旧ボーダーの帰還者   作:しゃけとにじます

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「お、大人になったらあんた、あたしと結婚しなさいよね!」

 

 そんな風に、五年とちょっと前のあたしは精一杯の勇気を振り絞って同い年の好きな男の子に告白のようなものをした。今振り返ってみるとおかしな告白だが、あの頃のあたしと彼は客観的に見ても正直半分ぐらいは付き合っていると言っても過言では無い関係だったし、あいつもこの後「俺も好きだ」と笑顔で言ってくれたのを覚えている。それにおもちゃとはいえ、お揃いの指輪だってくれた。

 

 そんな良い思い出……でもそれが同盟国との戦いの前日であり、あいつが行方不明となった日の前日でも無ければ、もっと良い思い出だったのだろう。

 

 そう、あいつがいなくなってからの五年が経つ。

 ボーダーも大きく変わった。

 あたしは必ず、あいつを救ってみせる。

 迅さんはあいつの未来が見えなくなったって、遠回しに言えば死んだ可能性が高いって、そう言ったけどあたしにはあいつが生きているって分かっている。だってあいつはあたしに嘘をついた事がない。そんなあいつが、私にこう言ったんだ。

 

「俺は絶対桐絵の所に帰ってくるよ。だって俺のサイドエフェクトがそう言ってんだもん」

 

 だからあたしは信じてる。

 でも───待ってるだけなんてあたしらしく無い。

 だから私の方からあいつに会いに行くんだ。

 だから待ってて。

 

 

 

 

 

 

「うーん・・・やっぱり違ったみたいだ」

 

 

白髪の男はボーダー本部を見て、隣にいる黒髪の少年に困ったように言った。

 

「もしかしたら支部の方ですかね? 俺も全部の位置は分からないので・・・」

 

「いやいや昼ごはんも貰った上に道案内してもらったんだ、流石にそこまではさせれないって」

 

 

「あとは一人でも探せるさ・・・あ、そうだ、ところであんた名前は?

 

「烏丸京介です」

 

「京介か、俺の名前は友里、城戸友里。じゃあな、また会ったら今度は俺は奢るよ」

 

そうして白髪の少年はすぐに走り出す。黒髪の少年の静止の声を聞く前に。

 

 

 

 彼が向こうにいたのは約四年間。街並みが変わっていてもなんらおかしくはなかった。彼が知っている当時の基地は既に存在しない可能性もある。だがそれでは彼は困ってしまう。

 

 四年間の間に彼の容姿は変わってしまった。日本人らしい黒髪はストレスで白髪となり、12歳から16歳という成長期ということもあり顔つきも変わってしまっている。

 

「やべ、そういやこの写真見せるの忘れてた」

 

胸元から一枚の写真を取り出す。

それは建物の前で二十人の男女が並んで写っている写真だ。これを見ているとなんだか懐かしい気がするし、昔の自分らしき人物と抱き合っているこの少女とはか大事な約束をした気がするのだ。記憶が無い少年にとって、地球にいた自分の過去を証明するものはこの写真と、古びた赤い長方形のトリガーとおもちゃの指輪だけだった。

 

 

 彼の名前は城戸友里。

 現ボーダー本部最高司令官、城戸正宗の親戚にして五年前、同盟国との戦争にて行方不明となった者である。

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