旧ボーダーの帰還者 作:しゃけとにじます
現在、友里は公園で行き倒れていた。
問題は食料の枯渇。
日本円の無い友里は公園で水を飲むことで、なんとか飢えをしないでいる状態であった。最初はこんなとこから出る水が飲めるのかと心配だったが、遊んでいる子供達がみんな飲んでいる姿を見て地球って凄いなと思って自分も飲み始めた。
「とはいえ、まともなものが食いたい・・・そろそろ限界かもなぁ」
無気力なまま公園のベンチで横になる友里。
真昼間からは何してるんだと自分でも思っているが、もう動く気力が一切湧かなかった。思えば親友が死にかけて黒トリガーになってからというもの、惰性で生きている気がした。
「海・・・行くって約束してたけどなぁ」
近界に海はない。
だから地球にある海を見せてやるよ、と親友曰く記憶を失う前の自分は言っていたらしい。黒トリガーに触れた後、照りつける太陽の眩しさにそのまま目を瞑ろうとした時、ふと誰かが自分の顔の近くに立って日陰になっているのを感じた。
「・・・ぽんち揚げ、食う?」
「いやぁ〜マジで助かった! そろそろ飢えて死ぬところだったぜ」
青ジャージの男から渡されたぽんち揚げを平らげて、友里は頭を下げた。
「そんなに気にすんなよ」
「いやいや飯の恩は重たいから! もう俺にできることならなんでもやるって」
近界で奴隷になっていた時と同じくらい腹が減っていたのだ。それに食事にありつけることのありがたさは誰よりも知っている。
「お、マジ? じゃあ答えて欲しいんだけど・・・この写真、持ってるよな」
青年が胸元から取り出した写真は、自分が持っているものと全く同じものだった。
「・・・それ、俺が持ってるのと同じ写真」
「そそ、でこの写真の真ん中のやつ俺」
「あ、本当だ。じゃああんたは」
「俺の名前は迅悠一。お前の仲間だよ」
「ここが俺の住んでた場所なのか・・・」
迅と名乗る男に連れられ、写真とまったく同じ建物の前に連れてこられた。懐かしいという気はするのだが、やはり記憶を思い出すことはできない。ここにくれば何かを思い出すと、そう信じたかった友里。
「そう、ここが旧ボーダー本部にして現ボーダーの玉狛支部だ。今日からは、いや・・・ずっとここが友里の家だよ」
「お邪魔しまーすって誰もいないな」
「そりゃ誰も居ない時間を選んでるからな・・・記憶喪失なのにいきなり知り合いにあっても気まずいだろ?」
「確かに」
「積もる話はともかく、とりあえず風呂に入れよ。着替えはこっちで用意しておくからさ」
ここで回収しないと非番の菊地原と遭遇し尾行され、面倒なことになります