる?」
「何も。でもあのままだったら、私はクライムと一緒になるその事だけの為に国を友を全てを悪魔に捧げたでしょう。
それを救ってくださったのは、サトル様、あなたです」
「買い被りすぎだぞ」
「母となって初めて気がつきました。命を育む事の大切さ。頭は大人だったのかも知れませんが心は子供だったのですね」
「お前に似て可愛い女の子じゃないか」
「これも相変わらず、照れ屋ですね」
「今度、家族で遊びに来いよ。何なら俺が迎えに来てやってもイイぞ」
「ありがとうございます。首が座ったらお邪魔しますね」
「おう。じゃあクライムに宜しくな。また来る」
「お構いもしませんで。エンリさんにも宜しく」
ーーーーー
「よーし!休憩だ!」
レメディオスはどっかり椅子に座り汗を拭った。
「精が出るな」
「おお!サトルじゃないか!どうした急に、カルカは元気か?」
「何だ?会ってないのか?」
「こう見えて将軍なのでな。中々、国を空けられん」
「元気だぞ。お腹の子も順調だそうだ」
「…そうか。それはよかった。妹も心配してたんだ…っと、国王様だった!」
「イイって、俺と2人だけの時はな。それでケラルトは?」
「それがな…笑うぞ?皆んなに女神様とか呼ばれてな、女神はいつも微笑みを絶やさないとか言い出してズッと笑ってるもんだから顔面神経痛になったんだぜ?」
「…馬鹿じゃん」
「だろ?アタシと違ってアタマはイイと思ってたんだけどなぁ。意外だった」
「南はどうだ?治まったのか?」
「ああ、昔ウチの見習いをやってた娘が居てな。親父さんは弓の名手だったんで期待してたんだが素質は無かったんだ。でも別の素質があってな、演説って言うのか?あれが神ががってるんだ。それこそ聞いて者が魅了されちまう。今じゃウチの大事な広報長官だ」
「分からんものだな」
「それを言ったらアタシらだってそうだろう。自分で言うのもナンだがアンデッドとこうして話してるなんて考えられなかった」
「お前をどうやって丸め込もうかラナーとジルが苦労したらしいぞ」
「当代きってのキレ者2人にハメられたんじゃ勝ち目はなかったな!ハハハ!」
「お前のその竹を割った様な性格を見てるとかつての俺の仲間を思い出すよ」
「そいつも戦士だったのか?」
「いや、ヒーラーだ」
「なんだそりゃ」
「じゃあ帰るわ、ケラルトに宜しくな」
「なんだ?もう帰るのか?ゆっくりしていけよ。今夜は3人で飲もうぜ」
「俺だけ見とけってか?ハハ、また今度皆でゆっくり来るわ」
「約束だぞ?またカルカの結婚式みたいに皆んなで騒ごうぜ」
「ああ、約束だ」
ーーーーー
「貴様っ!何処から入った!何しに来たっ!」
「北から…お前たちに死を告げに」
「なにを!」
「ハハ、相変わらず沸点が低いな。血管切れるぞ?」
「煩い!要件を言え!」
「もう意地を張るのはよせ。ザッと国の様子を見て回ったが国民は食うにも困ってるじゃないか。この神殿も荒れ放題だし…国費、尽きてんだろ?」
「………」
(図星か…ジルの言った通りだな)
「ジルクニフの手を取れ。周辺と国交を再開しろ、今ならまだ間に合う」
「今更…どの面を下げて頼めと言うのだ…帝国と偽って王国の村を襲っていたんだぞ?それを…」
「許すと言っている。ジルクニフもリエスティーゼのザナックもな」
「嘘をつけ!賠償も無しにそんな上手い話があるものか!」
「何故、お前に俺が嘘を言わんといかん?知っているだろう?俺は魔法1つでこの国を消せるんだぞ?」
「うっ!」
「何度も言わせるな。意地を張るな。為政者なら民を想え。
ケラルト・カストディオが仲を取り持つ。それなら文句は出ないだろう。同じ様に信仰を主とする国だからな」
「何故そこまで…お前たちの命を狙ったんだぞ…それを」
「だから俺も漆黒の連中に引導を渡した。これでチャラだ」
「しかし我らにはエルフの国が…」
「それも心配要らん。あの国は近々生まれ変わる。腐った王は粛清され愛に満ち溢れた国になる。私が保証する」
「アンデッドの言葉を信じろと?」
「念書でもくれてやろうか?もし10年以内にそう成らなかったら帝国も王国も聖王国も法国の属国になると」
「………負けだ」
「やっと分かってくれたか。しかしこれは勝ち負けではないぞ。だから法国はこれからも自由だ」
「お前は…何を望む」
「…我が手には全てある。愛する家族、素晴らしい自然、愉快な仲間」
「我が国を…民を………救ってくれ」
お疲れ様でした。
今回のキーワードは「相変わらず」。
色んな場面で使いました。
そして…
如何にもラストスパートっぽい
まとめ的な訪問集でしたね(笑)
でも。
このままじゃあ終わりませんよ!
そんなの呆気なくて嫌でしょう?
じゃあまた、よろしくお願いします。
ありがとうございました。