夕方。試合が終わり生徒たちが引き上げる中、りほは工具を片付けながら、今日の試合内容を思い出していた。
「(あの土壇場でフラッグ車を倒しちまうなんて、大したもんだ)」
サンダースによる無線傍受が発覚してから、大洗の動きが変わった。その様子はまさに、相手の裏をかいていると言えるだろう。
後で知ったことだが、無線で嘘の作戦指示を流しつつ、沙織が携帯のメールで本当の指示を伝えていたと言う作戦だったらしい。彼女が得意とするメールの早打ちが成せた作戦とも言える。
その後、どういうわけかサンダースは大洗の車輌数に合わせて行動した訳だが――
「(サンダースの隊長さんが、フェアプレイを望んだんだろうねぇ。彼女らしい)」
隊長であるケイの性格を知っているりほは、クスリと笑った。
りほが懸念していた第二の壁とも言えるファイアフライを、みほ達は警戒しつつもフラッグ車を倒す事にしたようだ。もっとも、ファイアフライの方はあんこうチームのⅣ号戦車を狙っていたようだが。撃破される寸前にフラッグ車を倒せたあたり、ギリギリの勝負だったかもしれない。
すると、大会運営スタッフの一人がやって来た。
「西住さん、少し宜しいですか? 2回戦について会議があるそうです」
「分かりました。お前ら! 少しの間、片付けを任せたよ!」
「「「「ウーッス!!」」」」
どこが勝ち残ったのか、りほは楽しみにしつつも会議場所へと向かっていった。
その頃、みほたちはトラブルが起きていた。彼女達の乗るⅣ号戦車で操縦手を務める麻子。彼女の祖母が倒れたという連絡が来たのだ。
「麻子、落ち着いて!」
「泳いでいく!」
「ここから泳いで行くなんて無茶ですよぉ!」
靴を脱いで本当に泳いで行きそうな麻子に、4人で何とか止めようとする。
その時、声をかけた人物がいた。
「私たちのヘリを使え」
「お姉ちゃん……?」
「エリカ、操縦は任せた」
「はい! ほら、早く乗りなさい!」
ドラッへの操縦席に乗り込んだエリカが、麻子に搭乗を促す。
「逸見さん、私も着いていきます!」
「OKよ!」
そこへ沙織も乗り込んだところで離陸を始めた。みほや優花里、華、まほはそれを見送る。
「お姉ちゃん、ありがとう」
「あの時に知り合った仲だからな。それに……家族が心配になる気持ちは痛いほど分かる」
かつて、家族が、そしてチームメイトが死ぬかもしれないという経験をしたまほとエリカ。だからこそ、祖母を心配する麻子の気持ちがよく分かるのだ。
「……あの時はごめんね、お姉ちゃん」
「そんな顔をするな。あれは黒森峰の転機だったかもしれない」
「でも……」
「ほらほら。早く仲間の所に行きなさい。みんな心配してるかもしれないぞ」
「……お姉ちゃん!」
「ん?」
「絶対に辿り着くから! そして見つけるね! 私の戦車道!」
まほは一瞬ポカンとすると、強気な笑みを浮かべた。
「楽しみにしている」
そうして仲間の元へ走っていくみほの背中を見て、まほは呟いた。
「あそこまで強くなるとはな。良い仲間に出会えたな、みほ」
諸事情で、ガルパン最終章を観に行くのが難しくなってしまいました。せっかくアルバイトも頑張ってきたのに……。
次回をお待ちください。