新旧三馬鹿六人のインフィニット・ストラトス   作:ナナシのG愛好家

7 / 8
侵略者VS混沌

「ヤバッ。ねぇ、最後の空中戦すごくなかった?」

「曲がるビーム。すごい綺麗…………。」

「へ~、しゃにしゃにってあんなにすごいんだ~。」

 

 一回戦第一試合。セシリアとシャニの戦いは意外にも激戦となり、会場はワッと沸いた。

 

「シャ~ニ~。お疲れ~。」

 

 控室から出てきた気だるげなシャニは、がっしりとクロトに肩を組まれた。

 

「クロト。お前、次試合じゃねぇの?」

「うん。そうだよ?」

「…………早く準備しろよ。」

「いいじゃねぇの。親友を祝ってやってんだぜ?」

 

 オルガは茶化すように口を開く。

 

「うるさい。疲れたんだよ休ませろ。」

 

 クロトの肩を取っ払い、そう言って席に着く。

 

「チェ。つまんないの。」

 

 そう言い携帯ゲーム機を取り出すと、

 

「授業中だぞ。」

「あっ。」

 

 千冬に電源ボタンを押されて終了した。

 

「早く準備しろ、ブエル。」

「はいはい。先生閣下の仰せのままに。」

 

 やれやれ。というような仕草をして、控室へ入っていく。

 

「オークレー。お前も準備……居ないな…………」

「もう控室行ったぜ?」

 

 振り返った千冬だが、アウルの隣にいたスティングはすでに控室の中だったようだ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「クロト・ブエルか。」

 

 ISスーツを身にまとい、時間までの暇つぶしに日記帳をパラパラと捲るスティングは、そうつぶやいた。

 ブーステッドマン。それはエクステンデットである自分たちの一つ前の世代に当たる強化人間だ。

 ロード・ジブリール(飼い主)からは、ムタ・アズラエル(前任者)の虎の子だったと。それしか聞いていない。

 

「(俺たちエクステンデットと違って、出撃前にヤクを飲んで精神を安定させている。なんて話は研究員から聞いたことはあった。俺たちより不安定だったらしいが、)」

 

 一度は【フリーダム】をあと一歩まで追い詰めたんだよ?

 研究員の言葉だ。彼の元居た世界では悪名高い、第二次ヤキン・ドゥーエ攻防戦で圧倒的な実力を見せ、ザフトのエース、ラウ・ル・クルーゼの乗るプロヴィデンスを撃墜し、戦争を終結に導いた、不殺のスーパーエース。その機体性能には、スティングも辛酸をなめさせられた。

 事実、あの時はただ戦いを引っ掻き回しただけだったが、その実力は本物。

 

「それを追い詰めたってんだ。油断はできねぇ。」

 

 そうつぶやいて、日記を閉じる。

 

「何より、ステラが見てるんだ。無様な真似は見せられない。」

 

 待機形態の日記帳から解き放たれたカオスガンダムを、その身にまとい、スティングは飛び出す。

 

「スティング・オークレー、カオス、行くぞ!!」

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「スティング、だっけ。」

 

 ISスーツに着替えながら、クロトはつぶやいた。

 

「いっつもあの二人とベタベタしてるけど、もしかして、前世もあんな感じだったのかな?」

 

 クロトが思い浮かべるのは、教室で楽しく話す三人。

 ゲーム、音楽、小説。そう言った一人の趣味に閉じこもり、あまり会話をしないクロト達と比べると、その光景は、

 

「なんか、うらやましいよね。」

 

 すごく、輝いて見えるのだ。

 

「ま、アイツらの前じゃカッコ悪いとこみせらんねぇし。」

 

 そう言い、ダイバーズウォッチに触れる。

 

「アイツら二人に信頼されてるってことは、あの三人の中で一番強いのはスティングかもしれないし、初戦からハードモードってワケ? アツい展開用意してくれてんじゃん。」

 

 そう言い、笑みを浮かべたクロトは、レイダーを展開した。

 

「んじゃまぁ軽く、クロト・ブエル、レイダーで行くよ。」

 

 スタジアムの反対側から、レイダーが飛び出した。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「なぁ、アウル、」

「ん?」

 

 スティングの機体、MA形態のカオスガンダムが飛び出してきたとき、一夏はアウルに問いかけた。

 

「なんか、スティングの機体って、宇宙船みたいじゃね?」

「あ~、宇宙船か。いいセンいってんな。お前。」

「へ?」

 

