ついに始まった、第63回戦車道全国大会。ミチコのいる会場では、今年初出場となる大洗女子学園と、自分の商売場所でもあるサンダース大学附属高校との戦いが行なわれようとしていた。
「そろそろ店じまいの準備するかね」
観客をターゲットにして売り始めた自慢のホットドッグは、読み通り多くの人が買っていった。今は人が少なく、会場の観客席に向かった事が分かる。そろそろ閉店しようかと思った矢先だった。
「ホットドッグおくれよ。マスタード多め、ドリンクはコーラで」
「ったく……。来るのが遅いんだよ、りほ!」
100円玉を三枚渡して注文したのは、ミチコの戦友でもある西住りほ。彼女は戦車道連盟のロゴが入った作業服を着ている。文句を言いながらも、ミチコの顔は笑っていた。
りほとミチコは、同じ黒森峰を母校としている。あともう一人を合わせた3人は、戦友と言うべきか悪友と言うべきか、たまに連絡を取り合う仲なのだ。
ミチコはソーセージを焼き始める。彼女の店の自慢は、黒森峰から仕入れているソーセージ。肉汁と旨味たっぷりで、サンダースの舌を満足させる代物だ。その間に2人は世間話に花を咲かせる。
「娘さんは元気にしてるかい?」
「勉強や戦車道で忙しいのか、さっぱり連絡なんて来ないさ。継続高校で何してるのやら……。お前の姪っ子は?」
「ふふーん。これからサンダースと試合。みほちゃんが隊長さ」
「ぶっ!? あたい初耳だよ!?」
ミチコが知ってるのは、大洗が全国大会に出場すると言う事だけ。知らないのも無理はない。
「“あいつ„はどうしてるかね?」
「この間、仕事で会ったよ。いつも通りだった」
「ははっ、それなら安心だ」
そう話している間にソーセージが焼き終わる。我ながら良い焼き加減に、ミチコは笑みを浮かべた。パンに挟んで、慣れた手付きでケチャップをかけると、注文通りマスタードは少し多めにかけた。
「はいよ。マスタード多め」
「サンキュー。しっかり食って、仕事に備えないとね」
そう言って去ろうとするりほ。仕事の関係上、サンダースに来ることも珍しくない。そのたびにミチコの所へ来るので、別れを惜しむような事はなかった。
だが、この時だけは、ミチコは呼び止めたかった。
「りほ!」
「ん?」
「……大洗の子達、強いのかい?」
「伸び代があると思ってるさ」
「サンダースの子達も負けてないからね!」
「分かってるって。……じゃあ、またね」
片手を振りながら会場へ去っていくりほを、ミチコは黙って見送った。
オリキャラ紹介
ミチコ
住所:サンダース大学附属高校学園艦
職業:ホットドッグ屋
母校:黒森峰女学園
家族:夫、???(娘)