古参厄介後方腕組み彼女面幼馴染系ヒロインの物語   作:たーなひ

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厄介2

ボーダー隊員の仕事は、基本的にはトリオン兵の討伐出来高により給料が決まる防衛任務だ。

ボーダー内部で募集する日雇いのバイトなどもあり、エンジニアが隊員を募集して試作品を試運転したり、研究データを取ったりすることなどもある。

 

 


 

「あ、影浦くん」

 

「げっ」

 

B級1位の影浦隊の隊長である影浦雅人は、ボーダーの中でも屈指の苦手人物、凪 楓(なぎさ かえで)遭遇(エンカウント)してしまい、思わず舌打ちを零す。

 

「『げっ』って何よ、『げっ』て」

 

「……別に何も無え……スよ」

 

「ふーん……。ま、いいや。これから暇?」

 

「は?まぁ、暇っちゃ暇っスけど……」

 

と、ここまで言ったところで影浦は「失敗した」と思った。

思い出されるのはつい先日のこと。

今回と同じく「暇か?」と聞かれたので「暇だ」と答えると、彼女のラボにつれていかれて4時間以上拘束され、影浦自身のサイドエフェクトについて質問攻めにされたのだ。

 

サイドエフェクトとは、人体にあるトリオン器官が脳や感覚器官に影響を及ぼすことにより得られる特殊な能力の事だ。

単純な五感の強化から、超強力なものまで様々で、迅の“未来視”もサイドエフェクトの一つだ。

因みに影浦のサイドエフェクトは“感情受信体質”。他人が己に向ける感情が肌にチクチクと刺さるように分かるというもので、負の感情であるほど不快に感じるというものだ。

 

そんな訳で、影浦は凪の事が少し……いや、かなり苦手だ。

 

「じゃあさ……ランク戦しようよ」

 

 

 

 

「アンタの事、強えとは聞いてるぜ」

 

「ほんと?いや、まぁわたし自身も弱くはないと思ってるんだけどね」

 

「……とっとと始めようぜ」

 

「何本?」

 

「けしかけたアンタが決めりゃいい」

 

「そう?んじゃ3本先取で」

 

転送が始まり、景色が切り替わる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うーん、負けたか〜」

 

結果は3-2。影浦の勝利である。

どっちが勝ってもおかしくない程に実力が近いが、影浦の方が半歩上といった印象だろうか。10本勝負なら丁度6-4と5-5を行き来する具合だろう。

 

「………やるじゃねえか、アンタ」

 

「まあ、こう見えてマスタークラスだしね」

 

「なんでエンジニアなんてやってんだ?そんな腕があんならAにでも入れんだろ。ファントムババァんとことか」

 

「ファントムババァ…………って、もしかしてそれ加古さんのこと言ってるの!?」

 

「だったらなんだよ」

 

「す、凄いね……多分加古さんをそんな風に呼べるのは影浦くんぐらいだよ」

 

確かにあの人割とサバサバしてるから怒りはしないと思うけど……と凪は付け加える。

 

「……で?なんでエンジニアなんてやってんだよ」

 

「…………まぁ、色々あんのよ。色々ね」

 

「……そうかよ」

 

その時見せた表情は今まで見たことが無いほど真剣で、デリカシーが無いと友人に太鼓判を押されるほどの影浦も、深は聞こうとはしなかった。

 

 

「私はそろそろ行こっかな」

 

「おう」

 

「今度やるときは勝ち越すから覚悟しといてよね!」

 

「はっ。抜かせ」

 

挑発的な言葉を返すと、凪もニコリと挑発的な笑みで答える。

 

「じゃ、またね」

 

「おう」

 

 

それからちょくちょく、影浦と凪がランク戦で斬り合う姿が見られるようになったという。

 

 

 

 

〜技術開発室の日常〜

 

「だーかーら!これから私予定あるんですけど!」

 

「何が予定だ!どうせ迅の事を追っかけ回すだけだろうが!」

 

「それのどこに問題があるっていうんですか!?」

 

「大アリだ!仕事をしろ、仕事を!」

 