 アウルから帰って来た言葉に、一夏は驚く。

 

「どういうことだよ?」

「オレとスティング、あとステラの機体は、それぞれ得意な地形があるんだよ。」

「特異な地形? ステラも?」

「うん。」

 

 ひょこっ、と二人の背後からステラが顔を出す。

 

「のわぁ!? びっくりした!! お前らも専用機を持ってるってことだよな?」

「うん。私はガイア。」

「オレのがアビス。で、スティングがカオスだな。」

「うわぁ。」

 

 名前が厨二臭いと思ったが、それを言ったらどうなるか、簡単に想像がついたので言わないことにした。

 

「オレのアビスが水中。ガイアは地上で有利に戦えるよう可変機構が組まれたISなんだよ。」

「カヘンキコー?」

 

 首をかしげる一夏に、

 

「変形するってことだよ。」

 

 と、ステラが教える。

 

「変形!? ISが、ってことか?」

「おう。」

「お前らのも?」

「うん。」

「…………ちなみに……何に変形するんだ?」

 

 変形。というロマンをくすぐられるシステムに問いかけると、

 

「潜水艦?」

「ワンちゃん?」

「どうして!?」

 

 二人から帰ってきたのは予想外の答えだった。

 

「何で変形先がスティング含めて宇宙船と潜水艦と犬なんだよ!?」

「何故って言われても…………。」

「そういう形だからな。」

「おかしいだろぉ!?」

 

 アウルとステラの言葉に一夏は声を上げて立ち上がった。

 

「お前らの機体の開発者はまともじゃないのか!?」

「どうなんだろ?」

「(強奪した機体だし)あったこともねぇからな。」

「把握しとけよ!?」

 

 一夏、怒涛のツッコミラッシュだ。

 

「でもよ、アビスは水中戦、ガイアは地上戦に特化したコンセプトだから、自然とそうなるんだよ。」

「そ、そうなのか?」

 

 けろりとしたアウルの表情に、いまだ抗議したいことが残る一夏だが、

 

「はじまる。」

 

 と、言うステラの言葉で、二人の戦いに目を向けた。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「へぇ、それが、」

「ああ。カオスガンダム。俺の機体さ」

「面白いじゃん。ちょっと見せてみてよ」

 

 そう言い、【2連装52mm超高初速防盾砲】を構える。

 

「へっ、いくらでも見せてやるよ、先輩!!」

 

 威勢のいいスティングの言葉の返答は、盾の機銃掃射だった。

 それをMA形態のマニューバで回避する。

 

「そらよっ!!」

 

 そして、背部の装甲をスライドし、【カリドゥス改】のビームを放つ。

 

「おっと」

 

 すかさずレイダーも変形し、飛翔する。

 

「意外とやるじゃん!!」

「へっ、余裕で避けておいてよく言うぜ!!」

「それじゃァ行くよ? 激殺!!」

 

 カオスはシールドに装備された機関砲を、レイダーは変形時に展開できる機銃を展開し、弾幕を張る。機銃の弾幕の厚みではレイダーに軍配が上がるが、

 

「へっ、ならこいつはどうだよ? くらいなっ!!」

 

 背部にジョイントされたポッドの蓋が開き、中から誘導ミサイル、【ファイヤーフライ】が顔を出し、景気のいい音と共に放たれる。

 

「そんなミサイルはァ!!」

 

 飛び回るクロトに誘導するミサイルに対し、クロトはMS形態となり、

 

「撃滅ッ!!」

 

 右手のモーニングスター【ミョルニル】を高速回転させることで、ワイヤーによるバリアを張って、ミサイルを全弾叩き落して見せる。

 

「隙ありだぜ!! もらったぁ!!」

 

 MS形態になったレイダーの背後から、こちらもMS形態に変形したカオスが、権勢に頭部に四問、胸部に二問用意されたバルカン方から弾丸を連射しながら接近する。

 

「甘いね。そりゃぁあああッ 粉砕ッ!!」

「あぶねっ!?」

 

 しかし、ワイヤーの回転の乗ったミョルニルを横凪に振るって、スティングに回避行動を取らせる。

 

「そのまま瞬殺ッ!!」

 

 そしてレイダーの口部から、ビーム砲、【ツォーン】が放たれた。

 

「チッ、いい腕してやがる!!」

 

 それをアンチビームコーティングの施されたシールドで受けるスティング。

 

「まだまだぁ、抹殺ッ!!」

 

