機動戦士ガンダムSEED もう一人の英雄 作:どこかの超電磁砲
ラクスを人質にというナタルの声明によりアークエンジェルとザフトの戦闘は一時停止することとなった。フレイの父が乗っていた艦は沈められ、また窮地に立つアークエンジェル。キラはストライクから降りるとムウに駆け寄る。
「これはどういうことなんです!?あんな民間人の子達を人質にとって、脅して逃げるのが地球軍なんですか!」
「どうもこうも、そういう情けないことしか出来ないのは俺達が弱いからだろ?艦長達を責める権利は俺達にはない」
「けど!」
「キラ止せ!」
ムウにまだ反論しようとするキラにショウマが割って入る。
「キラ、ムウさんだってあんな事したくないって思ってるんだよ……マリューさん達だって!……大体、なんでラクスさんがブリッジにいたか分かるか?」
「え……」
「あれはフレイ・アルスターがやらかしたんだよ」
マリュー達がラクスを人質に取ったと勘違いしていたキラはショウマの言葉に耳を疑う。ショウマはブリッジの通信の向こうでフレイがラクスを殺すと聞く耳持たず好き勝手言っていた事を話す。
「それじゃあ……」
「ああ。あのアホ娘のせいだよ……だが窮地に立ったアークエンジェルはそれで難を逃れたが、ザフトはまた仕掛けて来る」
「…………」
「取り敢えず戻ろう」
ショウマはキラを連れてデッキへ向かう……すると前方にフレイの泣き叫ぶ声が響き、サイが必死に彼女を宥めている姿があった。キラはフレイを見た途端にどうしていいか分からず、下へ俯く……ショウマは気にせずサイとフレイの側を通ろうとした。
「待ちなさいよっ!!!」
「……?」
「なんで……なんでパパの船を助けなかったのよ!?なんでよ!?ねぇ!……」
「うるさいな」
「……!」
「こっちだって必死にやってんだよ!!けどな、アークエンジェルには俺やキラ、ムウさんしかいないこの状況で、ザフトは果てしない戦力があるんだぞ!一々お前の文句に付き合ってる暇はないっ!」
「何よ…………この人殺し!パパを殺した偽善者!!」
「フレイっ!!……ごめんショウマ……」
フレイがショウマに掴み掛かろうとするがサイがそれを止める。ショウマはそのままある部屋へ向かう。キラはその場にいたもののサイが静かにサインを送り、キラもその場を後にする。
薄暗い柵が付いた部屋に一人の少女がいた。それは民間人として振る舞っていたレイラ・マルカルだった。レイラはブリッジで拳銃を突き付けた一件で檻へと入れられていた。更にはラクスを知る様子から、ザフトだと疑われていた……
「…………」
「レイラさん……」
「ショウマ……さん……」
「…………一応聞いたよマリューさんから…………」
「そうですか…………」
部屋に入って来たのは黒いパイロットスーツ姿のショウマだった。ショウマは周りを確認して床に腰を落とす。
「……レイラさん……貴女は……」
「ショウマさんが考えている通りです…………私はザフトです……」
「そっか……」
「…………何とも思わないのですか?」
「何が?」
「だって……私は……貴方やクリスさん騙したんですよ?ですから……」
「別に何とも思わない。俺はただレイラさんが無事なのを確認しに来ただけさ」
自身の素性に対して気にしないショウマに何を言っているんだ……?とレイラはそう思う。普通ならば怒りをぶつけるのが基本だ。だがショウマはそれをしないどころか自身の無事を見て、ニッコリと笑みを浮かべるだけだった。
「貴女がなんでザフトに入ってるのか……そこまでは聞きませんよ……んじゃ」
「……ショウマさん……」
レイラがいる部屋を後に、翔真は自室へ戻る―――――――最初に視界に映り込んで来たのはクリスがメイド服を着ている姿と写真を取るマリア……更には何故かキラがラクスとシェリルに女装させられていた。
「し、ショウマ!?み、見るな!」
「ふふっ、恥ずかしがっている姿もいいわね。貴女、なかなかいい素材よ」
「なにがだよ!?」
赤面するクリスをよそに、マリアは写真を取り続けている。
「や、やめてください!……こ、こんなことされたら……」
「あらあら……キラ様、それは反則ですわ!」
「私達より可愛いなんて……反則よキラ・ヤマト!!」
キラはキラでウィッグを付けて、ミリアリアが着ている地球連合軍の軍服(女性服)を着させられて涙目になっていた。翔真の部屋はかなりカオスな状況である。
「(しかしどうしたもんか……ラクスさん達もそうだが、レイラさんも……)」