後書きにて、大切なお知らせがあります。
試合が開始されてからしばらくして、戦車の修理スペースは大忙しになっていた。何せ重量のあるドイツ戦車を修理せねばならず、さらに試合で中々使われないような古い戦車……大洗女子学園の戦車も直さなければならないのだ。
現在、大洗女子学園のチヌが撃破され、更に黒森峰女学園の戦車も撃破されたりと、色々な意味で戦場と化していた。
「大洗女子学園、建造物エリアに移動中!」
スタッフの一人の報告に、りほが大声で返事した。
「分かった! 修理が終わった車輌から、各学校の陣地に返還してくれ! それと、超重レッカー車を用意しとけ!」
超重レッカー車とは、従来のレッカー車の数倍のパワーを誇り、重い戦車としても有名なティーガーをも軽々と運べるという、戦車道連盟のみが所有している重機である。
「超重レッカー車!? なんでそんな物を……」
「黒森峰女学園は、参加車輌に超重戦車マウスを投入しているからだ。そいつが建造物エリアで待ち構えている」
「「「「えっ!?」」」」
超重という名の通り、マウスは圧倒的な装甲と火力を有する戦車である。先述したレッカー車ですら運ぶスピードが遅くなるほどの重さをも誇る、まさに怪物戦車だ。
「大洗は様々な方法で強敵を退けてきた。マウスが倒されないなんて考えは捨てろ! 忙しくなるぞ! いっそう気合い入れろ!」
「「「「イエス、マム!」」」」
りほの声に、スタッフ達は勢いのある返事をした。
観客席エリアでは、アカメが現在の戦いを、口をあんぐりと開けて見ていた。
「マ、ママ、マ、マウスぅ!? ちょっと、黒森峰ってば何てもの投入してるのさ!」
「おいミチコ。私たちの時ってマウスあったか?」
「学園艦の地下にあるって噂は聞いたかな。それがサルベージされたとかじゃない?」
「(みほ達はどう切り抜けるのかしら。三突もB1bisもやられたわよ)」
ミチコやカナエ、そしてしほも、マウスとの戦いが映されているモニターを凝視していた。
「っ! ヘッツァーが突っ込んだぞ!」
「おいおい、正面衝突するぞ……」
実況するアカメと、心配するカナエ。その時、僅かにだがマウスの車体が持ち上がる。そこへM3リーとポルシェティーガーが、マウスの側面へと回り込んだ。
「確かに、側面は戦車の弱点の1つ。けれどマウスは全体が強固な装甲になってるのよ」
しほが冷静に、しかし展開が読めない不安を内に秘めながら分析する。
マウスが砲塔を2両に向けたその時だった。
「の、乗ったぁぁぁぁぁ!?」
ミチコが驚きのあまり絶叫した。何と、八九式戦車が一気にヘッツァーを乗り越え、マウスへと乗り込んだのだ。流石のマウスも、人間のように振り落とすことは出来ない。
そして……回り込んだⅣ号戦車が、車体後部のスリットを撃つ。
観客席の沈黙は、黒煙が晴れてあらわになった撃破判定の白旗によって破られた。辺りに歓声が沸き起こる。
「うおおおおお! マウスを倒しやがった!」
「これは、戦車道の歴史に残る快挙だぞ!」
ミチコだけじゃなく、普段はクールに振る舞うカナエですら興奮を抑えきれないでいた。
「祝杯だー! あーっはっはっ!」
アカメは、テンションが上がるあまりラムネを振り、シャンパンのように噴射して歓声をあげる。
「(みほ……。やはり貴女は、西住流に縛られるべきでは無いかもしれないわね……)」
しほは、自分では思い付きもしなかった戦法を編み出した娘に、静かに拍手を送っていた。
読んでくださりありがとうございました。
突然なのですが、次回の投稿をこの小説の最終話として、打ち切りにしようと思っております。
と言うのも、これから先、試験や就活が控えているため、只でさえ遅い投稿頻度が更に遅くなるからです。劇場版や、主人公りほの過去話も当初は予定していましたが、難しくなったためにこのような判断をしました。
どうか、ご理解をよろしくお願いします。