“なんや、ちょっと目を離した隙にけったいなことになってるやないの。伝染病? ネズミ? くかかっ、ようそんなでたらめ言うもんどす。もう何がなんやら分からんようになっとるくせに”
“うちは最初の方からずっと見よったけど、どうなっとるかいっちょん分からん! ばってん、皆ばり楽しそうばい!”
“ンダガ? グダメイデルヤツ、タンゲオンド”
“そこも含めて見ものというものだろう。それにしても四号選手よ、珍しく静かじゃないか? 覗きは貴君の専売特許じゃないか! いつものごとく、自身の欲望をさらけ出してはどうだ? にやにやと、そしてへらへらと!”
“いやあ、僕にだって見たいものを選ぶ権利はありますからね。こんな茶番劇に入れあげる趣味はないですよ”
“茶番じゃなかよ? どげんなるか分からんけん、ばり面白かもん”
“そうだな、我々の予想を超えていることは確かだ。ユバを失った世界が、まさかこうも無軌道に展開していくとは”
“……そんなに褒めるようなことですかね。型破りに見えているのは、役者も脚本もとんでもなく程度が低いせいだと思いますけど”
“むう、今日の四号ちゃんは辛口たい。なしてそんな厳しゅうすると?”
“別に、思ったことをそのまま言ってるだけなんですけど……。はあ、誰かさんだったらこういうのも適当に茶々を入れながら、うまくまとめてくれるんですかね。どうも上手くいかないや”
“それはそうと、絵も描写もないというのかえって自由で困るな。沈黙が続くと、ここにいないのと変わらないじゃないか。二号選手なんか自分に注目が集まらないことをいいことに、黙々とスクワットに精を出しているぞ”
“アホ言いなや、あてがそんなことするわけあらしまへん。あんさんらがぴいぴいわめくのに、嘴突っ込む気ぃにならんだけどす”
“ヘバ、アン烏サドゴイッタガ?”
“七号ちゃん、何言うとーと? ……こうやってお喋りするのは楽しかばってん、ちょっと物足らんね。うちらが見守るのもいつまでできるか分からんし”
“そもそも、見守る必要なんてあるんかいな。元が出来損ないの世界の、さらに終わり損ないの残りカスやのに。延長戦ゆうのも褒め過ぎやないの、こんなもん”
“ふむ、その言も一理あるな。だとすれば、諸君はどうするつもりだ? このまま滅ぶに任せておくか”
“……せやかてなあ、なんもかんも放り捨てて投げ出すっちゅうのは無責任やろ。陰からこそこそ見てるだけっちゅうのも性に合わへんみたいや。何ができるかは分からへんけど、何かしたらんと気ぃ済まへんねん”
“……ふむ。ほうほう、そうか。君はそうするのか。いやいや、私は手を出すつもりはないよ。だが、君の決意に口を出す気もない。なかなか見上げた根性じゃないか!”
“……あんた、何を虚空にぶつぶつ言うてんの? 見えないお友達でも見えとんどすか?”
“四号ちゃんは辛口やけど、五号ちゃんはご機嫌やね!”
“……っ♪”
“どうでもええけど、あての肩をそないにばしばし叩かんでおくれやす”
“はっはっは! ワタシは今、大いなる伏線を張ったのさ。セリフだけでは何をしてるか分からないだろう? もしかしたら会話の途中で二号選手と熱いハイタッチを交わしているかもしれないし、その会話に異物が紛れ込んでるかもしれない。なるほどな、今回ワタシに与えられているのはこういう役回りらしい!”
“役とか伏線とか、どうでもいいですよ。何もかもつまらないです。とっくの昔に主役が降りた舞台でバカ騒ぎしてるなんて、興ざめでしかありませんよ”
“そっか、うち分かったとよ! 四号ちゃんは退屈しとーんやなか、寂しかとね。大丈夫ばい、ユバちゃんがおらん世界でも楽しかりゃ笑うたっちゃ良かし、寂しかりゃ泣いたっちゃ良かよ! 自分に言い訳せんで良か!”
“寂しい? 僕が? ……くだらない感傷を押し付けるのはやめてくださいよ。僕がユバさんや三号姐さんのことをいつまでも気にしてるとでも?”
“はっはっは、今のセリフ、三号選手に聞かせてやりたいものだな! なかなかどうしてかわいいことを言うじゃないか!”
“ねー!”
“……やだなぁ、六号ちゃんも五号姐さんも、趣味が悪いですよ。悪趣味を通り越して、悪魔じみてますね”
“神も悪魔も、台本に描かれてるだけではただのインクの汚れと大差ないさ。同じ染みなら、自由自在に飛び散っているものを眺めている方が面白いと思わないか?”
“セナダバオナズダ”
“うちはなんでんかんでん楽しみばい! あ、見て! また何か始まっとーよ!”
“まあ、もうしばらくは高みの見物としゃれこましてもらいまひょか。くかかっ”