 素早く変形して、弾幕でスティングを囲い込む。

 

「ぐっ!?」

 

 さらにツォーンを放ってくるので、スティングはシールドを構えたまま回避行動を取れず抑え込まれてしまう。

 

「ビームを防ぐ」

「か、隠し腕!? いや、鉤爪かよ!!」

「そんなチョコザイシールドはァ、」

 

 そのまま接近したレイダーの可変形態のクロ―に、シールドを掴まれてしまう。

 

「没収!!」

「ぐおっ!?」

 

 そして、クローの付け根からビームの刃が飛び出した。クロ―についた短距離プラズマ砲【アフラマズダ】だ。プラズマ砲。と銘打たれているが、クロトは主に出力調整を利用してこのように近距離でビーム刃を構成する戦法を得意としている。

 A(アンチ)B(ビーム)・C《コーティング》がそれを防ごうとするが、まっすぐ伸びてくるビームの刃にシールドが貫かれる。が、

 

「へっ、そんなに欲しけりゃくれてやるぜ!!」

 

 スティングはそう言いシールドをパージ。突き刺さったビーム刃はシールドに内蔵された機関砲の弾倉を貫いた(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 シールドが誘爆し内側からはじけ飛ぶ。

 

「のわっ!?」

 

 その衝撃で、PS装甲に守られていないクロ―とアフラマスダに大きなダメージが入る。

 

「一気に決める!! 行けよ、ポッド!!」

 

 そして、背部にジョイントされた二機の機動兵装ポッドが、飛翔する。

 

「なっ!?」

 

 ポッドのビーム突撃砲とファイヤーフライミサイルが、本体とは別方向から放たれる。

 

全方位(オールレンジ)攻撃ってのは、こういうもんだ!!」

「ぐうぅ、やるじゃん……!!」

 

 ばらまかれるミサイルに回避軌道を取りながら、クロトがそうこぼす。が、

 

「ポッドに気を向けてると、こうなるぜ!!」

「ぐっ!!」

 

 MS形態のカオスが、上空からビームサーベルを振り下ろしてくる。とっさにMS形態に変形して盾で受け止めるが、

 

「動きを止めたな!! コイツで終わりだ!!」

「しまっ!?」

 

 左右からポッドが挟み込むような形を取ったのだ。

 

「じゃぁな、先輩。」

 

 二門のビーム砲が放たれる。が、

 

「なんてね。」

 

 笑みを浮かべてクロトの声とともに、スッ、とレイダーが落ちた(・・・)

 

「ぶ、ブースターと飛行機能を切ったのか!?」

「一瞬だけねっ!!」

 

 そのまま可変し、

 

「デュァアッ、必殺!!」

 

 という叫びとともに、弾幕でポットの一機を落とした。

 

「クソッ!!」

「そのままァ、」

 

 変形し、ミョルニルを振りかぶる。

 

「滅殺ッ!!」

 

 振り下ろされたミョルニルを、スティングは、

 

「うおおっ!!」

「コイツッポッドを!!」

 

 ポッドを犠牲に耐えて見せた。

 

「悪いが俺は、」

「グフッ!?」

 

 そして、カオスの最大出力で突っ込み、レイダーにラムアタックを仕掛ける。VPS(ヴァリアヴルフェイズシフト)装甲とはいえど、全力の特効の衝撃を消しけれるわけ絵はない。もちろん、それはスティングも同じだ。今、スティングがその衝撃にひるまなかったのはひとえに、覚悟の差だった。

 

「負けられねぇ!!」

「コイツゥ、調子に乗るなぁ!!」

 

 ツォーンで対抗しようとしたクロトだったが、

 

「出力なら、」

「こ、コイツ!!」

「こっちが上だぁ!!」

 

 カリドゥス改のビームが、右手に持ったビームライフルが、両足と左手のビームサーベルが、それより早く、至近距離で炸裂した。

 

『そこまで!! 勝者、オークレー!!』

 

 そして、千冬の宣言が響き渡る。




 と、いう訳で、本試合はスティングの勝利とさせていただきました。クロトファンの皆様には申し訳ない。今度活躍させます!!

 次回はオルガ対一夏。接近戦特化の白式VS砲撃特化のカラミティ。一体どうなるのでしょうか。実力は火を見るよりなんとやらですが一夏には主人公補正がありますからねぇ………… 
 マジでどうしようかな?
 という訳で次回もお楽しみに!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。