機動戦士ガンダムSEED もう一人の英雄 作:どこかのシャルロッ党
ブルーコスモスによる襲撃で敵であるアンドリュー・バルトフェルドを助けたショウマ達はバルトフェルドの計らいで別荘へとお邪魔する事になった。そこから二手に別れ、ショウマ&クリスはレイラの部屋へと入る。
「お元気そうで何よりですね……ショウマさん、クリスさん」
「なんでお前があの砂漠の虎と一緒にいるんだ……まさかお前本当に…ザフトなのかよ……」
「クリスさん。私は今、ザフトの軍人として戦っています……それに私は貴女達に幾度と立ち塞がっていますよ」
「なんだと!?」
「ショウマさん……貴方は気付いていますよね……私がゼダスのパイロットだと」
驚くクリスをよそにレイラはショウマにそう言い放つ……ショウマはまるで分かっていたようにゆっくりと頷く。
「多分いるんだと思ってましたよ……想像したくなかったですけど。けど貴女は元々アークエンジェルにいたし、あのイージス達に混ざっていても不思議じゃない……貴女はアークエンジェルの行き先や中身を知っている……だから…」
「なるほど……ですが私は、一度貴方達に助けてもらったご身分です。私としては戦いたくありません」
青を基調としたドレスに身を包んでいるレイラは二人にレモンティーを差し出して、椅子へと腰掛けた。ショウマとクリスは少々警戒心を露わにしながらも着席する。
「ショウマさん、クリスさん……もし良ければ私と一緒に来ませんか?」
「お前…それって……」
「俺達をザフトにですか…」
「いえ。私は貴方達を本当に助けたいんです……ショウマさんだって、本当は戦いたくないはずですよね?……今戦っているのはキラさんや皆の為でしょう?……」
「………」
「私は今後もアークエンジェル撃墜任務に就きます…………貴方達がこれ以上居たら……決心が鈍ってしまうんです……」
レイラは一度ショウマとクリスに助けられて恩を感じている。しかし立場上、自身が敵となりアークエンジェルを撃墜……それもショウマ達を含む事を考えればレイラにとってはどうしても手が出せない所なのだ。
「レイラさん……それは出来ません」
「ショウマ……」
「な、何故ですか!ショウマさん……私は敵なんですよ……私はいづれ貴方を倒さなきゃならないんです!分かってるんですか!?」
「だとしても……アークエンジェルにはキラやトール達……マリューさんやムウさんだっているんだ………もしここで俺がレイラさんの所へ行けば、キラやマリューさん達を助けてくれるのか?」
「それは……」
「なら話は無理だ……レイラさん。立場は違えど互いに戦っている以上は私情は挟んじゃいけない……俺は何が来ようと戦う。クリスや皆を守る為に」
「……もし次会えば……その時は……」
レイラがそう言い放とうとした時、ショウマはクリスを連れて部屋を出る。レイラはその場に残されたままだ……
「私はただ……助けたい……だけなの………」
レイラの言葉を聞く者はいない。