「はぁ〜?今日のノルマはもう全部終わってますけど〜??」

 

「就業時間までちゃんと働けバカ者!」

 

「その時間にはもう悠一は防衛任務に行っちゃってるの!」

 

「どうせたったの数時間だろうが!それぐらい我慢せい!」

 

「ムリ!」

 

「こんの小娘が……!毎度毎度ゴネおってからに……」

 

「ムリったらムリ!すぐ会いにいくの!」

 

「良い加減にせんか!またラボに監禁されたいか!」

 

「うわ、脅迫だ脅迫!」

 

「いいからさっさと働けぇぃ!!」

 

 

「……またやってるよ、凪ちゃんと鬼怒田室長」

「いっつもいっつも良くやるなぁ……」

「ホント、凪ちゃん普段は良い娘なのに、迅くんが絡むとこうだからなぁ……」

「鬼怒田さんも、ノルマはクリアしてるんだから許してあげればいいのに」

「なるだけ長く仕事させたいんでしょ?ずば抜けて優秀だし」

「まだ若いのにラボ長だもんなぁ…-」

 

 

「あー!もう、分かった!分かったから!また仕事しに戻って来たらいいんでしょ!もう!」

 

「待て、だから就業時間を守れと……おい!待たんかバカ者!」

 

「ちゃーんと戻って来るから大丈夫!じゃあねー」

 

「おい!おーい!………はぁ〜〜」

 

 

「……結局こうなるのか」

「いつもは一番真面目だし、成果も出してるからね。最後は許さざるを得ないんじゃない?」

「前みたいに罵り合いにならなくて良かった…」

「あぁ、『“タヌキ”事件』か…」

「あれは凄かったなぁ……」

「喧嘩するほどなんとやらってやつですかね?」

「アレを仲良いって言うのか?今のは絵面で言えば父と反抗期の娘だぞ?」

「でもほら、普段は良いコンビじゃないですか」

「「「確かに」」」

「迅くんが絡まなければね……」

「「「……それだよなぁ……」」」

 

 

「あ!鬼怒田さん!」

 

「急に戻って来てなんだ!ちゃんと仕事する気になったか!?」

 

「いや、それは無いですけど」

 

「貴様なぁ……!」

 

「机に良いとこのカステラ置いてるんで、よかったら食べて下さいね〜!あ、後、ちゃんと休憩取って下さいね!じゃ、今度こそ行ってきま〜す」

 

「…………………」

 

 

「「「「やっぱり、良い娘なんだよなぁ……」」」」

 

 


 

影浦雅人

気性が中々に荒く、粗暴だが裏表の無い良い奴。好意を持って接すれば襲われる事はない。

半ば無理矢理ラボに連れて来られたものの、凪の興味や好奇心といった感情の後ろにある信念や目的みたいなものが垣間見えてしまい、渋々だが4時間も付き合った良い奴。ちゃんと給金は払われた。

因みに18歳で、凪や迅の一個下。

 

鬼怒田さん

技術開発室の室長。低身長な上に太っており、丸っこいシルエットはもはやマスコットの領域。現在の醜い姿と引き換えに桁外れの開発能力を有しており、本当に本当に凄い人。

技術開発室の一部では、凪を室長に就けて、自身は開発能力を返却することで元の身体を取り戻し、家族の元へ帰ろうとしているのではないかと噂されている。因みに次期室長には凪を就けようと考えている所までは事実。

 

タヌキ事件

口論(?)がヒートアップしすぎて、つい凪が「このタヌキ!」と言った事により混沌化。流石に処罰が下るレベルの罵詈雑言を浴びせていたが、面倒ごとの気配を嗅ぎ取った迅がやって来てその場を鎮静化。冷静になった凪を連れて菓子折りを持って謝罪に行くことで和解した。なお、この後から僅かながら鬼怒田さんの生活に改善が見られ始め、徐々に健康状態が改善されているそうだ。




まだ二宮さんがA級にいるって設定ね。
一先ずこんぐらいの文量で書いていこうかなと思ふ。
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