プラウダとの戦いは、大洗女子学園の勝利に終わった。あんこう音頭で士気を取り戻した大洗チームは、履帯の修復や相手チームの偵察などを連携して行ない、見事フラッグ車を撃破したのである。
観客席では、みほの様子を見に来た姉のまほと母のしほが、安堵の息をついていた。
「みほは因縁の相手を倒せたわね」
「次は私たち黒森峰との戦いになります。……みな喜ぶことでしょう。みほと戦えるのですから」
「けれどもまほ。妹だからといって手加減は……」
「分かっています。全力で向かう相手に手加減は不要。我々も本気で行きます」
真剣な雰囲気で話す2人の間に、陽気な声が割り込んできた。
「いや~、見事に妹ちゃんが勝ったね~!」
「っ! あなたは、プラウダ高校OGのアカメ!」
「やっほ~。見かけたから来ちゃった♪」
ライバル校のOGという突然の来訪者に、しほは驚く。そんな彼女の様子をよそに、アカメはまほへ近付いた。
「ふ~ん? テレビで何度か見たけど、生で見るとよく分かるね。その風格に雰囲気は、まさに黒森峰の隊長だ」
「あの……」
「おっとっと、失礼。プラウダ高校OGのアカメだ。君のお母さんとは、学生時代に戦車道でぶつかり合った仲でね。特にりほとは……」
「アカメ。この子はまだ知らないわ」
「ありゃ、そうなの? まあとにかく、母校だけじゃなく戦車道を応援してる一人だと思っておくれよ」
「は、はぁ……」
人は見かけによらないと言うが、ラムネ瓶を片手にヘラヘラと笑っているこの女性が隊長とは、まほは到底思えなかった。
「お次は姉妹対決かぁ。楽しみにしてるよ。見に行くから」
「ありがとうございます」
丁寧にお辞儀をするまほにアカメは満足そうに頷くと、観客席から去ろうとする。だが突然立ち止まり、しほに声をかけた。
「妹さんに言っといてよ。今度暇な時に飲みに行こうぜってな。あいつ、昔一緒に戦った仲なのに全然連絡よこさねえでやんの」
「しっかり伝えとくわ」
アカメは小さく笑みを浮かべると、観客席から去っていった。
しかし一方で、まほは気になっていた。彼女が言っていた『妹さん』。それは恐らくしほの妹であるりほの事を言っているのだろう。だがりほが戦車道をしていたという話を聞いたことがなかった。
「あの、お母様。りほ姉さんは戦車道をやっていたのでしょうか?」
「…………えぇ、そうよ。でもそれを話すと長くなる。今は目の前の大会に集中しなさい」
「え……」
「分かったわね」
「…………はい」
そう語るしほの顔は、まるで過去を悔やんでいるようだった。
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