ポケモン剣盾の世界に転生したと思ったら原作から5年後のガラル地方だった件   作:ヤコト

1 / 3
本編
1 俺の知らないガラル


 浅いまどろみの中、どこかからか声が聞こえた。

 

「ポケットモンスターの世界へようこそ!!」

 

 おぼつかない手つきでその声の出所、枕の横に置いてあったスマートフォンを手にする。

 

「我々はポケットモンスター、ちぢめてポケモンと共に力を合わせ、暮らしている!」

 

 寝ぼけた目を擦り、それでも少しずつ意識がはっきりすると、強い違和感に襲われた。

 そう、ついさっきまで自分の身に起きていたことは、"ありふれた日常"などではなかったことを。

 

 アルバイトの帰り道、赤信号の中飛び出した子供をとっさに庇い、車に轢かれた。

 我ながら鈍臭かったと思う。車に轢かれた瞬間、確かに自分の死を確信した。

 

 目の前が真っ暗になったかと思うとなぜか体に痛みはなく、謎の空間で知らないおじいさんと二人きり。

 

 そのおじいさんから「お前はあそこで死ぬ予定じゃなかった」「わしの不手際」「代わりにお前さんが一番好きなゲームの世界に転生させてやるぞい」

などと一方的につげられ、再び視界が暗転。

 

 正直、徹頭徹尾理解不能だが、もし仮にあのおじいさんの言うことが本当ならばここは…。

 

「そしてポケモンを育て、戦わせ、競い合う人たちをポケモントレーナーと言うだろう!」

 

 スマホから歓声が聞こえる。先程からポケモンのオープニングでよく聞くような文言が流れている。

 まさか、本当にポケモンの世界に?確かに自分が一番好きなゲームはポケモンではあるのだが…。

 

「では、ガラル地方最強のトレーナー、チャンピオンを紹介しよう!!」

 

 …ガラル!?剣盾のか!?じゃあここは剣盾の世界!?ってことは今喋ってるのって、まさか!?

 

 まどろみから抜け出し覚醒した自分はとにかく"情報"を求めた。スマホから聞こえたセリフには聞き覚えがあったのだ。

 ガラル地方のリーグ委員長、ローズがチャンピオン、ダンデを紹介するシーン。ポケモン剣盾のオープニングだ。

 

 枕に突っ伏していた頭を上げ、上体を起こし、スマホの画面にかぶり付く。自分の推理が当たっているなら、スタジアムで太った中年男性が口上を述べているはずだ。

 

 しかし。

 

 スタジアムで口上を述べていたのは。

 

 ローズではなく。

 

 チャンピオンであるはずの、ダンデだった。

 

 そして。

 

「チャンピオンユウリ!カモン!!」

 

 ダンデの熱い前説に応えるかのように、"ユウリ"がスタジアムへ堂々と現れた。

 

「ユウリ!今日こそあんたを倒したる!エキシビジョンだけど全力で行くよ!」

 

 突如画面に映った黒髪ロングでセクシーな格好をしたお姉さん。ダンデやユウリと違い見覚えの無いキャラだ。

 

「どんな試合でも負けないよ!マリィ!」

 

 …え?今、マリィって言った?…は?え?

 

「インテレオン キョダイマックス!!」

 

 ユウリの側に控えていたインテレオンに赤い光が集まり、そして巨大化、キョダイマックスしていく。

 

「シュアァァァァァァァァッッ!!」

 

 黒髪ロングのお姉さん…恐らくマリィもオーロンゲをキョダイマックスさせ、いよいよ戦いの火蓋が切られた。

 スタジアムのボルテージがみるみる上がっていく中、その試合のストリームを部屋で一人眺めていた自分は、空いた口が塞がらなかった。

 

「…俺の知ってるガラルじゃない…」

 

 




初投稿です。
不定期でのんびり更新していくのでよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。